諸元
全 長  20000mm
全 幅  2832mm
全 高  3935mm
主電動機 MT55形式(110kw)
制御方式 抵抗制御(永久直列制御、弱め界磁制御)
制動方式 発電ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキ(応荷重装置付き)
動力台車 DT33形式 不随台車 TR201形式

車内設備など
座 席 ロングシート(普通席)
乗降扉 片側3扉(新造車)、片側4扉(改造車)
トイレ あり(改造車)

 三大都市圏で使用する通勤形電車は昭和55年頃までに概ね新性能電車への置き換えが行われました。一方、地方の電化されたローカル線では戦前から1950年代に製造されたモハ72系など旧性能電車が使用されており、製造から30年以上経過し、老朽化や陳腐化が進んでおり、新性能電車の投入が待ち望まれていました。
 新性能電車を投入したい所ですが、当時の新性能電車のシステムが問題でした。旧性能電車の活躍する電化ローカル線の多くは閑散時間帯は2両編成が主で、電動車1両に走行に必要な機器を全て搭載し、MT比1:1の2両編成を組むことが出来ましたが、101系以降の新性能電車は長大編成を組むことが前提であり、動力車2両で1ユニットとする形態であり、2両編成では両方電動車となってしまいます。ローカル線に電動車2両編成では過剰性能であり、変電所などに問題が出て来る事も考えられたためです。
 そこで、旧性能電車と同様にMT比1:1の2両編成を組めるように、103系を基本に1M方式とした車輛として105系が昭和56年に登場しました。ちなみに新性能電車の設計で1M方式の車輛としては既に、郵便・荷物電車や事業用車がありましたが、高速走行に適した性能でした。105系の投入線区では駅間が短く、運転最高速度も低いため、103系の性能面が適していたため、新設計となっています。
 当時の国鉄の台所事情を鑑みて、経済的かつシンプルなシステムがコンセプトとなっており、103系で使用されている部品を多用している点がポイントです。103系ほど高加速性能は必要ない事、簡素化かつ小型化を実現するために永久直列回路の構成としているほか、1Mでの走行時の冗長性確保のため、電動発電機故障時において、最寄り駅まで運転が出来るように制御に必要な電源は蓄電池から供給出来るシステムとなっています。
 105系のグループは大きく分けて2つあり、片側3扉の新造車(60両)と片側4扉の103系から改造された車輛(67両)があります。

新造車グループ(3扉車グループ)
 昭和56年に福塩線、宇部線、小野田線の旧性能電車を置き換えに登場したグループです。車体やシステムを103系を基本としつつ、踏切事故対策を施した高運転台とし、分割・併合運用を考えて貫通型としています。車内は201系に準じたカラースキームとし、長時間の乗車を考えて座り心地を改善しています。
 形式はクモハ105形式制御電動車、クハ104形式制御車、福塩線向けにモハ105形式パンタグラフ付き中間電動車、サハ104形式中間不随車が登場しました。このうち、福塩線向けの中間車2形式は昭和59年より先頭車化改造が行われ、登場からわずか4年で形式消滅しています。

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クモハ105-1~27(クモハ105-8)

本系列の新造車グループのパンタグラフ付き制御電動車です。運転を行うために必要な機器を搭載しています。この車輛の冷房装置はWAU202型簡易冷房機を搭載しています。昭和63年より行われているもので、国鉄時代から冷房化改造が実施されていましたが、車体を補強するなどの大掛かりな改造が必要であったため、簡易化するため、直流1500Vを電源とし、バス用冷房装置と組み合わせたものです。車端部の窓のない部分に機器室が設置されています。

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クモハ105-28~31(クモハ105-28)

このグループは中間電動車であるモハ105形式を先頭車化改造したもので、昭和59年に登場しました。新造車と同じ運転台を付けており、その後方の窓配置が新造車とはことなります。この車輛はWAU102型からWAU102型分散式冷房装置に交換され、体質改善工事を受けています。

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クハ104-1~25(クハ104-12)

本系列の新造車グループの制御車です。写真は瀬戸内地区地域色という山吹色(黄色5号)で、体質改善工事、冷房化改造及びトイレの追加設置が行われています。

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クハ104-26~29(クハ104-26)

このグループは中間不随車であるサハ104形式を先頭車化改造したもので、昭和59年に登場しています。運転台直後の窓配置が新造車とは異なる特徴があります。

改造車グループ(4扉車グループ)
 昭和59年、奈良線、和歌山線、紀勢本線和歌山市支線の電化開業用及び可部線の旧性能電車を置き換えるために登場しました。折しも、常磐緩行線で203系投入により、103系1000番代を中心に車輛が捻出され、これを種車としています。このため、新造車とは異なり片側4扉となっています。
 昭和62年に105系がJR東日本にも登場します。仙石線の輸送力増強を図るため、103系4両編成を種車に、中間車を先頭車化改造し2編成登場しました。この誕生した日は昭和62年3月31日、そう国鉄最終日に誕生しました。JR東日本の105系は平成10年に引退し、2編成は同社の乗務員や駅係員に対して異常時などの訓練を行う訓練センターへ機械扱いとして活路を見出し、平成20年まで活躍しました。
 種車である103系の部品を流用していますが、電動空気圧縮機は101系の廃車発生品を使用しています。また、電動発電機も種車の流用と新造品があります。

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クモハ105-501~532(クモハ105-531)

103系1000番代のモハ102形式1000番代及びモハ103形式1000番代を種車とした改造車です。新造車とほぼ同じ運転台を設置し、機器類は両形式とも同じとしています。モハ102形式の車輛にはパンタグラフを追加しています。写真は可部線、宇部線、小野田線向けの朱色1号の塗装です。

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クハ104-501~510(クハ104-503)

103系1000番代のモハ102形式1000番代を種車とした改造車です。電装解除し、台車を103系のDT33形式から101系より発生したDT21T形式不随台車に変更しています。写真の塗装はオーシャングリーン1色の和歌山地区地域統一色というものです。

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クハ104-551(クハ104-551)

平成2年に103系のモハ102形式0番代から改造した制御車です。平成元年にクハ105-7が踏切事故で廃車となり、その充当分として余剰となっていたモハ102形式を電装解除し、事故廃車となった車輛の運転台部分を組み合わせました。改造時にWAU102型分散式冷房装置と電動発電機(事故車輛の流用)を装備しています。

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クハ104-601(クハ104-601)

103系のサハ103形式0番代を先頭車化改造した車輛です。台車は種車のものではなく、滑走防止対策を施したTR201形式不随台車を履いています。

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クハ105-1~14(クハ105-1)

103系1000番代のクハ103形式1000番代を種車とした改造車です。車体をそのまま流用していますが、非常用貫通路を常時使用できるように幌の設置、運転台の締め切り用仕切りの設置、ATC機器の撤去が行われています。写真は広島地区の塗装です。

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クハ105-1~14(クハ105-6)

105系の一部は国鉄時代にAU75型冷房装置を設置する冷房化改造が行われています。冷房用の電源装置はサシ481形式食堂車などで使われていたMH80-DM58型(70kvA)電動発電機を搭載しており、床下機器の様子が異なります。

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クハ105-101~104(クハ105-103)

103系0番代のクハ103形式より改造したグループです。奇数向きであった車輛を方向転換し、偶数向き制御車としています。車体に主だった改造は前面補強程度となっています。

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クモハ105-101・601(クモハ105-101)

仙石線向けに登場した車輛で、101番はクモハ103形式、601番はモハ102形式0番代を種車に先頭車化改造しました。外観はほぼ種車時代と変わらず、601番は101番に機器を同じものとしています。写真はJR東日本八王子支社の訓練センター時代のもので、行先表示器や運行番号表示器が埋められています。多くの社員の育成に貢献し、平成20年まで活躍しました。

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クハ105-105・601(クハ105-105)

仙石線向けに登場した車輛で、105番はクハ103形式500番代、601番はサハ103形式0番代を種車に先頭車化改造し、制御車としたものです。種車となった車輛は冷房化改造が行われており、105系改造により電動車から冷房用電動発電機が無くなってしまうため、この車輛に電動発電機の装備が行われています。写真はJR東日本八王子支社の訓練センターで活躍していた時の様子です。