所有路線
土浦~岩瀬駅  筑波線 40.1km 全線単線 全線非電化

 かつて茨城県にあった鉄道会社で、歴史をひも解くと大正3年に設立された筑波鉄道(旧)が始まりです。茨城県を代表する名峰「筑波山」の麓を通る路線で、常磐線の土浦駅から筑波山の玄関口である筑波駅を経て、水戸線の岩瀬駅までを結んでいました。
 昭和20年に戦時統合政策により、筑波鉄道と常総鉄道(現在の関東鉄道常総線を経営していた鉄道会社)との合併が行われ、社名が「常総筑波鉄道」となり、筑波鉄道の路線は筑波線になりました。昭和40年に「鹿島参宮鉄道」と合併し、「関東鉄道」へと再び社名が変更となります。(路線名はそのまま。)
 最盛期は1960年代で、行楽シーズンともなると上野駅や日立駅からの臨時列車が乗り入れて来ました。しかし、モータリゼーションの波により利用者は減少。昭和54年に鉾田線(鹿島鉄道)とともに、関東鉄道から経営分離され、再び「筑波鉄道」が発足しました。合理化などの様々な努力を行うも、利用者は伸びませんでした。
 国鉄が最後の日となった昭和62年3月31日を最後の運転日とし、翌日の4月1日に廃止となりました。

dd501-2.jpg


観光シーズンになると国鉄から、直通列車(「つくば」号」)が運転されていました。:マワ車所蔵

車輛の紹介

キハ460形(キハ461)

kiha460-461.jpg


マワ車所蔵

元国鉄キハ04形式で、昭和9年にキハ41000形式として登場しました。昭和32年に車輛称号規定改正によりキハ04形式に改称。昭和33年に廃車となり、静岡県の遠州鉄道へ譲られました。昭和41年に同鉄道が廃止となり、今度は石川県の北陸鉄道に移籍し、能登線で活躍、昭和47年に廃止となって筑波鉄道にやって来ました。
方々を巡っていましたが、比較的原型をとどめており、貴重な車輛として知られる存在になっていました。筑波鉄道が廃止され、つくば市内の公園にて静態保存されていましたが、現在は埼玉県の鉄道博物館にて保存されています。

キハ510形(キハ511)

kiha510-511.jpg


マワ車所蔵

滋賀県にあった江若(こうじゃく)鉄道で使用されていたC29M形気動車で、同社の廃止後昭和45年に関東鉄道へやって来ました。このC29Mとは、Cはクロスシート、29は自重、Mは貫通路の設置を表し、Mは両妻面にある事を意味しています。常総線に配置されましたが、クロスシート車という事で筑波線での使用になり、この時にキハ510形に形式が変更されました。18m級の両運転台車で、前部標識灯は当時最新であったシールドビームを2灯設置。貫通扉の真上に張り出すように設置されているのが特徴でした。
筑波鉄道廃止まで活躍した1両であり、廃止後は解体されました。
※江若鉄道:近江と若狭を結ぶ目的で誕生した鉄道会社。大正9年設立。浜大津~近江今津駅間51.0km、浜大津~膳所駅間2.2kmの2路線を持っていました。最新技術の車輛(ガソリン動車など)を導入するなど、先進性のある鉄道会社でしたがモータリゼーションの波には勝てず、昭和44年に廃止となりました。

キハ540形(キハ541)

kiha540-541.jpg


マワ車所蔵

石川県にある北陸鉄道能登線の気動車として昭和32年に登場しました。当時はコハフ5300形5301番付随車として落成しました。昭和38年にDMH17C機関を搭載してキハ5300形気動車になり、キハ5301番として活躍。昭和47年に能登線が廃止となり、関東鉄道へ譲渡され、筑波線の車輛となりました。昭和62年の廃止まで活躍した1両となります。この車輛の特徴は車体の前後に荷台を備えたバケットカーで、戦後に製作された車輛としては珍しい車輛となります。また、液体変速機を備え、総括制御が可能であったのにもかかわらず、他の車輛にその機能がなく、使用される事はなかったそうです。

キハ760形(キハ762)

kiha760-762.jpg


マワ車所蔵

北海道にあった雄別鉄道にて昭和32年にキハ49200Y形として登場した気動車です、。国鉄キハ21形式と同じ形態の車輛で、車体側面のバス窓が特徴です。(台車は別のもの。)同社が廃止後の昭和45年に譲り受け、筑波線の車輛として活躍しました。
※湧別鉄道とは、北海道にあった鉄道会社で、道東の街釧路を中心に雄別本線(釧路~雄別炭山駅(44.5km))、鶴野線(鶴野~新富士駅間(4.3km))などの路線を所有していた炭鉱鉄道です。昭和45年に廃止となりました。

キハ810形(キハ811)

kiha810-811.jpg


マワ車所蔵

この形式も雄別鉄道からやって来た車輛です。キハ49200Y形と同一ながら、側窓が国鉄キハ22形式と同じタイプに変更されています。雄別鉄道時代はキハ100形と付けられていました。

DD501形(DD501)

dd501-1.jpg


マワ車所蔵

関東鉄道で現在活躍しているDD502と同じ機関車で1は1号機を意味しているようです。筑波線でも貨物輸送に活躍したほか、写真のように国鉄からの乗入れてきた臨時列車の牽引にも活躍していました。