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入換用機関車として国鉄時代よりDE10形式を長らく使用してきましたが、老朽化が進んでおり、置換えを目的とする一方、環境問題対策として排出ガスを削減する新システムを導入するため、ハイブリッド方式の入換用機関車として平成22年に登場しました。
この機関車は、ディーゼル発電機を動力とする電気式ディーゼル機関車と蓄電池を動力とする蓄電池機関車を組み合わせたもので、日本では初めてのハイブリッド機関車です。もう少し詳しく説明すると、ディーゼル発電機からの電力と蓄電池の電力を協調させて、電動機を制御する方法で「シリーズ・ハイブリッド」方式と言います。この方式により、排出ガス、騒音を大幅に削減する事が出来ます。
形式記号は頭文字にディーゼル機関車を示す「D」や蓄電池機関車を示す「A」ではなく、ハイブリッド(Hybrid)方式の機関車を示す「H」が採用され、同軸が4つであること示す「D」を組み合わせた「HD」となりました。
車体はDE10形式と同じセミセンターキャブタイプで、車体を4つのブロックに分割したモジュール構造としています。その4つのモジュールは発電、運転室、蓄電池、運転室、主変換装置モジュールとなっており、保守の簡略化が図られています。
発電モジュールにはディーゼル発電機が搭載されており、国土交通省の定める第3次排出ガス規制に適合したもので、騒音や有害排出ガスを低減させています。エンジンを駆動する発電機は三相かご形誘導発電機で、三相交流をつくります。ディーゼル発電機の起動、停止は自動的に行われ、力行時には起動し、主変換装置に給電します。ブレーキが掛かると停止します。
蓄電池モジュールにはリチウムイオンバッテリーが使われており、26個の蓄電池を直列につないで3並列とし、ブレーキ時の回生ブレーキで主電動機から発生する電力を蓄えるほか、発電機からも電力の状況に応じて充電も出来ます。
主変換装置モジュールには主変換装置があり、IGBT素子を用いた電圧形PWMコンバータ、電圧形PWMインバータが1基ずつあり、構成されています。発電機、蓄電池から供給される電力又は蓄電池から供給される電力を主変換装置を介してVVVFインバータ制御により電動機を動かします。この電動機は全密閉自冷式構造の永久磁石同期電動機で、機関車では初めての採用となっています。自然通風式のため、送風機などの機器はありません。VVVFインバータ制御方式の車輛では誘導電動機が主流ですが、この電動機は効率が良く、小型、軽量化が図れるメリットがあります。
ハイブリッド機構以外の新しいものとして、運転士異常時停止装置の装備、前後のステップ及び側面を含めた手すりを大きくし、誘導する社員、運転士の作業性の向上を図っています。また、入換時の前面死角解消のため、カメラが設置されています。
現在、主な貨物ターミナル駅を中心に配置されており、北海道地区向けに蓄電池の容量を増やした500番代も登場しています。
写真左は試作車である901号機(tuboフォトオフィス様撮影)、右は量産車です。