所有路線
大阪市営地下鉄

御堂筋線 江坂~中百舌鳥(なかもず)駅 24.5km 全線複線 電化(直流750V・第三軌条方式)
谷町線 大日~八尾南駅 28.3km 全線複線 電化(直流750V・第三軌条方式)
四つ橋線 西梅田~住之江公園駅 11.8km 全線複線 電化(直流750V・第三軌条方式)
中央線 コスモスクエア~長田駅 17.9km 全線複線 電化(直流750V・第三軌条方式)
千日前線 野田阪神~南巽駅 13.1km 全線複線 電化(直流750V・第三軌条方式)
堺筋線 天神橋筋六丁目~天下茶屋駅 8.1km 全線複線 電化(直流1500V)
長堀鶴見緑地線 大正~門真南駅 15.0km 全線複線 電化(直流1500V)
今里筋線 井高野~今里駅 11.9km 全線複線 電化(直流1500V)

南港ポートタウン線

南港ポートタウン線 7.9km コスモスクエア~住之江公園駅 案内軌条式(AGT)

大阪府大阪市を中心に公営交通事業を行っている大阪市の地方公営企業です。現在は大阪市営地下鉄、新交通システムを運営し、路線バスも運営しています。過去には路面電車及びトロリーバスの運営も行っていました。
大阪市営地下鉄は日本で初めての公営地下鉄として昭和8年に御堂筋線の梅田~心斎橋駅間を開業させたのが始まりです。その後、延伸や新しい路線が増え、現在は8つの路線が営業を行い、公営地下鉄としては日本最大を誇ります。民営、第三セクターを含めても東京地下鉄(東京メトロ)に次ぐ大きさとなっています。
8つの路線にはラインカラーがあり、長堀鶴見緑地線以降の路線はラインカラーの意味が付けられていますが、それ以前の路線は正式なものでなく、いつの間にかそのような意味として定着しました。
御堂筋線・・・大阪の大動脈を意味する「」(臙脂色)
谷町線・・・・沿線にお寺が多くあり、高僧の袈裟をイメージした「」(京紫)
四つ橋線・・・御堂筋線に対し「静脈」を意味する、また海沿いに近い場所を走る事から「」(縹(はなだ)色)
中央線・・・・大阪城公園の木々をイメージした「」色
千日前線・・・夜の繁華街に美しく輝くネオンをイメージした「桃色」(紅梅色)
堺筋線・・・・相互乗入れを行っている阪急電鉄にあわせて「茶色
長堀鶴見緑地線・・・鶴見緑地で催された国際花と緑の博覧会のテーマカラーである「黄緑」(萌黄色)
今里筋線・・・東から昇る太陽の温かさをイメージした「ゴールデンオレンジ」(柑子色)
南港ポートタウン線はコスモスクエア~住之江公園駅を結ぶAGT(自動案内軌条式旅客輸送システム:Automatrd Guidway Transit)路線で、愛称は「ニュートラム」です。
路線は大阪南港にある咲洲の住宅団地南港ポートタウン、フェリーターミナルの交通手段として昭和56年に住之江公園~中ふ頭駅間が開業しました。この開業は神戸新交通ポートアイランド線(ポートライナー)に次のもので、日本では二番目の本格的AGT路線です。公営交通のAGT路線では初めてで、東京都交通局の日暮里舎人ライナーが開業するまでは唯一のAGT路線でもありました。
平成7年にコスモスクエア~中ふ頭駅間が開業。大阪港トランスポートシステムが運営する南港・港区連絡線(ニュートラムテクノポート線)として開業しました。大阪市交通局のニュートラムとは別の会社で、運賃が割高な事もあり利用者が低迷していました。そこで、大阪市に売却し、南港ポートタウン線に編入して現在に至っています。この路線は中ふ頭駅が起点となっており、キロポストが反対方向へ進むと増えていく。という特徴があります。

10系

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御堂筋線と相互乗入れ先となる北大阪急行電鉄南北線で活躍する通勤形電車です。
昭和48年に谷町線において急行列車用として試作車がつくられ、形式名は20系として登場しました。しかし、急行列車の運行計画は中止となってしまいました。
この20系は当時最新であった電機子サイリスタチョッパ制御方式で、抵抗制御方式と比べると放熱量は格段に少なく、トンネル内の温度上昇を抑えるためには効果的な制御方式となっていました。その頃、御堂筋線ではトンネル内の温度上昇が問題となっており、この20系を転用する事にしました。中間車を新造し4両増えた8両編成に変更し、形式名も10系へと改番しました。
車体はアルミ合金製18m級片側4扉構造で、昭和54年より登場した量産車では冷房装置が搭載されています。昭和62年には9両編成が登場。8両編成も後に9両化されました。さらに平成7年になると10両編成化されます。後継の新20系が投入される事が決まっていたため、初期の編成を分割し、それぞれの編成に組み込む手法が採られています。
平成10年からはVVVFインバータ制御方式への変更及び更新工事が実施され、外観では写真右のように白色の帯が追加されており、区別は容易となっています。この工事を実施した車輛は10A系と言います。

20系・新20系(21~25系)

大阪市営地下鉄の通勤形電車で、現在の主力車輛です。この20系には大きく別けて3種類あり、上の10系の電機子チョッパ制御方式の試作車で昭和48年に登場した20系(初代)、昭和59年に登場したVVVFインバータ制御方式を採用した20系(2代)、平成2年に登場したVVVFインバータ制御方式を採用した新20系(21~25系)となります。ここでは20系(2代)(以下20系)と新20系を紹介します。
大阪市営地下鉄の新規路線開業や長らく活躍してきた抵抗制御方式の車輛の老朽化や陳腐化による置換え、冷房装置搭載によるサービス向上を目的として登場した車輛がこの20系及び新20系になります。
20系、新20系で採用されているVVVFインバータ制御方式の研究はオイルショックがきっかけとなります。建設費が高騰となり、安価に抑える研究が始まりました。この研究の結果は長堀鶴見緑地線や今里筋線で実る事になります。この研究の過程で、建設費がかかってしまう大きな要因としてトンネル建設があります。トンネルの断面を小さくする事で費用が低く抑えられる事になりますが、小さくするためには車輛に使用される車輪径や床面高さを縮小する事が必須になります。しかし、床下機器も小さくまとめなければならない問題があり、折しも半導体技術が日進月歩で発達していたため解決の糸口となりました。
三相誘導交流電動機はメンテナンスフリー、コンパクト、大出力化が用意などのメリットがあるものの、起動トルク(動き出す時の力)が小さい問題があり、これを解決しなければなりませんでした。一方、この電動機をコントロールするスイッチング素子の研究も実用化段階を迎えており、これを組み合わせる事で出来上がったのが可変電圧可変周波数制御方式、VVVFインバータ制御方式です。この新しい制御方式を採り入れた20系第1号編成が昭和59年に登場しました。日本で初めてVVVFインバータ制御方式を採り入れた熊本市交通局8200形に続くものですが、高速電気鉄道用としては日本で初めての事となります。
ブレーキ制御方式は回生ブレーキ付電気指令式空気ブレーキで、遅れ込め制御機能も付いています。

20系

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昭和59年に中央線、平成元年に谷町線用として登場した系列です。中央線は0番代、谷町線は30番代と番代区分がされていますが、ラインカラーが異なるだけでほぼ同じとなっています。現在は谷町線の車輛は中央線に転属し、活躍をしています。
車体は10系をモデルとし、切妻構造のアルミ合金製車体となっています。前面は周辺にFRP製の縁飾りを付けた額縁スタイルで、当時流行っていた窓周辺を黒くするブラックフェイスとなっています。灯具類を前面窓上部に廃止し、独特のスタイルに仕上がっています。
平成18年に乗入れ先である近鉄けいはんな線生駒~学研奈良登美ヶ丘駅延伸開業に伴い、同線の運転最高速度向上が行われました。この際、VVVFインバータの制御素子をGTOサイリスタ素子からIGBT素子に変更されています。

新20系

非冷房車である30系、50系の老朽化による置換えを目的に登場した系列で、平成2年から平成8年にかけて御堂筋線、谷町線、四つ橋線、中央線、千日前線に投入されました。路線ごとに21系~25系まであり、総称として新21系と呼びます。
20系は切妻構造のアルミ合金製車体ですが、新20系ではデザインが大きく変わり、車体も軽量ステンレスを用いています。

21系(御堂筋線用)

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御堂筋線に平成3年に登場したもので、当初は9両編成でしたが、現在は10両編成となっています。

22系0番代・22系50番代(谷町線用)

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谷町線に平成2年に登場しました。平成18年の近鉄けいはんな線延伸開業では中央線との間で車輛の転属が行われ、中央線と大阪港トランスポートシステムが所有していたOTS系が編入され50番代と区分されています。

23系(四つ橋線用)

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四つ橋線に平成2年に登場しました。当初は5両編成と6両編成がありましたが、現在は6両編成に統一されています。

24系0番代・50番代(中央線用)

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中央線に平成2年に登場しました。50番代は平成17年より大阪港トランスポートシステムが所有していたOTS系で、シンボルマークの変更などが行われています。

25系(千日前線用)

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千日前線に平成2年に登場しました。閑散線区であるため4両編成と新20系の中では最も短いのが特徴。また、他線区からの余剰車が最後に活躍する線区となっていましたが、初めて新車が直接投入されました。

66系

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平成2年に登場した堺筋線用の電車です。堺筋線のほか、相互乗入れ先の阪急千里線、京都線でも見る事が出来ます。堺筋線では非冷房車の60系が使用され、一部では冷房化改造も行われましたが、阪急電鉄の車輛に比べるとサービス面での見劣りがあったため、その改善を目的に登場しました。
同時期の登場した新20系と同じくVVVFインバータ制御方式を採用しました。新20系と同じ軽量ステンレス車体で似ていますが、丸みのあるデザイン、乗降扉が片側3扉など違いが見られます。また前面灯具類の配置は阪急の車輛と同じとなっています。
平成24年より更新工事が行われており(写真右)、スカートの装備や車輛番号の位置が変更されるなどの変化が見られます。

30000系

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平成21年に谷町線(写真左)、平成23年に御堂筋線(写真右)にそれぞれ登場した通勤形電車です。軽量ステンレス製のビートレス車体が特徴で、前面も切妻形状から丸みを帯びたデザインになっています。台車や冷房装置は従来車で試験をしてきたものや使用してきたものを改良した新しい技術を採り入れたものを使用しています。
この30000系の登場により、大阪市営地下鉄の全ての営業車輛は電機子チョッパ制御、VVVFインバータ制御方式を採用し、回生ブレーキが備わって省エネ車輛100%を達成しました。
第1編成は先行試作車で、この車輛の試用結果をもとに以降増備が行われるごとに細かい部分の改良が行われています。

70系

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平成2年に開業した長堀鶴見緑地線用の通勤形電車で、リニアメトロ車輌とも言います。当時、営業用鉄道車輛では日本で初めての営業用鉄輪式リニアモーターカーとなります。
この鉄輪式リニアモーターカーとは、車輛そのものは浮上はせず、車輪で支持するというもので、リニアモーター駆動方式とも言います。直線状の板状モーターを使用する事で車輛の低床化が可能となり、トンネル断面を小さくする事が出来ます。小さくする事によりトンネルの工事費が抑えられるほか、急勾配でも急曲線でも無理なく走行できるため建設場所が限定されないため採用に至りました。
車体はアルミニウム合金製で、フッ素樹脂(アイボリーホワイト)で塗装されています。運転台はワンマン運転に対応するため、進行右側に配置されています。集電は第三軌条方式ではなく、架線集電方式となっており、コンパクトな設計の出来るシングルアーム式を日本の鉄道では初めて採用しています。
平成8年に心斎橋~京橋駅間、平成9年に大正~心斎橋駅、鶴見緑地~門真南駅間が延伸され、その都度車輛が増備され、現在4両編成25本が活躍をしています。

80系

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平成18年に開業した今里筋線の通勤形電車(リニアメトロ車輌)です。長堀鶴見緑地線用70系と同じリニアモーターカーですが、設計変更点が多くあります。
主にコストダウンが図られており、行先表示器の字幕式に変更などが見られます。車体はアルミニウム合金製で、先頭形状は70系に似ています。薄いクリーム地に今里筋線のラインカラーであるオレンジ色が配され、先頭車には今里筋線の正式名称である「大阪市高速電気軌道第8号線」の「8」をモチーフとしたマークとリニアモーター駆動を示す「LIM」の表記が施されています。

100A系

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この車輛は南港ポートタウン線(ニュートラム)用の車輛です。昭和56年の開業と同時に100系が登用しました。この車輛は普通鋼製の車体を持っており、塩害により車体の腐食が見られるようになったため、車体をステンレス製とした同じ仕様の車輛に置き換えました。平成3年より登場したのがこの100A系となります。
平成27年より、後継の200系が投入され置換えが行われています。