所有路線
桐生~間藤駅 わたらせ渓谷線 44.1km 全線単線 全線非電化

 群馬県の桐生駅と栃木県の間藤駅を結ぶ路線で、JR東日本足尾線を引き継いだ第三セクター方式の鉄道会社です。平成元年に誕生しました。路線名の通り、渡良瀬川の上流沿いの渓谷に沿うように路線があり、初夏や秋の紅葉シーズンの車窓は素晴らしく大勢の人で賑わっています。一方で、終点に近い足尾駅近辺は足尾銅山があった場所で、足尾鉱毒事件の影響によりはげ山が見られます。
 わたらせ渓谷鐵道の歴史はその足尾鉱山から産出される銅鉱石を輸送するために明治43年に設立された足尾鉄道が始まりです。明治44年に桐生~大間々駅間が開業し、少しずつ延伸し大正元年に足尾駅まで開業します。翌、大正2年に国が借り入れる事になり、路線名を「足尾線」に改称します。さらに翌、大正3年に最後の区間となる足尾~足尾本山駅が開業し、全通します。旅客営業は桐生~間藤駅間となります。大正7年に買収が行われ、国有化されます。
 昭和48年に足尾銅山は閉山となります。その後、旅客営業のみの状態で推移しますが、赤字ローカル線であるため、廃止の対象に。JR東日本に継承され、平成元年に新しく、このわたらせ渓谷鐵道が誕生となります。
 この路線を楽しむ車輛ですが、トロッコ列車があります。当初は客車列車(写真左)のみでしたが、現在は気動車も加わって沿線の風景を風を受けながら、堪能する事が出来ます。(冬季はガラス張りにして運行。気動車のみ。)

watetu-2.jpg     watetu1.jpg


 沿線には足尾銅山観光をはじめ、様々な歴史、自然など見て、触れる事の出来る施設等があります。水沼駅には温泉、神戸駅にはレストランが併設されています。鉄道施設では駅舎や鉄橋など38もの施設が登録有形文化財に指定されており、歴史を学ぶことも出来ます。
 一見、行き止まりの支線ですが、終点の間藤駅から日光方面へ路線バスがあるので日光を観光して、立ち寄るなんてプランも面白いかもしれません。

車輛の紹介

わ89形100番代・200番代(わ89-101・わ89-202)

wa89101.jpg    wa89202.jpg


開業と共に登場した軽快気動車(富士重工業製のLE-CarⅡ)です。バス車体をベースに設計された15m級ディーゼルカーで、100番代(写真左)はロングシート、200番代(写真右)はセミクロスシート仕様となっています。各車輌には愛称が付けられており、101は「こうしん」、201は「くろび」、202「けさまる」、203「あづま」となっています。100番代は2両用意されましたが、102「ようがい」は落石事故により廃車となっています。現在は全て引退をしています。

wa89101kyu.jpg


引退後、大間々駅でデビュー当時の塗装に戻され保存されている101。側面窓下には沿線の野生動物のイラストが描かれています。

わ89形300番代(わ89-301)

wa89301.jpg


開業とともに登場したイベント対応車で、富士重工業製のLE-DC(鉄道車輛に近い設計のディーゼルカー)です。イベントに対応するため、転換クロスシート仕様となっています。2両用意され、301「あかがね」、302「わたらせ」という愛称が付けられていました。現在は引退をしています。302が大間々駅でわ89-101と共に保存されています。

わ89形310番代(わ89-313・わ89-314)

wa89313.jpg     wa89314.jpg


平成2年に登場したグループで、事故廃車になったわ89-102の代替車として登場。その後、増備が行われわ89-311~わ89-315の5両が活躍しています。300番代に準じた設計で、セミクロスシートのトイレ付仕様になっています。前照灯が増設され4灯になり、丸いライトから角形へと変更されシャープなイメージとなりました。愛称は311「たかつど」、312「あかがねⅡ」、313「わたらせⅡ」、314「あかがねⅢ」、315「わたらせⅢ」となっています。

WKT-500形(WKT-502)

wkt502.jpg


平成23年に登場した車輛で、2両在籍。塗装はあかがね色にクリーム色、金色の帯を巻いた落ち着きのある塗装になりました。車内はロングシートのみでトイレはありません。当初は「トロッコわっしー号」として使われていましたが、色が合わないため、後に増備されたWKT-510形と交代しています。現在は、2両一緒に組んで活躍をしています。501は「けさまる」、502は「おいらせ」の愛称が付けられています。

WKT-510形(WKT511)

wkt511.jpg


わ89形100番代の置換え用として、平成25年に登場した車輛で1両投入されました。愛称はわ89-301から継承した「あかがね」が付けられました。塗装をWKT-550形と同じにしています。車輛の構造や車内はWKT-500形と同じです。「トロッコわっしー号」専用に指定されています。

WKT-550形(WKT551)

wkt551-1.jpg     wkt551-2.jpg


「トロッコわたらせ渓谷号」を運転していましたが、シーズンによっては連日満席で、増発の必要が求められていました。そこで、自走できるトロッコ車輛を導入する事になり、平成24年に登場しました。「トロッコわっしー号」と名付けられ、全区間で運用する事が出来るようになりました。(トロッコわたらせ渓谷号は大間々~足尾駅で運転。)車内は、開放感ある客室、車椅子対応トイレ、鉄道グッズ販売スペースで構成されています。乗降扉は間藤駅側のみとなっています。客室は、側面の展望窓に加え、天窓もあります。また、同線で最長となる草木トンネル(神戸~沢入駅間)では、イルミネーションサービスも行っています。

wkt551-syanai1.jpg     wkt551-syanai2.jpg


車内の様子。左はトイレ方、右はわてつグッズ販売コーナー側になります。

わ01形

sarondowatarase-kyu.jpg     sarondowatarase.jpg


平成13年に登場した客車です。冬季に「トロッコわたらせ渓谷号」にかわるお座敷列車としてJR東日本で活躍していた「やすらぎ」(高崎支社所属)を購入しました。愛称は「サロン・ド・わたらせ」と付けられました。塗装は当初は黄色地に青色の帯を巻いたものでしたが(写真左)、後に黄色地から白地に青色と黄色の帯を巻いたものに変更(写真右:長老フォトオフィス様撮影)されて活躍しました。

wa01855.jpg


登場当初は展望車の2両のみでしたが、トイレがないためトイレのある中間車を組み入れて3両編成となっています。平成21年に廃車となりました。

わ99形5010・5080(わ99 5080)

5080.jpg


「トロッコわたらせ渓谷号」に使用される客車で、平成10年に登場しました。この5010と5080はJR東日本から購入した12系スハフ12形式です。電源車を兼ねて使用されています。

わ99形5020・5070(わ99 5070)

5070.jpg


「トロッコわたらせ渓谷号」に使用される客車で、平成10年に登場しました。当初、トロッコ車輛は無蓋車の改造を計画していましたが、貨車を改造した旅客車の登録は保安上の理由から難しいため、何か適当な車輛を探していた所、京王電鉄5000系電車が廃車されるという事で、解体待ちの2両を購入して改造しました。大胆に改造されていますが、妻面にわずかながら面影が残っています。車内は座席のみで乗降扉はありません。5020には大間々方に自動販売機の設備があります。愛称は5020が「かわせみ」、5070は「やませみ」が付けられています。

5070-syanai.jpg


車内の様子。背もたれの小さい座席とテーブルがセットされた内容のシンプルなつくりです。

DE10 1537・1678号機(長老フォトオフィス様撮影)

de101537saron.jpg


「トロッコわたらせ渓谷号」を牽引するディーゼル機関車で、JR東日本より購入したものです。1537号機はあかがね色に金帯を巻いた専用塗装色に変更、1678号機は購入時のままの塗装となっています。