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明治26年よりイギリスのベイヤー・ピーコック社で製造され、輸入された旅客用蒸気機関車です。明治時代を代表する旅客用蒸気機関車の一つとして、東北本線や常磐線の前身である日本鉄道の主力機関車でもありました。この他に官設鉄道(国鉄→JRの前身)、総武鉄道(総武本線の前身)、東武鉄道でも同型機が活躍しました。
日本鉄道、総武鉄道の車輛は明治39年に官設鉄道に吸収され、明治42年に鉄道院の定める車輛形式称号規定によって、5500形式となりました。
先に輸入された5300形式の改良形式で、ランボードの前部が跳ね上がった特徴のあるもので、デザイン性にこだわりのあったベイヤー・ピーコック社の姿勢を見る事が出来ます。テンダー式機関車で、炭水車(テンダー)は3軸固定式となっています。
現在、東京都青梅市にある青梅鉄道公園に5540号機が静態保存され、見る事が出来ます。この車輛は日本鉄道の出身で、大正12年には仙台鉄道局新津運輸事務所管内の所属となりました。越後線で活躍し、最後は施設局の所属となりました。昭和36年に翌年の鉄道開業90周年記念として、青梅鉄道公園開設の1両として選ばれました。
ちなみに、この機関車のミステリーがあります。80年近くも使用されながら、この機関車の重要部となる気筒とピストンの摩耗が殆どありませんでした。このため、メンテナンスもほとんど必要が無かったそうです。国鉄の研究所で調べたのですが、材質からその理由を特定できなかったそうです。