チ1000形式(チ1185・チ1111・チ1187)

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昭和32年にトム16000形式などの2軸無蓋車の部品を用いた10t積み長物車です。無蓋車に収まらない軽量嵩高貨物や長尺貨物の遊車を目的として200両が改造されました。ここで紹介する遊車とは、写真左のように長尺物(写真はレール)を輸送する際、長物車の長さに収まりきらない部分をカバーするもので、カーブ通過時などに飛び出ないようにカバーするのが目的の運用で、積荷は積載しません。
現在でもレール輸送の補助役として活躍をしています。

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JR北海道で活躍するチ1000形式(例:チ1187)では長物車ではなく控車として使われています。荷台には柵が設けられ、連結器は自動連結器の他に密着連結器があり、機関車と密着連結器を持つ車輛のアダプターとして使われているようです。

JR貨物チキ100形式(チキ100-4)

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コンテナ輸送では貨車とトラックの積み替え時にフォークリフトなどの荷役機械を使わなければならない欠点があります。JR貨物が発足し30ftの大型コンテナ輸送が増加しました。これを荷役するトップリフターが必要ですが、フォークリフトより大型であるため高価な機械です。JR貨物ではこの問題を解決するため大手自動車メーカーと共同で「スライドバンボディシステム:Slide Vanbody System:SVS」を開発。昭和63年に27t積みSVS方式チキ900形式を登場させ、試用結果を基に平成元年33t積みSVS方式チキ100形式が登場しました。コンテナ車のような感じもしますが、積荷がトラックのバンボディでありコンテナでも車でもないので、長物車に分類されました。
このSVS方式は貨車の横にトラックを横付けし、トラックの荷台(バンボディ)を油圧ウインチで横滑りさせ、貨車又はトラックに積み替える方法です。架線下でも荷役が行え、かつ迅速に出来るなどの利点がありました。活躍が期待されましたが、運用コストなどの問題に加え、着発線荷役方式(E&S方式)の普及に伴い実用化には至りませんでした。

チキ5200形式(チキ5230・チキ5242)

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昭和54年に登場した35t積みレール専用長物車で、コキ10000形式の改造によって登場しました。
コキ10000系は空気ばね台車を用いて高速走行が可能な貨車として一世風靡をしました。しかし、ブレーキ装置などに使われる圧縮空気は指定された機関車からしか供給が出来ず、さらに登場後コンテナの規格が変わり(12ftコンテナの投入。)、新コンテナは4個しか積めず積載効率が悪くなってしまいました。新コンテナの規格にあわせてコキ50000形式が登場。コンテナは5個搭載出来るうえ、牽引する機関車を問わないため、コキ10000系に代わって勢力を拡大。コキ10000系は余剰化していきました。
運用を拡大するコキ50000形式に車掌室を設けたコキフ50000形式があり、台車が金属ばねである事から乗心地が悪く、車掌からの苦情ありました。そこで、余剰となったコキ10000形式の空気ばね台車と交換することに。こうして、コキ10000形の車体とコキフ50000形式の台車が大量に余ってしまいました。捨てるのはもったいない・・・
という事で、定尺レール用の長物車であるチキ5200形式が誕生しました。コキ10000形式の車体を切り詰めて、手すりや手ブレーキを撤去。(側ブレーキに変更)床の隙間を埋める工事を行い、レール緊締用の装置が設けられました。
旅客会社にも籍を置いており、定尺レール輸送に活躍をしており、2両1組で運用されているようです。

チキ5500形式

東北・上越新幹線建設に伴う長尺レール輸送用の長物車として昭和50年に登場した37t積み長物車です。改造車で、当時積載効率の悪さから余剰となっていたコキ5500形式を改造しました。輸送するレールは50mと200m輸送があり、チキ5500形式は編成を組んで使用します。このため、5500番代から5900番代まで100番刻みで各番代があります。JR東日本所属車の一部の車輛では、レール締付け金具が従来車とは異なるため、原番号に10000を加えて識別しています。この編成で組まれたレール輸送はファンから「ロンチキ」と呼ばれており、この他は「タンチキ」ではなく、単に「チキ」や「レール」などと呼ばれています。

チキ5500形式5500番代(チキ5515・チキ15506)

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編成の中間に連結される車輛です。

チキ5500形式5600番代(チキ5607・チキ5616)

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50mレールでは送り出すころが装備され、200mレールでは中間に連結されているようです。

チキ5500形式5700番代(チキ5719・チキ15701)

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50mレールでは末端に連結され、レールを取り降ろす滑り台の付いたエプロン車になり、200mでは中間に連結されます。

チキ5500形式5800番代(チキ5805・チキ15801)

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50mレールでは末端に連結されるエプロン車。200mでは中間に位置し、レールを送り出す中間エプロン車のようです。

チキ5500形式5900番代(チキ5902・チキ15901)

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200mレール輸送のみに見られる番代で、編成の末端に位置するエプロン車となっています。

チキ6000形式(チキ6000・チキ6055)

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在来の老朽化した長物車を置換えるために昭和52年に登場した35t積み長物車です。当時、国鉄の台所事情により新製は厳しく、余剰となっていたコキ5500形式の台車やブレーキ部品を流用し、新製した車体を組み合わせて製作されました。

チキ6000形式(チキ6395・チキ6141)

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長物車としての役割ですが、時折写真左のように自動車を運ぶ姿も見られます。(時々戦車などもあります。)また、操重車のクレーン、クレーンの部品を載せる控車としての役割をする車輛もありました。現存するチキ6000形式はレール輸送が主となっています。

チキ7000形式(チキ7019)

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長物車の新製は戦後間もない昭和20年に登場したチキ2900形式となり、その後は改造車で賄われていました。1970年代に入っても戦前、戦時に登場した長物車が主力であり、他の貨車と比べると明らかに近代化が遅れていました。この長物車の老朽化が目立ってきたため、昭和50年に約30年ぶりとなる新製長物車が設計される事となり、このチキ7000形式35t積み長物車が登場しました。しかし、国鉄の台所事情により本格的な量産は行われず150両のみの製造で終わりました。数が少ないと思われますが、結果これで良かったのかもしれません。トラック輸送に仕事を奪われ、新製間もないこのチキ7000形式も大半が余剰となり、廃車されたのです。現在は約20両ほどがレール輸送に活躍をしています。

チキ80000(チキ80000・チキ80008)

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昭和51年に登場した40t積み生石灰輸送用コンテナ専用の長物車です。私有貨車の一つで、消石灰を扱う工場へホッパ車による輸送を行っていましたが、工場が移転となり、その移転先へは鉄道ではなくトラック輸送になりました。効率よく輸送するため、このチキ80000形式が登場します。当初はコンテナ車として計画されましたが、コンテナ車の私有貨車は認められず長物車となりました。チキ80000及び80001番は試作車で、以降は量産車となります。

チ50000形式(チ50012)

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平成20年にJR北海道に登場したレール専用の長物車で、コキ50000形式350000番代を種車に改造しました。津軽海峡線青函トンネルの新幹線軌道敷設工事を目的に登場しました。下記で紹介するチラ50000形式と共に12両固定編成で運用されるため、製造番号は1~12番の通し番号となっており、本形式はチ50001とチ50012の2両となります。チ50000形式は編成の両端に連結されるエプロン車で、荷重は0tです。レールを取り降ろす機器が搭載されています。

チラ50000形式(チラ50006・チラ50007・チラ50011)

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荷重17.9t又は19.8tのレール専用長物車です。チ50000形式と同じくコキ50000形式350000番代からの改造車で、チ50000形式に挟まれる形で10両改造されました。200mある60kgレールを16本積載します。種車の手すりを撤去し、手ブレーキは車端部側面に移設しており、上屋の改造が主なものとなります。クレーン設備のほか、付帯設備の設置されている車輛もあります。敷設工事が終了した平成24年にチ50000形式と共に廃車。廃形式となっています。

JR貨物チキ5500形式(チキ5500-11)

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国鉄時代、レール輸送は事業用とされていましたが、JR貨物発足以降は通常の貨物として扱われるようになりました。JR貨物で保有する国鉄チキ5500形式の増備車として平成4年に登場したもので、荷重37t積みのレール専用長物車です。私有貨車の一つで、車体は明るい緑色となっています。車体番号はJR貨物の新しい付番方式で、形式-(ハイフン)となっています。50mレールを3両一組で使用するほか、国鉄チキ5500形式と混用で使われています。