0番代
平成18年に中央快速線等で活躍してきた201系の置換えを目的として登場したグループで、伝統であるオレンジバーミリオンの帯を巻いています。
運用する区間が中央本線東京~大月間、青梅線、五日市線、八高線拝島~高麗川間、富士急行大月~河口湖間と多岐にわたり、編成も10両、6両、4両編成の3種類が用意されました。6両編成と4両編成で10両編成を組みます。中央線向けと青梅・五日市線用の編成があり、中央線向けは10両貫通編成が「T」編成、6両+4両の分割が可能な編成は「H」、青梅・五日市線向け編成は「青」の文字で表示されています。
運用線区の中央本線高尾以西、青梅線などのローカル線では冬季に長時間停車する箇所もあるため半自動機能が備わっています。当初は冬季のみに見られましたが、東日本大震災以降に節電及び車内温度適正化を目的に通年で半自動扱いを行っています。半自動扱いの際は車外スピーカーより、案内放送が流れます。
車内の座席モケットは赤茶系の濃淡で、背もたれの柄は「情報の歴史」を表現し、テレックス~バーコード~QRコードのパターン柄となっています。行先表示器では本系列よりフルカラーLEDを採用し、様々な色の列車種別や文字を見る事が出来ます。
クハE232-1~(クハE232-6・クハE232-56)
10両貫通編成及び4両編成の高尾・青梅方に連結され、10号車になる制御車です。電動空気圧縮機を搭載しており、車内には車椅子スペースがあります。運転台はE231系近郊形と同じ衝撃吸収構造を採用しており、変則窓配置が特徴です。また、209系以降続く製造メーカーによる違いも見られます。初期車と後期車が外観で判る違いを一つ。運転台屋根上にある2本のアンテナを見て下さい。初期車には台座がありませんが、後期車には設置されています。台座がある方が無線を受信し易いとかで、他の制御車にも見られる違いとなっています。
クハE233-1~(クハE233-57)
10両貫通編成および6両編成の東京方に連結され、1号車になる制御車です。クハE232形式と同じ構造で、電動空気圧縮機を搭載しています。車内には車椅子スペースがあります。朝の混雑時間帯に女性専用車(中央快速線の列車のみ)になるため、荷棚や吊革が他の車輛より低くなっているのが特徴です。
クハE233-501~(クハE233-509)
4両編成の東京方に連結され、7号車になる制御車です。クハE232-501~と同じ構造で、自動解結装置、電気連結器を装備しています。なお、連結器は復心機能付き(いつも中心を保つ機能。)
モハE232-201~(モハ232-246)
10両貫通編成、6両編成の5号車に連結される中間電動車です。SIVや電動空気圧縮機は搭載されておらず、ブレーキ関係機器、TIMS機器箱のみで付随車のような外観が特徴です。
モハE233-601~(モハE233-615・モハE233-624)
4両編成の8号車に連結されるパンタグラフ付中間電動車です。モハE233-1~と同じく予備パンタグラフを装備し、似た外観を持ちますが主回路構成が異なっています。写真右の624号車は車輛故障らしく、予備パンタグラフを上げていた姿を撮影したもの。
0番代(青661編成)
この編成は平成20年に青梅線東青梅~青梅駅間にて踏切事故に遭い、脱線大破してしまいました。クハE232-519を除き、他の5両は損傷があるため代替新造される事となりました。事故車の部品等を一部再利用しているほか、一部は1000番代に準じたマイナーチェンジが行われている特徴があります。元の部品を使用しているためか、新造であるものの、書類上は廃車とはなっておらず、製造も事故車と同じ川崎重工業となっています。ただし、車体は新津車両製作所でつくられたため、川崎製の特徴である妻面のコルゲートはありません。
上段左より、代替新造されたクハE233-61、モハE233-61、モハE233-261、モハE232-61、モハE232-261.
1000番代
京浜東北線、根岸線に209系が投入され10年以上経過し始めた頃から機器類の故障が目立ち始め、度々大きな輸送障害を起こし問題となっていました。500番代を除く0番代については廃車が決定され、この置換え用として本グループが平成19年に登場しました。
基本的な構造は0番代をベースとしていますが、車内の液晶画面、機器類の配置、前面の配色、列車番号表示器など見直しが行われています。209系で製作された6扉車ですが、拡幅車体採用により定員が増加したため製作されていません。
クハE232-1001~(クハE232-1003)
大船方1号車になる偶数向きの制御車です。床下にはATC機器が搭載されています。また、前面ステップ下部にはホーム検知装置が設置されています。
2000番代
常磐緩行線と東京メトロ千代田線の相互乗入れ用として、203系及び207系900番代が長らく活躍してきましたが、老朽化や陳腐化が目立ち始めました。この置換え用として平成21年に登場したのがこのグループです。
最大の特徴は他の番代で採用してた衝撃吸収構造は採用せず、前面強化構造を採用した点にあり、運転台部分の構造や外観が異なります。また、HID灯ではなく従来のシールドビームを採用しているのも特徴です。
車体は地下鉄線内走行から、裾絞りの無い形状となっています。制御機器や補助機器は1000番代と同じです。車内では各乗降扉上部にある液晶ディスプレイが2台から1台に変更されています。ドアエンジンは3000番代と同じ、リニアモーター式としています。
クハE232-2001~(クハE232-2001)
代々木上原方の1号車の制御車です。前面助手側に非常時に使用する貫通扉が設けられています。
クハE233-2001~(クハE233-2001)
取手方の10号車の制御車です。クハE232-2001~と同じ車体構造、設備をもっています。外観は他の番代と大きく異なっていますが、フルカラーLEDなど共通した部分も見られます。
3000番代(近郊形)
平成19年に東海道本線向けに登場した本系列で初めてとなる近郊形のグループです。ロングシートの他、セミクロスシートやグリーン車の形式が誕生しています。
先に活躍するE231系と同じ構成で、グリーン車2両を含む基本10両編成と附属5両編成が用意されました。普通車はセミクロスシートの配置、トイレの設備はE231系を参考にしつつ、0番代や1000番代と統一感を持たせることを基本としています。グリーン車はE531系を基本としています。
車体構造は普通車は0番代、1000番代と同じ、グリーン車はE531系としています。帯色は伝統の湘南色で、帯をドア部分も通す事でE231系と異なるようにしています。
車内での工夫は、車端部の優先席エリアを解り易くしたほか、トイレ設置車輛については客室中央寄りに優先席を設け、解り易くする工夫が施されています。
平成19年にE217系の機器更新に伴う転属により、予備編成が不足する事から基本10両編成、附属5両編成が1本ずつ登場したのが始まり。その後のしばらく増備が無く、平成22年に列車増発により基本、附属編成が1本ずつ登場しました。
本格的な増備が始まったのは平成23年からで、東海道本線にて、長らく活躍してきた211系の置換えからを皮切りに、東北、高崎線の211系置換えを行い、数を増やしていきました。
平成19年、22年に製作された2編成では6号車にトイレがありませんでしたが、平成23年以降に登場した編成では設置する事になり、新しい番代が派生しています。
クハE232-3001~(クハE232-3004)
基本編成熱海方1号車の制御車です。セミクロスシート、車椅子対応大型トイレの設備があります。蓄電池を搭載しています。
クハE233-3001~(クハE233-3025)
基本編成東京方10号車の制御車です。セミクロスシート、車椅子対応大型トイレの設備があります。附属編成と連結し、中間に組み込まれると転落防止自動放送が流れます。
モハE232-3803~(モハE232-3816)
基本編成の6号車に連結される中間電動車です。第1編成、第2編成ではトイレがありませんでしたが、E231系との共通化を図るためトイレ(洋式)を設置する事になり、設置にあたり床下に場所が無いため電動空気圧縮機のみ搭載しています。1番及び2番は番号を揃えるため欠番となっています。車内はロングシートの構成です。
モハE233-3001~(モハE233-3016)
第1編成および第2編成では基本編成7号車、以降の編成では3号車に連結されるパンタグラフ付中間電動車です。ロングシートの構成で、VVVF制御装置や予備パンタグラフを搭載しています。
モハE233-3401~(モハE233-3416)
第1編成および第2編成では基本編成3号車、以降の編成では7号車に連結されるパンタグラフ付中間電動車です。ロングシートの構成で、VVVF制御装置を搭載しています。
5000番代
東京都千葉のベイアリアを結ぶ京葉線。ここで活躍する201系及び205系の置換え目的に投入されたグループで平成22年に登場しました。
制御装置、台車は0番代と同じ、車体や室内は1000番代、2000番代に準じたものとなっています。他の番代と異なる点として、モバイルWiMax(ワイマックス:移動高速通信)の導入があります。編成は10両貫通編成と外房線、内房線、東金線での運用も行う6両編成+4両編成の10両編成があります。
クハE232-5001~(クハE232-5016)
10両貫通編成、6両編成の東京方1号車に連結される制御車です。電動空気圧縮機、WiMax用アンテナが搭載されています。
6000番代
次に出てくる7000番代の次に登場したグループになります。横浜線で活躍する205系の置換え用として平成26年に登場したグループです。
拡幅車体構造を採り入れた事により定員が1割増加しているため、6扉車は製作されていません。前面行先表示器は0番代と比べると見易くなっています。車内は7000番代に続いてLED照明を採用。側面のドアが開いた時に赤く点滅するランプもLED化されています。保安装置は新しく開発されたD-ATC/ATS-P統合型車上装置を搭載しています。これは、1台の機器でATC及びATS-Pの両方の機能をもったもので、それらの制御を同一の機器で行うものです。
この6000番代では横浜線活性化プロジェクトの一環で初めてロゴマークと駅スタンプを車輛に掲出しました。ロゴマークは先頭車前面及び各車輛側面に掲出されており、横浜線を示す「YOKOHAMA LINE」とその横に沿線にある相模原市、町田市、横浜市の市の木であるケヤキの葉っぱをデザインしたものが描かれています。横浜線に投入されたE233系は全部で28編成。これに合わせて八王子~東神奈川間、根岸線横浜~磯子間の各駅、これに大船駅を加えた28駅のスタンプを各編成に掲出しています。全てのスタンプを探してみるのも面白いでしょう。1日では終わりませんよ。数日通う事になると思います。
横浜線のロゴ
駅スタンプの例
クハE232-6001~(クハE232-6012)
東神奈川方1号車に連結される制御車です。ラインカラーは205系と同じ緑系の濃淡を組み合わせたものです。
クハE233-6001~(クハE233-6003)
八王子方8号車に連結される制御車です。床下にはD-ATC/ATP-P統合型車上装置の機器が搭載されています。乗務員室後方の戸袋部に駅スタンプが掲出されています。
7000番代
埼京線、川越線及び東京臨海高速鉄道で活躍する205系を置き換えるため平成25年に登場したグループです。拡幅車体構造を採り入れたため、定員が1割増となり6扉車の形式は作られませんでした。
このグループではさらに省エネが進んでおり、蛍光灯に代わってLED蛍光灯が採用されました。これにより消費電力が40%も削減しています。
保安装置はATC-6型及びATS-P型となっています。
クハE232-7001~(クハE232-7009)
大宮・川越方の1号車に連結される制御車です。車内には痴漢対策として防犯カメラが設置されています。
8000番代
平成26年に登場した南武線向けのグループです。同線で活躍する205系、209系0番代及び2200番代を置換えるために投入されました。
横浜線向け6000番代に続き、南武線のロゴマークが設定され、先頭車に「南武線が街と街、人と人をつなぎ「明るく弾み伸びゆく沿線」」をイメージしたロゴマーク、同じく先頭車の側面ラインカラー帯に沿線のイラストが描かれています。(下記写真参照。)
この番代の特徴として、既存の各番代の中間車に設置されていた非常用はしごを搭載した車輛は無く、先頭車運転台にある補助いすをはしごとして使用します。また、降雪時にパンタグラフの除雪作業の安全性を高めるため、パンタグラフ付近にU字形の安全帯フック掛けが設けられています。
乗務員室関係では、異常時に乗務員が旅客案内対応に用いるタブレット端末の充電用にコンセントが新設されているほか、運転台助手側に人身事故などによる輸送障害低減を目的に、前方カメラ及びその記録装置が新設されています。
車内では、座席が南武線の路線カラーである黄色系を用いているほか、室内照明をLED照明としています。
クハE232-8001~(クハE232-8019)
立川方に位置する偶数向きの制御車(6号車)です。床下には電動空気圧縮機が搭載されています。
クハE233-8001~(クハE233-8017)
川崎方に位置する奇数向きの制御車(1号車)です。クハE232-8001~と同じく電動空気圧縮機が搭載されています。
モハE232-8001~(モハE232-8001)
3号車に位置する中間電動車で、SIVを搭載しています。
モハE232-8201~(モハE232-8215)
5号車に位置する中間電動車。8000番代と同じですが、SIVは準備工事となっており、搭載されていません。このため、外観は付随車のようにも見えます。
モハE233-8001~(モハE233-8016)
2号車に位置するパンタグラフ付中間電動車です。編成中最も重い車輛で、川崎方に予備パンタグラフが1基搭載されています。
モハE233-8201~(モハE233-8215)
4号車に位置するパンタグラフ付中間電動車です。VVVF制御装置が搭載されています。
8500番代
南武線向け8000番代が投入されましたが、1編成だけ209系2200番代が残されました。この209系を置換えるために登場した番代で平成29年に登場しました。
8500番代は新製ではなく、0番代(青梅線で使用されていた6両編成)からの改造車となっています。8000番代と同等の改造が行われていますが、列車番号表示器はなく、行先表示器に表示されている他、半自動扱い時に使用するドアスイッチがそのまま残されて(機器類を撤去しているので使えない。)いるなど外観が異なっています。
※種車となった青670編成。
クハE232形式8500番代(クハE232-8528)
クハE232形式500番代を改造したもので、本形式のみ原番号に8000番を加えたものとなっています。電気連結器がそのまま残されており、半自動ボタンと共に外観の特徴となっています。室内では車椅子スペースがありません。1両のみ改造。
クハE233形式8500番代(クハE233-8570)
クハE233形式0番代を改造したもので、原番号に8500番を加えています。8000番代と異なり、列車番号表示器が無く外観の特徴となっています。1両のみ改造。
モハE232形式8500番代(モハE232-8570)
モハE232形式0番代からの改造車で、原番号に8500番を加えています。外観では種車時代と変わっていません。1両のみ改造。
モハE232形式8700番代(モハE232-8770)
モハE232形式200番代からの改造車で、原番号に8500番を加えています。こちらも外観では種車時代と帯色が異なるのみ。1両のみ改造。
モハE233形式8500番代(モハE233-8570)
モハE233形式0番代からの改造車で、原番号に8500番を加えています。外観は種車時代のままで、8000番代にある屋根上作業用の安全帯フック掛け(パンタグラフ付近に設置)が無い特徴があります。1両のみ改造。
モハE233形式8700番代(モハE233-8770)
モハE233形式200番代からの改造車で、原番号に8500番を加えています。1両のみ改造。