昭和43年より、日本海縦貫線及び常磐線などで活躍してきたEF81形式の老朽化に伴う置換え用として平成14年に登場した交直両用電気機関車です。
EF81形式の後継機の開発はJR移行後より始まり、平成2年にEF500形式試作交直両用電気機関車が登場しました。しかし、定格出力6000kwは過大な出力であったほか、様々な技術上の問題もあり、量産には至りませんでした。
一方で、東海道本線及び山陽本線を主体とした直流機の開発も並行して行われており、EF200形式が量産されるも、こちらも地上設備の問題から、ランニングコストを適正化したEF210形式が製作され、量産されています。このEF210形式を基に、EF500形式を適正化した交直両用機としてこのEF510形式が登場しました。
車体はEF500形式に見られる、高運転台非貫通構造、正面窓上の庇のあるスタイルです。機器配置は通路をZ形に配し、中央付近で逆転しています。この配置は通路幅の確保とメンテナンスをし易いようにするためです。車体に向かって左側が採光窓、右側が機器室の通風口(ルーバー)になります。屋根上機器では、寒冷地及び塩害対策からパンタグラフと保護接地スイッチのみ屋根に載せ、それ以外の機器を車内に配しています。補助電源装置は夏季は外気を取り込み冷却、冬季は内部の空気を循環させ冷却し、機器室を密閉する方法としています。
制御方式はEH500形式で採用された高速トルク制御機能を有する、IGBT素子を用いたVVVFインバータ制御方式です。1台のインバータで、1基の主電動機を制御する1C1M方式となっています。
運転台は気密性を高めた空調装置のある仕様となっており、運転席周囲の機器類は既存の新型機関車に準じた配置となっています。
1号機が登場し、各種試験を行い、平成15年より2号機以降の量産車が登場しました。公募により愛称が付けられ、「RED THUNDER(レッド サンダー)」と命名され、このロゴが車体に描かれています。
平成21年より、JR東日本では寝台特急「北斗星」及び「カシオペア」号の牽引に活躍してきたEF81形式の置換えのためにEF510形式を製作。500番代として区分されました。0番代を基本に走行線区に必要な保安装置、客車推進運転用スイッチ、東北本線黒磯駅構内の交直セクション通過時の自動列車選別装置を装備しています。車体は青色に金色の帯を巻き、流れ星をあしらった北斗星色とE26系に準じたシルバーメタリックの車体に五本の帯と流れ星をあしらったカシオペア色の2種類が登場しました。寝台特急のほか、貨物列車の牽引も行っていましたが、後者の運用が無くなり、JR貨物へ保安装置や必要のない機器類を撤去するなどの整備を行い、0番代と共に活躍しています。
1号機

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平成14年に登場した先行量産機です。先行量産機とした理由は、直流電化区間で活躍するEF210形式の基本設計と同じにしたためです。車体裾の白帯の幅が広く、車体側面にはJRFのロゴマークのみとなっています。
2~23号機

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平成15年より登場した量産機です。1号機(先行量産機)の試用結果をもとに、各部に改良が加えられています。車体裾の白帯が細くなったほか、愛称となっている「RED THUNDER」のロゴマークが描かれています。
500番代

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平成21年にJR東日本に登場したグループで、0番代をベースに保安装置(ATS-P・ATS-Ps)、デジタル無線及びブレーキ設定器、尾久~上野駅間の客車推進運転用機器、東北本線黒磯駅構内、交直流セクション通過のための自動列車選別装置を装備したものです。この他に、緊急時に使用する車輛用信号炎管が運転台助手側直上に移設されたほか、後部標識灯のLED化が行われました。
501~515号機まで登場し、509・510号機の除いた各車輌は青い車体に金色の帯を巻いた「北斗星」色に、509・510号機はE26系にあわせたシルバーメタリックの車体に流星、5本の帯を入れた「カシオペア」色として登場しました。
寝台特急「北斗星」及び「カシオペア」号を中心に活躍し、同列車廃止後はJR貨物へ売却され、JR東日本からは形式消滅となっています。この際、0番代と共通とするため、保安装置の変更、列車選別装置などの撤去が行われました。この改造に伴う改番は発生していません。