なんか、見慣れない文字が・・・。ネコさん、何に慄(おのの)いているのでしょう。それは、見てのお楽しみです。さあ、その3が始まりますよ~。

⑨コンパートメント席など
ア.コンパートメント席

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 数席ごとに仕切り板などで区切り個室とした座席を言い、1両全てがコンパートメント席で構成されているものを「コンパートメント車」と言います。これに対し、ごく一般的に見られる、連続して座席を配置している形を解放座席車と言います。
 一般的には「個室」と呼ばれるもので、日本では団体専用車輛や特急形車輛のごく一部に採用されている程度となっています。室内は通路と部屋が扉で仕切られており、プライベートな時間を過ごす事もできます。(ただし、防犯上の理由から扉に窓があり、カーテンが無い場合もあります。)

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 一方、この形に近い形態で、他の席と離したり、他車の視線を遮る高さの仕切りを設けて、個室のような感じにした席があり、これを『セミコンパートメント』(半個室)と言います。
イ.お座敷席(和式車輛)

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 団体専用車輛に見られるもので、床面を畳敷きにし、掘り炬燵の設置など木目調デザインを多用した和風のデザインとした座席です。写真右手の箱状のものは座席を兼ねた(一時的に座るもの)荷物入れとなっています。
ウ.ロビーカー・サロンカー
 主に夜行列車やジョイフルトレインなどにおいて、乗客に供する目的で連結され、定員「0名」として乗車定員が規定されていない車輛を『ロビーカー』と言います。列車や車輛によってはサロンカーなどの愛称もあります。また、車輛の一部の場所をサロン室やフリースペースなどと言い、乗客に供しているケースもあります。
 始まりは明治43年に東海道・山陽本線で走った特別急行列車1・2列車に連結されていた一等展望車の展望室、談話室です。一等車を利用する乗客のみが利用していました。その後、一般乗客に対しては1960年代の夜行列車に登場したオシ16形式です。「サロンカー」と呼ばれたこの車輛は、寝台車の寝台をセットするため一時的に座席を離れた利用者の避難場所的な意味合いで設計されました。昭和60年に純粋なフリースペースとしたのは九州ブルトレに登場した24系客車のオハ24形式が最初になります。

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※写真中央及び右はtuboフォトオフィス様撮影

 写真は寝台特急列車に連結されていたロビーカー(左)とミニロビー(右)の様子。談話室とも言われており、飲料の提供、電話、シャワールームが併設されているものなどもありました。

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 写真は団体専用列車や観光列車に設置されている一例です。ソファの配されたサロン室(サロンスペース)などと呼ばれています。

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※写真左はtuboフォトオフィス様撮影

 夜行列車や一部の特急列車では、かつては喫煙室であった部分を禁煙化に伴い、フリースペースとして利用しているものもあります。

⑩食堂車・ビュッフェ車
 鉄道車輛では客車の一つとして扱われています。車内には食堂のほか、調理を含めた設備を有する車輛の事です。かつては長距離列車に必ずと言ってよいほど連結されていた車輛でしたが、航空機や自動車(バス)の発達、新幹線の延伸、食形態の多様化などの理由に減少しています。また、食堂車は乗客が出向いて注文をする形態でしたが、現在では乗車前に食事の予約を行う形態となっています。
 定期列車では食堂車がほとんど見られなくなりましたが、最近ではジョイフルトレインや観光列車において、「食事をしながら旅行を楽しむ。」という企画が多く、食堂車が新造、既存車輛の改造によって誕生しています。
 食堂車には2種類あります。一つは『全室タイプ』。車内を二区画とし、1室を本格的な調理が可能な調理設備を設置した調理室とし、もう1室を食堂とする形態のものです。もう一つは車内の半分程度のものとし、残りを客室とした『半室タイプ』で、『ビュッフェ』と言われるものです。食堂内にカウンターテーブルがあり、電子レンジ等を用いた簡易な調理設備を設置しています。メニューは軽食に限られており、飲食スペースは立食が基本。座席があっても数は少ないのが特徴です。

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※写真右はTuboフォトオフィス様撮影
食堂車の食堂の様子と料理の様子。
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食堂車の調理室の様子。機能的な設計、電熱器などを用いたオール電化が特徴です。
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ビュッフェ車の様子。

⑪優先席

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 皆さんは鉄道をはじめバスなどでこのようなマークを見た事がありますか?一度は目にしたことがあると思いますが『優先席』というものです。呼び名はこの他に、「優先座席」、「おもいやりシート」などと事業者により様々あります。
 高齢者(お年寄り)、身体障がい者、妊婦、乳幼児連れの親子、けが人などの着席を優先させる座席です。

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 始まりは昭和48年9月15日(当時の敬老の日)から、国鉄(現:JR)中央線快速に『シルバーシート』の名称で登場。その後、東京や大阪の国電路線に順次導入されました。このシルバーシートは「お年寄り」が語源に思われますが、他の座席と区別するためシルバーグレーの布地(0系新幹線の座席に使っていたもの)を設定した事によるそうです。国鉄に倣い、私鉄などの事業者でも導入が進められ、「シルバーシート」のほかに「お年寄りや体の不自由な方の優先席」などの呼び名が付けられました。

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 当初は編成の先頭、最後部車輛の端部に設定されていましたが、その後各車輌の一端を優先席に設定するようになっています。
 時は平成に入り、高齢者や身体障がい者の利用以外に妊婦、乳幼児連れの親子、けが人等、何らかのハンデを持つ利用者へも拡大する事になり、高齢者用を思わせる「シルバーシート」から「優先席(優先座席)」への名称が変化しています。また、一部の事業者では優先席を廃止し、全車両の全座席を優先席としています。

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 座席は当初はシルバーグレーのモケット(写真上段左)で区分していましたが、色の変更のほか優先席のデザインを施したものやモケットに柄を付けたものなどがあります。また、視覚障がい者のかたのために、手すりやつり革を黄色にしているものも見られます。
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 視覚障がい者の方に利便性を高めるため、最近では乗降扉やその床面に黄色い線や点字ブロックを配している車輛も多く見られます。

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 車椅子を利用する利用者に対しては、『車椅子スペース』が設置されています。その事業者により設定されている号車は様々ですが、優先席の向かい側にある事が多いようです。既存の車輛に対しても、座席の撤去し、車椅子スペースを設置しています。(写真下の右、緑色の丸い部分が車椅子スペースです。)
 最近では車椅子のほかに、乳母車(ベビーカー)もこのスペースを優先して使用する事が出来るようになっています。

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※Tuboフォトオフィス様撮影

 最近までは携帯電話はペースメーカーに影響があるとして、電源を切るように協力を求めていましたが、混雑時にのみ電源を切るように協力を求める形になっています。写真は旧優先席のステッカーです。

⑫女性専用車輛

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 名前の通り、女性専用に供される車輛で、女性以外の乗車を禁止するものです。鉄道のほかにバスやタクシーでも見られます。ただし、事業者によっては身体障がい者の同伴や幼児などの理由により男性の乗車を認めている場合もあります。(注意書きを読んで乗りましょう。)
 このような専用車が登場した背景には、痴漢などの性犯罪、暴力から女性を保護する目的で設定されており、時間による設定終日設定があります。また、号車もその路線により異なっていますので、注意が必要です。誤って乗ってしまった殿方は、速やかな他車への移動をしなければなりません。
 登場は以外にも明治時代まで遡り、明治45年に中央線で混雑時間帯に登場した「夫人専用電車」が始まりです。当時の男性と女性が一緒の車輛に乗るのは好ましくないと、当時の国民性を反映したものでしたが、短期間で無くなってしまいました。
 戦後の昭和22年に再び中央線で「婦人子供専用車」が登場し、京浜東北線にも登場しました。当時のラッシュは乗車率が300%という過密状態で、殺人的通勤ラッシュから子供や女性を守る目的で導入されました。昭和48年に導入された「シルバーシート」(優先席)と入れ替わる形で廃止されました。
 2000年代に入り、車内においての迷惑行為や痴漢行為が車内問題として取り上げられるようになり、犯罪として認められるようになってきました。このような状況から女性が安心して乗車できる事目的に復活し、現在に至っています。
 女性専用車の車内はその他の車輛とあまり変わりませんが、つり革を低く設定している車輛もあります。

座席、座席の周辺にある設備

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 旅の楽しみの一つにお弁当や飲み物を飲みながら車窓をつまみする。実に有意義ですねぇ。でも、どこに置けばいいんだろう。そのような困りごとを補助してくれるものをご紹介しましょう。
A.テーブル

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お弁当や飲み物、その他小物を置くのに設置されているもの。(重い物は壊れてしまうので、決して載せてはいけません。)座席の窓側の壁に固定されたもの(写真左)や座席に折りたたまれており、ハンドルを回転させると手前に倒れてくるもの(写真中央、右)があります。

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こちらは固定されているテーブルを延長するタイプと使用しない時は壁面に倒れた状態で設置され、使用時に起こすタイプです。どちらも収納時に指を挟まないように注意が必要です。この他、ひじ掛けより出し入れするタイプや別にドリンクホルダーがあるものなどの種類があります。
B.栓抜き

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現在ではジュース類の飲料を中心にペットボトル化が進み、この栓の部分(蓋)はひねって開けるスクリュー式が主流となっています。古くはジュースやビールといった飲料は瓶で『王冠』という蓋がされており、栓抜きで開封していました。現在ではビール飲料に多く見られます。
瓶で売られているのが当たり前の時代、汽車の旅にも当然持ち込まれていました。「さあ、飲もう。あれ?栓抜きが無いや。」さて、どうしましょう。丈夫な歯をもったおじさんが栓を加えて「ポンッ!!」と開ける事もありましたが(最近は見なくなりましたねぇ。)、多くの乗客は椅子や窓の枠を利用して、強引に開けていました。このため、木製の椅子や枠はボロボロに。このため、栓抜きが設置されました。皆さんも瓶をもって、開けてみては如何でしょう。
B-1.ドリンクホルダー

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時代は流れ、王冠の付いた瓶からアルミやスチール缶やペットボトルの時代になりました。窓枠やテーブルに飲料を置いてしまうと、振動や手が触れてしまうなどで倒して、中身がこぼれてしまった。という事があります。普通列車のグリーン車などにはドリンクホルダーが用意されています。左の写真のようになっていますので、使用する際は手前に倒して、写真右のような状態にし、飲料容器をセットして下さい。なお、大きさによっては入らないものがあるので注意が必要です。
C.コンセント

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 近年、私たちの身の回りには携帯式の家電製品があふれていますね。電話やゲーム機、パソコンなどがあります。これらは充電式のものが多いのですが、旅先で困るのが電池切れ。よく、電車内で掃除用のコンセントで携帯電話などを充電している人が見られますが、これは立派な犯罪なのです。(窃盗罪)まあ、それは警察に任せるとして、某その筋の方に聞くと、電車内のコンセントは「時々電圧が変わる事があるので、携帯電話なんかを充電していると過電圧がかかり、壊れて使い物にならなくなるよ。」との事です。電車内で携帯電話を充電していたら、発煙して大騒ぎ。というのがニュースにありましたが、この事なのでしょう。
 それでは困りますねぇ。優等列車にはビジネスマン向けに、専用のコンセントが設置されており、携帯電話やパソコンなどの充電器を利用する事が出来ます。指定されたコンセントなどで充電し放題です。ただし、降りる時に忘れないように気を付けなければなりません。
D.灰皿

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 現在では見る事の機会が少なくなった設備です。かつては、近郊形車輛や一般形車輛以上のクラスにはあった設備です。普通列車では禁煙タイムがあり、その時間以外ならば車内で喫煙をしても問題はありませんでした。健康増進法とかいう、健康に良い事なのか悪い事なのかわからない決まりが出回り始めると、喫煙車と禁煙車が用意される分煙化が進められ、普通列車は全面禁煙に。その後も列車内ならず、駅果ては世間そのもので愛煙家は追いやられる始末・・・世の流れとはいえ、世知辛いですなぁ。
 写真右は国鉄時代からある灰皿。蓋が半回転するタイプです。結構容量があるのが特徴でした。その右は小ぶりな灰皿。私鉄の車輛に使われていたものです。この他に、リクライニングシートの肘掛にスライド式で内蔵されたものなどがありました。
 現在では多くの列車が禁煙です。その中で、東海道・山陽新幹線は比較的長時間乗車するためか、編成内に喫煙ルームが設置されています。

網棚・荷棚

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 電車やバスの車内で見られる、荷物を置く棚を『網棚』と言います。座席と天井の間にあり、荷物を置けるように適度な空間があります。枠は木製や金属でできており、網の部分には様々な材質が用いられています。通勤形電車などでは、混雑時につり革のほかにつかまる部分としても利用されています。
網棚に荷物を置く時にはいくつか注意しなければならない点があります。
・棚自体の奥行きを考えないで荷物を載せた場合、振動によって荷物が落下する恐れがあります。また、重量のあるものを無理に載せると、降ろす時に勢い余って他の乗客に当ててしまうなど、トラブルの原因にもなりかねません。
・荷物から目を離してしまうと、盗難(置き引き)の恐れがあるほか、降車時に存在を忘れてしまう恐れ(忘れ物=遺失物という)があります。貴重品や大事なものは膝に乗せるなどの対応が必要です。
このような事から、網棚を使いたがらない人も多くいるようです。皆さんも利用する時は気を付けましょう。
○網棚のいろいろ
イ.糸のもの

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 網の部分が糸状のもので、網棚が誕生した頃からしばらくはこのスタイルでした。荷物のハンモックみたいなスタイルで、破損などで緩んでくるとかなりだらしない格好になります。
ロ.金網式

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 網の部分の材質を糸から金属の金網にして強度を高めたものです。
ハ.パイプ式

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 製作工程を簡略化するために金網からステンレスのパイプに変更した網棚。形から荷棚に近いのですが、鉄道業界の慣例からか網棚と言われます。似たもので枕木という言葉もありますね。
二.ハットラック式

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 航空機に見られる荷棚部分を蓋で閉じるものです。閉めることで車内の景観がすっきりします。写真のように荷棚部分と蓋を一体化したもの(左)と、蓋のタイプ(右)があります。
ホ.ステンレス板、強化アクリル板を使用したもの。

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 最近ではステンレス板や強化プラスチックなどの素材を用いた網棚が登場しています。
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 空港アクセス特急に用いられる車輛などには大型手荷物を収容する荷棚が設置されているケースもあります。この他にはスキー列車などでスキー板を収容するスペースをもつ車輛もあります。座席から離れていて不安。そんなあなた安心して下さい。網棚がパイプ状のものが多く、チェーン鍵やシリンダー錠で荷棚とつなげば荷物を盗難から守れます。また、防犯カメラが付いている場合が多く見られます。

吊り革・握り棒・スタンションポール

 皆さんが電車やバスなどで座れず立ってなければならない事になった。という経験があるでしょう。乗り物は移動中、左右や前後に揺れ動くことが多々あります。そんな時に体を支えるものが無いとあちこちに体が動いて時には転んでしまうかもしれません。そのような事が無いように、支えるものが吊り革、握り棒、スタンションポールです。
吊り革
上から吊り下げられているもので、握る事で体を支える事ができます。ただし、吊り下げられていますので、大きな動揺などの時には支えきれなくなる事も。名前の通り、古くは革製のものでした。

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現在ではナイロン製のストラップにプラスチックの握りを組み合わせたものが主流となって、見る事が出来ます。さて、このプラスチック製の握りですがいくつかの形状があります。
イ.環状のもの。
 イ-1.丸型

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多くの鉄道事業者が採り入れている形。白色の他に優先席用の黄色も見る事が出来ます。握り易く、輪っかを回す事で前の乗客が握った場所を避けられるメリットがあるなどの理由から人気があるようです。
 イ-2.三角形

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その形状から、おにぎり型とも言われています。家庭用アイロンの握り手をヒントに出来た形状で、昭和8年頃大阪の地下鉄で採用されていました。一時期は人間工学の観点から疲れやすい形状で、丸型が主力となっていましたが、現在のものは改良されたもので、再び採用する事業者が増えてきています。
 イ-3.五角形

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その形状からホームベース型とも言われています。三角形と形状が似ています。
ロ.球形
日本国内では採用例が少なく、イギリスや香港などで採用例があります。

リコ式
 かつて使用されていた方式で、東京地下鉄道(後の帝都高速度交通営団、現在の東京メトロ)などで使用されていました。米国リコ社で開発され、その名前が付きました。握り部にストラップが無く、使用していない時はコイルばねの力で車体外側を向いて跳ね上がる仕組みです。揺れによって網棚や手すりにぶつかる音がなく、前後方向に揺れないため安定性があるという利点がありました。東京地下鉄道では当時、燃え易いセルロイド製の吊り革に代わるものとして導入しました。
その後は現在の吊り下げられるタイプになりました。吊り革の設置では乗降扉部の吊り革を設置するにあたって頭を悩ませる問題となります。設置をすると、吊り革をもつ乗客が障害となり、スムーズな乗降が出来ない。一方、無ければ停車時など揺れが生じた際に乗客がバランスを崩し、傷害事故を発生しかねません。
一つの例ですが、京阪電気鉄道では跳ね上がり式吊り革を乗降扉付近に設置しています。リコ式と現在使用されているストラップ式を組み合わせたもので、使用しない時は跳ね上がっています。

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★その他
 JR九州所有の817系及び813系の一部の車輛には乗降扉付近の吊り革を環状に配置して、混雑緩和の試みをしています。

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スタンションポール(Stanchion pole)・握り棒
 吊り革と同じく、動揺のある車内にて姿勢を維持するための支えです。天井より吊るされ、握る位置が高い吊り革と比べ、天井から床まで一本の棒を配しています。これをスタンションポールと言います。乗客の身長に関係なく握れるほか、多数の利用も可能です。一方で、通行の妨げになる場合や混雑時に圧迫された場合、骨折などの怪我をする恐れがある欠点もあります。
 座席上にある網棚や吊り革を配置するため、ステンレスパイプで組まれた枠また、つり革ではカバーしきれない部分に配置されているものを握り棒と呼びます。
どちらも垂直方向に配置されているのが一般的で、同じ目的を行う事からどちらの呼び方でも良いようです。

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公衆電話・洗面所など

 ここでは、デッキや車端部に見られるものを学んでみましょう。
①公衆電話(列車電話)
 旅客列車にある設備の一つで、外部との連絡には欠かせないものです。誕生は昭和32年に近畿日本鉄道(近鉄)で、国鉄では昭和35年に登場した151系になります。
 仕組みは無線のようなもの。と考えると良いでしょう。登場した頃は電話機にダイヤルが無く、交換手に電話番号を伝え、相手先に連絡をしてもらう方法でした。また、車内からだけではなく、車外から列車へ電話をかける事も出来ました。
 テレホンカードが登場し、このカード専用とする事で電話が小型化し、設置される車輛が増えていきました。その後、平成3年に無線技術の発展により、交換手を必要としなくなりました。この頃、携帯電話も普及の兆しが見え始め、2000年代に入り利用者の減少が進み、合わせて電話の撤去が行われています。平成24年、新幹線を除く全ての車輛から公衆電話が撤去されました。(システムの変更により廃止。)

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※新幹線に多く見られるカード式公衆電話(左)。横にはテレフォンカード販売機があります。(1枚1000円のみ)中央は500系新幹線の電話室。個室になっています。右は中の様子。

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※在来線に公衆電話が設置されていた当時は利用できる区間を表した説明書きがありました。(左)、電話が撤去されると携帯電話スペースやフリースペースの名称となりました。特に何も書いていません。中には新製当初より、携帯電話スペースとなっている場合もあります。電話のイラストでわかりますね。

②洗面所
 後述の便所(トイレ)とセットで置かれる設備で、旧型客車や急行、特急列車用の車輛などに設けられる設備です。手や顔などを洗うほか、お化粧などの身だしなみが出来るよう鏡があるスタイルが一般的です。配置は座席と同じ、縦型(進行方向に前後する形で向くもの。)と横型の2種類があり、これは車輛の構造などによるものです。

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写真左は旧型客車に見られる洗面所です。洗面器の左側に見られる小さな穴は痰壺(たんつぼ)というもので、痰を吐き捨てるものです。昭和40年代頃まで伝染病を防ぐ目的から鉄道車輛の洗面所の他に公共施設などを中心に設置されていました。写真中央、右はその後の国鉄形車輛に設置された洗面所です。電車、客車、気動車どれも同じ形です。洗面器には向かって左側がH、右側にCの刻印があり、Hはお湯(hot)、Cは水(cold)を意味し、外側にレバーを動かすと一定時間ジャーっと水が出ます。

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アコモ改良時に置き換えられた洗面所を見てみましょう。鏡を三面鏡に変えたもの、1枚で残しつつも大型化したものが見られ、身だしなみをサポートしてくれます。写真左は、洗面器右のレバーを押すタイプ。左には温度調節用のダイヤル付き。この他、手洗い用石鹸、給水器(手前に紙コップ)、下にゴミ箱があるタイプ。中央はセンサー式としたもので、手を蛇口付近に差し出すと水が出てくる摩訶不思議なもの。その右もセンサー式で、室内を電球色とした落ち着きある空間となっている洗面所です。一番右の洗面所はシックな黒の空間としたE3系現美新幹線の洗面所です。手を差し出すと手洗い用石鹸、水が出るほか、手洗い後の送風機能が付いています。

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洗面所を利用する際、女性を中心にお化粧中の姿を見られたくないなどの理由からカーテンによる簡易個室に出来る洗面所もあります。写真右は番外編。個室A寝台には洗面所がありました。写真はオロネ25形式のもので、使用しない時はふたを閉めて机として使用します。この他に壁面に埋設され、使用時に引き出すタイプがありました。

③トイレ(便所)(列車便所)
 短距離向けの通勤形車輛の一部を除いて、中~長距離に供される車輛などに設置される設備です。鉄道車輛用であるため、建築物に設置されるトイレとは異なり、独自の進化を遂げてきました。
 鉄道が誕生し、暫くは列車にトイレはありませんでした。乗客は停車駅での停車時間に用を済ませる事となります。海外では19世紀中頃から長距離列車にトイレが設置され、一般的になっていきました。
 日本ではトイレの設置はまだなく、我慢できずに窓から放尿し、10円(現在の20万円くらいに相当。)という高額な罰金を支払う事もあったそうです。また、駅で用を済ませていると乗り遅れてしまった。という事もあったそうです。

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 日本で初めて車輛内にトイレが設置されたのは明治9年に製作された写真の1号御料車(初代)になります。和式の漆塗りの便器が備えられました。一般旅客向けでは山陽鉄道(現:山陽本線)が輸入した上等車になります。その後、長距離列車向けの車輛にトイレが標準的に設置されていきました。電車でトイレが初めて設置されたのは大正13年に南海鉄道(現:南海電気鉄道)の電7系です。この電車はトイレのほか、食堂車もあり、これも初めての設置となっています。気動車では昭和7年に中国鉄道(現:津山線)に登場したキハニ120形、130形が最初になります。貨物列車に連結される車掌車は長い間トイレの設置は無く、戦後になります。急行小口貨物列車専用の車掌室付有蓋車ワムフ100形式が最初です。その後採用例は少なく、高速貨物列車用の車輛にユニット構造の車掌室が設置された際にトイレ付となりました。2軸の車掌車では国鉄で最後に新製されたヨ8000形式のみとなっています。
○外観

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 トイレは一般的には車端部に設置されています。その外観は個室で引き戸タイプが多く、連結面側に出入口があるのが一般的です。右から2番目は客室側に出入口があります。一部の気動車などでは折り戸が使用されています。取っ手の近くには使用中か否かを表す表示があり、表示を確認するか、判然としない場合はノックをして応答を待ちましょう。個室内に入ったら、鍵をかける(施錠)をすることをお勧めします。表示や応答がなく入ってきてしまう場合や振動などにより扉が開いてしまい、お恥ずかしい姿をさらしてしまいます。
※実際に作者が体験したお話を(とあるローカル線であった事です。)
①トイレの前にあるクロスシートに座って車窓を眺めていたら、引き戸が開き(確か、ブレーキがかかって全開に。)ドンッ!!と大きな音が。びっくりしてその方向を見ると、お尻丸出しのお嬢さんが。
②トイレの方から「助けて!!」と声がして、私を含め数名の乗客がトイレに駆け寄ると、和式便所にすっぽりとはまってしまったおばあちゃん。もちろん助けましたが。
と、良くも悪くも扉を閉めないと大変な事になりますので、ご利用の際には注意をしましょう。

○便器の形など
S式便器の誕生
 古来より日本独特のスタイルである「和式」。屈んで用を足す一方、男性は立って用を済ませるという2通りの用を済ませるスタイルがあり、このどちらでも利用し易いように、床を二段式として便器後端を突き出させる形となっています。この形態を『列車式便所』や『汽車便』などと呼ばれています。このスタイルは、男子用小便器を独立して設置できない住宅などに、昭和初期から採用されています。
 また、便器そのものは登場当初は床面から20cmほど浮いており、清掃面で問題がある事から80系湘南電車以降は家屋で見られる便器と床のフラット化(同一平面)とした、階段状のものとなっており、この便器を考案したのは鉄道技師の島秀雄であり、彼の名字を取って『S式便器』と呼ばれています。その後、タイル張りからアルミニウムやプラスチックの化粧板、ビニル床材など組立や清掃面の省力化を図るため、変化が見られます。このS式便器は家屋に見られる水溜りという悪臭やネズミなどの進入を防ぐ排水トラップが無いのが特徴です。

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S式便器。日本の鉄道車輛の基本となるスタイルです。
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トイレの周りには揺れがあるため前方に握り棒が設置され、立ち上がる際の握り棒が右側に付いています。この他、トイレットペーパーホルダー、汚物入れがあります。用を済ませたら一段下にある足踏みペダルを押すと排水が始まります。
多くの鉄道車輛で、このS式便器を使った和式便所が設置されました。
洋式便器(洋式便所)の誕生
 私たち日本人にはごく当たり前であった和式便所。しかし、外国人にはとても使いずらいものでした。外国人の利用が想定された優等車輛である一等車及び二等車には、和式便所の上に別に用意した便器をセットして洋式風のトイレとしました。しかし、不潔で評判は悪かったそうです。
 本格的に登場したのは戦後に登場したスロ60形式特別二等車になります。当時の進駐軍の要請がきっかけで、以降の優等列車に用いられる車輛には和式、洋式便所を1つずつ設置されるようになりました。

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※写真右はTuboフォトオフィス様撮影

洋式便所の場合、便座部分が共用となるため、誰が使ったか分からないものに使うのが抵抗があるという声に呼応するため、当初は電動巻き取り式のポリ膜が付いた便座(ボタンを押すとウィィィィンと今にも壊れそうな音と共に、円形の便座に巻かれたポリ膜が動く。)でしたが、故障が多いため、現在では便座用の敷き紙や消毒液に浸した拭き取り紙が設置されているのが多く見られます。
バリアフリー化と和式便所の衰退
 時代は流れ1990年代。世はお年寄りや障がい者の方でも利用し易く、かつ安全に利用できるようにバリアフリー化が進んでいました。一方、私たちの生活でもこの時代になると洋式トイレが一般的になり、和式トイレは敬遠されるものになりつつありました。

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 近年の車輛では和式トイレは製造されず、国鉄時代の車輛を中心に残存するのみで、車椅子での利用が出来るように室内の空間を広くした車椅子対応トイレの設置が行われた車輛が増えています。出入口の間口は広く、車椅子でそのまま出入りが可能です。また、多くは室内外の開閉操作がボタン操作式となり、自動ドアとなっています。一部は手動操作のものもあるので、確認して下さい。

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車種によりそれぞれ異なりますが、多くの車輛では手すりが多く配置されています。また、オストメイト対応のトイレも増えています。
この他のトイレ

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新幹線や特急列車の車輛の一部には男子専用の小便器を設けたトイレを設置する車輛もあります。また、女性専用トイレというものが設定されている場合があります。
トイレの洗面所など

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用を済ませたら手を洗います。かつては写真左のような(本体は銀色が一般的。)足踏みペダル操作式の洗面所が設置されていました。近年の車輛では鏡が付くなど立派な洗面所が設置されたものがあります。この他、赤子連れの親子にも対応できるよう、簡易の折り畳み式ベビーベッドを備えたトイレもあります。このように、時代と共にトイレも進化を続けています。この他、緊急時の通報装置、個室内での喫煙を防ぐ目的から煙探知機を設置しているケースも見られます。
柔らか巻紙

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※羽村工場長様撮影

 トイレに必需品となるのが、トイレットペーパー。この柔らか巻紙ですが、かつてはホルダーがあるものの、盗難や放火が相次いだ事から一時期ない時代があり(特に普通列車)、わら半紙やポケットテッシュなどを持参して利用しなければなりませんでしたが、最近はサービスの一環として再び設置されています。いわゆる信用取引みたいなものですね。利用者が悪行を働かない事を祈るばかりです。

○トイレに付帯する設備
①水洗装置

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 車輛のトイレは手洗い用の設備も設置する事から、早期に水洗化が行われ、水洗装置が採用されています。当初はトイレと屋根の間に水タンクを設置し、重力により水を供給していました。水を出したり、止めたりする洗浄弁は手動式で、尿の飛散などで不潔になってしまう欠点があったほか、木造車体の当時では水タンクの容量など強度面から限界がありました。
 昭和に入り車輛に空気ブレーキが普及し始め、昭和4年に登場したスハ32形式などの鋼製大型客車では、水タンクを床下に吊り下げ、ブレーキ用の圧縮空気をポンプ動力に用いた汲み上げ方式に変更しました。このポンプを動作させるために足踏み式のペダルを設置しました。この方式は以降、長らく続きました。
 足踏み式は足の悪い方には扱う事が難しい。という指摘があり、1990年代以降はボタン操作による電動式や赤外線センサーなどに手をかざす事で動作する電子弁が普及しています。
②便所知らせ燈など

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 トイレを利用しているか否かを扉に付けられた鍵に連動して表示する例が一般的でしたが、昭和26年に登場した急行用客車スハ43系では、乗客のサービス向上として『便所使用知らせ燈』が設置されました。トイレの鍵が鎖錠されると連動して点灯する仕組みで、席を立たなくても空室状況が一目で判断できるようになりました。その後、トイレのマークになるなどの変化はありますが、基本的な仕組みは変わりません。
 最近では旅客案内表示器に組み込まれており、他の表示と共に表示されています。

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 電車列車では、一部写真のようにトイレのある車輛を知らせる案内があります。編成図がありますが、自分がどこにいるか分からない時は矢印の方向へ進みましょう。

③トイレ窓

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 トイレに設置されている窓は、初期の頃は大きいもので、石目ガラスや磨りガラスを使用しており、採光と目隠しを目的としていました。窓上部は僅かに内側に開閉ができ、換気も出来ました。(①)戸袋を兼用している場合は固定窓が使用され、その近くに小さな換気窓が設置されています。(②)室内は白熱灯が使用され、トンネル内や夜間は薄暗い物でした。
 昭和33年に登場した151系からトイレ窓は小型化され、小判型窓に変化します。(③、④)これは、室内灯が蛍光灯化されて客室と同等の明るさとなったからです。その後、換気扇が設置され臭気対策がより効果的なものになりました。あわせて、車体工作の簡略化が行われるようになり、新幹線車輛を最初に徐々に普及し、最近登場する車輛からは窓が無くなっています。(⑤)

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 トイレが設置されていない車輛にトイレを追加設置する改造も散見されます。当初は窓を客室窓からトイレ用窓に交換して設置していました。その後、鋼製車輛は窓が無くなり平滑なスタイルになっています。(⑥)ステンレス車体の場合は加工が難しいため、もともとあった客室窓の上に、少し大きめにカットした塞ぎ板を重ねています。

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トイレが設置される一方で、撤去や封鎖される例もあります。主な理由は・・・
・汚物処理設備の費用面や車輛基地周辺の環境問題によるもの。
編成内でのトイレ数の適正化(急行形電車の場合、3両編成で各車にトイレと洗面所が設置されていますが、普通列車へ格下げされる際に2両分は撤去されています。
トイレが残置されている場合、ドアノブが外されていたり、業務用室になっています。撤去された場合は、自動販売機を設置する事があります。多くはただの空間になっているケースがほとんどです。

○汚物との闘い

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 明治時代に登場した列車便所は『開放式』と言われる、写真のように汚物や汚水を線路上にそのまま流すタイプでした。走行中においては自然に飛散していましたが、停車中はそのまま下に残すだけでした。このため『停車中は使用しないで下さい。』という注意書きを出しました。しかし、出物腫物所構わずだけに・・・
 鉄道沿線に住宅が少ない頃は何ら問題も無かったのですが、都市化が進みにつれて汚物の飛散被害が増え、トンネルや地下線路内、駅構内では夏場になると異臭が漂うなど問題が出てきました。また、車輛や線路も汚すため、保守や整備する現場からも改善が強く求められました。このような被害を『黄害』(おうがい・こうがい)と言います。
 この問題を解決するため、最初に誕生したのが貯留式というもの。平たく言えばただ溜めるだけのものである。最初に採用したのは新幹線でしたが、数運用で一杯になってしまう問題がありました。その後、粉砕式汚物処理装置が開発されていましたが、この方式は汚物を綺麗にしてから線路に排出する。という、従来と余り変わらないものでした。こうした中、循環式というものが登場しました。
 循環式とは、汚物タンクに水と薬剤の混合液を入れ、便器の洗浄液としてフィルターを通し、ポンプにより循環するものです。長期間にわたり汚物を抜き取らなくて済む事から1970年代以降の主流となっています。使った時に青味を帯びた液体(硫酸銅系の薬剤)が流れ、悪臭を防ぐための独特の芳香をもつトイレが循環式です。
 1990年代にはいると航空機で採用されている真空式が登場します。便器内にある排水弁を一瞬開き、圧縮空気の力で汚物を吸引し、タンクに収める方式です。構造上複雑ですが、洗浄水の使用量が少なく、水タンクを小型化出来る事や処理装置をトイレの下でなくとも設置できる自由度の高さから、採用が広まっています。
 この他、水分の浄化・消毒を行ってから排出し、固形物を使い捨ての回収箱に入れて、使用後焼却処分するカセット式などがあります。
 このように、開放式に変わる様々な方式で黄害対策を行った結果、平成14年に期列車から開放式が全廃となりました。

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④屑物入れ(ごみ箱)

 古くの鉄道車輛には無かった設備で、当時は床に弁当屑などを置いておくのが普通でした。このため、長距離列車ともなると大量のごみが車内に置かれて、悪臭など衛生面で問題が出てきました。そこで、屑物入れの設置となります。設置される場所はデッキで、乗降扉付近にあるのが一般的。降車する際に捨てられるようにするためなのでしょう。屑物入れがない時は、駅のごみ箱に捨てましょう。

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もともと屑物入れの無い車輛には箱形の屑物入れが設置されています。主に普通列車で中、長距離の利用者が多い路線で見る事が出来ます。急行、特急形車輛などには車体に備え付けられており、扉を押して捨てるタイプが一般的です。

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エコロジーが推進される昨今ではごみの分別を行うごみ箱が出てきました。カンやペットボトルとそれ以外のごみを分別して捨てます。

⑤車内販売準備室

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車内販売を行うため準備する部屋です。部屋と言っても、写真のように売店を兼ねた形態が多く、お弁当、その他軽食やコーヒーなどの飲料を販売していました。あまり需要がないためか、営業をしていない場合が多いようです。

⑥シャワー室

 旅の疲れを癒すサービスの一つで設けられています。古くにもシャワー室を設けた寝台車がありましたが、シャワー(洋式)に馴染みのないためすぐに無くなってしまいました。現在では団体専用の寝台車の一部、285系寝台電車に見る事が出来ます。

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※利用する際はカードを買いましょう。1回の利用は320円。A寝台を利用するとアメニティーグッズの中にカードが入っています。中央は脱衣所、右はシャワー室の様子。シャンプーやボディーソープも付いています。タオルは最低持参する必要がありますので、ご注意ください。

さて、車輛の設備を見てみよう その3如何だったでしょうか。ちょっぴり臭いのあるものをご紹介しましたが、最後にシャワーですっきりされた事でしょう。