所有路線

神戸線
神戸本線 梅田~神戸三宮駅 32.3km 全線複線 電化(直流1500V)
神戸高速線 神戸三宮~新開地駅 2.8km 全線複線 電化(直流1500V)
※阪急が第二種事業者(列車運行)、神戸高速鉄道が第三種事業者(施設)
伊丹線 塚口~伊丹駅 3.1km 全線複線(塚口駅構内のみ単線) 電化(直流1500V)
今津線 宝塚~今津駅 9.3km 全線複線 電化(直流1500V)
甲陽線 夙川(しゅくがわ)~甲陽園駅 2.2km 全線単線 電化(直流1500V)
宝塚線
宝塚本線 梅田~宝塚駅 24.5km 複々線は梅田~十三駅、複線は十三~宝塚駅 電化(直流1500V)
箕面線 石橋~箕面駅 4.0km 全線複線 電化(直流1500V)
京都線
京都本線 十三(じゅうぞう)~河原町駅 45.3km 全線複線 電化(直流1500V)
千里線 天神橋筋六丁目~北千里駅 13.6km 全線複線 電化(直流1500V)
嵐山線 桂~嵐山駅 4.1km 全線単線 電化(直流1500V)

大阪梅田と京都、宝塚、神戸を結ぶ路線をもつ大手私鉄です。利用者からは「阪急」と呼ばれています。明治40年に設立された箕面有馬電気鉄道が、明治43年現在の宝塚本線、箕面線になる梅田~宝塚駅間、石橋~箕面駅間を開業したのが始まりです。
大正時代に入り、阪神間輸送に参入します。大正7年に社名を阪神急行電鉄に改称。現在でも使われる略称の「阪急」はこれが由来となっています。大正9年に神戸本線十三~神戸駅(後の上筒井駅(廃駅))を開業、昭和11年には三宮駅まで開業します。すでに阪神間で開業していた阪神電気鉄道とは激しいライバル関係となります。
昭和18年に陸上交通事業調整法により、京阪電気鉄道と合併します。社名が京阪神急行電鉄となり、略称の「阪急」や「京阪」は公式に使用されなくなり「京阪神(急行」としました。しかし、この略称は世間に定着しなかったそうです。戦後の昭和24年に京阪線、交野線、宇治線、京津線、石山坂本線が京阪電気鉄道として分離、かつて京阪の路線であった新京阪線は阪急に残り、京都本線、千里山線(後に千里線に改称)、十三線(後に京都本線に編入)、嵐山線となりました。この際、略称を「阪急」に戻しています。昭和48年に阪急電鉄に社名を変更しました。
路線は梅田駅を起点に京都線、宝塚線、神戸線の3つに分けられ、それぞれに本線と支線があります。
車輛の特徴として、車体色です。阪急電車と言えば「マルーン色」(阪急マルーン)です。栗(マロン)が語源の茶色ですが、阪急では黒系の割合が高く、こげ茶色やチョコレート色などとも言われています。光沢のある美しい色は銀色の窓枠と共に上品なイメージとなっています。この伝統色は8000系や9300系を導入する際に、メタリックオレンジやマルーン色の帯化などの新色を採り入れよう。としましたが、内外からの抗議や反対意見が多く、屋根肩部分をアイボリー色に改める以外は廃案となったそうです。
車輛規格にも特徴があり、神戸線、宝塚線と京都線では成り立ちが異なる(神戸線、宝塚線は箕面有馬電気鉄道、後身になる阪神急行電鉄、京都線は北大阪電気鉄道、その後身の新京阪鉄道)ため、線路幅は同じですが、車体の寸法に違いがあります。このため、同じ機器などで設計された車輛でも神戸線、宝塚線用と京都線用で系列が異なります。

1000系(2代)・1300系(2代)

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9000系、9300系の開発コンセプトとして「全てのお客さまに快適な移動空間」があり、これを継承し、「更なる環境性能の向上」というコンセプトを加えた車輛として平成25年に神戸線、宝塚線向け1000系(2代)(写真左)、平成26年に京都線向け1300系(写真右)が登場しました。
マルーンとアイボリーを組み合わせた車体に、阪急車輛の伝統である木目調の化粧板、ゴールデンオリーブ色の座席などを踏襲しつつ、スマートなデザインとしています。1300系は外観、内装を1000系と共通としていますが、寸法や制御装置などが異なります。
車体は軽量でリサイクルのし易いアルミニウム合金製のダブルスキン構造を採用しています。
制御方式はIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御方式を採用。主電動機は1000系では全閉自冷式永久磁石同期電動機(PMSM)を採用し、消費電力及び騒音の低減を実現しています。1300系は全閉内扇式かご形誘導電動機を全国では初めて採用しました。この主電動機も消費電力及び騒音の低減が図られています。

3000系・3100系

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昭和39年に登場した通勤形電車です。3000系は神戸本線仕様、3100系は3000系の宝塚本線仕様で、基本的な設計は同じで、主電動機が異なっている点が違いとなっています。当時の神戸本線では神戸高速線、山陽電鉄(山陽電気鉄道)への乗入れ計画があり、架線電圧を600Vから1500Vへ昇圧する事になりました。これに備えるため、両方の電圧に対応する「複電圧車」である2021系がつくられましたが、機器の構造が複雑なためメンテナンスに難がありました。
昇圧後は複電圧機能が必要ではなくなる事から、単純な抵抗制御方式を採用した車輛として、この3000系が登場しました。
車体は2021系と同じですが、一部改良が施されています。その後冷房化改造、種別、行先表示器の設置などの改造が行われています。
現在は今津線(北線)、伊丹線で活躍をしています。3100系は中間付随車1両が3000系の編成に組み込まれて活躍をしています。

3300系

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昭和42年に京都線、千里線仕様の車輛として登場しました。千里線と大阪市営地下鉄堺筋線の相互直通運転を行っています。設計は同時期に神戸線、宝塚線向けに登場した5000系と同じとなっています。
特徴として地下鉄線内での車輛故障時に運転に支障が出ないように、電動車のMT比を高く取り、主電動機1台当たりの出力を下げています。乗心地向上を図るためS型ミンデンドイツ式空気ばね台車を履いています。
登場時はまだ堺筋線との直通運転は行われておらず、7両編成で運転が開始されました。昭和44年の直通運転開始までに120両が製造され、5両編成になり運転を行いました。昭和54年に6両編成化、冷房化は昭和56年に行われました。
この冷房化では車輛の変化もあり、灯具類の移設や編成内に組み込まれた先頭車の中間車化改造が行われています。
平成元年には8両編成化が行われています。現在は7両編成と8両編成の2種類が存在しています。初期車の登場から40年以上が経過し、延命工事が行われました。

5100系

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昭和46年に登場した通勤形電車です。神戸本線用の架線電圧1500V専用の5000系、この5000系の冷房試作車5200系に続く、冷房装置を本格的に採用した形式になります。この冷房車を各線区に均等に配置するため、神戸線、宝塚線と京都線では機器類の規格が異なっていましたが、これを極力統一し、全線区での運行を可能とした設計が特徴です。当初は6000系として計画していましたが、京都線に乗り入れていた大阪市営地下鉄60系との番号が重複(60系は車体番号が6000番代となっている)する事から、5000系と5200系の間にある空き番号5100系としています。京都線には後に5300系が投入されたため、神戸、宝塚線のみでの活躍となっています。
5100系の特徴は、従来の阪急電鉄での編成を組成する方法は電動車と付随車を交互に連結するものでしたが、5100系では編成の両端に電動車を配し、中間付随車を挟み込む編成を基本としています。形式は5100形(制御電動車)と5650形(中間付随車)の2形式と少なく、5000系、5300系以降の系列では形式が偶数、奇数向きで異なっていますが、5100系では5100形のみで、偶数番号車はパンタグラフと主制御器といった走行に必要な機器を搭載する車輛。奇数番号車は電動発電機や電動空気圧縮機といった補助機器を搭載する車輛として区分されています。また、当初は編成ごとにも番号の区分があり、4両編成で登場した車輛は下2桁を0番代、3両編成は20番代、2両編成は40番代と区分されていましたが、5132編成以降はそのルールが崩れ、その後の編成替えにより意味をなさなくなっています。3両編成は現在なく、2両又は4両編成になっています。この他、5100形では当初はパンタグラフが1基のみの搭載でしたが、5132編成以降は2基に変更されています。(写真右)また、最近ではシングルアーム式パンタグラフに換装した車輛も見られます。(写真中央)

5300系

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昭和47年に登場した京都線、千里線仕様の車輛です。初めて各線区共通規格車である5100系の機器と3300系の車体を組み合わせた車輛で、登場時より冷房装置(集約分散式)が搭載されています。性能面では5100系とほぼ同じですが、ブレーキ制御方式では初めて電気指令式空気ブレーキが採用され、以降登場する系列に採用される事になります。この他、TD平行カルダン駆動方式も阪急初の採用となっています。冷房装置は4基搭載(昭和49年製造車まで)と3基搭載(昭和50年以降)の2種類があります。
当時は京都線の長編成化が進んでいた時期であったため、3300系と比べると中間車の多い構成となっています。7両編成と8両編成があり、8両編成は2+6両編成で、分割をする事が出来ます。
平成元年より車体更新工事が実施されました。先頭車では前面窓上にあった標識灯は窓下に移動するなどの変化がありました。ただし、中間に組み込まれる先頭車は改造が行われずそのままになっている車輛もあります。(写真右)

6300系

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京都本線の特急列車用の車輛として昭和50年に登場しました。当時、京都線の特急列車用の車輛として2800系が活躍していましたが、予備車がなく、車両検査時には一般車を代走させていました。一般車を利用した乗客からの苦情が多くあり、特急列車のサービス向上を図るため、増備車として登場しました。
車体は2800系と同じく、片側2扉で、乗降扉を両端に寄せ、2連式一段下降窓を配しています。寸法は車輛限界一杯に設計されており、阪急最大の大きさとなっています。
制御機器は5300系を基本としていますが、主幹制御器(マスコン)は、同時期に登場した2200系と同じ、ブレーキ弁ハンドルとマスコンが一体化したワンハンドル式が採用されています。これは、当時2800系ではマスコンとブレーキ弁ハンドルが別れたツーハンドル式でした。特急列車の停車駅は少なく、十三~大宮駅間はノンストップで、約30分近くマスコンを握り続けなければならず、手を離してしまうと速度が低下するどころか、デッドマン装置が作動し非常ブレーキが動作してしまうという、操作上の安全性に問題があることから採用に至っています。
車内は乗務員室直後に2人掛けロングシートがある他は、全席転換式クロスシートとなっており、乗務員室からスイッチ操作による転換も可能となっています。この他にあった設備として、カード式公衆電話があり、特別料金不要の列車に使用される車輛としては日本初となっています。
現在は、嵐山線用と「京とれいん」という観光客向け列車が活躍をしています。
嵐山線で使用されている車輛(左)は8両編成から4両編成に変更となり、あわせて更新工事が実施されています。車内は大きく変わり、9300系で使用されるタイプの転換式クロスシートとロングシートを組み合わせた変則セミクロスシート配置となりました。
もう一方の「京とれいん」は平成23年に登場しました。この車輛も8両編成から6両編成に編成を変更し、内外装を更新工事を含めて改装しています。乗車した時から京都への旅の期待が高まる演出が施されており、京都の「和」と「モダン」をコンセプトとして、京町家をイメージした内装としています。外観には京扇をデザインしたラッピングが施され、「京とれいん」のヘッドマークが装着されています。
車内は3、4号車を京町家をイメージしたものとし、それ以外を京唐紙(きょうからし)をモチーフとした車輛となっています。京町家の車輛は、2+1列の対面式固定クロスシートとし、仕切りを設け半個室風となっています。座席の座面には畳の上に座布団を模したクッションがあります。京唐紙の車輛は座席にテーマに沿ったデザインが施されています。1、2号車は「蘭の華散らし」、5、6号車を「麻の葉」となっています。この他に外国人に対応するため、日本語、英語、韓国語、中国語の季節ごとの案内放送が行われています。

7300系

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昭和57年に登場した通勤形電車です。神戸、宝塚線の7000系の京都線仕様になり、京都線では初めて界磁チョッパ制御方式を採用しています。塗装は当初はマルーン色一色でしたが、平成10年よりアイボリーが加えられ2色塗りになっています。
車体は6両編成で登場した7300編成、7301編成は普通鋼、以降の編成はアルミ製の車体に変更されています。2両編成の増結編成があり、制御電動車である7300形では20番代、制御車は別形式が与えられており、7450形となっています。
平成元年まで製作が続き、その登場時期により内装や新しい機構など種類があります。
平成19年より更新工事が始まりました。写真中央は制御方式の変更を受けたリニューアル車で1300系(2代)と同じVVVFインバータ制御方式となっています。写真右は前面形状も大幅にリニューアルしたものです。9000系に似たものとなり、ぱっと見ただけでは違いが分からなくなっています。

8300系

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平成元年に登場した京都線用の通勤形電車です。神戸、宝塚線8000系の京都線仕様になります。VVVFインバータ制御方式や車椅子スペース、客室窓のパワーウィンドゥ化などは同じですが、クロスシートは設置されておらず、ロングシートのみとなっています。番号では8両編成又は7両編成は8300番代、6両編成は8310番代、2両編成は8330番代となっており、さらに製造時期の違いによりバリエーションが豊富です。
写真左は初期形のタイプで前面が額縁スタイルとなっています。平成5年に増備された車輛(写真中央)より前面形状が変更され、同時期に製作された8000系8033編成と同じ、くの字形状に変更され外観の印象が異なります。さらに平成7年に登場した最終編成8315編成(写真右)ではパンタグラフがシングルアーム式に変更される違いがあります。

9300系

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平成15年に京都線に登場した特急形車輛(特急列車の運用が主になる車輛)です。京都線の特急列車の本数が増加した事に伴い、8300系などロングシート車を用いた運用が増えたため、クロスシート車の比率向上、老朽化の進む2300系、6300系の置換えを目的に設計されました。
車体は3300系や6300系といった各系列の京都線仕様の車輛と比べると車体幅が狭く、神戸、宝塚線仕様の車輛より車体幅が若干大きいサイズとなっています。これは、大阪市営地下鉄堺筋線、神戸高速鉄道、山陽電気鉄道の車輛限界を考え、車体側面の厚みを薄くする事で居住性が確保されるという事で、将来神戸、宝塚線の車輛限界が拡大されれば転用も出来る設計にもなっているためです。7300系もこの規格で設計されていましたが、当時の製造技術では側面の厚みを薄くする事が難しく、居住性に難があり、8300系では車体幅を京都線の仕様にしていました。
内装関係では、京都線の特急形車輛は乗降扉は片側2扉、転換式クロスシートを配する事が2800系からの伝統とされてきましたが、特急列車の停車駅の増加により、乗降が多くなるため片側3扉構造としました。座席やシートピッチ間隔は窮屈にならないように配慮されています。

5000系

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昭和43年に登場した通勤形電車です。1960年代、輸送力増強と神戸高速鉄道、山陽電気鉄道への乗入れ計画が具体化し、神戸線の架線電圧を600Vから1500Vへ昇圧が予定されました。これに対応できる複電圧車2021系が在籍していましたが、構造が複雑で保守面でも手を焼くという欠点がありました。そこで、シンプルな抵抗制御方式の3000系を製造しました。
5000系は昇圧後は600Vに対応する機器が不要となることから、それら機器を搭載せず、居住性や乗心地を改善する目的として登場しました。車体は先々代となる2000系からの構造とし、下廻りは3000系に準じたものとしています。3000系と異なるのは当初からユニット方式となっている点になります。5000系は非冷房車で、増備形式は冷房装置を搭載した5200系となっています。冷房化改造は昭和48年から行われました。
編成は当初はMc+M+Tcの3両編成を2本連ねた6両編成で活躍を始めました。最終編成では中間付随車が1両製作され、宝塚本線で活躍を始めます。山陽電気鉄道との乗入れが始まると、三宮駅での増解結が行われる事になり、6両編成に2両編成を加えた8両編成としました。このため一部の編成を崩しました。この増解結は6000系に置き換えられると、4両編成とする事になり、中間付随車は1両しかないため、構造に難のあった2021系を付随車化改造して組み込みました。
昭和59年に更新工事が実施され、先頭車前面に行先表示器が設置されるなどの変化がありました。平成19年までにはリフレッシュ工事と言われる大規模な更新工事が施される事になり、前面は写真のように近代的なものとなり、編成も8両固定編成にされるなど大きな変化があります。(今津線の車輛は6両編成)

6000系

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昭和51年に神戸線、宝塚線用の通勤形電車として登場しました。携帯は5100系の電装品と2200系の車体を組み合わせたもので、ブレーキシステム(電気指令式空気ブレーキ)も2200系と同じとなっています。
最初に登場した編成(写真左)は阪急では初めてとなるアルミニウム合金が車体の素材に使用されています。その後の編成(写真中央)は普通鋼となっています。塗装は伝統のマルーンでしたが、平成10年よりアイボリーが追加されています。
編成は宝塚線用が4M4Tの8両編成、神戸線は6両基本編成と2両附属編成の組み合わせで6M2Tの8両編成となっています。この他に今津線、甲陽線でワンマン運転対応改造が施された3両編成もあります。(写真右)

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6000系のグループでは2200系からの改造車も含まれており、写真の編成では両端の先頭車(6150形、6050形)が該当します。なお、中間車は全て7000系となっている珍編成ともなっています。中間車は全て付随車で、6000系の一部編成に6550形6750番代として組み込まれています。

7000系

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昭和55年に登場した神戸線、宝塚線用の通勤形電車です。6000系に似ていますが、制御方式は回生ブレーキ付界磁チョッパ制御方式が違いとなっています。登場時は8両編成の0番代(写真左)、山陽電鉄乗入れ用6両編成は20番代(写真中央)、1M1Tの2両増結用編成は30番代(写真右、写真は相方の制御車7150形)と区分がありましたが、編成替えを繰り返した結果、現在では20番代なのに8両編成や30番代なのに4両編成があるなど番代の意味合いはあまりないようです。
また、車体では昭和59年に製造された7011編成、7021編成以降は普通鋼からアルミニウム合金製になっています。この他にも省エネ対応など細かい部分に変化が見られます。

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平成10年より更新工事が実施されており、一部の編成では制御方式を1000系(2代)に準じたVVVFインバータ制御方式にするなどの変化があり、外観でも工事の内容により違いを見ることが出来ます。

8000系

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昭和63年に登場した神戸線、宝塚線用の通勤形電車です。創立80周年記念で登場しました。8000系では前面デザインが、丸みのあるデザインから、縁が一段出っ張っている「額縁」スタイルとなり、角ばったデザインとなっているのが特徴です。
7000系をベースに設計されたアルミニウム合金製で、塗装はマルーンにアイボリーを加えたものを採用しています。制御方式はGTOサイリスタ素子を用いたVVVFインバータ制御方式を採用。また、2000系以来となる定速制御装置(阪急では惰行制御装置)を装備しています。車内は編成の新開地、宝塚方2両がセミクロスシート仕様としています。しかし、混雑する事が多い神戸線では全車をロングシート仕様とした編成がつくられています。
前述の通り、8000系は写真左のように額縁スタイルでしたが、平成5年に登場した編成(写真中央)より、額縁からくの字形のはと胸スタイルに変化、車輛の番号も助手側に移動する変化がでました。平成9年の最終増備車(宝塚線増結用2両編成3本)(写真右)では台車がボルスタレス台車、パンタグラフはシングルアーム式、8200系と同じ機器類を搭載し大きな変化を見せています。この最終増備車は余りに違いが大きいことから「8040形」とも別形式に区分される事もあるようです。

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写真の8001編成は新型インバータ制御方式の試験として平成24年にSiC(炭化ケイ素)を使用した新型のVVVFインバータ制御方式にしています。主電動機も永久磁石同期電動機(PMSM)に変更。従来のGTOサイリスタ素子を用いたVVVFインバータ制御、誘導電動機と比較すると全体で約50%の消費電力削減を図る事が出来ました。この結果、SiC素子の採用は見送られましたが、PMSMを使用する事が決定し、1000系(2代)、7000系更新車(平成28年以降)で本格的な採用を行っています。

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写真は8003編成ですが、数本の編成で前面の額縁を浅くする改造を行いました。その際、識別のためでしょうか車輛番号が貫通扉から助手側に移動しています。当初は違いが見られたのですが、途中より削られる量が減り、車輛番号の移動も無く見分けるのが難しくなっています。また、8003編成を含め数編成で元に戻されています。車輛番号はそのまま。

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写真は8008編成で額縁前面を持つグループでは唯一シングルアーム式パンタグラフを装備しています。冷房装置のキセも交換されており、他の編成とは趣が異なっています。

8200系

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平成7年に登場した通勤形電車です。神戸本線のラッシュ時間帯輸送力が限界に達しつつあり、増結用編成として本系列が誕生しました。2両編成2本、4両のみの小世帯となっています。8000系の派生系列で、車体構造や主要機器などに試作要素が含まれているため、阪急での試験車(試作要素の含まれる車輛)を意味する200番代が形式に付けられています。(この他に5200系や2200系があります。)
車体構造は8000系に準じており、押出し形材を用いたアルミ合金製車体です。乗降扉部分は従来よりも間口を拡大しています。制御方式はこれも8000系と同じGTO素子を用いたVVVFインバータ制御方式ですが、粘着性の改善を図るため日本製VVVFインバータ制御では初めてのベクトル制御方式を採用しました。
この8200系の最大の特徴は車内にあります。従来車と変わらないロングシート仕様なのですが、混雑時に混雑率の高い梅田方に増結する事を前提とし、JR東日本所有の205系サハ204形式6扉車などで採用されて、実績を上げていた折り畳み式座席を採用しました。これは近畿地方の鉄道事業者では初めての採用です。この他、LED式車内案内装置、液晶ディスプレイが設備としてあります。
朝の混雑時間帯において最も混雑が激しい列車に使用され、座席が無い(収納されている)本形式は混雑緩和に絶大な効果を見せました。しかし、隣接するJR西日本の新型車輛導入や乗客数減少により混雑が緩和された事。また、着席が出来ない事が乗客の不満を招いてしまい苦情が絶えなかったことから2編成4両の製作に留まってしまいました。
現在は座席を9000系に準じたものとし、スタンションポールや枕木方向に配置された吊り革の撤去などが行われています。

9000系

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平成18年に登場した神戸線、宝塚線向けの通勤形電車です。京都線向けの9300系と同じ日立製作所のA-trainで、基本的なデザインは同じですが、全長、最大幅が少し異なります。また、9300系は特急列車の運用を主体としているため、転換式クロスシート仕様となっていますが、9000系は通勤形なのでロングシート仕様となっています。
制御方式はIGBT素子を用いた純電気ブレーキに対応したVVVFインバータ制御方式となっています。