0番代
平成6年に関西空港線開業に伴い登場したグループです。車体寸法は同社初の近郊形電車である221系をモデルとし、車体に軽量ステンレスを採用しました。先頭部は親しみやすいデザインになっており、当時のステンレス車では見られない独特のスタイルです。また、車体には空港アクセスのイメージカラーである青色の帯が入っていますが、細かいパターンのグラデーション仕上げで、これも当時としてはインパクトがありました。
車内は空港利用者と通勤・通学輸送の両方に対応した設計とし、座席は1+2列配置の転換式クロスシートで、壁面支持方式により足元がすっきりしています。サービス面では車内放送は2ヶ国語対応の自動放送、案内表示器は座席のどの位置からも見えるように工夫されています。
編成は6両編成と2両編成が用意されていますが、柔軟な対応が出来るように2両~8両編成まで組むことができます。運用の自由度を高めるため221系との併結運転も出来ます。
制御方式はVVVFインバータ制御方式で、1M2Tの3両を基本としており、補助電源装置や電動空気圧縮機の能力も同じとしています。
クモハ223-1~(クモハ223-5)
天王寺方に位置するパンタグラフ付制御電動車です。VVVF制御装置、SIVを搭載しています。
クモハ223-101~(クモハ223-105)
クモハ223-1~と同一の車輛ですが、空港利用者のための荷物室を運転台後部に設置していたため番代区分されています。現在は荷物室が廃止となり、客室となって外観では区別がなくなっています。
1000番代
東海道・山陽本線で活躍する「新快速」にも223系を投入する事になり、0番代をモデルチェンジし、運転最高速度を130km/hに対応できるようにしたグループで、平成7年に登場しました。
主制御装置には主電動機騒音低減のためIGBT素子を採用。補助電源装置の故障を考えて、一体化したものに変更しています。ブレーキ制御方式も回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキになっています。
室内は2+2列配置の転換式クロスシート仕様。乗降扉付近には補助いすを配しています。前面のデザインも変更され、フォグランプも付いた精悍な顔立ちになりました。
クモハ223-1001~(クモハ223-1009)
米原方に位置するパンタグラフ付制御電動車です。増解結を容易にする自動解結装置及び電気連結器を装備しています。
2000番代
「新快速」の完全223系化及び130km/h運転を実施するため平成11年に登場したグループです。1000番代と基本は同一ですが、サービス向上を図りつつ、コスト低減を図った設計が特徴です。
車体構造は従来の骨格構造から、外板に強度を持たせた構造に変更し、ブロック化した妻面と先頭部をボルト締結によって組み上げる工法に変更しています。これは、将来の改造に容易に対応できるメリットがあります。この構造になったため、非常時に使用する窓が下降窓から内折れ式に変更しています。
性能面では223系の従来車と同じ1M2Tを基本としていますが、1000番代では余裕があったため、1M2Tの比率の範囲内で1両の電動車に装備する主電動機を3個装備(従来車は4個装備。)とした電動車が登場し、番代区分が行われました。また、補助電源装置や電動空気圧縮機も能力が向上したため、これらを装備しない電動車が登場しています。
約10年近く製造され、本系列最大のグループとなっています。このため、製造年次により細やかな変更が見られます。2次車では客室窓の色合いの変化、3次車ではスカートが強化型になり、従来車も変更。4次車では運転台機器を321系で行った改良の採用、2003年に韓国で発生した地下鉄火災を受け、国土交通省が鉄道に関する技術上の基準を定める省令を改正。これに準じた変更をおこなっています。この1次車~4次車まではほぼ外観が同じなので、車体番号を見て判断しましょう。
クモハ223-3001~3041(クモハ223-3004・クモハ223-3033)
米原方に位置するパンタグラフ付制御電動車です。1000番代に似ていますが、後部標識灯が前部標識灯と一体化しています。このグループの主電動機は3個(0.75M相当)搭載されています。この他、製造メーカーの違いでしょうか、主電動機冷却風取入れ口やVVVF制御装置の形状などの違いを見ることが出来ます。
クモハ223-2042~(クモハ223-2093)
2次車以降のグループで、3000番代と同一ですが、主電動機を通常の4個にしています。番号は3000番代の続番としており、2042番がトップナンバーとなります。3000番代が主電動機を1つ増やした際に、元番号から1000を引いて編入し易くしているのでしょう。
モハ222-2001~2018(モハ222-2017)
8両編成に連結されているパンタグラフ付中間電動車です。VVVFインバータ制御装置のみの搭載で、補助電源装置や電動空気圧縮機を搭載しない事から新形式として誕生しています。1次車のみに存在する形式です。
モハ223-2140~(モハ223-2153)
補助電源装置を持たないモハ222-2001~、3個の主電動機を搭載しているモハ222-3019~に代わって登場したパンタグラフ付中間電動車です。つまり、補助電源装置を搭載し、4個の電動機を装備している電動車です。
2000番代(5次車以降)
平成19年に2000番代のマイナーチェンジが行われ、5次車が登場しました。大きな特徴として、側面客室窓の5枚並ぶ窓のうち2枚目及び4枚目は内折れ式の換気窓でしたが、加工式に変更されました。また、前面にある貫通扉の窓も若干ながら小さくなっています。この他、窓廻りの茶色の幅が上下で小さくなっています。
最終増備となる7次車では車体の前面、側面において50km/hで衝突した際に室内の空間が多く残るように従来車よりも2割ほど車体強度を強化しています。
このグループでは4両編成、6両編成のみで製作されています。
クモハ223-2095~(クモハ223-2095)
本グループのマイナーチェンジ車に相当するグループです。外観では説明の通り、客室窓、前面貫通窓に変化が見られます。
クハ222-2095~(クハ222-2098)
4両編成と6両編成のみで製作されており、姫路方のクハ車はなかなか全景をとらえるのは難しい。ライトが点灯していますが、これは利用客が入口と間違えて進入し、転落する事故が多発した事から防止のために点灯して危険を知らせています。
2500番代
平成11年に大阪環状線と阪和線に「紀州路快速」が設定され、223系0番代の編成を2両編成と6両編成から3両編成と5両編成に変更しました。この際に不足する先頭車を新造する事となり、このグループが登場しました。
登場時はクモハ223形式とクハ222形式の2形式が登場しました。車体は2000番代をベースとしたもので、帯色は0番代と同様のものとしています。車内も同様に補助いすの無い1+2列配置です。この他、補助電源装置の故障時のバックアップについてですが、1000番代や2000番代ではVVVF制御装置をバックアップとして使いますが、0番代では従来の延長給電方式(故障していない他の補助電源装置から給電する方式)を採用しているため、本グループもこれに倣ったものとしています。
その後、再び編成の変更があり、この時に中間車が登場しています。
クモハ223-2501~(クモハ223-2513)
天王寺方に位置するパンタグラフ付制御電動車です。2000番代に準じた設計となっています。補助電源装置と一体化したVVVFインバータ制御装置、電動空気圧縮機を搭載しています。
モハ223-2501~(モハ223-2518)
本グループのパンタグラフ付中間電動車です。平成15年に韓国で発生した地下鉄火災事故を受けて、車輛の難燃化などの省令が改正され、その新火災対策に適合した車輛となっています。
5000番代
瀬戸大橋線(本四備讃線)開業以来活躍してきた213系の後継として、JR四国では5000系が製造され、JR西日本の車輛として本グループが平成15年に登場しました。
JR四国5000系ではグリーン車が用意されていますが、本グループにはなく、深夜・早朝時間帯を除いて、5000系と組んで活躍をしています。
クモハ223-5001~(クモハ223-5005)
岡山方のパンタグラフ付制御電動車です。2000番代を基本構造としていますが、前面貫通扉を使用する事から、前面が垂直にデザインされており、違った印象を受けます。
5500番代
福知山地区周辺で活躍する113系の置換えをするために平成20年に登場したグループです。5000番代や521系をベースに設計され、ワンマン運転対応設備装備、国土交通省令のガイドラインに準じた設計をしています。
常時分割・併合が発生するため、前面は垂直となっています。また、山陰本線で221系との併結運転もある事から、性能は120km/hに固定されています。このため、乗務員室扉などに識別のためオレンジ色の帯が巻かれています。
福知山線篠山口駅以北、舞鶴線、山陰本線(嵯峨野線)で活躍しています。
クモハ223-5501~(クモハ223-5507)
京都・篠山口方のパンタグラフ付制御電動車です。車輛制御装置、電動空気圧縮機を搭載しています。パンタグラフは霜取り用を搭載している車輛もあります。車内は車端部がロングシートのセミクロス仕様となっています。
6000番代(東海道・山陽本線仕様)
東海道・山陽本線では網干総合車両所に所属する223系が「新快速」、221系が「快速」を中心に運用を組んでいます。同所に所属する223系は221系との併結運転が可能であり、回送列車や混雑時間帯にその姿を見る事が出来ました。この併結運転は当初は限定的なものでした。
しかし、221系が他の線区へ転属し、223系も221系が受け持っていた運用に組み込まれる事となり、併結運転も常に発生するようになってきました。この際、223系では221系の性能に合わせるスイッチがあり、このスイッチの入れ忘れによる事故が起こるのではないかという心配から、スイッチを固定し、常に221系の性能に合わせた状態の車輛としてこのグループが平成20年に登場しました。原番号に4000番を足している他、オレンジ色のラインが前面貫通扉部、乗務員室扉部に識別のため添えられています。
クモハ223形式7000番代(クモハ223-7036)
クモハ223形式3000番代を改造したグループです。走行性能は221系と同じになっています。
6000番代(宮原総合運転所仕様)
平成20年3月に開業した「おおさか東線:久宝寺駅~放出駅」に伴い、2000番代の増備が行われる事になりました。この路線でも221系の併結運転がある事から、当初より221系への性能を合わせるため、6000番代として登場する事になったグループです。東海道・山陽本線仕様と同様ですが、新造されており223系6次車グループに相当します。このため、外観に若干の変化が見られます。
大きな変化として、このグループはおおさか東線~片町線~東西線~福知山線を走る快速列車の運用を中心としています。東西線内は地下鉄線で、剛体架線の離線対策のためパンタグラフを2基搭載しています。223系では初めての事です。
このグループも識別のため、前面貫通扉及び乗務員室扉にオレンジ色の帯が添えられています。
クモハ223形式6000番代(クモハ223-6120)
クモハ223形式2000番代として製造した車輛に4000番を加えたグループです。屋根上の2基のパンタグラフが特徴です。
クハ222形式6000番代(クハ222-6108)
東海道・山陽本線仕様と同じ2000番代が種車となっているグループです。当時の最新車(6次車)で、側面の茶色の帯幅が従来車よりやや細くなっている他、非常用換気窓が1000番代と同じ下降窓に変更されているなどの違いが見られます。