諸元
全 長  20000mm
全 幅  2832mm
全 高  3935mm
主電動機 MT46形式(100kw)
制御方式 抵抗制御(直並列組み合せ制御、弱め界磁制御)
制動方式 SED発電ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキ
動力台車 DT21形式、DT21T形式 不随台車 TR64形式

車内設備など
座 席 ロングシート(普通席)
乗降扉 片側4扉
トイレ なし

 昭和32年に登場した通勤形電車です。登場時はモハ90形式としていましたが、昭和34年の称号改正に伴い101系と改称されました。
 戦後の混乱もやや落ち着きを見せ始めた昭和28年以降、大手私鉄では旧来の吊り掛け駆動方式からカルダン駆動方式を採用した高性能電車を通勤形電車として登場させて、輸送力の改善に大きな成果を上げていました。一方、国鉄では無煙化計画(気動車の開発)や交流電気車の設計など並行しながら行っていたため、昭和30年代に入っても吊り掛け駆動方式のモハ72系が造られていました。
 戦後になると人々は大都市圏に住むようになり、通勤輸送は一気に激増しました。このため、抜本的な改善が強く求められ、新性能通勤形電車の開発が始まりました。開発にあたり、従来車では無かった2両で1つとするユニット方式、国鉄では初めてとなる中空軸平行カルダン駆動方式の採用、軽量で小型の高出力主電動機など近代的な新しい技術が盛り込まれました。国鉄ではこの新しい技術を採用した電車を「新性能電車」と呼び、従来車と一線を画す分類としています。
 101系の車体は旧性能電車であるモハ72系通勤形電車(昭和31年に試作された車輛)の基本構造を継承しました。全金属製セミ・モノコック構造、前面非貫通型の切妻形とシンプルなデザインとしています。乗降扉はモハ72系では940mm片開きドアでしたが、1300mmの両開きドアとなり、開閉速度、乗降能力が向上しました。車体色は従来は暗いぶどう色2号(茶色)でしたが、路線ごとに異なる明るい1色とされ、101系の最初の投入線区である中央快速線ではオレンジバーミリオンが採用されました。その後、山手線にはカナリアイエロー、京浜東北線にはスカイブルー、関西本線には黄緑色(ウグイス色)が採用され、通勤線区に鮮やかな彩りを添える事になります。 車内設備はオールロングシートでシンプルですが、居住性向上を目的に初めて扇風機が常設されています。
 試作車は混雑の激しい中央快速線に投入され、「ヒョウのようなダッシュ、カモシカのような軽やかさ」を謳い文句に登場しましたが、全電動車の10両編成は電力設備が整っていなかったため様々な問題が発生し、全電動車編成は諦め、MT比を1:1とした6M4T編成に変更されました。
 101系は本来の性能を満足に発揮する事は出来ませんでしたが、旧性能電車の活躍していた大阪環状線、山手線へと投入されていきました。平成15年に南武線南武支線で活躍していた車輛が廃車され、系列消滅となっています。
 一部の車輛は秩父鉄道に転属し活躍をしました。

0番代

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クモハ100-1~(クモハ100-102)

本系列の偶数向きパンタグラフ付き制御電動車です。昭和34年の称号改正以前の形式は、モハ90形式500番代偶数番号です。パンタグラフの他、電動空気圧縮機など補助機器を搭載しています。

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クモハ100-1~(クモハ100-182)

後年の様子。視認性向上を目的に前部標識灯(前照灯)のシールドビーム化が行われた他、冷房化改造を受けた車輛もありました。冷房化にあたり、容量の大きい電動発電機が搭載されており、床下機器の様子が変わっています。

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クモハ100-801~(クモハ100-801)

狭小トンネルの存在する高尾以西への入線を可能とするために昭和36年に登場したグループで、6両がつくられました。この800番代とは狭小トンネルに対応するため、パンタグラフ部分の屋根を低くした構造としたもので「低屋根車」と呼ばれています。

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クモハ101-1~(クモハ101-168)

本系列の奇数向き制御電動車で、昭和34年の称号改正以前の形式はモハ90形式500番代奇数番号です。主制御器など走行に必要な機器を搭載しています。

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クモハ101-901~(クモハ101-902)

国鉄初の新性能電車として試作されたモハ90形を量産車化改造したグループです。通風器やパンタグラフの交換や雨樋の取り付け変更などが行われましたが、乗務員室出入口の手すりなど量産車とは異なる部分もありました。写真の902番は埼玉県さいたま市にある鉄道博物館に静態保存されています。登場後、高速度試験に供され、その試験結果は国鉄初の特急形電車であり、特急形電車の基礎となったモハ20系(151系・181系)を誕生させたほか、新幹線電車の開発、成功に大きく貢献しました。

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クハ100-1~(クハ100-89)

本系列の偶数向き制御車です。昭和35年に加わった形式のため旧形式はありません。初期の車輛では将来の制御電動車化改造に備えた準備工事が行われていました。

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クハ101-1~(クハ101-83)

101系の全電動車編成が困難になったことから、クハ100形式と同時期に誕生した奇数向き制御車です。構造はクハ100形式と同じですが、前面にはジャンパ栓があり外観が異なります。初期の車輛は将来の制御電動車化改造に備え、準備工事が行われていました。

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モハ100-1~(モハ100-252)

偶数向きパンタグラフ付き中間電動車で、クモハ101形式又はモハ101形式とユニットを組みます。電動空気圧縮機など補助機器を搭載しています。写真は冷房化された車輛で、容量の大きい電動発電機を搭載しています。

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モハ100-801~(モハ100-808)

クモハ100-801~と同じく、狭小トンネルに対応した低屋根車のグループです。パンタグラフ部分の屋根にルーバーがあるのが外観の特徴です。

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モハ101-1~(モハ101-249)

奇数向き中間電動車で、クモハ100形式又はモハ100形式とユニットを組みます。主制御器など走行に必要な機器を搭載しています。

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サハ100-1~(サハ100-106)

偶数向き中間不随車です。写真のように初期の車輛では、将来の中間電動車化に備えた準備工事が行われており、パンタグラフ部分のベンチレーターが設置されていないといった特徴がありました。

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サハ101-1~(サハ101-129)

奇数向き中間不随車です。本形式も初期車は中間電動車化改造に備えた準備工事が行われていました。冷房化された車輛の中には103系サハ103形式へ改造、編入された車輛もあります。

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サハ101-201~(サハ101-266)

編成両数を10両編成にした際に、MT比(電動車(M)と不随車(T)の比率)を1:1、6M4Tとなりますが、電動発電機や電動空気圧縮機の容量が不足するため、これを解消するためにサハ101形式に電動発電機(MG)と電動空気圧縮機(CM)を搭載したグループです。同様にサハ100形式にも200番代がありました。

1000番代

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1000番代は昭和48年に開業した武蔵野線府中本町~新松戸駅間開業に合わせて登場したグループです。同線には長大トンネル区間が存在しており、火災対策(A基準)を0番代に施した改造車です。
編成は府中本町駅方からクモハ100+モハ101+サハ100+サハ101+モハ100+クモハ101(いずれも1000番代)です。主にモハ90形式やサハ98形式とした初期車輛が種車となっていた特徴がありました。昭和61年まで活躍し、首都圏最後のオレンジ色(朱色1号)の101系となりました。

ワンマン運転仕様

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クモハ100-1~(クモハ100-172)

南武線南武支線(尻手~浜川崎駅間)の専用車輛。JR東日本発足後に塗装変更、冷房化工事及びワンマン運転対応工事が行われました。車体色はクリーム1号をベースに青緑1号、青緑2号の帯を巻いた独特なもの。冷房装置は直流1500Vを電源とするCS24型インバーター装置、AU712型冷房装置が設置されています。ワンマン運転は都市型ワンマン運転方式を採用しており運賃箱などはなく、自動放送装置、ルームミラーの設置などが行われました。

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クモハ101-1~(クモハ101-130)

クモハ100形式と同じく、ワンマン運転仕様に改造した車輛です。改造内容は同じで、101系最後の車輛として活躍しました。