211系0番代・2000番代
平坦線区向けの111系、113系の後継車種として昭和60年に登場した暖地向け仕様のグループです。0番代はセミクロスシート仕様(車端部はロングシート)、2000番代はロングシート仕様の座席配置となっています。
 居住性向上のため車体幅は拡大され、天井を平天井として圧迫感を抑えています。近郊形電車では初めて横流ファンを採用した点も特徴となっています。また、座席は着席区分を明確にするため、バケットタイプを採用しています。
 このグループは東海道本線(東京~熱海間及び中京地区)に投入され、JR東日本所属車は東海道本線から中央本線(長野地区など)で活躍、JR東海所属車は最後の国鉄形電車として、現在も東海道本線を中心として活躍をしています。

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中京地区に投入された211系0番代(マワ車所蔵)

クモハ211-1~(クモハ211-1)

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2両の製造に留まった奇数向きパンタグラフ付制御電動車で、中京地区向けに製作されました。制御装置や励磁装置など走行に必要な機器を搭載しています。

クハ210-1~(クハ210-7)

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偶数向き制御車で、車内はセミクロスシート仕様、車端部にトイレの設備があります。写真はJR東海所属車で、台車にヨーダンパが装備されているのが特徴です。

クハ210-2001~(クハ210-2008・クハ210-2019)

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ロングシート仕様の偶数向き制御車で、車端部にトイレの設備があり、その向かいは出入りする人と目を合わせないようにする配慮から、小さなクロスシートが配されています。写真右は長野支社に転用された車輛で、前面排障器や半自動ドアスイッチなどの装備が追加されています。

クハ211-1~(クハ211-6)

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セミクロスシート仕様の奇数向き制御車で、基本構造はクハ210-1~と同じです。写真は長野支社へ転用された車輛で、強化型のスノウプラウ、半自動機能(半自動ドアボタン)を設置した車輛です。

クハ211-2001~(クハ211-2019)

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ロングシート仕様の奇数向き制御車です。基本構造はクハ210-2001~と同じです。JR東日本所属車のみの配置となっており、現在は中央本線や篠ノ井線などで活躍をしています。

モハ210-1~(モハ210-13)

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0番代の中間電動車で、電動発電機、電動空気圧縮機など補助機器を搭載しています。車端部は混雑時の乗降をスムーズにするためにロングシート配置となっています。

モハ210-2001~(モハ210-2026)

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2000番代の中間電動車です。0番代と同様の機器を搭載しています。車内はロングシートのみとなっており、通勤形電車ともいえる車内です。写真は長野支社へ転用された現在の姿。

モハ211-1~(モハ211-8)

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0番代のパンタグラフ付中間電動車です。制御装置、励磁装置、主抵抗器など走行に必要な機器を搭載しています。

モハ211-2001~(モハ211-2016)

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2000番代のパンタグラフ付中間電動車です。0番代と同じで、違いは車内の座席配置になります。

サハ211-1~(サハ211-3)

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0番代の中間付随車です。床下にはブレーキ装置関係の機器があるのみで、すっきりとしています。

サハ211-2001~(サハ211-2003)

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2000番代の中間付随車です。0番代と構造は同じで、車内が異なるのみとなっています。

サロ210-1~(サロ210-4)

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平屋造りのグリーン車(付随車)です。車掌室と業務用室を備えています。登場時はサロ211形式との組み合わせでしたが、その後サロ213形式に変更。晩年は東北、高崎線へ転出。その際に改造を受けて番代変更が生じ、本番代は消滅しました。

サロ211-1~(サロ211-6)

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平屋造りのグリーン車(付随車)です。トイレと洗面所の設備があります。登場時はサロ210形式との組み合わせでしたが、その後サロ212形式に変更。晩年は東北、高崎線へ転出。その際に改造を受けて番代変更。最後に残った保留車が廃車となり、本番代は消滅しました。

サロ212-1~(サロ212-6)

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中間付随車では初めてとなる2階建て車輛です。車掌室と業務用室があります。両端は平屋造りで、1階と2階はらせん階段で結ばれています。

サロ212-101~(サロ212-101・-115)

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東海道本線で活躍してきた113系廃止に伴い、同線のグリーン車を2階建てにするため113系向けに製作されたサロ124形式を編入したグループです。電気系統の改造が主で、台車は種車時代のまま使われており、TR69系、ボルスタレス台車の2種類があります。

サロ213-1~(サロ213-6)

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サロ212-1~と同じく日本初のダブルデッカー車。客室設備等は同一ですが、トイレと洗面所を備えています。

サロ213-101~(サロ213-107・-117)

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サロ212-101~と同じく、113系廃止に伴い同じ目的で211系に編入したグループ。種車はサロ124形式、サロ125形式で、車掌室と業務用室はトイレと洗面所に改造されており、他は同じ改造内容となっています。

211系1000番代・3000番代

 115系の後継車種として昭和60年に登場したグループで、JR東日本でも製造されたグループです。1000番代はセミクロスシート仕様、3000番代はロングシート仕様となっており、基本構造は0番代、2000番代と同じです。異なる点として、活躍する線区には勾配線区もあるため、黒磯・高崎方からMc+M’+T+T+Tcの5両編成を基本編成とし、これを2本または3本組成して運用します。また、寒冷地仕様として耐雪ブレーキの装備や半自動ドア機能にするなどあります。
 晩年は、東北本線(宇都宮線)、高崎線に新しいサービスとしてグリーン車を組み込むことになり、編成をMc+M’+T+T+Tc+Ts+Ts+Mc+M’+Tcとした変則10両編成が登場しました。後継車の投入により、房総地区へ転出。現在は中央本線へ転属して活躍をしています。

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房総地区で活躍していた頃の211系3000番代。手前のシングルアームパンタグラフは霜取り用で、東北・高崎線時代に増設されたものです。

クモハ211-1001~(クモハ211-1010)

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1000番代の奇数向きパンタグラフ付制御電動車です。主制御器や界磁装置、主抵抗器などを搭載しています。寒冷地仕様であり、乗降扉そばには半自動時に扱うボタンがあります。

クモハ211-3001~(クモハ211-3007・-3057)

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3000番代の奇数向きパンタグラフ付制御電動車です。1000番代と同じ設計で、車内の座席仕様が異なります。JRへ移行後も制作されたグループの一つで、床下中央にある抵抗器の形状が異なっている所が、大きな違いとなっています。

クハ210-1001~(クハ210-1006)

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1000番代の偶数向き制御車。客室にはトイレの設備があります。

クハ210-3001~(クハ210-3043)

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1000番代と同じ構造を持つ、3000番代の制御車。車内の座席が異なる違いがあります。

モハ210-1001~(モハ210-1003)

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クモハ211-1001~とユニットを組む中間電動車です。MGやCMなどの補助機器を搭載しています。

モハ210-3001~(モハ210-3028)

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クモハ211-3001~とユニットを組む中間電動車。車内はロングシート仕様です。

サハ211-1001~(サハ211-1014)

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セミクロスシート仕様の中間付随車。5両基本編成には2両組み込まれています。

サハ211-3001~(サハ211-3056)

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ロングシート仕様の中間付随車。211系では最も多く製作されたグループです。

サロ210-1001~(サロ210-1003)

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サロ210-1~を東北・高崎線用へ転用改造したグループで、寒冷地仕様にしたグループです。半自動ドア機能の追加などが行われています。客室設備では小銭いらずのICカード「Suica」のタッチパネルが設置され、改札業務の効率化を図っています。原番号に1000番を足しています。

サロ211-1001~(サロ211-1006)

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サロ211-1~を寒冷地仕様にしたグループで、サロ210-1001~と同様の改造内容となっています。原番号に1000番を足しています。

サロ212-1001~(サロ212-1003)

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サロ212-1~を寒冷地仕様にしたグループです。原番号に1000番を足しています。

サロ212形式1100番代(サロ212-1111)

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サロ212形式100番代を寒冷地仕様にしたグループです。種車により、湘南色の帯が異なります。

サロ213-1001~(サロ213-1003)

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サロ213-1~を寒冷地仕様にし、方向転換を行って編成に組み込んだグループです。原番号に1000番を足しています。

サロ213形式1100番代(サロ213-1122)

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サロ213形式100番代を寒冷地仕様にしたグループです。原番号に1000番を足しています。

211系5000番代

 東海旅客鉄道株式会社(JR東海)へ継承された103系や113系などを置き換えるために昭和63年に登場したグループで、国鉄形電車がJR移行後にも製作されたという事で知られています。
 2000番代を基本としつつ、同社のコンセプトに合わせた仕様となっており、各所に違いが見られます。主なものとして、インバータクーラーの採用、補助電源装置のSIV(静止型インバータ)化、前面助手側窓拡大、車外スピーカーの設置などあります。また、製作時期により1~4次車と大別する事が出来ます。車内は全ての車輛がロングシート仕様で、編成は2両~4両編成があります。

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某所で試運転の様子。撮影していると車内にいた社員さんたちが笑顔で手を振られた。けっこう、フレンドリーなんですね(笑)

1次車グループ
クモハ211-5001~(クモハ211-5005)

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奇数向きのパンタグラフ付制御電動車。主制御器、主抵抗器、励磁装置など走行に必要な機器を搭載しています。1次車になる本グループの特徴は側面の行先表示器で、LEDを使用したものです。

クハ210-5001~(クハ210-5004)

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偶数向きの制御車。ロングシート仕様で、トイレの設備はありません。当初は車椅子スペースはありませんでしたが、座席を一部撤去の上設置されています。

モハ210-5001~(モハ210-5004)

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クモハ211形式とユニットを組む中間電動車。MGやCMといった補助機器を搭載しています。行先表示器は日本語(漢字)とローマ字が交互に出る仕組みです。

サハ211-5001~(サハ211-5001)

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中間付随車です。床下はブレーキ関係の機器のみですっきりしています。車外スピーカーは戸袋窓と客室窓の間にあります。

2次車グループ
クモハ211-5001~(クモハ211-5026)

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2次車として登場したグループでは、1次車で採用されていたLED方式の行先表示器が見づらいなどの理由により、寸法は変わらず字幕式に変化しました。

クハ210-5001~(クハ210-5039)

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1次車と大きな変化は見られない、2次車の様子。

モハ210-5001~(モハ210-5039)

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2次車の様子。行先表示器の変化がある程度です。先進的だったのですが、ちょっぴり残念。

サハ211-5001~(サハ211-5016)

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2次車以降は字幕式の行先表示器になっています。4両編成のみに連結されているため、数は多くありません。

3次車グループ
クモハ211-5601~(クモハ211-5601)

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身延線などの狭小トンネルのある線区にも運用できるようにパンタグラフを改良したものになりました。(写真は最近の姿で、シングルアームパンタグラフに換装のもの。)また、行先表示器の寸法を2000番代と同じに変更しています。

クモハ211-5601~(クモハ211-5615)

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3次車の後期になると、前面に変化が現れました。助手側上部にあった列車番号表示器が廃止されています。

クハ210-5301~(クハ210-5301)

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5000番代の3次車になるグループ。大きな変化は車端部にトイレが設置された事です。中央本線(西線)で使用されています。

モハ210-5001~(モハ210-5066)

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3次車の様子。車外スピーカーは車体から、冷房装置へ移り、モハ210-2001~とほぼ同じ外観になりました。

4次車グループ
クモハ211-5601~(クモハ211-5620)

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最終増備車になると、車体側面の車外スピーカーが冷房装置に移動する変化が出ました。

クモハ211-6001~(クモハ211-6003)

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平成2年に登場した新しい番代で、213系5000番代と同じ1M方式を採用したもので、5000番代に搭載されている機器に加え、補助機器も搭載しています。

クハ210-5001~(クハ210-5057)

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最終4次車グループの様子。前面助手側上部の列車番号表示器が廃止され、車外スピーカーの移動などの変化が見られます。

213系0番代

 211系のシステムを持ちつつ、1M方式を採用した系列。国鉄分割、民営化が押し迫った昭和62年に登場した最後の系列として知られています。
 投入線区は本四備讃線(瀬戸大橋線)で、輸送事情に合わせた設計となっており、211系とは外観が異なり、前面は眺望性を良くするため、助手側窓を拡大、側面は乗降扉を片側2扉として、転換式クロスシートの配置となりました。

クモハ213-1~(クモハ213-1)

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パンタグラフ付制御電動車。走行に必要な機器を全て搭載しています。快速「マリンライナー」として活躍し、現在は岡山地区のローカル輸送に活躍中です。

クハ212-1~(クハ212-5(2枚とも))

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偶数向きの制御車。転換式クロスシートの配置、車端部にはトイレの設備があります。写真右は更新後の姿で、行先表示器のLED化やスカート形状の変化の他にトイレが和式から車椅子対応大型トイレに変更しています。このため、トイレ横の客室窓が埋められています。

クハ212-101~(クハ212-105(2枚とも))

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快速「マリンライナー」号の置換えに伴い、編成を変更するためサハ213形式を先頭車化改造した形式です。車端から1900㎜分を台枠を残して車体を撤去し、普通鋼で新製した運転台を設置しました。白い部分が0番代と比べて長いのが特徴で、この他に排障器や灯具類の形状が異なっています。トイレは運転台寄りに車椅子対応の大型のものが設置され、その向かいは車椅子スペースとなっており、0番代とは定員が異なります。

クロ212-1~(クロ212-3)

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瀬戸大橋線快速「マリンライナー」号のパノラマグリーン車として登場した形式。大型ガラス多用のため、車体は鋼製としています。世代交代で引退となり、他の形式より先に消滅しています。

サハ213-1~(サハ213-10)

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本系列の中間付随車。岡山地区に転属後、一部車輛は先頭車化改造されています。

213系5000番代

 0番代を基本とし、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)のコンセプトに合わせて製作されたグループです。関西本線で活躍する165系急行形電車の置換えを目的に、平成元年に登場しました。
 関西本線で活躍し、現在は飯田線に転属して活躍をしています。

クモハ213-5001~(クモハ213-5001)

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0番代と同じ構造を持つパンタグラフ付制御電動車。冷房装置やパンタグラフ、座席などに違いがあります。

クハ212-5001~(クハ212-5008)

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0番代とほぼ同一の設計ですが、トイレは当初は設置されていませんでした。飯田線へ転属する際にトイレが設置されています。

ジョイフルトレイン

スーパーサルーンゆめじ

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昭和63年に本四備讃線(通称、瀬戸大橋線)茶屋町~宇多津駅間の開業に合わせてつくられた団体、イベント用の車輛です。快速「マリンライナー」で使用されていたクロ212形式と同一仕様の3両編成です。
快速「マリンライナー」は1M方式の213系が活躍しましたが、普通鋼を用いた車体と設備などの重量増により電動車を211系と同じユニット方式を採用し、クモロ211形式(クモロ211-1)+モロ210形式(モロ210-1)(上段写真2枚)となっています。制御車は213系に属し、クロ212形式1000番代(クロ212-1001)(下段写真)と211系と213系の混成編成が特徴の一つにあります。
JR西日本の直流電化区間全線で運用が出来るように、耐寒・耐雪構造が施され、運転最高速度120km/hに対応となっています。
団体専用列車のほか、快速「マリンライナー」号の増発時にも使用され、平成22年まで活躍しました。

La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)213系7000番代

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平成28年にJR西日本岡山支社に登場したジョイフルトレインです。「晴れの国おかやまディスティネーションキャンペーン(岡山DC)」の開催にあわせて213系1編成(中間付随車サハ213形式を除く)を改造しました。
愛称の「La Malle de Bois」とはフランス語で『旅行かばん』を意味します。宇野線を中心に活躍する観光列車となっており、外装は白色をベースに塗装され、車内はグリーン車とし、岡山方からクモロ213-7004(写真左)+クロ212-7004(写真右)となっています。
車内の設備として、サイクリング自転車などを組み立てた状態で置けるサイクルスペース、地域特産品とコラボレーションをしたグッズなどを販売するサービスカウンターがあります。