・・・そりゃあ、独りぼっちなんで。って関係ないじゃないか!あっ、取り乱してしまいました。ネコさん達は一体何を見たのでしょう。
さて、ここでは鉄道車輛の細かい所を見てみましょう。屋根や車体などにいろいろなものが見られます。皆さんは普段乗っているけど、あれはなんだろう?と思ったことがあるでしょうか?ひょっとしたらその謎が解けるかもしれませんよ。
色々な写真が出てきますが、どこの車輛や路線などか当てながら見て、楽しんでみると面白いですよ。
列車無線アンテナ
『列車無線』とは、乗務員と運転(輸送)指令所などと通話するための無線の事を言い、鉄道無線装置の一つです。その他に見られる無線と同じく、相互の連絡に用いられており、特に事故が発生した場合には、二次災害を防ぐなど被害を少なくするために必須の設備となっています。因みに列車無線が整備される以前は、沿線電話機により指令所や近隣の駅に連絡を行っていました。
無線の種類によりいくつかのアンテナが屋根上に見られます。無線の意味や内容はここでは割愛させて頂きます。
○空間波無線方式のアンテナ
JRや多くの私鉄で見られるもので、アンテナの形もいろいろあるようです。JRでは筒状のものや細い棒のようなもの。私鉄では逆L字形などが一般的のようです。
鉄道会社で相互乗入れを行う場合、その会社の列車無線用のアンテナを装備します。このため2~3つのアンテナが載せられます。京成電鉄線、都営地下鉄浅草線、京浜急行線は相互に乗り入れており、それぞれが使用できる共通のアンテナを搭載しています。
○誘導無線方式のアンテナ
トンネル区間の多い路線(地下鉄線など)では、誘導無線と言うものが使われます。アンテナは車体の上部ではなく、妻面や床下に設置されています。地下鉄車輛や地下鉄線に乗入れを行う車輛に見られます。
○衛星携帯電話
山間深くを走るローカル線の一部で見られるものです。無線装置が使用できない箇所では、衛星携帯電話を列車無線の代用として使用しています。(白いお大福ようなもの。その手前にあるのは氷柱切りです。)
検電アンテナ(静電アンテナ)
皆さんは写真のようなダウジング棒に似たようなアンテナなどを見た事があるでしょうか。無線のアンテナと思われた方も多いはず。このアンテナは『検電アンテナ』と言い、電気車のうち、交流電気車と交直両用電気車に付けられているアンテナです。
直流電化区間と交流電化区間が隣接する箇所にはデッドセクションを設けて、電気を区分しています。電気車の場合、この区間を通過する場合は運転士がデッドセクションを通過中に車上にある切り替えスイッチを扱います。この時、切り替えが行われなかった場合、車輛や変電所、架線などに深刻な損傷を与えてしまいます。特に交流は20000V(20kv)~25000V(25kv)に特高圧が流れているため、素早い対応をしなければ大変な事になってしまいます。その交流を検知するのが、この検電アンテナの役目です。
直流状態で検電アンテナが交流を検知すると、冒進用変流器を経て空気遮断器を作動させ、機器の保護を行います。
空気遮断器とはABB(Air Blast Circuit Breaker)と略して呼ばれる機器で、大電流を流している回路では、電流を開閉器と言うもので遮断しますが、これだけでは電極間にアーク放電が発生します。(離れていても、空気中に雷のような電気が流れ続けている。というイメージ)空気遮断器は、この開放器が動作するのと同時に、圧縮空気を音速から超音速で電極に向かって吹き付け、電極の冷却、アークの消去を行います。この空気は空気遮断器から排出されますが、この時にとても大きな爆発音(パンッ!!)がするのが特徴です。
ベンチレーター・冷房装置
ベンチレーター:ventiltor
室内の空気を外気を用いて換気を促す装置で、『通風器』とも言います。旅客車や緩急車、通風車、有蓋車の一部などに見られます。換気作用の違いにより、吸出し式と押し込み式の2つに大別されるほか、自然通風によるものとファンなどを併設した強制通風という区分もあります。近年では、冷房装置の進化により換気機能もあるため、撤去又は新製時よりない車輛も多くあります。
①吸出し式
走行中の車体に生じる空気抵抗などの気流を利用した方式です。気流を通風器に導き、ベンチュリ効果(流体力学の一つ。流体の流れの断面積を狭めて、流速を増加させると圧力が低い部分が作り出される現象。)を用いて得られる気圧差を利用し、車内の空気を吸い出す方法です。主にガーランド形(写真左)(通称:ガラベン(半分の形状(ハーフガーランド形)のものは半ガラ))やグローブ形(写真右)(通称:グロベン)があります。
上の写真は西武鉄道の通勤形電車に見られる角形ベンチレーターで、次に紹介する押し込み式に見えますが、構造はハーフガーランド形の特殊な構造のタイプです。現在、撤去が進んでおり見納めになる日が近いかもしれません。(平成28年3月現在)
②押し込み式
吸出し式の一つであるグローブ形は換気機能が良く、通勤形電車を中心に採用が広まりましたが、降雪時に雪が入ってしまう欠点があり、これを改良したものです。雨水が入っても、車内に落ちない設計となっています。進行方向に向かって通風器を設置し、その風圧により空気を取り込む方式です。寒冷地を走る車輛に多く採用されたほか、グローブ形主体の通勤形電車でも採用されています。
③鎧戸形(よろいどがた)
車体の側面や連結面にルーバー(羽板(はいた)という細長い板を、枠組みに隙間をあけて平行に組んだもの。)を設けて、換気を行う方法のものです。抵抗器の熱を大量に発する電気機関車や電車では主電動機や電動発電機などの冷却用に見られます。
★雪切り室
鎧戸形の一つに『雪切り室』というものがあります。降雪地域を走る電車に見られるもので、主電動機や電動発電機などの過熱防止に床下から空気を取り込んで冷却しますが、冬季は取込み口が雪で目詰まりをしてしまい使用が出来なくなります。そこで、外気を取込み、電熱ヒーターで水分を取り除いた乾いた空気を作る部屋が雪切り室です。車内の空気も取り込めるように取込み口があります。(写真右)
冷房装置(空調装置)
夏季の車内を快適に過ごせるように、冷風を作る装置。これから紹介する配置方法や車輛の用途により冷房装置の能力は様々です。一般家庭なら冷蔵庫にする事が出来る能力があるらしいですよ。
①集中式冷房装置
屋根上若しくは床下、室内に設置し、天井裏に設けられたダクトを介して冷風を送る方式です。一般的には屋根上に大きい冷房装置を1つ載せているスタイルです。
特急形車輛や新幹線などでは、低重心化を図るために床下に冷房装置を搭載している(写真左)ものがあり、『床下形』と言います。一方、非冷房車を冷房化改造する際、車体の強度不足により車内に設置したタイプ(写真右の乗降扉左側の窓のない部分)があります。これを『床置き形』と言います。
車内の様子は中央にダクトが配され、吹出し口が点在しています。ファン(扇風機)が併設されている場合もあります。最近ではデザインがお洒落になっています。
○集中式冷房装置の利点
・冷房装置を1ヶ所としているため、メンテナンスが有利。
・屋根上機器の多い車輛向き。分散式冷房装置を採用する系列であっても、パンタグラフ付車輛にのみ集中式冷房装置を採用している例もあります。(165系や485系など)
×集中式冷房装置の欠点
・冷房装置が1ヶ所であるため、故障するとその車輛の冷房装置は使用出来なくなります。
・冷房装置は重量があるため、非冷房車両では時に補強が必要となります。
④機関直結式冷房装置
気動車に見られるもので、走行用エンジン(機関)の出力軸を動力源として利用するもので、自動車などでも使われる方式です。
この冷房装置の誕生の背景を知るには気動車の歴史に触れなければなりません。気動車が誕生し、初めて特急形車輛を登場させる際に冷房装置のシステムを客車と同じものとする事にしました。当時の客車の冷房車はグリーン車や寝台車の一部にあり、床下に専用のディーゼルエンジンを搭載し、発電機を組み合わせた『発電セット』があり、冷房装置用の電源を確保しました。
この発電セットをもとに、気動車では自車を含めて2両から3両程度の給電能力とした発電セットをつくりました。大容量のものがつくられなかったのは、気動車は床下に走行用のエンジンを2基搭載しており、発電セットを搭載する場所がなかったのです。このため、設置には走行用エンジンを1基搭載とした車輛を数両、編成中に組み込みました。駆動用エンジンそのものが非力であったため、数が減ってしまうと勾配や高速運転などに対応できないのです。
その後、特急形と同じエンジンを採用した急行形車輛キハ58系が登場しました。駆動用エンジンを2基搭載したキハ58形式、駆動用エンジンを1基搭載したキハ28形式(キロ28形式)が基本形式としてあり、後に冷房化ではキハ28形式に発電セットが搭載されました。
特急形車輛のように固定編成であるならば、発電セットの必要な個数は出せますが、急行形車輛は編成が2両から12両まで様々あるほか、行先の異なる列車があるため、その列車ごとに必要数が変わります。ここまでは、その編成ごとに発電セットを搭載したキハ28形式を必要な分連結すれば、問題はありませんね。
ところが、走行する線区に勾配区間がある場合は駆動用エンジンの比率を高めなければならず、キハ28形式を多く連結する事が出来なくなり、結果冷房装置はあっても給電能力が超えてしまい、使えない事が多々ありました。(下イメージ図)
さらに普通列車になるとどうなるでしょう。ローカル線によっては単行運転は当たり前です。動かす事だけで精一杯の車輛に発電セットを無理やり搭載してしまうと、走行能力の低下を招いてしまいます。このため、冷房化をしようという状況ではありませんでした。
ようやく冷房化が始まったのは国鉄末期で、製造コストを抑えなければならない状況で、バス用の部品を多用した車輛開発が行われたのと同時に、高出力エンジンが登場しました。エンジンの出力に余裕が生まれた事と、バス用の冷房装置を搭載する事で、ようやく1両でも冷房化が可能となりました。その後、国鉄で生まれた多くの気動車はエンジンを高出力化したものに換装するなどを行い、冷房化が進みました。
現在、JRや私鉄で誕生する多くの気動車がこの方式を採用しています。
◎弱冷房車
「弱冷房車」や「弱冷車」というステッカーを貼った車輛を見た事があるでしょうか。鉄道会社によって多少の違いがありますが、夏季や暑さを感じる日になると動く冷房は温度設定があります。特に夏場になり、薄着で車内に入ると寒さを感じやすい女性利用客からの要望で生まれた車輛です。他車よりも若干、温度設定が高めに設定されています。昭和59年に京阪電気鉄道で6両編成以上の車輛に導入したのが始まりで、以降各鉄道会社で導入が行われ、編成中に1~2両ほど設けられています。
ちなみに『弱暖房車』と言われる車輛はありません。寒い時は上着などが必要で、無い場合は耐えるのみとなってしまうため設定されていますが、暖房の場合は、暑ければ上着を脱ぐ、窓を開けるなどの温度調整が可能なためで、車掌氏も客室の状況を見ながら、送風や時には冷房を使用して温度調整をしています。
暖房装置
冬季の旅行を快適に過ごすために欠かせない車輛の設備です。車輛の暖房設備の熱源には火気や可燃性燃料を使用しない事が望ましく、衛生面からも室内の空気を汚す事は望ましくありません。鉄道では、主に『電気エネルギー』を用いて、室内(主に床面)に電気ヒーターを設置し、通電する事によって発生する『ジュール熱』を暖房とする方法が一般的です。多くは自然対流式ですが、温風ヒーターを使用している例も見られます。
①電車の暖房装置
ほぼ全てが電気暖房となっています。昭和47年の冷房装置標準装備化以前に登場した直流通勤形電車では直流1500Vをそのまま電源としていました。現在は電動発電機や静止型インバータで供給される、三相交流400V~440Vを電源としています。
②気動車の暖房装置
多くの気動車が走行用エンジンの廃熱を利用し、水を温める『温水暖房式』を採用しています。写真左の小鳥がいる銀色の部分より熱が放出されています。一部の特急形車輛では発電セットを用いて、三相交流を使用した電気暖房となっています。
1990年代になると走行用エンジンに余裕が出てきたことから、油圧駆動発電機(油圧モーターに発電機を組み合わせたもの)を使用した電気暖房装置が出てきました。その中にはバス用の暖房装置を使用したものがあり、温風を吹き出すようになっています。(写真中央、右)
③客車の暖房装置
※写真右はマワ車所蔵
鉄道が生まれた頃の暖房設備は、石炭を燃料としただるまストーブ(写真左)でしたが、機関車や暖房車に蒸気発生装置を搭載した蒸気暖房となりました。この蒸気発生装置とは、ボイラーの事で石炭や重油を燃料とし、水を沸かして、その発生した蒸気を熱源としていました。写真中央はEF61形式に搭載されている蒸気発生装置です。写真右はその様子で、機関車から煙(蒸気)が出ているのがわかりますね。この蒸気暖房は遠ざかると、蒸気の熱が奪われてしまい効きが悪くなる(届かなくなる)欠点がありました。
電気暖房が登場したのは1950年代で、2つの方式が誕生しています。
イ.編成内に電源装置を有するもの
客車の床下又は電源車にディーゼル発電機を搭載している車輛を連結するものです。三相交流をつくり、給電する方法となります。12系や14系などは床下に発電機を搭載した車輛があり、給電能力を上回る場合に必要な車輛を連結します。(分散式)、20系や24系などは、電源車を編成に連結し一括して給電をします。(集中式)
ロ.電気機関車より電源を供給する方式のもの
※写真左はマワ車所蔵
昭和34年の東北本線交流電化を皮切りに地方幹線の交流電化が進みました。機関車を新製するにあたり、従来の蒸気暖房方式では蒸気発生装置及び重油燃料タンクなどの重量耐えうる設計が必要な上、場所が必要でした。この方式では機関車はとても大きいものとなってしまいます。そこで、交流の利点である降圧が容易である点を活かした電気暖房方式が採用されました。これにより、機関車は小型で軽量なものとなっています。
客車には電気暖房装置が設置され、その区別のため原番号に2000を加えて識別する事にしました。単相交流1500V(交流機関車は降圧、直流機関車は電動発電機又はインバータで直流1500Vを単相交流1500Vに変換)を客車に送り、客車側に搭載された変圧器で200Vまで降圧し、電気ヒーターに送られていました。
余談ですが、電気暖房の電源を確認するため、電源が供給できる電気機関車には電気暖房表示灯というものが側面に設置されていました。この表示灯は通電状態の時は消灯、電源が切れている時は点灯という状態です。あれ?逆じゃない?と思われますが、単相交流1500Vという高圧電気を取り扱うため、通電状態でシャンパ栓を扱うと危険です。通電の有無を点灯で確認する場合、電球が切れて消灯していたらどうなりますか?大変なことになりますね。という事で、消灯を通電状態としているのです。
現在はこの方式の客車列車は全廃となっており、見る事が出来ません。
扉のいろいろ
旅客車の車体を見てみると、内外に扉がいくつかありますね。それぞれを見てみましょう。また、扉にまつわるものを紹介しましょう。
貫通扉
車輛と車輛の間を移動できるように設置される通路を「貫通路」と言います。この貫通路を仕切るため、妻面に設置されるのがこの「貫通扉」です。車輛間で発生する音や風の吹き抜けを防ぐ、火災時に延焼や煙の広がりを防ぐのが主な目的となっています。
鉄道が生まれた明治時代(二軸客車)は、貫通路を持っていない車輛が一般的でしたが、山陽鉄道(現在の山陽本線の前身)時代に走る密室となった車内で、強盗殺人事件があり、貫通路の必要性が認識され、普及が始まりました。
多くの車輛で見られるのが、片引き戸です。この他に両開き(写真右から2番目)、折り戸(写真右)のタイプがあります。ちなみに、折り戸が少ないのは昭和26年に発生した桜木町事故(列車火災事故)がきっかけです。当時、貫通路や貫通扉の整備は行われていましたが、貫通扉は内折り戸(開ける時に手前に扉がくる扉)が主流でした。この事故では、炎から逃れる乗客が貫通扉に殺到し、扉が開くことが出来なかったため、多くの乗客が焼死するという原因の一つになりました。この事から、扉は引き戸を採用し、以降の主流となりました。
貫通扉は一般的にはステンレス製無地のものが多く、更新車などで化粧板を張ったものなどが見られますが、最近では全面強化ガラスを使用したお洒落な貫通扉も見られるようになりました。
手動の場合は、写真のような取っ手があり開閉を自らしなければなりません。最近では、開けると自ら閉まる半自動タイプが見られます。特急形車輛や新幹線車輛では、センサー式の自動ドアがあります。
中間車では、コストダウンなどの目的や冷房装置使用時の冷風効果を高めるため、貫通扉を片側省略したもの、両方とも省略してしまっているタイプもあります。
先頭に出る事のない妻面に貫通扉が設けられるのが基本ですが、列車の先頭となる前面にも貫通扉が設けられている場合があります。この扉は目的が大きく別けて2つあります。先頭車の前面に扉がある車輛を『貫通型』、無い車輛を『非貫通型』と言い、同一系列(形式)で扉の存在の有無を区別する場合に用いられています。
イ.先頭車が中間車として組み込まれる場合。
※写真右はマワ車所蔵
編成の併結時や編成の構成上の都合などによって、先頭車が中間に組み込まれる時や先頭車同士を連結する時に使用します。内折り戸タイプ(写真左)と両側に分割するタイプ(写真左から2番目及び3番目)があります。電気機関車の場合は重連運転の際に使用される事があり、扉は外折り戸となっています。(写真右)
なお、内折り戸を使用する場合は先述の通り、安全上の理由から開けられたままとなっている(乗務員室仕切りの一部として使用する。)ようです。
ロ.非常用扉を目的とする場合
地下鉄線を走る車輛には、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」というルールで前面に貫通扉を設置する事が決められています。貫通扉というより、非常用扉となっています。これは、トンネル内など側面の乗降扉より避難が出来ない場合に使用するもので、扉を開けてはしご等により脱出します。側面に余裕のある地下鉄線では非貫通型の車輛が使用されている場合もあります。
貫通幌
車輛と車輛の間に作られる通路を「貫通路」と言います。写真左、中央のように一般的なものはホームベース形で、重ね合うように設置します。この板を『渡り板』と言います。写真右は、連接車の渡り板の様子で、半月形の少し変わった形状をしています。
この渡り板だけでは転落の危険がとても高いため、安全に移動が出来るように設置されるのが『貫通幌』と言い、渡り板を囲うように設置されます。
一般的には様々な方向へ伸縮が可能とするため、蛇腹(じゃばら)状の覆いで(写真左)タプタプしています。貫通幌は位置が決められており、1両に1つは付けられています。(片側が非貫通の場合は無い事もあります。)左から2番目の写真を見て下さい。手前の車輛に幌を固定する金具が見れます。この車輛は受け側となり、奥の車輛に幌が設置されている。という事になります。
幌の位置がまちまちになると車輛の運用時に連結する際、幌が両方に有ったり、どちらにもないため、貫通路が出来ない。といった事を避けるためです。(写真右のキハ40系、幌がある車輛とない車輛)その車輛の所属基地や線区で異なります。
幌の周囲には金属の枠があり、蛇腹を形成します。一番端には丈夫な枠とピンがあり、相手側車体に付けられた幌枠に付けるのが主なものとなっています。
中には貫通扉の周囲を凹ませて、幌を収納する枠を設けスマートに見せているタイプもあります。貫通幌の欠点は、重い事。最近では、自動貫通幌引出し装置と言われるものを装備した車輛もあります。
外国ではゴムの弾性を利用して、密着させるタイプの幌があります。日本では253系(下写真左)が似たものを装備していました。欠点は急曲線上で幌に隙間が出来る事。このため、253系では乗客の通行が出来なかったそうです。(乗務員や車内販売係員などの通行だけに利用していました。)
変わり種の幌として『つり幌』というものがあります。(写真中央)貫通幌上部左右にばね装置を持ったもので、ばねに吊りかけている構造のものです。(写真右)メンテナンスなど手間のかかる構造のため、近年の新造車輛での採用例は無く、現行車輛も少しずつ無くなってきています。
外幌
車輛間の外側に設置されている幌を言います。列車が走行する際に、様々な抵抗があります。その一つに空気抵抗があり、列車が高速走行をした時、車輛の連結面にも発生します。この時、速度向上の妨げとなる他、騒音を発生する問題があります。これらを少なくするために新幹線などの車輛に設置されています。
最近では、乗客が入口と勘違いして(特に酔っぱらっている時)車輛間に転落する事故を防ぐために、外幌の一種である『転落防止幌(ガードスクリーン)』を設置する車輛が多く見られます。
写真のように形は様々あります。また、先頭車同士が連結すると、危険を知らせる放送が流れる場合など、各社で転落防止のための工夫を見る事が出来ます。