キハ20形式・キハ25形式・キハユニ26形式
一般形気動車では初めて電車や客車並みの2800㎜車体幅をもつグループです。これら形式は暖地向けの車輛です。車体はキハ10系と同じ、バス窓でした。しかし、乗降扉は混雑時を考え、車体中央寄りに配置されました。台車はキハ10系と同じものが使われました。両運転台構造はキハ20形式、片運転台構造はキハ25形式です。
キハ20 201~(キハ20 468)
キハ20形式の2次車になるグループです。1次車の改良型となるもので、車体外板をプレス鋼板から軽量鋼に変更、台車もコイルばねを用いたDT22系になり乗心地が大幅に向上しました。客室窓もバス窓から上昇式を採用しました。全国各地で活躍をしました。
キハ21形式・キハ22形式・キハユニ25形式
東北、北海道向けの酷寒冷地仕様車となるグループです。キハ10系ではキハ12形式、キハ20形式に耐寒・耐雪構造を盛り込んだキハ21形式が投入されますが、冬季の厳しい環境下において車内保温の面で問題があり、新規に設計されたのがキハ22形式で、昭和33年に登場しました。
乗降扉を車体の両端に移動させ、デッキを設けました。客室窓は小型の一段上昇式窓を二重窓としています。暖房装置はエンジンの冷却水を利用した温水暖房方式です。床は雪が溶けて滑りやすくなるのを防ぐと同時に、雪靴などに用いられる滑り止め金具(スパイク)対策として木張りとし、断熱材を厚くしています。冬季には床下機器にカバーをかぶせるほか、冷却水による保温も行われており、徹底した耐寒・耐雪設計は以後の北海道に登場する車輛の基準ともなりました。
キハ22形式に2基のエンジンを搭載した形式はなく、冬季になるとその非力さから2両編成で運転をしなければならない欠点もありました。しかし、現場での信頼度は高く、次世代車の投入が決まるも、採用には消極的であったという逸話も残っています。
道内のローカル列車の他に、支線の急行列車(いぶり、らいでん、せたな、はぼろなど)にも活躍しました。
キハ22 1~170(キハ22 166)
キハ20形式の酷寒冷地仕様車です。外観は写真の通り、全く異なるもので、床の断熱材が厚いため、乗務員室扉や運転台窓が高い位置になっています。
キハ22 701~(キハ22 706)
キハ22 201~を種車としたワンマン運転対応車で、平成2年に登場しました。ワンマン運転に必要な機器を搭載したほか、デッドマン装置、自動放送装置などが搭載されました。また、ブレーキも保安度向上のため直通予備ブレーキも設置されました。
キハ52形式
勾配線区でも運用するために昭和33年に登場した形式です。キハ20形式に2基のエンジンを搭載したもので、床下スペースを広くする必要があるため、全長が延長され21.3mとなっています。過去には非電化区間への夜行列車拡大のため、寝台車に改造して試験を行った事があります。勾配区間で重宝され、キハ20系の中では最後まで活躍しました。
キハ52 1~56(キハ52 47)
キハ20形式に似たスタイルですが、車体が延長されたため座席が1区画増えたため、窓も8ヶ所となっています。床下はエンジンや変速機が設けられているため、トイレの水タンクはトイレの向かいに設置されています。
キハ52 101~156(キハ52 144)
昭和38年に登場したグループです。キハ58系やキハ80系で好評であった横型エンジン(DMH17H形式)を搭載しています。騒音や振動を低減でき、コスト低減も図れることから2エンジン車を全て統一する事を受けて登場しました。床面点検蓋、車体中央側面の排気管が廃止され、客室窓は均一になっています。室内灯が蛍光灯に変更されています。
キハ52 651(キハ52 651)
地方線区の小荷物輸送用として、客室の半分をロングシートとし、アコーディオンカーテンで仕切る事で簡易の荷物室とする事も出来る車輛です。キハ20形式やキハ22形式を改造した車輛もありましたが、当形式は新製車となっています。
キハ52形式の仲間たち
キハ20系列の中で、勾配線区向けとして活躍したキハ52形式はJRになっても活躍を続けて、最後まで活躍しました。
キハ52 128(マワ車所蔵)
JR西日本木次線を中心に活躍した1両です。一般色をまとうこの車輛ですが、リバイバルカラーと思われるかもしれませんが、実は登場してから廃車になるまでこの塗装だったのです。128号車は国鉄時代は福島県会津地方で急行「いなわしろ」号で活躍。塗装簡略化のため首都圏色に塗り替えられる予定でしたが、急行用の車輛としてそのまま残されました。急行列車が廃止となり、遠く離れた木次線に転属し余生を送りました。