所有路線
●鉄道事業
地下鉄(都営地下鉄(東京都地下高速電車))
浅草線 西馬込~押上駅 18.3km 全線複線、電化(直流1500V)
三田線 目黒~西高島平駅 26.5km 全線複線、電化(直流1500V)
新宿線 新宿~本八幡駅 23.5km 全線複線、電化(直流1500V)
大江戸線 都庁前~光が丘駅 40.7km 全線複線、電化(直流1500V)
モノレール(東京都懸垂電車)
上野懸垂線 上野動物園東~上野動物園西駅 0.3km 全線単線、全線電化(直流600V)
●軌道事業
路面電車(都電(東京都電車))
荒川線 三ノ輪橋停留場~早稲田停留場 12.2km 全線複線、電化(直流600V)
新交通システム(案内軌条式鉄道)
日暮里・舎人ライナー 日暮里~見沼代親水公園駅 9.7km 全線複線、電化(三相交流600v/50Hz)
東京都、その周辺区域において交通事業を行っている東京都の局になります。公営交通で5種類(地下鉄、路面電車、新交通システム、モノレール、バス)を運営する事業者は東京都交通局のみとなっています。トリビアとして、東京都交通局は電気事業も行っており、多摩川の上流にある白丸ダムとその周辺にある3か所の水力発電所を管理しています。

5000形

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昭和35年に浅草線開業に合わせてつくられた通勤形電車で、平成8年まで活躍しました。登場した頃は2両編成でした。その後、路線延長と共に4両編成に。浅草線が全通した昭和43年には6両編成化されました。平成3年になると8両編成化されて活躍しました。
車体側面は営団地下鉄丸ノ内線500形に準じた設計で、台車は金属ばねと空気ばねの2種類がありました。制御方式は抵抗制御方式で、歯車比は低速域を重視しており、高速域では振動が酷く、運転最高速度は100km/h程度となっていました。
昭和51年には昭和43年以来の久しぶり増備が行われました。5000形登場以降に登場した三田線用6000形や新宿線用10-000形試作車の設計要素を盛り込んだ車輛が製作される事になりました。車体を普通鋼製からセミステンレス構造に変更し、外観は大幅に変化し、他の形式となるスタイルですが、走行機器が同じであるため5000形となっています。ファンからは区分番号の5200番代を5200形として呼んでいました。
昭和63年ごろより冷房化が行われました。浅草線のほか、京浜急行電鉄、京成電鉄、北総鉄道にも乗り入れて活躍をしました。

5300形

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平成3年に浅草線に登場した通勤形電車です。老朽化、陳腐化の進む5000形置換え及び冷房化などによるサービス向上を目的に設計されました。設計にあたっては・・・
①都会的センスのあふれる斬新なデザイン
②明るく爽やかな車内
③乗り心地の良い車輛
④サービス向上により利用し易い車輛
⑤新技術を採り入れメンテナンスフリー化
と21世紀を目指し、ふさわしい車輛とするコンセプトにしました。前面は流線型で、行先表示器には都営地下鉄の車輛では初となるLED式が採用されました。車体は軽量化を図る目的でアルミニウム合金製の大型押し出し材を多く用いたものとなっています。塗装色は白色(アーバンホワイト)をベースに赤色、茶色の帯を巻いています。外観の主な違いとして初期車(1~4次車:写真左)はスカート(排障器)が短いのですが、5次車より大型化されています。
車内は握り棒や袖仕切りなど丸みのあるデザインを採り入れ、白を基調としたものとなっています。座席はバケット式ロングシートで、側窓のカーテンには隅田川のさざなみをイメージした柄が入っています。この他、LEDスクロール式車内案内表示器が千鳥配置されています。車椅子スペースは1次及び2次車は4、5号車、3次車以降は1、8号車の乗務員室後部に設置されています。
制御方式はGTO素子を用いたVVVFインバータ制御方式、ブレーキ制御方式は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(遅れ込め制御付き)を採用しています。
現在、浅草線の主力として、また京急電鉄や京成電鉄、北総鉄道にも乗り入れて活躍をしています。

6300形
平成5年に登場した三田線の通勤形電車です。平成元年より6000形(秩父鉄道5000系(譲渡車)を参照して下さい。)の冷房化改造を始めましたが、三田線開業時より活躍してきた6000形初期車は25年以上経過しており、置換えの時期を迎えていました。そこで、本形式を導入し置き換える事で、車輛の更新及び冷房化の促進を行う事になりました。
サービスの向上、メンテナンスフリー、省エネ化をコンセプトに設計したほか、平成12年より予定されている三田~目黒駅延伸開業、目黒より先の東急目黒線相互乗入れに備えるため、東急電鉄、東京メトロとの間で決められた車輛規格で設計しています。
車体は軽量ステンレス製車体で、JR東日本所有の209系向けに開発された2シート貼り合わせ工法を採用しています。前面はFRP製で、三田線のラインカラーである水色と東京都交通局の情熱を表す赤色の帯で構成されています。相互乗入れ先の東急目黒線、駅施設を共有している東京メトロ南北線と合わせて、将来8両化の予定があるため、対応した設計をしています。運転台にはATC装置やATO装置を使用したワンマン運転の準備工事が施されました。
6300形は6両編成37本がつくられ、1次車、2次車は6000形非冷房車置換えを目的として13本がつくられ、3次車となる残りの24本は6000形の完全置換え、目黒駅延伸用としてつくられました。1次、2次車と大量生産された3次車ではコストダウンにより仕様が異なります。
車内は「人にやさしい感覚の快適な移動空間」をコンセプトとし、明るく暖かみのある車内としています。化粧板は白色系で、床材は1次、2次車では中央部を朱色系の石目模様、外側を灰色の2色。3次車では灰色としています。座席モケットは赤色系(ベネチアンレッド)、優先席は薄紫色(バイオレット)とし、1次、2次車では都営地下鉄の車輛では初となる対面式クロスシートが設置されています。3次車はロングシートのみの構成です。
制御方式はVVVFインバータ制御方式ですが、1次、2次車ではGTO素子、3次車ではIPM-IGBT素子を使用。素子の冷却も1次、2次車は冷媒(パーフロロカーボンクラント)を使用し、3次車では走行風を利用した自然通風ドライパネル冷却方式としています。
●1次車(6301~6305編成)

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外観ではスカート(排障器)が左右につながっていない、小型のものとなっています。平成17年よりC修繕工事(10年程度経過した車輛に対して行われる簡易的な修繕工事)が実施され、内装を中心に施されています。
●2次車(6306~6313編成)

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スカートが大型化されたものを装備しています。1次車と同様に平成19年よりC修繕工事が実施されており、一部の編成では誘導無線の撤去が行われており、台座だけが残された編成もあります。
●3次車(6314~6337編成)

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スカートが車体下部に接しない、軽快感のある形状に変更されています。6330編成以降では屋根上に誘導無線のアンテナが省略されており、外観の違いの一つになっています。

10-000形(いちまんがた)
昭和46年に登場し、路線延長、8両編成化、列車増発などの理由により、少しずつ増備が進み、平成9年まで224両(8両編成28本)がつくられました。現在でも活躍をしており、ステンレス車ながら屋根上を見るとグローブ形ベンチレーターを使用するなど、どことなく昭和の空気を感じられる新宿線用の通勤形電車です。
長い期間にわたって製作されており、色々な所に違いがあります。車体では試作車及び1次、2次車は内部構体に普通鋼を用いたセミステンレス構造で、3次車以降はステンレス構造となっています。制御方式はチョッパ制御方式ですが、1~7次車は電機子チョッパ制御方式、最終増備グループとなる8次車ではGTOサイリスタ素子を用いたチョッパ制御方式となっています。では、もう少し違いを詳しく見てみましょう。
●試作車(10-010編成)
セミステンレス車体の全電動車で構成された4両編成で登場しました。登場した当時は新宿線は開業しておらず、三田線で試運転を行いました。このため、台車は1067㎜狭軌対応の台車を履いて登場しています。冷房装置、自動窓閉め機構、ATO装置、世界では初の試みとなる地図式車内案内表示装置などが装備されました。
昭和53年新宿線の開業を控え、量産車化改造が行われ、先頭車の電装解除、新宿線の線路幅である1372㎜軌間の台車の交換、屋根上機器の移設などが行われ上、量産車でつくられた中間車を組み込んで6両編成で活躍を始めました。セミステンレス車体であるため、内部構体の老朽化が進んでおり平成16年に新型車輛に置き換えられ廃車となっています。
●1次車(10-020~10-090編成)及び試作車編成増結用中間車2両・2次車(10-100~10-180編成)

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量産車からは編成が6両編成となりました。1次車は昭和53年の岩本町~東大島駅間開業、2次車は昭和55年の新宿~岩本町駅間開業に合わせて用意された編成です。
試作車と同じセミステンレス車体の2段窓(いわゆる田の字窓)構造ですが、前面は貫通扉以外をFRPとした額縁スタイルになりました。また仕上げもヘアラインからダルフィニッシュ仕上げになっています。
このグループもセミステンレス車体により老朽化が進んでいたため、新型車輛に置き換えられる事になり、平成17年から平成18年にかけて全て廃車されました。
●3次車(10-190~10-210編成及び10-120~180編成の中間車2両)

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昭和61年船堀~篠崎間の延伸開通に伴い増備されたグループです。10-190編成(第19編成)となるこのグループからオールステンレス構造の車体となり、客室窓は1段窓となっています。また、8両編成でつくられました。6両編成で登場した10-120~10-180編成の増結用中間車もつくられました。10-300形の増備が進み、平成25年にこのグループも消滅しています。
●4次車(10-220編成、10-230編成)

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昭和63年に登場したこのグループより冷房装置を搭載して登場しました。このグループ以降が現在、活躍をしており、更新工事で表示器のLED化など変化が見られます。
●5次車(10-010~10-110編成8両編成化に伴う、中間車末尾が7と8の車輛)

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試作車及び1次車、2次車の8両編成化に合わせてつくられた中間車です。登場時は組み込む編成に合わせて冷房準備車となっていました。セミステンレス車体の編成が廃車となりましたが、この5次車の車輛及び3次車でつくられた車輛は車齢が若い事から10-300R形の中間車へと転用されて活躍しています。(左10-361、右10-362)
●6次車(10-240編成)

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輸送力増強のため、登場した編成です。
●7次車(10-250編成及び10-260編成)

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平成4年に登場したグループです。自動放送装置、車内案内表示器(地図式とLED式を千鳥配置)を装備しました。地図式は急行列車の運用が京王線にも拡大したため、対応が出来なくなったので、平面に埋める改造を行い、8次車と同じ紙製の路線図を掲出しています。この他、化粧板が黄色から白色系に変更、座席もピンク色から更新車で使用されている青色系に変更しました。平成16年にATC機器を更新した際に、スカート(排障器)が設置され、外観に変化が出ています。
●8次車(10-270編成及び10-280編成)

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平成9年に登場した10-000形最後のグループです。側面のコルゲートがビードプレスに変更されたほか、前面の配色や額縁形状が変更となっています。この頃の新造される電車の多くがVVVFインバータ制御方式でしたが、新宿線に採用されているATCシステムが誘導障害を起こすため、チョッパ制御方式となりました。この8次車が京都市営地下鉄10系6次車と共に、日本では最後のチョッパ制御方式で新造された車輛となります。

10-300形(いちまんさんびゃくがた)
平成17年に登場した新宿線用の通勤形電車です。新宿線の開業より10-000形(いちまんがた)を使用してきましたが、セミステンレス構造の初期車は登場から25年以上が経過しており、老朽化、陳腐化が目立ち始めました。また、新宿線の保安装置(ATC)と列車無線の更新を行うため、置換えと機器更新に対応する形式として登場しました。
車輛のモデルとなったのはJR東日本が所有するE231系で、20m級片側4扉構造のステンレス製車体、列車情報管理装置(TIMS:ティムス)などを設計に採り入れ、開発や製造コストの低減を図っています。
●10-300形1次車(10-370~10-480編成)

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10-000形初期車の置換えを行うため、8両編成12本がつくられました。(10-370~10-480編成)車体には新宿線のラインカラーである黄緑色(リーフグリーン)の太い帯と紺色(ダークブルー)の細い帯が配されています。車体、走行機器など多くがE231系と同じものを使用しており、前面はオリジナルデザインとなっています。編成構成は勾配の多い地下鉄線を走るため、8両編成は5M3T、10両編成は6M4Tと電動車の比率を高めています。
制御方式はE231系500番代、800番代に採用されているIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御方式で、ブレーキ制御方式は回生ブレーキ、純電気ブレーキの機能を有しています。
●10-300R形(いちまんさんびゃくあーるがた)

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置換え対象となった10-000形初期車の中間車には6両編成化又は8両編成化の際に増備された車輛(昭和61年、昭和63年製)があり、車体もオールステンレス製で経年が浅い事から更新工事を行い(あわせて形式変更も行っています。)、先頭車を保安装置更新のため製造する事になりました。この先頭車(10-310~10-360及び10-319~10-369)を10-300R形と呼びます。この先頭車は外観はほぼ同じで、青色の帯が中間車に合わせるため先頭部だけに配されている点が違いとなります。
10-300形との最大の違いは、10-000形車輛と組み合わせるためメカニズムを10-000形の7次車及び8次車と同じにした点にあります。そのため、ドアを開ける装置(ドアエンジンと言う。)では10-300形では電気式(スクリュー式)であるのに対し、10-300R形は空気式としているなど従来車と同じ機器を搭載して互換性を持たせています。なお、10-000形の低圧回路は三相交流200Vで、10-300R形は三相交流440Vであるため、昇圧変圧器を設置し、10-300形の電機品を使用できるようにして部品の共通化を図っています。
10-300形及び10-300R形の車内は緑色を基調とし、シンプルかつモダンなイメージとしており、基本的にはE231系と同じ。しかし、韓国・大邱地下鉄放火事件を踏まえ火災対策が強化されており、E231系E231系では天井冷風用ダクトや側窓キセなどの内装部材にFRPが使用されていますが、金属製(アルミニウム)に変更しています。また、床にも火災発生時に有毒ガスの発生しないゴム材を使用しています。座席はオールロングシートで、客室窓には濃い緑色の紫外線(UV)カット、熱線吸収ガラスを使用してカーテンの設置を省略しています。
●2次車(10両編成化に伴い、新造された中間車)

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8両編成であった10-300形のうち、一部の編成を輸送力増強、混雑緩和を目的に10両編成化する事となり、平成22年に中間車がつくられ、組み込まれました。(3号車及び5号車)
この組み入れの際に発生した問題(電気的な問題(パンタグラフ離線対策及び高圧引き通しなど)、メンテナンス作業)を解決しなければならず、当初の計画とは少し異なりました。組み込まれた編成は前面に「10CARS」のステッカーが貼られています。
●3次車(10-490、10-500、10-510編成)

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平成25年より登場したグループで、混雑緩和を図る目的と10-000形の置換えを目的に登場しました。JR東日本が所有する常磐緩行線用E233系2000番代をモデルとして製作。主な仕様は1次車と機器の互換性を考えて設計されています。車体構造は衝突事故発生時の安全性向上を図るために、車体強度を高めています。デザインは新車である事が判る明確なもの、今後導入が予定されているホームドアを設置した際を考えて、車体上部を強調できるものとしました。前面は全体的に黒色で、灯具類の設置個所の変更、帯色の配置変更(客室窓上にラインカラーの黄緑色、窓下に紺色。あわせて戸袋部にスピード感を表した斜めの線を入れています。)が行われています。車体外板は1次、2次車では一部光沢仕上げであったものを、汚損防止を見区的として全体的に光沢外板(ベルトグラインド仕上げ)としています。行先表示器などはフルカラーLEDを採用しました。
車内もバリアフリー化、ユニバーサルデザインの向上を図ったものとしており、手すり形状などに変化が見られます。
●4次車(10-520、10-530、10-540編成)

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3次車の増備車に当たるグループで、外観では紺色の帯の下に黄緑色が追加されています。車内では3次車で採用された案内画面が1面から2面構成になりました。

12-000形(いちまんにせんがた)
昭和61年に試作車が登場し、平成2年に量産車が登場し、大江戸線で活躍する通勤形電車です。車体はアルミニウム合金製で、大江戸線のラインカラーである紫紅色(マゼンタ)の濃淡2色を巻いています。
大江戸線は小形地下鉄(ミニ地下鉄)規格で、居住性、快適性向上のため車輛限界一杯に設計されています。このため、車体断面は側窓から天井に向かって狭くなっているのが特徴です。走行システムには大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線に続いて、全国では2例目となる鉄輪式リニアモーター駆動方式を採用しています。(関東地方では初めての採用です。)
車輛形式は次の通りに読みます。例:12-345 -(ハイフン)より下は編成番号と号車の組み合わせとなっています。34は34編成、5は5号車を意味しています。
●試作車(12-001(Tc)+12-002(Mc))

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昭和61年に地下鉄12号線(大江戸線)用の小形地下鉄車輛の試作車として登場しました。もともと、新宿線とおなじ規格の20m級10両編成での建設を計画していましたが、建設費を削減するため小形地下鉄(ミニ地下鉄)規格で建設する事になりました。当時、小形地下鉄は国内では実用化されていないため、安全性や信頼性などを試験を行い、データ収集が必要なため、この試作車がつくられました。
車体は軽量ステンレス構造(前面部はFRP成形品)で、前照灯など量産車とは大きく異なるデザインとなっています。台車は都営地下鉄では初めてのボルスタレス台車、GTO素子を用いたVVVFインバータ制御方式を採用。この他、乗務員室では液晶パネルにタッチスクリーン式スイッチを12-001に、もう一方の12-002にはバーグラフ式メーターやデジタル式速度計、押しボタンスイッチなどを設け、異なるものを用意し比較試験を行いました。また、当時としては珍しい光ファイバー伝送システムを用いて、乗務員支援などの多機能型車上集中制御装置を採用しています。パンタグラフも小形地下鉄用のものを開発するため、菱形、下枠交差形、Z形が用意されました。
こうして、馬込検車場(現:馬込車両検修場)で試験が始まり、時には浅草線で高速走行試験を行いました。その後、リニアモーターの試験を実施し、結果大江戸線はリニアモーター方式の車輛を導入する事が決まります。このような多くの試験結果は量産車へと反映されていきます。大江戸線が開業しましたが、試作車は営業運転に就くことなく、豊島区に払い下げられ、平成3年より区内の公園に静態保存されています。
実は、この試作車は車輛としての登録をしておらず、つまり東京都交通局の車輛として籍を置いていませんでした。保線用車輛と同じ扱いを受けており、それに準じたルールで試験を行っていました。
●1次車(12-010~12-050編成)2次車(12-060編成)

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試作車の結果を反映して、大江戸線の開業に合わせて登場したグループです。車体は軽量化を図った大型押し出し材を用いたアルミ合金製で、アイボリーに塗装されているのが特徴です。前面は流線型で、大きな丸みのある形状となっています。
客室内はアイボリー系でまとめられ、床材は中央をベージュ、外側を茶色として足を投げ出すの防ぐ、フットライン入りが採用されています。冷房装置は試作車では床置き式でしたが、新しく開発された薄型冷房装置になっており天井に設置されています。
車輪径は610㎜で、床面高さ800㎜であることから解るように、床下は低く、床下機器は500㎜以下に抑えて設計されています。台車は自己操舵機構の付いたリニアモーター駆動方式空気ばねボルスタ台車で、曲線区間に入ると車輪が自然に向きが変わる仕組みとなっており、曲線通過性能が向上しています。
平成6年には1次車の検査の際、予備車輛が必要となり2次車となる6両編成1本がつくられました。この2次車は1次車とほぼ同じ仕様ですが、運転台機器類などを現場からの意見を反映させ、一部仕様を変更しています。
●3次車(12-070~12-150編成及び1次車、2次車の中間車2両)

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平成9年に登場したグループで、練馬~新宿駅間の延伸開業に合わせて、また8両編成化に伴い、1次、2次車の増結用の中間車がつくられました。このグループではコストやメンテナンス低減が図られており、車体外板の無塗装化(ヘアライン仕上げ)、前頭部の傾斜を緩くして、乗務員室の空間の拡大、VVVFインバータ装置の素子をIGBT素子に変更、ATC・ATO装置の構成変更などが行われました。
1次車及び2次車ではそれぞれの部品(車体、台車、電気機器)をメーカーに個別で発注し、製造メーカーに送って組み立てる方法となっていましたが、3次車及び4次車ではメーカーに一括発注をする方法に変更し、大幅なコスト削減を実現したという特徴もあります。
●4次車(12-160~12-530編成)

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平成11年より登場したグループです。大江戸線は少しずつ延伸が進み、地図を見ると数字の「6」のような感じとなりました。4次車のうち12-160編成及び12-330編成は平成10年に完成し、新宿~国立競技場駅間延伸開業用として先につくられました。
仕様は3次車とほぼ同じですが、インバータ装置などのメーカーが変更されているなど細かい部分となっています。
12-000形の初期車は登場から25年が経過し、老朽化が見られる事から後継の12-600形(いちまんにせんろっぴゃくがた)に置き換えられます。

7000形

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昭和29年に登場した路面電車です。都電を代表する形式の一つで、台車や制御方式などにより3つのグループがありました。現在活躍する車輛は昭和30年から昭和31年にかけてつくられた最終増備車で、登場時は7051~7093という車号でした。
最盛期には40系統、総延長約213kmもあった都電ですが、押し寄せるモータリゼーションの波、地下鉄路線網の発達もあり、昭和42年から地下鉄又は路線バスへに転換が始まり、昭和47年に現在残る荒川線以外の路線が廃止となりました。ちなみに、この「荒川線」という呼び名も、かつては都電27系統(三ノ輪橋~赤羽)、同32系統(荒川車庫前~早稲田)と2つの路線が別々に運行していました。また、さらに歴史を遡ると王子電気軌道という会社が成り立ちで、「王子電車(王電)」とも言われています。この2系統のみが残り(27系統の王子~赤羽はバス転換)、一つの路線となった事から荒川線という名称が付きました。
この荒川線に集められた7000形ですが、昭和52年よりワンマン運転を行う事から、新造車体への更新が行われます。機器類は種車のものからすべて流用しました。この際、車輛番号を7001~7031に揃えました。つまり、現行の番号は2代目となります。
新しく作られた車体は直線基調の軽やかなデザインで、ホームのかさ上げによるステップ廃止、車内には車椅子スペースを設置しました。その後も冷房化、パンタグラフの換装、LED式表示器の交換などが行われています。
現在の塗装色は上の左側となります。残っている車輛の多くが側面に広告を貼り付けているため、ほんの一部しか見えません。

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7000形のうち、7022号車は車体更新をした頃の塗装である、黄色地に青い帯を巻いた姿。7001号車は車体更新前であるツーマン(車掌さんが乗務している)時代の黄色地に赤い帯を巻いた姿で活躍しています。
誕生から60年以上経過、車体更新を受けてからも40年以上が経過しており、老朽化が見られる事から廃車が進んでいます。全てが廃車になっていくかと思われていましたが、7007号車(最上段の写真右)と7026号車の2両に対して、大規模な改修工事を手がけ7700形として、新しく生まれ変わる予定があります。

7700形

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東京都交通局では若手社員を中心とした「荒川線アピールプロジェクトチーム」を結成し、荒川線の魅力向上などの取組みを始めました。そのプロジェクトの一つとして、長らく活躍してきた7000形に対し、大規模な改修工事を実施して荒川線に生まれ変わった車輛を導入する事になり、平成28年に登場したのがこの7700形路面電車です。
車体、冷暖房装置、放送装置などを再利用しつつ、台車や制御方式などを環境にやさしいものへと更新しているのが特徴です。車体は乗降扉の開口部幅拡大、車内では手すりなどの増設やLED照明化など、利用し易く、省エネルギー化を図っています。制御方式はVVVFインバータ制御方式に変更され、台車も8900形で使用されている同じ台車としています。
車体デザインはクラシックモダン調の配色とされ、全盛期の都電をイメージしています。8両導入される予定で、緑色(写真左)のほか、臙脂色(写真右)、青色の計3色が登場する予定です。

8500形

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平成2年に登場した都電荒川線の路面電車です。都電の車輛は昭和37年に登場した7500形以来、廃線などもあり新型車輛の登場はありませんでした。荒川線で活躍する車輛の老朽化も進んでおり、これら車輛の置換えと荒川線の活性化、イメージアップを目的に28年ぶりに新型車輛が投入される事になりました。
車体は全鋼製軽量構造のもので、従来車より車体窓を大きくし、塗装も白色をベースに緑色の帯を配したものとなりました。走行機器には昭和29年に登場した6500形以来の採用となるカルダン駆動方式と、都電では初めてのVVVFインバータ制御方式を採用しています。スムーズな乗降が出来るよう、乗車口は1000㎜片開きドア、降車口を1200㎜両開きドアとしています。
平成4年、平成5年に2両ずつ増備され、これらは前面の一部設計変更や、車内及び乗務員室機器の変更が行われています。(写真右)当初は6000形(イベント用車輛)を除いた全車輛の置換えを計画していましたが、交通局の諸事情により5両の製造に留まっています。

8800形

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平成21年に都電荒川線に登場した路面電車です。荒川線で活躍してきた7500形の置換えを目的に投入されると共に、外観デザインについて「荒川線の未来を拓く、先進性と快適性」をコンセプトとし、加えて公募投票により「優しさと親しみやすさを表現した、丸みのあるデザイン」をコンセプトに設計されました。
外観は8500形とは異なり、前面及び側面の上下縁に塗装が施されており、8801~8805はローズレッド、8806・8807はバイオレット、8808・8809はオレンジ、8810は黄色となっています。ローズレッドが多いのは沿線で見られるバラをイメージしたもので、1両しかない黄色は「その車輛を見つけると幸せになれる。」という都市伝説的なものが生まれています。
客室窓は初めて横に長い大型窓となり、上部が引き違い戸になっています。車内は前向き座席とロングシートを点対称に配置しており、座席はバラ模様の入ったピンク色となっています。また、LCD(液晶ディスプレイ)を用いた車内案内表示装置が設置されています。

8900形

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平成27年に登場した路面電車です。7000形の置換えを目的に導入された形式で、基本性能は8800形と同じですが、「人にやさしい」をコンセプトに設計が行われ、8800形の実績をもとに現場からの意見も採り込んで、様々な改良が加えられているのが特徴です。
外観は8800形開発時にデザイン案の一つとなっていた「都会的イメージを表現した直線基調のデザイン」が基になっており、車体形状や塗り分けなどが直線的になっています。車体前頭部と側面にローズレッド、青色、オレンジ、黄色の4色のいずれかを配しています。
制御方式はIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御方式で、ブレーキ方式は回生、発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(応荷重制御装置付)制御方式となっています。
車内の座席はバラ模様の青色で、荒川線のマスコットキャラクター「とあらん」が描かれています。手すりや降車時に使用する押しボタンの増設など利用し易さ向上が図られています。あわせて、乗務員環境の改善などが行われました。

9000形

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平成19年に都電荒川線に登場した路面電車です。従来より使用されてきた6000形イベント車輛の置換え、荒川線の活性化を目的に2両つくられました。
車体は鋼製で、8500形同様の乗降扉構造並びに配置となっていますが、明治から昭和初期の東京市電をモチーフとしたレトロ車輛となっています。屋根は見かけダブルルーフ(二重屋根)とし、この部分には冷房装置、シングルアーム式パンタグラフが設置されています。前部標識灯は前面窓下中央に丸形のものを1個、補助灯が窓上部端左右に1個ずつ配置されています。塗装色は車体上部がクリーム色で、車体下部は9001号車が臙脂色、9002号車は青色とし、アクセントに金色の模様が施されています。当初は、この他にトロリーポールや前方に突き出した網式の救助器を予定していました。
車内は木目調で、床はフローリングとなっています。丸形の窓、真鍮製の手すりなどレトロムードが漂う設計となっています。乗務員室との仕切りには、運行案内用のLED式表示器のほか、多目的で使用可能な20インチの液晶表示器が設置されています。この表示器はイベント時の使用を想定して設置されたものです。この他にカラオケ機器や照明設備も用意されています。
乗務員室は従来車とほぼ同じですが、都電では初のデッドマン装置を装備しました。制御方式はIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御方式、ブレーキ方式は電気指令式電磁直通空気ブレーキ方式で、応荷重装置、回生ブレーキ及び発電ブレーキが付いています。また、平成18年に発生した追突事故を受けて、在来車に設置されたブレーキランプが設置されたほか、速度40km/hを超えないようにリミッターが追加されています。
登場後、暫くは決められた日に運転をしていましたが、現在は他の車輛と共通運用となっています。

7500形

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昭和37年に登場した路面電車です。昭和31年より8000形が131両つくられました。昭和33年に事業収支が赤字になり、路線廃止などの議論が続いており新造車の投入は途絶えてしまいました。この8000形は耐用年数を10年程度として設計され、構造を徹底的に簡素化、軽量化したため、程なくして老朽化が目立ち始め、乗心地も悪く不評でした。しかし、一部の路線では廃止の延期、存続の可能性もあり、不評な8000形を増備する事も出来ませんでした。そこで、8000形とは異なる設計の車輛を20両製造する事にしました。それがこの7500形です。7500形の由来は性能は7000形、車体は8000形に近いものとした事から、この間をとって7500形としたと言われています。
車体は鋼製で、バスの車体を参考に過度な工作の簡易化を図った8000形ではなく、7000形に近い構成とし、8000形と同じ車体長として、乗降扉配置も近いものとしています。この7500形のうち、7511~7520は新潟鐵工所製で、都電としては最初で最後の発注車となっています。
新造後は渋谷駅を起点として新橋、茅場町、小川町方面の系統(路線)で活躍を始めました。昭和43年に路線廃止となり、今の荒川線と江東区にある系統で活躍。昭和47年に江東区の系統が廃止されると8両が荒川線で活躍するようになります。(2両は事故廃車)昭和59年より冷房装置搭載に伴う車体更新が行われ、車齢が45年を経過した平成20年より廃車が始まり、平成23年に形式消滅しました。
写真左は、原型の姿を留めて静態保存されている7504号車で、都電おもいで広場に保存されています。写真右は車体更新を行い、活躍をしていた頃の様子です。

6000形

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昭和22年に登場した都電の路面電車です。昭和27年までに290両が製作され、800形と共に戦後初の新型車輛となりました。太平洋戦争末期の空襲により、600両以上が喪失しました。また、戦時中の資材不足により動くことの出来ない車輛や、被災を免れたものの、大戦中の酷使により老朽化した車輛も多くあり、6000形は戦後復興に大活躍しました。もちろん、戦災車輛も車輛の更生復旧が進められていました。
6000形の大量生産と同じ頃、3000形及び4000形も6000形とほぼ同じ車体に更新されており、このスタイルが都電の標準車輛となり、狭軌(1067㎜)の杉並線を除く、ほとんどの系統(路線)に活躍しました。6000形は大量生産された事もあり、製造年度や会社によって様々な形態があり、台車や集電装置などに見られました。
荒川線以外が全廃されるまでに多くの車輛が廃車となり、荒川線には13両が集められました。混雑時間帯の増発用として運用されていましたが、晩年7000形がワンマン運転化に伴う車体更新により、終日活躍する姿が見られました。
そして、ワンマン運転化に伴い6152号車(写真右)が唯一「応急車」(JRなどで言う救援車のような車輛)として残りました。車内は工具などが置かれており、営業運転は行っていませんでしたが、昭和61年にイベント用車輛として営業運転に復帰しました。昭和63年に車体更新が行われ、車体塗装を1950年代の濃い緑色と淡黄色に似た金太郎塗りに変更しています。
前照灯が1ヶ所である事から「一球さん」の愛称で親しまれていました。平成12年、京福電気鉄道(現:えちぜん鉄道)において、ブレーキ故障による列車衝突事故が発生。ブレーキ系統が1系統しかない事が問題となり、国土交通省はブレーキ系統の多重化等の対策を全国の鉄道事業者に指示を出しました。6000形もこの指示により改造が必要となりましたが、費用が高額であったため改造を断念し、平成13年に廃車となりました。
現在6152号車は沿線にあるあらかわ遊園で静態保存されています。この他に東京都を中心に数両が静態保存されています。

5500形

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昭和28年に登場した都電の路面電車です。登場時は「防振防音電車」と公式に呼ばれ、「PCCカー」とも呼ばれていました。戦後の復興期、首都東京で市民の足として都電では、6000形の大量生産と木造車の車体更新(半鋼製車体載せ替え)によって対応しました。これらの車輛は全国の軌道事業者にデザインを模倣されるなど技術的な回復は見られましたが、その水準は1930年代のレベルで、世界的にはまだまだ時代遅れでした。
日本がアメリカと一戦交えている時期、そのアメリカではモータリゼーションの波が広がり、路面電車ではPCCカーと呼ばれる新技術を採り入れた高性能路面電車を開発し、全米各地で走り始めていました。このPCCカーのPCCとは、Electric Railway Presidents’ Conference Committee、ERPCC:電気鉄道社長会議委員会と言い、全米各地の路面電車運営会社が集まり、開発された路面電車車輛の事を言います。独特の流線形の車体とスムーズな加速性能をもった車輛で、アメリカならず、欧州各地でも活躍しています。日本でもこの技術は戦前より研究対象でしたが、戦争で中断となりました。戦後、電車技術の水準向上を目的にPCCカーを輸入して研究する計画でしたが、米国技術者が「国産でも可能だ。」という助言を得て、ライセンスを購入し、国産車として設計が始まりました。しかし、当時のアメリカと日本の技術差はあまりにも大きくかけ離れており、完成が計画通りにいかなくなってしまいました。そんな時、東京都交通局の広報活動で「新型車輛が登場するよ~!」と告知をしてしまいます。遅れては都民の期待に沿えない。という事で、国産PCCカーと同じ車体を取り急ぎ製造し、試作機器を組み合わせて、告知の通りこの5500形を登場させました。この車輛は5502号車で、本当のPCCカーにトップナンバーを譲るための処置です。遅れる事約半年後、本当のPCCカー5501号車が誕生しました。純正PCCカーはこの1両のみで、以降つくられる事はありませんでした。
全鋼製車体で、14m級の大型車体。デザインはPCCカーに見られる後退角のある流線型で、前面では大形の行先表示器を前面窓上部に設置、夜間でも容易に見られるように行燈式を採用しています。車内はロングシートで、蛍光灯を採用した明るいもので、マイク式の放送装置を都電として初めて採用しました。車体はキャピタル・クリーム地に臙脂色の細帯を巻いています。主要な機器は5501号車はライセンスの関係でアメリカ製の部品を一部使用しています。この他、独自開発の5502号車、量産車に当たる5503~5507号車でそれぞれ異なった機器を使っています。制御器は5501号車では、PCCカーの標準である99段超多段式ドラム型制御器(アクセラレーターという。)を搭載しており、操作は足で行うものでした。自動車に似たもので、左足はデッドマン装置となっており、運転中は常に踏み続け、右足は右がアクセラレーター(加速)、左がブレーキとなっており、いずれかを操作します。5502号車以降は手で操作する一般的な縦軸主幹制御器でした。ブレーキ装置は5501号車はPCCカーのライセンスに従っており、制御器による発電ブレーキ、ドラムブレーキと非常用の圧着ブレーキ(電磁吸着ブレーキ)を装備していました。5502号車以降は直通空気ブレーキ(踏面ブレーキ)と発電ブレーキを搭載していました。5501号車は当時としては高水準過ぎた操作のため、乗務員からは不評であったそうです。
運用は機器の特殊性から、故障が発生しても対処できるよう車輛工場の近くとなる、品川~銀座~上野駅前限定で都内の繁華街で活躍しました。5501号車のライセンス料があまりに高額であったため、艤装図面を購入しなかった事もあって、初期故障が頻発し、国産PCCカーの製造を断念しざろうえない一因となってしまいました。
都電の看板車輛とはなったものの、特殊構造が災いし、昭和42年より始まった都電事業縮小の際に廃車となってしまいました。
5501号車はゆかりのある上野公園で展示されました。荒廃が進んだため、平成元年に荒川電車営業所に移り、一度は修復をしたものの、結局野ざらしのまま。平成19年にに車庫に隣接する場所に「都電おもいで広場」がつくられ、ギャラリーを兼ねて静態保存されています。

花100形

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路面電車には「花電車」と呼ばれる電車があります。イベントなどの際に花や電球などを装飾した賑やかな車輛を言います。専用の車輛のほか、工事用車輛や営業電車に施す場合もあります。
この花100形は平成23年に荒川線の花電車専用車輛として、7500形を改造したものです。かつて、荒川線には乙6000形という無蓋貨車があり、これを改造した花電車がありましたが、昭和56年に廃車されており、久しぶりの登場となりました。

40形

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上野懸垂線で使用されている懸垂式モノレール車輛で、平成13年に登場しました。日本宝くじ協会の助成金が使われており、「宝くじ号」となっています。
車体は9m級片側1扉構造アルミニウム合金製の車体で、全体的に丸みのある流線形のデザインが特徴です。塗装は白色をベースに、前面窓周りに赤色、運転台側面部に黄色、車体上部の機器カバーをウグイス色とし、動物のイラストがラッピングされています。車内はFRP製のロングシートを中央に配し、窓側に向いて着座します。先頭部にはFRP製クロスシートを装備したセミクロスシート車輛です。
制御方式はIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御方式となっており、冷房装置と共に屋根上に搭載されています。同時期に登場したJR東日本E257系などで聞くことの出来るミュージックホーンを備えています。
上野懸垂線は上野モノレールなどとも言われる路線で、上野動物園(恩賜上野動物園)の園内を結んでおり、遊戯施設の一つ。と思われがちですが、行動を路線がまたがっており、鉄道事業法に基づく交通機関として扱われています。常設としては日本で初めてのモノレール(懸垂式鉄道)で、日本最短のモノレール路線(営業キロは0.3km)で、鉄道全体でも二番目に短い路線です。(日本一短い鉄道事業者は鞍馬山鋼索鉄道(営業キロは191m)所要時間は1分半ほどで、7分間隔で運転されています。動物園内に駅があるため、入園料が必要。また乗車する際には運賃(大人150円(中学生以上)、小児70円(2歳以上)が必要です。9時40分が始発で、16時30分が最終となっています。また、休園日は全面運休となっています。

300形

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平成20年に開業した日暮里・舎人ライナーで使用される新交通システム(AGT)車輛です。
車体は東京都が出資しているゆりかもめで活躍している7000系(7200系)に似たデザインで、軽量ステンレス製です。ヘアライン無塗装仕上げで、ラインカーともなっている緑色の帯は沿線の自然を表し、桃色は町の活性化をイメージしています。
車内は、当初オールロングシート仕様とする予定でしたが、定員を大きく上回る乗車が可能であるため、安全を確保する観点から中央部をクロスシート仕様に変更しています。1人掛けクロスシートには壁面と座席の間に荷物置き場があるのが特徴です。この他、各編成に動物のイラストが描かれたマナーステッカーがあり、マナー向上の啓発のほかに忘れ物などをした時に乗っていた電車を特定するのにも使われています。ポスターにはいくつかの動物が描かれていますが、シークレットな動物もあるようです。
制御方式はVVVFインバータ制御方式で、CI装置を使用しています。

330形

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平成27年に登場した日暮里・舎人ライナー用の新交通システム(AGT)車輛です。輸送力増強を図るため、平成28年現在5両編成1本が配置されました。
車体はアルミニウム合金製とし、300形と比べると大幅な軽量化を図っています。先頭車前面中央部に前部標識灯、後部標識灯を集約配置しており、外観の特徴ともなっています。先頭車の側面にはシンボルカラーが配されており、見沼代親水公園駅方は緑色、日暮里方にはマゼンダ、各車輌中央部には沿線都市の緻密さを表現した縦のストライプが配されています。
300形は混雑時に想定重量を超えてしまい、安全上のため立席スペースを意図的に少なくするためオールクロスシートに変更し、後に一部座席をロングシートとしました。330形では車体を大幅に軽量化し、その分を定員の増加につなげており、オールロングシート仕様としています。座席はバケットシートで、モケットは一般席が緑色、優先席をマゼンダとしています。この他に、防犯カメラを設置しています。
制御方式は300形とほぼ同じとなっています。