原型車

クモハ165-1~(クモハ165-1・クモハ165-78)

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主回路機器を搭載する制御電動車です。非冷房で登場し、冷房化された車輛もあります。また、途中の増備車から雨どいの延長が行われるなど、ちょっとした変化があります。編成では重い車輛なので麓(ふもと)側に連結される例が多かったようです。

クハ165-1~(クハ165-1・クハ165-195(ムーンライト))

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本系列の制御車です。奇数、偶数のどちらでも使用できる特徴があり、中間付随車の代用も多くありました。このため、Mc+M’+Tc+Tcといった変わった編成も見られました。この形式も雨どいの延長など、製造時期による変化が見られました。

モハ164-1~(モハ164-1)

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パンタグラフ付中間電動車で、クモハ165形式やモハ165形式とユニットを組みます。MGやCMといった補助機器を搭載しています。

モハ164-801~(モハ164-806・モハ164-849)

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中央本線などにある狭小トンネルに対応するため、パンタグラフ部分を低屋根化したグループです。パンタグラフの側面にあるルーバーが外観の特徴です。846~849番までは冷房準備車として落成しており、通風器の配列が異なっていました。

サハ165-1~(サハ165-9)

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編成に応じて連結されていた中間付随車です。床下に電動発電機を搭載しています。写真は「みすず」(長野~飯田・天竜峡を結んでいた急行(快速)列車)用にアコモ改良を受けた車輛です。

サロ165-1~(サロ165-125)

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本系列のグリーン車となる中間付随車。サロ152形式のデザインを受け継いだスタイルです。登場時は窓下にウグイス色の帯が巻かれていました。一段下降窓を採用しており、晩年はユニットサッシ窓に改造される車輛や他系列の先頭車化改造の種車になる車輛などがありました。

ジョイフルトレイン

国鉄千葉鉄道管理局(現:JR東日本 千葉支社)お座敷電車「なのはな」

 国鉄では旅客ニーズの多様化に応えるため、和式車輛や欧風車輛を誕生させました。千葉鉄道管理局でも、団体輸送に他局から和式客車を借入れ対応していました。しかし、時期などによって借入れが出来ない事もありました。そこで、千葉局独自の和式客車を導入する事となりました。
 ところが、客車を導入すると千葉局管内には客貨車区が無く、保守が困難でした。一方で、電化率は高く90%近くありました。そこで、国鉄初の和式電車を登場させる事になりました。
 165系を種車とし、愛称は千葉県の県花である「なのはな」とし、各車の愛称も千葉県内に自生する花の愛称をつけました。
編成
クロ165-1(すみれ)+モロ164-801(あやめ)+クモロ165-1(きんせんか)+
くろ165-2(すいせん)+モロ164-802(あじさい)+クモロ165-2(ゆり)
6両編成が基本ですが、3両での運行も可能としていました。
車体色は房総半島とその沖を流れる黒潮を図案化したもので、菜の花の黄色をベースに、窓廻り、裾部に濃いエメラルドグリーン、窓下にエメラルドグリーンを配しています。車端部には房総半島を図案化した塗装となっています。

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車内は和式です。畳敷き部分は浮床式二重構造で、防振ゴムを入れて振動や騒音を低く抑えています。各車ともロッカー、ビデオ装置、カラオケ装置があり、客室窓には雪見障子を設置しました。中間電動車のモロ164形式は低屋根構造で、パンタグラフ部分下は十分な天井高さではないため、サロン室として6名分のソファが配されました。このサロン室は添乗員控室としての利用もされました。
 平成10年に老朽化などを理由に引退し、後継は485系「ニューなのはな」になります。

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左からクモロ165-2、クロ165-1、モロ164-802

国鉄東京西鉄道管理局(現:JR東日本八王子支社)展望電車「パノラマエクスプレスアルプス」

東京西鉄道管理局の中心となる中央本線とその先の大糸線は車窓から雄大な山岳風景を満喫でき、前面展望は大きな収入源となるのではないか?という事から、自然を車窓から楽しめる展望電車をコンセプトに165系を改造し、昭和61年に登場しました。
 通常、団体専用車輛として改造されるジョイフルトレインですが、個人利用者にも利用出来るように改造が行われました。また、和式や様式といった種類に別けられますが、『車窓を楽しむ展望電車』というテーマが強調されています。
 車体塗装色は雪をイメージした白色(クリーム10号)に、サンシャインイエローとサミットオレンジの帯を配しています。この帯はアルプスの山々が朝日に照らされ、オレンジ色に輝く光景(モルゲンロード)をイメージしたものです。展望室直後の運転台下部近くでは、帯色を逆転させ、斜め方向に立ち上げて、躍動感及び東京西鉄道管理局の「西」の文字をイメージさせています。

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マワ車所蔵

 各車共通の改造では、通路にダウンライト、間接照明を使用。40インチの大型テレビモニター、レーザーカラオケを設けています。機器類は165系のものですが、183系との併結運転も可能な改造を併せて行っています。
 先頭車となるクロ165形式は車体を新製しています。最大のセールスポイントとなる展望室は大型の曲面合わせガラスを用い、ピラーは前方風景に目ざわりのないように極力細いものとしています。降雨雪時のワイパー、デフロスタ(曇り取り装置)を備えています。運転台より前方に客室がある構造は国鉄では初めてです。運転台の出入口は展望室後方に設け、そこから高く上げた構造としており、2階建てではありません。
 展望室前部には衝突事故に備えた、油圧式ダンパーが設けられ、その間に展望室の換気用送風機があります。また、運転台からの死角を補助する確認用カメラも設置されています。運転台から映像が確認できるほか、この映像の前方風景を各車輌のモニターにも映し出すことが出来ます。
 前方の風景を楽しむほか、側面からの車掌風景を楽しむ工夫も施されています。展望室後方にはラウンジが設けられ、電車用窓としては当時最大級の大きさの固定窓がつけられています。
 客室は床が上げられ、簡易レッグリスト付2人掛けリクライニングシートを配しています。このシートは窓側に少し向けられる構造で、通路側からも車窓を楽しめます。
 モロ164形式のパンタグラフ下部には6人用の個室が設置されており、添乗員室や多目的室の役割を設定しています。
 平成13年に老朽化に伴い引退し、第2の人生として富士急行で「フジサン特急」として活躍しています。

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左からクロ165-3(マワ車所蔵)、クモロ165-3、モロ164-804

JR東日本千葉支社 「シャトルマイハマ」

 昭和63年に開業した京葉線。東京ディズニーランドの最寄り駅である舞浜駅へのアクセス列車として167系を改造した快速「メルヘン」号が立川駅や大宮駅を始発駅として臨時運転されました。平成2年に新木場駅から東京駅まで延伸開業し、「メルヘン」号とは別にアクセス列車を設定する事となり、この「シャトルマイハマ」号が登場しました。
 車体には大規模な改造は行わず、塗装変更や側面窓の一枚固定窓化などに留めており、車号も種車の番号をそのまま使用しています。
 各車共通の改造では、種車の座席をすべて撤去し、難燃性ビニールレザー張りの座席に変更、蛍光灯及び荷棚を撤去し、間接照明やダウンライトを設置しています。
 それぞれの車輛にはテーマ―が設定されており、そのテーマに沿った演出が施されていました。
西船橋方より
クハ165-194 ファンタジーをイメージし、ピンク系統を使用。劇場をイメージし、床を二段とした、上下段に1列ずつ跳ね上げ式座席を2列配置。トイレ、洗面所を撤去して座席にしていました。
モハ164-852 冒険をイメージし、黄色系統を使用。両端部は通路を挟んで2列の座席配置、中央部は座席を窓側に向けて、背中合わせとなる座席配置。トイレは洋式に変更しています。
クモハ165-129 未来をイメージし、青色系統を使用。3列+1列のボックスシートに変更。トイレ、洗面所を廃止し、座席に変更しています。
運転当初は認知度も低いせいか、閑散としていましたが、知られるようになり今度は輸送力不足に。定期列車の増発もあって、平成7年に快速「シャトルマイハマ」は廃止となりました。列車の廃止に伴って、新潟支社へ転属。塗装変更などを行い「アルファ」に名称を変更し、同支社管内の臨時スキー列車などに活躍し、平成13年に廃車となりました。

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JR東日本 高崎支社 「モントレー」

 ジョイフルトレインの仲間ではないのですが、ここでご紹介。高崎支社に所属する165系のアコモ改良車です。塗装変更の他、車内も座席の交換などが行われていました。
 普通列車や臨時列車、団体列車などに活躍をしていました。

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JR東海 静岡支社「ゆうゆう東海」

 平成元年に登場した洋風電車。ハイデッキ構造の2人掛けリクライニングシートで構成され、2号車の中央部にはイベントステージが設置されていました。
 編成はクモハ165-701+モハ164-701+クハ165-701の3両編成。静岡地区の車輛ということで、車体中央部にはお茶の緑とミカンのオレンジ色の楕円が描かれていました。
 愛称は一般公募で決められ、静岡地区を中心に臨時列車などに活躍しました。老朽化と需要減少により平成10年に廃車となっています。

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