キハ100-1~4(キハ100-3)

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平成2年に登場した16m級両運転台一般形の先行試作車です。車体は丸みのある独特の形状をした普通鋼製です。板厚の見直し、プラグドア及び固定窓の採用により側面鋼体の厚みを低減させることで軽量化が図られています。塗装はベリーベールグリーン(僅かに緑ががった白色)とダークライムグリーンをアクセントに配しています。前面は着雪防止を目的に貫通扉の左右を黒色にしていました。この塗装は量産車では採用されず、このグループも後に量産車に合わせた塗装になりました。
車内はセミクロスシートトイレ付となっています。ワンマン運転仕様であるため、運転台は半室構造で、乗務員室扉がつきます。客室窓は複層ガラス固定窓で、トイレ部にもダミーガラスを用いて連続窓風に仕上げています。
エンジンはコマツ製DMF11HZ又は新潟鐵工所製DMF14HZ(ともに330PS/2000rpm)を1基搭載しています。ブレーキ方式は応荷重装置付電気指令式を採用、抑速ブレーキは機関ブレーキ+コンバータブレーキとしています。

キハ100-5~(キハ100-5・6・14・22)

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量産車として登場したグループです。前面の黒色が無くなり、爽やかな印象となりました。また、前面下部のスカートは当初パイプ状のものでしたが、10番以降は鉄板状のものになっています。また、客室窓もトイレ部分にダミーが入っていましたが、これもやめています。また、転落防止幌が後年装備されています。

キハ100-201~(キハ100-205)

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平成5年に大湊線に登場したグループです。平成4年に発生した成田線の踏切事故を受けて、運転台部分の強化が行われており、車端部が延長されています。乗降扉はプラグドアから、引き戸に変更されています。

キハ110-1~5(キハ110-4)

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山田線、釜石線の急行「陸中」号用として平成2年に登場した20m級両運転台急行形のグループです。1~3は先行量産車です。JRにおいて急行用として新製された最後の車輛としても知られています。キハ100-1~と同じく、登場時は前面左右が黒色でしたが、量産車登場により、あわせた塗装にしています。新潟鐵工所製DMF13HZA(420PS/2000rpm)を搭載しています。

キハ110-101~(キハ110-128)

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平成3年に登場した普通列車用の20m級両運転台車のグループです。キハ100形式と同じセミクロスシートですが、混雑時などを考えクロスシート部は1+2列配置に変更しています。カミンズ製DMF14HZA(420PS/2000rpm)を搭載しています。

キハ110-201~210(キハ110-205)

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平成5年に登場したグループで、100番代をベースに乗降扉を引戸に変更、ステップ高さの見直しを行い改良を施しました。

キハ110-211~222(キハ110-220)

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200番代の2次車になるグループでは、キハ100-201~と同じく運転台部分の強化が行われ、車体長が延長されています。221番以降は雨どいが延長されるなど細部が異なっています。

キハ110-237~245(キハ110-244)

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平成11年に陸羽西線及び陸羽東線に投入されたグループで本系列の最終増備車にあたります。他のグループと異なる点は熱線吸収ガラスを採用し、カーテンを省略しています。このうちのキハ110-243~245の3両は「眺望車」という車輛で、外観は他の車輛と同じですが、車内では1列側の座席が窓側に45°、通路側に180°回転出来るようになっています。このため定員は少なくなっています。

キハ101-1~(キハ101-11)

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平成5年に左沢線用として登場した形式です。キハ100形式をモデルとし、車内はオールロングシート、トイレはありません。塗装色も専用のものとし、「FRUITS LINER:フルーツライナー」のロゴが入っています。

キハ111-1~3(キハ111-1)

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急行形車輛キハ110-1~の片運転台となる形式です。車内は回転式リクライニングシートで、トイレの設備があります。

キハ112-1~3(キハ112-3)

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キハ111-1~と同じ構造ですが、トイレが無い形式となります。転落防止幌が追加で装備されています。

キハ111-101~(キハ111-113)

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平成3年に登場した、キハ110-101~を片運転台にした形式です。車内のクロスシートは1+2列配置となっています。

キハ112-101~(キハ112-119)

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キハ111-101~とユニットを組むグループです。東北地区で使用されている車輛には、運転台上部に衛星電話用のアンテナが搭載されています。

キハ111-151~(キハ111-152)

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平成5年に登場したグループで、キハ111-101~と同じですが、乗降扉をプラグドアから引戸に変更。ステップ高さの見直し、運転台強化(延長)を行っています。水郡線に投入され、現在は盛岡地区にて活躍をしています。

キハ112-151~(キハ112-152)

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キハ111-151~と同様の変更を行ったグループです。このタイプはキハ110形式には存在していません。

キハ111-201~(キハ111-214)

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平成5年に登場したグループで、キハ110-201~の片運転台形式になります。車体寸法は2次車のキハ111-211~に準じています。

キハ112-201~(キハ112-201)

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キハ111-201~とユニットを組むグループです。

300番代・改造編入車

300番代について
 秋田新幹線開業に伴い、田沢湖線の改軌工事を実施するため、同線を経由する特急「たざわ」号が運行できなくなりました。平成8年から翌年の平成9年までの約1年間は代替として北上~秋田駅間に特急「秋田リレー」号が運行される事となりました。
 その車輛として本系列唯一の特急形仕様として登場したのが300番代です。当時増備が行われていた200番代をベースにリクライニングシート仕様、デッキ及び大型荷物置き場の設置、喫煙車輛については灰皿の設置など一般車とは異なるものでした。車体色も基本の白色をベースに灰色とライトパープルの帯(扉はライトパープル)、前面貫通扉周囲は桃色の塗装が施され、前面及び側面に竿灯のイラストと「AKITA」の文字が施されました。
 平成9年に秋田新幹線が開業し、その役目を無事終えた車輛は各所へ転属し、一般形車輛の仕様に変更の上活躍をしています。
改造編入車

キハ110-223~236(キハ110-227)

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先述の通り、300番代を改造したグループです。キハ110-301~314を改造したもので、デッキの撤去、座席の交換などが行われました。車内では蛍光灯カバーや窓枠に設置された小さなテーブルはそのまま残され、特急車時代の名残となっています。

キハ111-210~212(キハ111-212

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キハ111-301~303を改造したグループです。こちらもキハ110-223~236と同じ一般形への格下げ改造を行っています。キハ111形式のトイレは特急仕様であった事から車端部に設置されており、改造後も位置はそのままで外観の特徴ともなっています。

キハ112-210-212(キハ112-210)

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キハ112-301~303を改造したグループです。外観では一般車と同じとなったほかは大きな変更はありません。車内はセミクロスシート仕様としています。

ジョイフルトレイン・地域色など

POKEMON with YOUトレイン(ポケモン ウイズ ユートレイン)

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平成24年に盛岡支社一ノ関運輸区に所属するキハ100形式を改造した観光車輛です。種車はキハ100形式の試作車輛である1と3番で、エクステリアは「ポケモンはいつもキミといっしょ」、インテリアは「森の中」をテーマに改装が行われました。これに伴う車番の変更はありません。車内は1番は「コミュニケーションシート車輛」としてセミクロスシートからオールクロスシート化されています。座席はポケモン柄に、通路側の取っ手はモンスターボールの形に変更しています。3番は「プレイルーム車輛」で、プレイゾーンは暖房装置の関係から高床構造としています。両車輌ともトイレも含めてラッピングが施されています。

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平成29年にリニューアルが行われ、「親子でピカチュウと楽しむ列車」というコンセプトに変更し、車体色をピカチュウをイメージしたものになりました。2両ともピカチュウの黄色をベースにキハ100-1(写真左)にはほっぺの赤色(電気袋)と背中の茶色の縞模様、キハ100-3(写真右)には背中及び臀部尻尾のあたりの茶色の縞模様が描かれており、黄色地部分にはたくさんのピカチュウが描かれています。車内もピカチュウをイメージしたものに更新したほか、プレイルームに運転台を模した遊具が設置されています。

おいこっと

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平成28年に飯山線の観光列車として登場したものです。愛称の「おいこっと」とは東京のローマ字「TOKYO」を逆さまに読んだものを由来としています。
種車は特急仕様とした300番代を200番代に編入したもので、このうち2両(235、236)は移籍の際、座席の一部をレール方向に向けれるようにし、飯山線沿線の風景を楽しめるように改造し、眺望車「ふるさと」と命名され活躍していました。この2両を再改造したのが、おいこっとです。茅葺き屋根の民家をイメージしたデザインとし、235番(左)はアイボリーをベースに、236番(右)はリバーシブルとして臙脂を基調とした配色としています。車体側面には民家の襖や障子などをイメージしたデザインのほか、唱歌「ふるさと」の歌詞に登場する「兎」などのイラストが描かれています。車内も同様に民家の内部をデザインしたものとなっています。「おいこっと」は長野駅~十日町駅間を1日1往復、「冬のおいこっと」は長野~戸狩野沢温泉駅を1日2往復するダイヤが組まれています。

TOHOKU EMOTION(東北(とうほく)エモーション)

 新しい東北を発見・体験する」をコンセプトに設計された、列車を「移動するレストラン」としたジョイフルトレインで、平成25年に登場しました。パッケージツアーとして発売するため、団体専用列車となり、事前に予約が必要となります。
デザインはインテリア、エクステリア、キッチンそれぞれに東北地域の特徴をちりばめ、移動手段ではなく、乗る事自体を楽しむ事を目的としています。床敷物やキッチン窓には伝統工芸の技法である「こぎん刺し」、オープンダイニングには久慈の名産「琥珀」をイメージしたライトなどがあるほか、津軽地方の伝統工芸や名産品、特産品に見立てたものが配されて、車内空間も楽しめます。料理は東北地方の特産を素材とした料理で、担当するシェフは半年ごとに、メニューは3か月ごとに変更が行われ、再び利用したくなるように工夫が行われています。

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キハ111-701(1号車)
八戸方に位置する車輛で、4人用コンパートメント7室の構成、部屋内は人工大理石と木材で構成されたテーブルやクローゼットを備えたもので、4人掛けの革張りクロスシートとなっています。なお、個室は海側にあります。キハ111-2(急行 陸中用)を改造しました。

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キクシ112-701(2号車)
編成の中央に位置する車輛で、ライブキッチンスペースとなっています。オープンキッチン、バックキッチン、オープンバーの構成で、オープンキッチンでは通路との仕切りをガラス張りとして、提供される料理を目の前でつくる様子を見る事が出来ます。当形式の「キクシ」は国鉄時代から通して、初めての形式記号となります。キハ112-2(急行 陸中用)を改造したもので、搭載されるディーゼルエンジンを駆動用ではなく、サービス機器用としたため、この形式が誕生しました。キクシとはディーゼル車輛のエンジンを持たない、運転台をもつ食堂車という意味になります。
キハ110-701(3号車)

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久慈方の車輛で、オープンダイニング車輌です。四角いテーブルと三角のテーブルが配置され、2人連れから4人連れまで対応できる工夫がされています。種車はキハ110-105となります。

HIGH RAIL 1375(ハイ レール イチサンナナゴ)

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平成29年に長野支社が小海線向けに登場させた観光列車。愛称の「HIGH」は標高の高い駅を持つ小海線、「RAIL」は線路、「1375」は清里~野辺山駅間にある普通鉄道では最も高い地点である標高1375mを由来としています。
種車は1号車であるキハ112形式710番代(キハ112-711(左))がキハ110形式100番代で、車内は窓側を向いたシングルシート及びペアシートを中心にした構成とし、2号車寄りの乗降扉部分は埋められ、ボックスシートを設置。トイレ部分もトイレを撤去し、物販カウンターに変更しています。2号車寄りの運転台は使用停止となったため、形式が変更されています。2号車となるキハ103形式(キハ103-711(右))はキハ100形式0番代が種車で、リクライニングシートを中心にした構成となっています。この車輛も連結面となる1号車寄りの運転台が使用停止となったため形式変更。16m級の片運転台形式がないため、新しくキハ103形式が誕生しました。なお、キハ100系となる本形式とキハ110系の併結運転はHIGH RAIL 1375が初めての事例となります。
当初は屋根をガラス張りにする計画もありましたが、法令に抵触するため、半球状のドームとし星空の映像を見せています。
両形式とも車体をキャンバスに見立て、金属風の質感を活かしつつ、小海線の夜空や車窓に流れる八ケ岳の山々をモチーフにしており、大人はノスタルジックな旅のイメージ、子供はわくわくする旅をイメージしたものとなっています。

飯山線リバイバルカラー

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平成29年に行われた信州デスティネーションキャンペーンの際に平成3年から平成9年まで飯山線で活躍した気動車に行われた地域色(飯山線色:写真右)を復刻させたものです。キハ110-231と233(写真左)に行われています。前面運転台窓下部、車体側面には「VOITURE AMITIE’」(ヴワテュール アミニティエ)のロゴが配されています。仏語で「友情の列車」という意味です。

八高線特別塗装車

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平成28年に八高線全線開通80周年を記念してキハ111+キハ112-204番をかつて同線で活躍したキハ38形式の塗装に変更したものです。運転台下部に80周年記念のヘッドマークが付いていましたが、現在は撤去されています。運用の都合で単独で走っている姿も見られ、少し前の八高線を思い出します。