身近にも物入れなどに「コンテナ」という言葉が使われていますね。鉄道をはじめとする物流の世界ではコンテナは、貨物輸送を目的とした容器を言います。一般的には直方体の形状が多く見られ、タンクコンテナと言われる円筒形のコンテナなどがあります。
 かつては貨物を輸送する際、鉄道から自動車へや船舶から鉄道へと、人で例えるなら乗換えをする。という移動の場合は、大変な労力や時間を要していました。
 そこで考えられたのが「コンテナ」です。大きさや規格を決めておき、貨車やトラックなどの異なる輸送手段においても、コンテナの積載方法を決めておけばコンテナの載せ替えだけで済み、格段に輸送効率が向上します。
この様に統一した規格で設計し、異なる種類での輸送が可能なシステムを『複合一貫輸送(Intermodal freight transport)』と言い、インモーダル輸送とも言われています。この輸送方法であれば、輸送効率の向上のほか、貨物の傷みが軽減されるなどの相乗効果が多くあります。
 コンテナは世界各地で使用されるものと、日本国内で使用される2つの規格の異なる種類が使用されています。前者はISO(国際標準化機構:Intemational Organization for Standardization)により国際的に統一された『国際海上貨物用コンテナ』で、後者は「戸口から戸口へ」のキャッチフレーズで始まった独自の規格コンテナとなっています。なぜ国内独自の規格になったのには、鉄道が狭軌であるやそれに伴う車輛限界などが国際規格では大きかった事によります。
 日本のコンテナ輸送の歴史は、昭和34年に産声をあげます。汐留(東京)~梅田(大阪)間にコンテナ特急「たから」号が設定され、コンテナ輸送が始まりました。
当初のコンテナは国鉄が用意した黄緑色のものでしたが、私有コンテナが登場するとカラフルな色彩のものが登場しました。また、貨車の種類と同じく有蓋、無蓋、タンクコンテナなどが次々と登場していきます。現在では、様々なコンテナが多数あり、見飽きません。種類などは、貨車とほぼ同じです。
コンテナの旅
 コンテナはどのように運ばれているのでしょう。
 基本はコンテナの中に入り、かつ決められた荷重の範囲内であれば大丈夫です。ただし、積荷によっては運ぶ事が出来ないものや特別な方法などのルールがあります。例えば放射能性物質、火薬などの危険品は運べない(別の規則がある)そうです。

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コンテナの内部は写真左のようになっています。ちょっとした部屋にもなりそうな広さです。積込は写真中央のように、パレットに載せた貨物を載せていくのが一般的です。コンテナの規格にパレットも設計されており、ぴったり収まります。また、写真右のように自動車も運んでいるんですね。

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コンテナは専用のトラックに載せられます。写真は12ft用のトラックですが、ISOコンテナに対応したトラックももちろんあります。こうして最寄りの貨物駅まで輸送されます。
 従来は貨物を最寄り駅まで運び、積卸(載替え)に時間を要していましたが、コンテナはそのままです。化成品などタンク車が必要な貨物は、工場まで引き込み線が必要でした。また、少量しか扱わない品目ではタンクローリーで遠くまで運ばなければなりませんでしたが、コンテナでは線路は不要です。タンクローリーと同等のコンテナであれば問題ありません。
 駅に集められたコンテナはコンテナ車に載せられます。一見、雑多に載せているようですが、実は全車指定席の列車なのです。荷主が列車の予約をするシステムで、列車の人気の有無もあるそうです。目的地に朝一番に到着する列車は人気が高いとか。

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 列車の中には1社で独占する、つまり専用列車もあります。写真は大手通運会社の「福山レールエクスプレス号」です。東京貨物ターミナル駅と福山駅を結んでおり、コンテナ車20両(うち5両は岡山貨物ターミナル止まり)を運転しています。この他に「トヨタロングパスエクスプレス」、「スーパーグリーンシャトル」などがあります。

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 貨物列車。一昔前は遅い、色が暗い。といったイメージでしたが、現在はちょっとした特急列車です。運転最高速度は110km/h、停車駅も少ないなど特徴のある速達列車が多数あります。列車にもよりますが、1回の運転でトラック何十台分もの貨物を輸送しており、低コストでかつ環境にやさしい鉄道輸送は日本はもとより、世界中で見直されつつあります。

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こうして、目的地近くの貨物駅に到着すると、フォークリフトやトップリフターが出動し、コンテナ車から取り降ろされます。そのまま、速やかにトラックに載せかえられて、最後の目的地に向かいます。

国鉄コンテナ

有蓋コンテナ

 国鉄のコンテナ輸送は戦前に1t積みの小さなものから始まりました。戦後、コンテナ輸送を本格的にするため計画が行われ、実績のある1t積みは積載効率が悪く、5t積みは当時は荷役機械やトラックが無いうえ、有蓋車などの貨車が主力であり競合するため採用されず、中間の3t積みコンテナが開発されました。3000形式と呼ばれる有蓋コンテナが試作され、試験を行いましたが、運賃が割高になってしまうなどの理由で量産はされませんでした。昭和34年より本格的なコンテナ輸送を行う事を受けて、5000形5t積みコンテナを試作しました。規格を同じとし、材質は鋼製、アルミニウム製、木製の3種類、締結装置の違いがあり比較検討の結果、材質を鋼製、妻面一方開きとした量産タイプが製作され、コンテナ輸送の幕開けとなりました。

6000形5t積み有蓋コンテナ(16127)

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昭和35年に登場した初代コンテナになります。5000形コンテナの量産タイプといえる形式で、5180個がつくられました。妻1方開きの構造で、外寸は長さ3282㎜、幅2366㎜、高さ2359㎜となっています。写真は埼玉県にある鉄道博物館で保存されているものです。

7000形5t積み有蓋コンテナ(7100)

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昭和37年に登場したコンテナで、小口貨物に対応し、かつトラックに乗せたまま荷役が出来るように両側2方開きとした構造のコンテナ。200個がつくられました。

C10形5t積み有蓋コンテナ(C10-3817)

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10000系コンテナ車と合わせて開発された有蓋コンテナです。コンテナの形式は登場した頃は登場順で4桁の数字になっていましたが、昭和41年にコンテナ記号が制定され、その際に初めて登場した2代目になるコンテナです。頭文字の「」はコンテナ(container)を表すもので、C10形は第1種コンテナと呼ばれるものです。本来は11ft(フィート)サイズなのですが、10ft(フィート)コンテナとも言われています。構造は妻1面開きで、6000形を大きくしたものです。また、プレス鋼板を用いて強度を向上させたほか、クレーン荷役にも対応できるように改良されています。
後継にはさらに一回り大きくしたC20形です。15126個つくられて、全国で活躍しました。現在は廃形式となっており、一部は倉庫代用として余生を過ごしている個体もあります。しかし、老朽化などによって見かける機会も減ってきています。

C11形5t積み有蓋コンテナ(C11-102、5133、C11-1263)

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※写真右はTuboフォトオフィス様撮影

C10形に続いて昭和41年に登場したコンテナで、6690個つくられました。C10形の側面に扉を設けた形式で、妻1面開き、両側面開きの3方開きです。側面扉は総開きではないので、中央部の扉が目立つ独特の外観が特徴でした。使い勝手が良かったのか、平成13年まで活躍しました。

C12形5t積み有蓋コンテナ(C12-236)

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昭和42年に登場した妻1面開きの第1種コンテナで260個がつくられました。このコンテナの最大の特徴は天井をスライド式の開閉機能がある事です。C10形の荷役方式を改良した形式とも言えます。この特殊構造が幸いし、JRにも継承され長らく使用されていました。

C20形5t積み有蓋コンテナ(C20-6362・34743・41851)

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昭和46年に登場した妻1方開きの第2種コンテナです。コンテナ輸送黎明期に登場した5000形コンテナより11ft(一般的には10ftと呼ばれてきました。)コンテナを登場させてきましたが、このC20形コンテナよりISO規格を採り入れたサイズとし、その大きさを12ftコンテナとしたものです。C20形はその第1号であり、多くの功績を残し、現在でもこの規格は受け継がれています。
このコンテナを5個積みとして輸送するためにコキ50000形式が開発され、11ftコンテナ仕様のコキ5500形式やコキ10000系は新規格のコンテナ輸送に対応するため4個積みに改造されました。
37934個が製作されており、大別して3つのグループがあります。
●1~25434 昭和46年から48年にかけてつくられた第1のグループ。翌昭和49年にクレーン自動荷役用に対応したC21形が後継形式として登場します。
●30001~38500 後継のC21形で目的としていたクレーン自動荷役では、設備に問題があった事から、本形式が再び増備される事に。その増備で登場したグループで、30000番代といわれます。C21形に準じた強化構造となっています。
●40001~42000 40000番代と言われるグループで、妻扉のロックレバーが改良されたグループです。
国鉄のコンテナ輸送に偉大なる功績を残しましたが、新型コンテナの登場により廃棄が進み平成20年に形式消滅しました。現在では倉庫に転用されるなどの個体が全国各地で散見する事ができます。
■50000番代

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国鉄からJR貨物へ移行した昭和62年から昭和63年にかけて登場したグループで、C20形及びC21形を簡易通風コンテナに改造したグループです。あわせて数百個が改造されました。この改造はJR貨物北海道支社と九州支社で行われており、それぞれの改造内容が異なっていました。
○北海道支社(写真左:C20-50466)
両側面の両端に雨水侵入防止カバーを設けた小型の通風孔を設置したもので、塗装は水色をベースに紺色の帯、JR貨物北海道支社の文字が入れられていました。
○九州支社(写真右:C20-50616)
妻面及び妻扉にあるコルゲートの凹み部に雨水侵入防止カバーを設けた小型の通風孔を設置したものです。塗装はコンテナブルーこと青22号に、通風を意味する「Ventilation」の「V」を模した黄色の帯が入れたものとなっていました。

C21形5t積み有蓋コンテナ(C21-2955・12216)

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昭和49年に登場した12ftコンテナで、仕様はC20形と同じく妻1方開きの第二種コンテナです。昭和45年に船舶などクレーン荷役に対応するため、上下隅にツイストロック式の金具を設置したC94形試作コンテナがつくられました。C20形では採用を見送り、その後、クレーン自動荷役を行う事が出たためC20形をベースに上部四隅にツイストロック式クレーン用吊り金具を備えた本形式が登場しました。構造では鴨居などが強化されたほか、塗装は標準色のコンテナグリーンと呼ばれる黄緑6号に、C20形では白色に対し、区別するため青22号の帯が巻かれていました。
14000個がつくられました。しかし、荷役設備が対応できていない事からクレーン自動荷役は失敗に終わり、C20形と共に活躍する事になります。新型コンテナの登場により、廃棄が進み平成18年に形式消滅しています。
C21-2190

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このコンテナは側面に大きな扉が付いていますが、この後出てくるC30形の試作コンテナとして改造されたもので、原番号のままとなっています。

C95形5t積み保冷コンテナ(C95-577)

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従来の冷蔵コンテナは目的地まで荷物を運ぶと、空荷で帰ってくる(片荷輸送という。)事が多く、定温輸送貨物のほか、一般貨物も運べる簡易保冷コンテナとして、C21形をもとに昭和53年に登場したのが本形式です。妻1方開きで、内部は発泡ウレタンによる断熱材の内張りが施されています。簡易保冷を表すため、白色を基調に下部及び帯色を青色(青22号)に塗装していました。新型コンテナや私有保冷コンテナが登場した事により、平成18年に廃形式となっています。

C30形5t積み有蓋コンテナ(C30-128)

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国鉄コンテナは昭和46年に登場したC20形より新規格が採用され、従来形式より一回り大きくなり、積載容量が上がったものの、貨物の荷役扉が片側妻面にしかありませんでした。多くの荷主から荷役効率を上げるために、旧規格であるC11形10ftコンテナのような複数方向から積卸ができる構造のコンテナをつくるように求められていました。
昭和58年に専用線のホーム荷役を考えて、側方も開く「二方開きコンテナ」を製作する事となりました。しかし、当時の国鉄の台所事情は火の車。そこで、既存の問題となっていたC20形及びC21形を改造してつくられたのが本形式で、500個改造しました。
妻面扉に向かって左側側面に扉を増設しました。識別のため、白色又は青色から二方開きを表す赤色の帯に変更しています。平成16年に形式消滅しています。

C31形5t積み有蓋コンテナ(C31-2555)

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複数の方向より荷役が可能な側方総開きコンテナとして昭和58年に既存のC20形及びC21形を改造したC30形が国鉄工場で製作されていましたが、並行して車輛メーカーで新製したのが本形式で、昭和58年に登場し、3500個つくられました。新製より妻1方側面1方の二方開きである事以外はC30形と同じです。ただし、側面扉がC30形では構造上の理由により180度まで開かない(右扉のみ)構造でしたが、本形式では側壁面までの270度まで開くようになったほか、内部床面も鉄板張りから合板張りに変更されています。平成21年に形式消滅しています。

C35形5t積み有蓋コンテナ(C35-926)

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昭和58年に二方開きのC31形を登場させていましたが、内容積を増やし、自重及び製造コストの低減を図った形式が開発され、昭和59年に本形式が登場しました。財政難であったため、国鉄コンテナでは初めて内部の内張りであるベニヤ板を全面廃止したほか、プレス鋼板製の自動溶接を可能とした構造とし、工作の簡易化を図っているのが特徴です。低コストであったため、財政難ながら11600個がつくられました。また、本形式よりイメージを一新するため青22号「コンテナブルー」一色となりました。
登場後、内張りのベニヤ板を撤去した鉄板むき出し構造の本形式は、荷主などより荷物の擦れ傷、気温差による結露の荷物への浸透。これにより商品価値低下、毀損事故といった苦情が多発し、本形式の増備が中止されてしまいました。平成22年に廃形式となっています。

C36形5t積み有蓋コンテナ(C36-1712)

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コストダウンのため内部の内張りを省略したC35形に内張りを復活させたのが本形式で、昭和61年に登場し7500個つくられました。平成22年に廃形式となっています。

C40形5t積み有蓋コンテナ(C40-12)

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日本通運がたばこを輸送するために開発した私有コンテナNC2形を国鉄形式としたもので、昭和61年に100個つくられ、たばこ輸送専用として活躍しました。C31形コンテナをベースに、高さを増しており「背高コンテナ」と呼ばれました。全長3658㎜、幅2438㎜、高さ2500㎜としており、このサイズはJR貨物のコンテナの標準サイズとして採用され、現在でも継承されています。C36形よりも大きくなったため、識別のため青22号に白色の帯が巻かれています。平成19年に廃形式となっています。

タンクコンテナ

昭和40年よりタンクコンテナもつくられました。積載する貨物に応じて様々な形式が沢山つくられましたが、輸送する区間や荷主が限られてしまうなどの問題があり、昭和45年の私有コンテナ制度発足と共に私有コンテナに移行し、増備や新形式の開発は行われなくなりました。

T10形式5t積み植物性硬化油専用コンテナ(T10 4)

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昭和40年、国鉄で初めて登場したタンクコンテナで400形式として2個試作した後、12個がつくられました。保温性を確保するため断熱材で覆われているほか、万が一積荷が硬化した場合を考え、蒸気加熱管をタンク内に備えています。運んでいたものはヤシ油、ワックス、牛脂、大豆油、ラードでした。写真は埼玉県にある鉄道博物館に保存されています。
ヤシ油(椰子油)・・・ココヤシから作られる油脂、ココナッツオイル(coconut oil)とも言われます。ココヤシの果実であるココナッツの種から抽出されます。パームヤシ(アブラヤシ)の果肉から作られるパーム油もヤシ油と呼ばれる事があるそうです。比較的高い温度で固まるのが特徴で、室温が20℃以下で固まり、20~25℃でクリーム状、25℃以上で透明の液体となります。洗剤や石鹸の原料、ラクトアイス、ホイップクリームなどの原料に用いられています。
牛脂・・・牛の脂を精製した食用油脂で、ヘットとも言います。常温では白色(黄色もある)の固体で融点は35~55℃で、ラード(豚脂)にそっくり。主に食用とされていますが、石鹸やろうそくなどの原料としても使われています。
豚脂…豚の脂を精製した食用油脂で、ラードと呼ばれ定着しています。代表的なものは揚げ物やラーメンのスープ(背脂と呼ばれる)で、前者はラードを使って揚げるとサクサク感と香ばしい風味が生まれ、後者はスープを冷めにくくする効果があります。海外でも台湾や香港にラードごはん(ご飯の上にラードをたらし、しょうゆをかけて混ぜて食べる)といった家庭料理などがあります。
大豆油・・・大豆の種から採取される油脂。代表的な植物油で、サラダ油やマヨネーズなどの原料として広く利用されています。職用のほか合成樹脂、塗料などの工業製品などにも用いられています。

T12形式5t積み動植物油専用コンテナ

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※写真は模型です。

昭和40年に930形式(後のT11形式)と共に試作された危険物を輸送するコンテナです。登場時は935形式でした。外観は共に楕円形の断面を持つタンク体で、930形式は絶縁油でしたが、当形式は動植物油で、引火点が130℃以上のものを輸送していました。亜麻仁油、ひまし油、米ぬか油を輸送していました。
亜麻仁油(あまにゆ)・・・亜麻の種から採れる、黄色の乾性油(空気に触れると固まる油)で、食用としてはα-リノレン酸など不飽和脂肪酸に富んでいる事から栄養サプリメントとして、卵の代用として焼き菓子などお菓子の原料に使われています。食用の他として油絵具のバインダー、木製品や革靴の仕上げに「オイルフィニッシュワニス」として用いられています。
ひまし油(蓖麻子油)・・・トウゴマの種から採れる植物油。主に工業用として用いられ、潤滑油、石鹸、インキ、ワックス、ナイロン、香水、髪油(ポマードやびんつけ油)などの原料となっています。また、セバシン酸の原料、ひまし油生産の副産物として有毒なリシンもつくられています。この他、医薬品にも利用され下剤に用いられています。自動車やオートバイ用オイルなどで有名なカストロール(Castrol)社の名前はひまし油の英語名であるcastor oilに由来しています。
米ぬか油・・・米油とも言い、米ぬかから抽出される植物油で、原材料は玄米(お米)が主なものとなっています。加熱した際に酸化しにくい特徴があり、油酔いも起きにくい事から、主に製菓(ポテトチップス)製造に用いられています。

T15形式5t積み植物油専用コンテナ(T15 5)

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昭和43年に登場した植物油専用のコンテナで6個製作されました。タンク体はステンレス製でエポキシ樹脂の内面処理が施されていました。ラテックスを輸送していました。昭和40年に国鉄タンクコンテナの形式改定が行われ、下記のように区分されました。
T10~19形式 非危険品で保温構造のあるもの。
T20~29形式 危険品で保温構造の無いもの。(該当形式なし)
T30~49形式 危険品で保温構造の無いものかつ、メタリコン処理等タンク内面に塗装を施したもの。
T50~59形式 危険品で保温構造が無いもの、タンク体材質が鋼製以外のもの。
T60~64形式 危険品で保温構造を有するもの。(加熱管などを装備)
T60~89形式 特殊構造を有するもの。
T90~99形式 試作タンクコンテナ。
※ただし、T11形式及びT12形式は危険品貨物用です。
上記の形式の他に下記のタンクコンテナがありました。
T13形式5t積み鉱物性硬化油(ナフタリン)専用 12個
T14形式5t積み鉱物性硬化油(塩化パラフィン)専用 41個
T16形式5t積み鉱物性硬化油(合成ジフェニル)専用 7個
T17形式5t積み鉱物性硬化油(タムワックス)専用 2個
T18形式5t積み鉱物性硬化油(ネオシロックス)専用 12個
T19形式5t積み鉱物性硬化油(ユリア樹脂)専用 4個
T31形式5t積み鉱物油(アジピン酸ジオクチル)専用 2個
T32形式5t積み鉱物油(ジオクチルフタレート)専用 10個
T50形式4.2t積み鉱物油(プロピレングリコール)専用 5個
T51形式5t積み鉱物油(オロソジクロルベンゼン)専用 9個
T60形式5t積み鉱物油(ゴム老化防止剤)専用 10個
T65形式4.4t積み鉱物油(塩化ベンジル)専用 9個
T70形式5t積み動植物性硬化油(ステアリン酸)専用 8個

ホッパコンテナ

昭和41年に登場しました。この部類のコンテナもタンクコンテナと同じく、荷主や輸送区間が限られてしまうことから、昭和45年に発足した私有コンテナ制度と共に増備が中止され、私有コンテナが増備されました。

H90形式5t積み粉粒体専用コンテナ(H90 2)

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※写真は模型です。

ホッパコンテナ第1号形式として2個つくられました。合成樹脂の原料を輸送する事を目的に試作されたもので、登場時は950形式となっていました。取出し時はトラックの荷台から行う事とし、取出し口を妻面に設置し、反対側からクレーンで吊り上げ排出する自然落下方式としています。
このH90形式の他にも塩化ビニル樹脂専用のH91形式(H10形式)、H90形式の量産となるポリプロピレン専用のH11形式、カーボンブラック専用のH92形式(H12形式)、掃除機と同じ吸引式のポリスチレン専用のH13形式がありました。

通風コンテナ

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※写真は模型です。

初めて国鉄コンテナに通風コンテナが誕生したのは昭和36年で、6000形式を果物や野菜の輸送に適した構造とした200形式がつくられました。側面及び妻面に通風口を設置し、通風効果を高めるため床は透かし張りとしています。5個が試作され、昭和41年に形式をV10形式としました。昭和42年にV10形式に上部にクレーン荷役用の吊り金具を設けたV11形式が95個製作されました。以降の増備形式は国鉄時代では登場せず、私有コンテナが増備されました。

冷蔵コンテナ

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※写真は模型です。

冷蔵コンテナの登場は昭和30年で、荷重0.3tの10形式、約2倍の大きさにした荷重0.6tの20形式から始まります。もちろん試作コンテナで、その後100形式(後のR10形式)、150形式(後のR90形式)が登場。断熱材など保冷を保つ改良がなされ、100形式を一般貨物にも使用できるように通風口を設けたのが150形式です。
量産された冷蔵コンテナはR10形式(1518個)、R10形式にドライアイスを載せる棚を設けたR11形式(152個)、枝肉を運ぶR12形式(50個)、鮮魚を運ぶR13形式(80個)があります。保冷効果の更なる改善や構造の改善を行った形式がいくつか誕生し、末期には冷凍機の付いた試作コンテナも登場。しかし、いずれも量産される事なく、得られた技術を用いて私有コンテナとして各種形式が誕生することになります。

JR貨物コンテナ

18A形5t積み有蓋コンテナ(18A-2257・801・184)

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国鉄からJR貨物へ移行して、初めて製作したコンテナで、昭和62年に登場しました。形式名称の付け方が大きく変更となり、「18」という数字は『内容積』(18立方メートル)を表し、続く「A」は『第1の形式』を意味(改良などの理由により、2番目に登場した形式はBとなり、以降C、D…となります。)するものに変更となりました。
国鉄時代末期に登場したC40形5t積み有蓋コンテナの量産型にあたる形式で、側面のリブ(コルゲート)が無くなった以外は同一の妻1方、側1方の二方開きとなっています。2500個つくられました。
塗装は新生JRを象徴するものとし、コンテナブルーの青22号に、日本列島をデフォルメしたようなクリーム色の塗り分けとなり、大きくJRのロゴが入りました。末期はパッチワークのような補修が見られる個体となっていました。新型コンテナの登場により、平成22年に形式消滅しています。ちなみに、写真が無いので紹介していませんが、18B形はこの18A形をもとに、両側開きの二方開きとしたものです。東京~九州地方の限定運用でした。

18C形5t積み有蓋コンテナ(18C-1293・63)

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JR初となる18A形コンテナと同じ構造ですが、全高を変更する事なく、内容積を拡大させたのが昭和63年に登場した本形式です。18A形のコンテナ緊締装置を改良し、床面を下げています。全部で5000個がつくられましたが、4701~5000までの300個は韓国のメーカーが製作したもので、国鉄~JRにかけて初めて海外にコンテナの製造を依頼しました。塗装は同じですが、JRのロゴの下にJR貨物の表記が入れられています。後継コンテナの登場により平成22年に廃形式となっています。

18D形5t積み有蓋コンテナ(18D-204・20000・12656)

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国鉄形コンテナの置換えを目的に昭和63年に登場しました。両側側面に扉を持つ二方開きの構造で、18B形に似ていますが、内容積が拡大されています。大きな変化として本形式より塗装パターンが変更されました。トラックに載せたまま荷役が可能など使い勝手の良いためか、23600個もつくられていました。一部のコンテナは韓国のメーカーが製作したものがあり、脚部にツイストロック式の金具がありました。(写真右)また、ロットによっては、扉の継目にある縦方向の取っ手の位置が異なっていました。晩年は一部がW18D形へ改造される事もありました。経年による老朽化により、平成25年に廃形式となっています。

W18D形5t積み有蓋コンテナ(W18D-250・739)

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平成13年に登場したコンテナで、18D形コンテナの用途を静脈物流専用としたものです。18の数字の前に「W」の文字が書き加えられただけで、この他の改造はありません。この「静脈物流」とは使用済み製品や産業廃棄物の輸送を意味します。生産物の輸送を「動脈物流」として、人間の動脈と静脈の関係になぞらえた言葉です。(動脈は心臓から血液を送り出し、静脈は心臓へ血液が戻る。)雨漏りなどの軽微な不具合のあるコンテナを転用しており、輸送品目の中には悪臭のあるもの有るので、他の貨物を輸送できないように用途を専用とし、黄色地に黒字で「環」の文字が書かれたステッカーが貼られています。W19D形が登場し、一方で廃棄が進んだため平成25年に廃形式となっています。

19A形5t積み有蓋コンテナ(19A-670・1000)

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平成4年に登場した新シリーズで、長さ3715㎜、幅2500㎜、高さ2500㎜と従来よりも幅を大きくしました。(従来は2438㎜)内容積は19.0立方メートルとなり、12ftコンテナでは最大量となっています。両側面に扉を持つ二方開きの構造となっています。塗装は19A-1(試作コンテナ)を除いて一新しており、上部を赤紫色(JRFレッド)、下部を黒色、新しくつくられた「JRF」ロゴを白色と斬新なものとなりました。
幅が広くなった事が特徴でしたが、トラック積載時に問題がる事がわかったため1001個で製作が終了しています。平成25年に廃形式となりました。

19B形5t積み有蓋コンテナ(19B-1212・19B-2013R)

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平成6年に登場し、3000個製作されたコンテナです。19A形で問題となったトラック積載時の幅を少し狭く(2500㎜から2450㎜)したもので、以降の19シリーズコンテナの標準サイズとなりました。塗装も黒色が省略され、赤紫色(JRFレッド)一色塗りとなっています。製造時期により、JRFのロゴのサイズなど細かい点が異なるバリエーションがありました。
コンテナの老朽化が目立ち始めると、内張りを張り替えるなどの更新工事が行われます。更新工事を表すものとして、写真左の1212をよく見ると19Bの上に■のマークがあります。これは「内張りを交換したもの」を表します。写真右は内張りのほか全体を更新したもので、再塗装されデザインを変更しています。そして、個体番号の最後に更新を意味するRenewaの頭文字の「R」の文字が添えられています。更新工事を受けつつ活躍していましたが、平成26年に形式消滅しています。

19C形5t積み有蓋コンテナ(19C-11)

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平成8年に登場したコンテナで、400個つくられました。19B形コンテナに荷崩れ防止の構造を付加した形式で、内部に仕切り用のポリプロピレン製パネルが設置されています。平成23年に廃形式となっています。

19D形5t積み有蓋コンテナ

平成8年に登場したコンテナで、19B形コンテナの改良形式になります。違いとして、脚部四隅に船積み用のツイストロック式金具が設置された点です。これは、平成7年に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)がきっかけとなりますが、災害発生時に鉄道代替手段として海上輸送を可能とさせるために、吊り上げ荷役が出来るようにしたものです。
19D形は当初は老朽化した国鉄コンテナの置換えを目的としていましたが、後にJR発足後に製作された18D形などのJR初期世代のコンテナを置換えを行っています。現在も仕様変更を行いつつ増備が行われている形式です。構造が両側面に扉をもつ二方開き構造で、塗装は19B形に準じています。
○初期の個体(19D-515・2520)

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扉のヒンジが片側2個、妻面のリブが7本あります。妻面の形式表記及び番号が横書きとなている点が特徴です。製作会社により標受けの個数が異なっています。老朽化により見られなくなりつつあります。
○5000番代以降(19D-5034・10831・6425R)

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5000番代では屋根構造に変化があり、リブが追加されました。この他、コンテナをフォークリフトで移動させる際に、積荷が偏っている(これを偏積(へんせき)と言います。)事によって落下事故やフォークリフトが前のめりになってしまう事故があります。積載時より偏って積む場合は貼り紙などで判るようにしますが、移動中に荷崩れや移動してしまう事があり、この場合は見た目では判らず事故が起こってしまいます。この落下事故を防ぐために、フォークポケット(フォークリフトの爪を差し込む部分(コンテナ下部に黄色く縁どった部分))にガード構造を採用しています。
妻面リブの違いは製造会社によるものです。写真の5034番のようにリブが5本あるものは東急車輛製で、10831番のようにリブが6本あるものは中国の製造会社のものです。この妻面に表記される方法が横書きから、見易くするため縦書きに。当初は形式と番号を分けていましたが、途中からハイフンを入れて1つにまとめています。老朽化が進んだ個体では更新工事を受けたスタイルが見られるようになっています。
○5000番代以降その2(19D-24215)

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側面左上に、「環境にやさしい鉄道コンテナ」や「環境にやさしい鉄道貨物輸送」などのロゴステッカーが途中増備より貼られるようになります。このステッカーは本形式から始められているものです。
○30000番代以降(19D-30441・31997)

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製作する全ての会社で外枠設計の見直しが行われました。一部の個体ではフォークポケットのガード構造が無い固体もあります。また、セルフクリーニング機能を備えた個体(写真右の31997番)など細やかな変化も見られます。
○鉄道コンテナ輸送50周年記念(19D-33653)

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コンテナ輸送50周年を記念して、かつて国鉄コンテナに採用された黄緑6号を基調としてロゴマークなどを黒色とし、大形のエコレールマークを貼った記念コンテナが50個つくられました。全国各地で見ることができます。
○80000番代(19D-80092・80702)

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平成24年頃に登場した新しい番代です。ドア構造の強化など諸説あるようですが、実際何のための番代区分かは不明です。現在も増備が行われているようです。
○42000番代(19D-44834)

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平成26年に増備された個体から見られるもので、塗装を省略しシンプルなものとしました。ぱっと見ると更新工事のようですが、かつて18シリーズで見られたJRロゴ、その下にJR貨物と書かれた表示になっています。

90000番代(19D-90002)

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平成23年に登場した試作コンテナのグループで2個つくられました。側面2方開きに4本のロッドが特徴のコンテナです。当初は運用表記はありませんでした。色はウグイス色の独特なものとなっています。

W19D5t積み有蓋コンテナ(W19D-6644・3175)

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老朽化し、営業用に供する事が難しくなった個体を静脈物流用に転用したものです。Wの記号の追加、「環」の文字が添えられた黄色地の丸いステッカーが貼られています。

19E形5t積み有蓋コンテナ(19E-320)

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平成9年に登場し500個つくられた12ftコンテナです。19C形コンテナの後継形式で、上部四隅に簡易の隅金具が付きました。内部は荷崩れ防止の構造となっており、仕切り用のポリプロピレン製パネルがあります。19D形への置換えが進み、半分以下の個数が活躍しています。廃形式となるのも近そうです。(平成28年現在。)

19F形5t積み有蓋コンテナ

平成11年に登場したコンテナで、旧型コンテナを置換えるために4925個がつくられました。本形式は19シリーズでは初めてとなる妻1方、側1方開きの二方開き構造となりました。扉の構造から隅金具が設置できないため、本形式にはありません。東急車輛、日本車輌、CIMC車両(中国国際海運集装箱(中国))で製作されており、様々な個体があります。19F形も19D形や後継となる19G形への置換えが進められており、その姿を消しつつあります。
○0番代(19F-888・1307)

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側扉に特徴があり、扉のヒンジ(蝶番(ちょうつがい))が2個のものと、3個の形態があります。この他に票受けの違いがみられます。扉の側からでは製造会社を特定するのはちょっと難しい。
○0番代(19F-1051・1369・2310)

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扉の無い側面を見ると製造会社が判別できます。写真左のプレス鋼板による凸凹のコルゲートを用いたものは東急車輛製。中央の平板で3枚で構成されるタイプは日本車輛製。右の12枚の平板でつくられているのはCIMC車両製です。
○5000番代(19F-5557・5726・7145)

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0番代の改良型のグループです。側面扉のヒンジが2個になっているものや、フォークポケットに転落防止機能がない個体があります。扉の無い側ではプレス鋼板に統一されており、凸凹の幅が広い固体(写真中央)は東急車輛製、幅が狭い固体(写真右)は日本車輛製となっています。

19G形5t積み有蓋コンテナ

平成13年に登場したコンテナで、19F形の改良型に当たる形式です。脚部四隅にツイストロック式の金具(隅具)を装備した点が異なります。この他の構造は19F形と同じとなっており、登場時は国鉄コンテナの老朽化置換えとして、やがて18C形などJR初期のコンテナの置換え、そして19F形及び同形式の初期の個体を置換えており、現在も増備が行われています。
○0番代(19G-32・5269・1715)

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19F形コンテナとよく似た外観で、5000番代の構造に準じた設計となっています。側面扉のヒンジは3個。票受けなど製造会社の際があります。また、中央部の白色の帯も初期の個体ではヒンジの上でしたが、多くはヒンジの下部となっています。
○0番代その2(19G-8000・8005)

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この形式でも、フォークポケットの有無による違いがみられます。
○10000番代(19G-17751・15208)

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設計の変更が行われ、外観やリブの形状が大きく変わりました。
○18500番代以降(19G-19423)

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平成26年より増備された個体は、塗装が大きく変更されており、赤紫色(JRFレッド)を基調としている点は変わりませんが、ロゴマークなどが変化しています。
○90000番代(19G-90001)

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平成23年に2個製作された試作コンテナ。19D形90000番代と同様の目的で製作したようです。運用区間を見ての勝手な想像ですが、往路と復路で異なる貨物を運ぶ目的なのかな。

コラム・・・リニューアル工事「いた」と「り」

コンテナは様々な貨物を日夜運んでいます。当然、何年も使用を続けていると内装をはじめ各所に傷みが出てきます。この傷みを修繕する訳ですが、行った印をつけることになりました。初期の頃は形式と番号の近くに、白色の●で補修を表し、内張りのみを張り替えた場合は白色の■として表していました。その後、更に解り易くするために番号の末尾に更新工事を表す「(Renewa)」のアルファベットを添えました。

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リニューアル(補修)工事を受けたコンテナの例。左から●19D形、■19F形、末尾にRの付けた19G形。いずれも同型コンテナの増備により見かける機会が徐々に減ってきています。
JR貨物の所有するコンテナは国内のみならず、海を超えて海外へも運ばれています。海外に渡ったコンテナを見た現地の人が「なんだろう?このRは?」。と文字の解釈で問題が発生してしまいました。そこで、困惑の無いようにするために現在では・・・

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番号の末尾に○の中に「いた」と表記し、内張りだけを交換したものを表します。

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番号の末尾に◇のなかに「り」と表記し、更新工事を行ったものを表します。
という表現に変えています。ちょっぴり小さい記号ですが、見つけてみて下さい。

コラムその2・・・極めてみよう!JR貨物コンテナ!

さて、ここまで様々なコンテナをご紹介し、文中に違い(票受けの違いなど)をご紹介しました。しかし、これだけではありません。ここでは個数が多い19D形コンテナをもう少し詳しく見てみましょう。模型作りのご参考にして下さい。

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写真は2個の19Dコンテナです。製造会社や製造時期によって細部に様々な違いを見ることが出来ます。写真を見て違いが解るでしょうか?
①屋根

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上から見てみるとリブの形状や数などが違いますね。
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横から見てみると・・・。異なっている事がお解り頂けるでしょう。
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端部を拡大してみました。端部の形状が明らかに違いますね。

②扉廻り

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扉を見てみましょう。上から見ていくと、右側の扉にある縦に設置された部品の長さ。JRFロゴマークのJの文字と部品までの間が異なりますね。続いて扉を開閉する取っ手。位置が異なっていますね。写真以外でもいくつかのバリエーションがあります。

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続いて、扉と本体をつなぐ「ヒンジ(蝶番)」です。縦の幅に違いが見られます。あわせて中央部のヒンジには細長いダイヤモンド帯の端部がきますが、ヒンジに届いているものと、僅かに手前で途切れている(写真左上の19D-13904を参照)タイプがあり、僅かに印象が異なります。

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さらにヒンジをよく見ると、角を残したものと削っているものがあります。ここまでこだわれば素晴らしいでしょう。
③脚廻り

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コンテナの床面を地面に直接置かないようにするほか、緊締装置を設置するために設けられる脚ですが、色々見ていると形状はフォークポケットに向かって「なだらかタイプ」(写真上)と「急に上がるタイプ」(写真下)の2種類が確認できます。フォークポケットが付いているものと、そうではないものがあります。製造会社の違いなのかもしれません。ここも作り分けが出来ると良いかもしれませんね。

20B形5t積み有蓋コンテナ(20B-51・1031)

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平成11年に登場し、224個がつくられた12ftコンテナです。長さ3715㎜、幅2450㎜、高さ2600㎜と従来形式よりも高さを拡大しました。20シリーズのコンテナは車輛限界の関係からコキ100系貨車限定となっています。ただし、特例区間ではコキ50000形式に積載される事もあるようです。
片妻面1方、両側面2方の三方開きの構造となっています。塗装は19シリーズに似た赤紫色ですが、名称がフロンティアレッドになっています。上部には背高コンテナである事を示す白帯、側面には「コキ100系貨車限定」、規格外コンテナに必要なハローマークが添えられています。0番代と1000番代のグループがあり、1000番代は0番代の仕様変更で、脚部に隅金具が無いほか、注意書きが「コキ100系貨車限定又は第1積載限界適用」に変更されています。後継の20D形、20E形への置換えが進んでいます。

20C形5t積み有蓋コンテナ(20C-8・134)

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自動車部品を輸送する目的で平成14年に500個つくられたコンテナです。両側にのみ扉がある二方開きの構造となっています。20B形に似ていますが、側面の注意表記が「コキ50000積載禁止」と表示されています。フォークポケットが無いものは初期タイプです。

20D形5t積み有蓋コンテナ(20D-35・45・340・101・1234)

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平成18年より登場したコンテナで、20B形の置換え、20C形の後継形式となります。妻面上部に簡易通風器が設置されているのが特徴で、JRFロゴマークも大きくなっています。初期のものでは中央部の白色の帯はヒンジの上に位置しています。また、フォークポケットの形状も異なっています。

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写真左は、積荷によっては精密機器など、乱暴に扱われては困る貨物があります。この様な場合は注意書きのシールが貼られている事もあります。模型にすると良いアクセントになるかもしれませんね。写真右は平成25年以降の増備コンテナで、コキ50000形式積載禁止などの表記が消え、シンプルなものにデザインが変更されました。コキ50000形式の引退により、増備が行われています。

20E形5t積み有蓋コンテナ(20E-3・64・82)

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平成26年より登場したコンテナで、老朽化の進む20B形の置換えを目的としたもので、20B形と同じ、妻1方、側面1方の2方開きコンテナです。製作会社の違いでしょうか、字体が微妙に異なるなどの違いが見られます。

20G形5t積み有蓋コンテナ(20G-1160・161)

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平成30年に登場したコンテナで、19G形の容積を拡大した後継形式です。妻、側面1方開きの構造となっています。20E形と瓜二つなスタイルです。

30A形9t積み有蓋コンテナ(30A-102・202・30A-1136)

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ワキ5000形式有蓋車による紙輸送をコンテナ化するために平成2年に登場した20ftコンテナです。両側面に扉を持つ二方開きで、長さ6058㎜、幅2500㎜、高さ2500㎜、内容積は20.3平方メートルです。塗装は1~179までが同時期に登場した18D形12ftコンテナと同じコンテナブルーにクリーム色の帯、180~207までが19B形12ftコンテナと同じ、赤紫色(JRFレッド)に下部を黒色としたものに、以降は赤紫色一色となっています。

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後に500番代、1000番代が登場します。このグループは妻面1方、側面1方の二方開きとしたものです。

30B形8.8t積み有蓋コンテナ(30B-10)

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30A形の後継形式で平成10年に登場しました。様々な方向から荷役が出来るように妻面1方、側面2方の三方開きの構造としたものです。60個がつくられました。

30C形8.8t積み有蓋コンテナ(30C-30)

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30B形の構造を強化した改良型の形式です。見た目は30B形とほぼ同じです。

30D形8.8t積み有蓋コンテナ(30D-1・70・226)

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外板に耐候性鋼板を使用した20ftコンテナで平成18年に登場しました。30C形とほぼ同じ設計で、内装は床面にクッション材を敷くなどの改良が施されています。増備が続いており、最新ロットではデザインが変更されすっきりした外観になっています。

48A形13.8t積み有蓋コンテナ(48A-38002・38052)

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平成24年に登場した31ft大型コンテナです。規格外大型コンテナであり、38000番代となっています。(私有コンテナの項で詳しく説明。)妻面1方、両側面の三方開きで、両側面は天井の一部も開閉するウイング式となっています。この構造のコンテナを『ウイングコンテナ』と言います。この形態の31ftコンテナが私有コンテナとして普及しており、JR貨物でもモーダルシフト(自動車から鉄道といった、輸送手段の転換を図ることを言います。)の推進並びに新しい荷主を集め、鉄道貨物輸送の利用を促進する事を目的につくられました。平成28年現在、60個ほどがつくられており、増備が行われています。増備されたコンテナでは白色の帯が省略されています。

49A形13.8t積み有蓋コンテナ(49A-38040)

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平成27年に登場した31ft大型コンテナです。48A形の内容積を拡大した形式で、この形式も規格外大型コンテナであるため38000番代からスタートとなっています。

V18B形5t積み通風有蓋コンテナ(V18B-58・2611)

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昭和63年に登場した通風コンテナで、3000個つくられました。V18A形と似ていますが、コンテナ緊締装置を改良し、床面を下げることで内容積を拡大した形式です。構造も同じで方1面、側1面の二方開き構造となっています。妻面の扉は初期のものは凹凸のある形態でした。後継形式の増備が進み、平成25年に形式消滅しています。

V18C形5t積み通風有蓋コンテナ(V18C-764・1863)

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18D形コンテナと同じ、両側面開きの二方開き構造としたコンテナで平成2年に登場し、5400個がつくられました。塗装は18シリーズのコンテナブルー青22号にクリーム色ですが、流れるようなデザインとなっています。後継形式の増備が進み、平成25年に形式消滅しています。

V19A形5t積み通風有蓋コンテナ(V19A-1252)

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平成元年に登場した通風有蓋コンテナで、V18C形の拡大形式となります。1350個がつくられました。両側面開きの二方構造です。後継形式の登場、置換えが進んでおり、徐々に姿を消しつつあります

V19B形5t積み通風有蓋コンテナ(V19B-220・6054・6502)

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(V19B-871・956・5662)

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平成15年に登場した通風有蓋コンテナです。片側妻面、片側面の二方開き構造となっています。通風器が内側に設置されており、スリットの細い窓が特徴です。スリットも初期のものは白い部分が窓の中央部(220番参照)でしたが、途中より窓部全体(6054番参照)と変化しています。扉の無い部分では側面のリブが7本、表記が縦書きの個体は東急車輛製造製、リブが5本で、表記が横書きの個体は中国国際海運集装箱(CIMC)製となっています。

V19C形5t積み通風有蓋コンテナ(V19C-8・8112・8584)

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平成18年に登場し、現在も増備が行われている通風有蓋コンテナです。19D形コンテナに通風機能を持たせた形式で、両側面開きの二方構造となっています。通風器は内側から操作するタイプで、写真中央はスリットを閉じている状態(有蓋コンテナとしての使用)です。この他、室温上昇を防ぐため、屋根に断熱材が設置されています。最新の個体ではデザインが大きく変更されています。(写真右)

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フォークポケットが無い個体もあります。

(V19C-80003・80065)

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19D形80000番代と同様の改良を行った番代です。外観は従来のタイプと変わらないので探す時は番号に注意しましょう。

ZM8A形事業用無蓋コンテナ(ZM8A-12・13)

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輪軸を運ぶための無蓋コンテナです。JR貨物関東支社(東日本エリア)で見かけます。

ZM8B形事業用無蓋コンテナ(ZM8B-2)

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輪軸を運ぶための事業用無蓋コンテナ。西日本地区で見ることが出来ます。ZM8A形とは構造等もそっくり。違いはなんなのでしょう。

ZD19D形事業用有蓋コンテナ(ZD19D-987・16520)

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機関車の性能試験などにおいて死重として使用されるコンテナです。19D形で営業用に用いれなくなった個体の転用で、19Dの前にZDの記号が付けられています。死重は砂袋といったものを用いています。

ZD19F形事業用有蓋コンテナ(ZD19F-1130)

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営業用に使用しなくなった19F形コンテナを死重用コンテナとして転用したものです。

ZD19B形事業用有蓋コンテナ(ZD19B-35)

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V19B形通風コンテナを転用した死重用コンテナです。

Z54A形事業用有蓋コンテナ(Z54A-7)

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貨物電車M250系の試験用に使用されるコンテナです。

ZX19A形事業用有蓋コンテナ(ZX19A-8)

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フォークリフト荷役作業の技術を向上させるために使われる練習用のコンテナ。コンテナ内部で荷崩れが起きても確認できるように格子状になっているのが特徴です。

国鉄・JR貨物のコンテナを紹介しましたが、如何だったでしょうか?同じ色で、同じように見える?まあまあ、そうでしょう。一つの会社ですから仕方がありません。
さて、続いては私有コンテナをご紹介しましょう。下記の文字をクリックしてお進み下さい。

コンテナのお部屋その2に進む(私有コンテナ編)