キハ31形式(キハ31 7)

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九州地区に投入された形式です。多数存在する勾配線区での使用もあるため、軽量なステンレス車体とし、車体長さは17m級としています。ワンマン運転を行うため、デッキは無く乗降扉は両端に配され、その間にずらりと並んだ狭窓が特徴です。
車内は観光路線での使用もある事から、座席は新幹線からの発生品を用いて、2+1列の座席配置としています。(21~23は除く。)冷房装置はキハ38形式と同じ、バス用の冷房装置を鉄道用にしたAU34形式としています。バス用部品は種別・行先表示器、乗降扉などとなっています。
エンジンは新製ですが、変速機、台車などは廃車発生品などを使用してコストダウンを図っています。ブレーキ方式も在来のものとし、他の気動車との併結も可能です。

キハ32形式(キハ32 9・キハ32 11・キハ32 17)

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四国地区に投入された形式です。外観は第三セクター鉄道用ディーゼルカーを国鉄仕様にしたもので、車体は製造コスト低減を目的に鋼製となっており、加えて製造メーカーの第三セクター向け軽快気動車の設計手法を採り入れ、構造や材料を見直し大幅な軽量化を実現しています。閑散線区での使用を考えており、車体長さは16m級、車体幅は2700㎜と当時の国鉄車輛では最小の車輛となっています。
この形式もワンマン運転に対応するため、乗降扉は車端部に寄せられています。この乗降扉は折戸でバス用のものです。車内はロングシートのみでトイレの設備はありません。キハ31形式同様に、エンジンは新製、変速機、台車、ブレーキ関係機器類は廃車発生品の流用となっています。
登場時は塗装はアイボリーをベースに投入された地域に合わせたストライプ帯(徳島地区藍色、高知地区臙脂(えんじ)色、松山地区蜜柑(みかん)色をまとっていました。現在はJR四国色に統一されています。
製造されたメーカーにより外観に若干の違いがあります。1~11は新潟鐵工所製、12~21は富士重工製で、灯具や窓サッシに違いがあります。

キハ54形式

キハ54形式は四国地区及び北海道地区に向けて製作された21m級の大型ディーゼルカーです。車体は塗装工程省略などのメンテナンス低減、軽量化など、北海道では極寒な気候、沿岸部の走行による塩害が考えられたためステンレスを採用しました。側面客室窓上下に車体の歪みを防ぐビート加工が外観の特徴ともなっています。
エンジンはDMF13HSを2基搭載し、定格出力を500PSとした強力型です。液体変速機や台車、ブレーキ装置関係、運転台機器など廃車発生品を多用しているのも特徴の一つです。

キハ54 1~12(キハ54 3)

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四国地区向け(暖地向け)のグループです。土讃本線や予讃本線など主要路線に急勾配区間があり、地域間輸送向けの大出力機関を搭載する両運転台気動車が必要でしたが、大出力エンジンを搭載した気動車は昭和30年代の急行形で、両運転台気動車は低出力の車輛しかなく、これらを置き換える目的で投入されました。
特徴は短距離輸送に特化した収容力、運用コストを重視したものとするため、キハ38形式と同じバケットシートを用いたロングシートとなっています。着席区分を明確にするため、3~5人毎にひじ掛けが仕切りを兼ねて設置されています。

キハ54 501~526(キハ54 514・キハ54 508・キハ54 525)

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北海道地区向け(酷寒冷地向け)のグループです。厳しい過酷な環境下での使用であるため、耐寒・耐雪構造が強化されています。また、排雪走行や動物との衝突に備えるため排障器(スカート)を装備しています。
北海道の路線では冬季の積雪と列車頻度などの条件によって、走行する列車が雪を除去する排雪走行を行います。国鉄時代には北海道向けの2エンジン車などの大出力をもつ両運転台気動車が投入されず、キハ22系、キハ40系の1エンジン車が普通列車に活躍していました。冬季になると出力に余裕が無いため、2両以上連結して走行する方法を採っていました。しかし、赤字ローカル線ではコストがかかるため問題でした。
ようやく余剰となった急行形気動車を両運転台車とし、2エンジンとしたキハ53形式500番代が国鉄末期に登場しましたが、すでに老朽化が見え隠れするこの車輛では長期の使用に耐えられるものではありませんでした。そこで登場したのがこのグループになります。
客室窓は一段上昇窓でFRP枠の二重窓としています。デッキ、トイレの設備があります。車内は当初は出入口付近をロングシートとしたセミクロスシート仕様です。現在は路線ごとに座席が交換されるなどの違いがあります。冷房装置は無く扇風機が設置されています。車体には赤い帯と白色、黒色の細い帯が配されています。根室本線釧路以東(花咲線)で使われるキハ54形式はピンク色の帯になっています。(写真右)
エンジンは2基搭載していますが、1基でも走行が出来る仕様となっています。これは夏季の運用コストを考えてのものです。台車はコイルばねの雪噛み防止対策を施したDT22F形式を履いていました。現在は軽量ボルスタレス台車に変更されています。
変更されたものとして、汽笛があります。野生動物のエゾシカと衝突する事が多く、「鹿笛」という甲高い音色を発する汽笛に交換され、屋根上に搭載されています。もともとの汽笛は塞がれています。この他、前面に書かれる車体番号が前面窓に移動するなどの変化も見られます。

キハ54 527~529(キハ54 528)

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この3両は旭川~稚内間を結ぶ急行「礼文」用の車輛として登場しました。0系新幹線から発生した転換式クロスシートを装備していました。(窓配置が一般車と同じで、座席と窓があっていなかった。)また、外観では識別のため赤い帯が窓上上部に配されています。写真左は活躍していた頃の様子。平成12年に列車が廃止となり、一般車と共通で使用されています。