鉄道車輛の側面を見ると写真のような「クハ」や「モハ」などといったカタカナと数字を組み合わせたものや数字だけが書かれた文字を見る事が出来ます。これは『形式記号』というもので、その輛の構造や用途などを表し、見る事でどのような車輛かをすぐに判別できるようにしたものです。形式記号のほかにも、車体の隅々を見ると色々な記号のようなものがあります。このお部屋ではそれらをご紹介しましょう。
 記号は鉄道会社で決めたルールや国によって定められたルールによって付けられていますので注意が必要です。ですから、JRの職員さんに私鉄の事を聞いても「解らない。」という答えでも致し方ありません。
 さあ、謎の記号を解いてみましょう。
※ここではJR(国鉄)を中心に説明をして参りますので、予めご了承下さい。

形式記号の読み方
 鉄道車輛を見ていると、形式記号が目立ちますね。車輛の種類によって読み方が異なるので一つ一つ見てみましょう。

①電車の形式記号
 電車では『カタカナ記号と数字の組み合わせ』が基本となっています。製造された時期により、大きく2種類に別けられます。

A.旧性能電車の記号の読み方

 いわゆるチョコレート色の古い電車見られる記号で、現在のものとは異なります。この頃の電車は全て電気方式が直流であったため、電気種別を見分ける記号はありません。

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旧性能電車は5つに区切って読むとその車輛の構造や用途が解ります。

①車輛の種類

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 電車が誕生し、まだ数が少なかった頃の記号は「」と「」だけでした。数が増えてくると、両端は先頭車という事が解るのですが、中間に入っている車輛が何なのか解らなくなってきたため、「」という記号が追加されています。(例 ク+モ+モの場合、中間はどっちかな?これだけでは編成を分割する際によく解りませんよね。)

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 アルファベットで表記する方法もあり、電動車はmotorの頭文字である「」、付随車はtrailer(トレーラー)の「」で表し、制御車や制御電動車をcontrol(コントロール)の「」で表し、電動車又は付随車と組み合わせます。(McやTc)
②車輛の設備

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③車輛の長さ
1と2 車体長20m未満の車輛
3~7 車体長20m級で近距離に用いる車輛
8   車体長20m級で遠距離に用いる車輛
9   事業用
④車輛の種類
0~4 電動車
5~9 付随車
⑤車輛番号
 旧性能電車の場合は1番目を「000」と表すので注意が必要です。また、800番代「狭小トンネル対応車(低屋根車)」といった番代(数字)の区分が設定されている事がありますので、注意が必要です。
では、例の形式記号を読んでみましょう。この車輛は制御電動車(クモ)の救援車(エ)。車体の長さは2で、長さは1ですから、17m級の電動車です。001なので2番目につくられた車輛という事になります。

B.新性能電車の記号の読み方
 昭和32年以降に登場した101系以降の電車に採用されているもので、カタカナ記号の部分は従来通りとしていますが、数字を見直し3桁表記として、百の位を「電気方式」、十の位を「用途や構造」、一の位を「形式記号」としました。また、この三桁の数字と車輛番号の間に「-(ハイフン)」を入れて見易さを良くしました。
 国鉄からJRへ移行するとしばらくは国鉄時代を踏襲した形でしたが、急行形電車を製造しない事などの理由により、数字のパターンが崩れ各社独自の付与へと変化しています。また、読み解く時はその形式(系列)が国鉄時代の生まれか、JRになって生まれたのかを知る必要があります

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新性能電車は写真のように区切って読みます。

①車輛の種類

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旧性能電車と同じです。国鉄(JR)のほか、私鉄でも見られる記号ですね。ただし、電動車を「デ」で表す会社もありますが、制御電動車の場合「クデ」といった記号は使われず、「デ」で表しています。
旧性能電車でも紹介しましたが、アルファベットで表記する場合、ちょっぴり複雑になりました。これは「ユニット方式」の採用をはじめとする、車輛の連結方法が大きく変わった事にあります。電動車では2両で1組とする「ユニット方式」により搭載する機器が異なること。付随車では連結される向きや固定編成化により搭載される機器が同一形式でも異なるなどの理由によるものです。これらの場合、「’(ダッシュ)」を付けて、偶数が付いた形式や偶数の相当する番代を表しています。
M・・・・主制御器を搭載する中間電動車。
M’・・・・M又はMcと組み合わせて1ユニットとなる中間電動車。
Mc・・・主制御器を搭載する制御電動車。
M’c・・・M又はMcと組み合わせて1ユニットとなる制御電動車。
T・・・・中間付随車。偶数を用いた形式又は補助機器を搭載する場合「T’」として区別します。
Tc・・・制御車。偶数を用いた形式の場合又は上り方に連結をするTcを「T’c」として区別します。
ちょっぴり難しくなりましたね。例を2つほど見てみましょう。数字が奇数か偶数というのをよく見て下さいね。
例1:103系 クハ103+モハ103+モハ102+クハ103・・・Tc+M+M’+Tcとなります。
例2:201系 クハ201+モハ201+モハ200+クハ200・・・Tc+M+M’+T’cとなります。
近年の電車では、固定編成化により「M」といった番号になった記号も見られます。
②車輛の設備

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A.2つ以上の車内設備(グリーン席と普通席など)を有する車輛(合造車と言います。)の場合、その設備の高い順から記号が付けられます

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 写真の場合「ロハ」の部分になります。ロは「グリーン車」、ハは「普通車」となり、数字の等級にするとグリーン車は2等車、普通車は3等車となり、設備の高い2等車の「ロ」が最初になり、続いて普通車である3等車の「ハ」が付きます。
B.A寝台とB寝台の設備を有する合造車の場合、ロネハネではなく、「ロハネ」という記号になります。
C.寝台設備と座席設備を兼ねる(用途に応じて可変するもの)場合はその中で一番高い等級を使います。

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写真の車輛の場合、B寝台と座席設備があります。この場合は寝台設備が高い等級となるため、「ハネ」の記号を使います。この他に、お座敷設備(グリーン車)と普通座席設備となる車輛があり、この場合は「ロ」の記号を使っています。
E.設備を表すため、アルファベットで表記する事もあります。この場合、車輛の種類と組み合わせて使用します。
グリーン車・・・s 食堂車・・・D 寝台車・・・N
例:クハネ・・・TcN といった感じでアルファベットにより表します。
③百の位・・・電気方式

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 国鉄とJR各社では番号の区分に注意して見てみましょう。-は使用していません。
④十の位・・・用途や構造

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⑤一の位・・・形式番号(系列番号)
 皆さんが普段使っている「○○○系」と言う、系列を表す場合は奇数を使います。この奇数を使う理由ですが・・・
 電動車(制御電動車を含む)のうち、「ユニット方式」を採用している場合は『主制御器といった走行に必要とする機器を搭載した車輛』は奇数とし、これを搭載していない車輛はその奇数より『1を減じた(1差し引いた)偶数』を付けます。「1M方式」を採用している場合は原則として奇数を付けます。なお、これによらない系列もあるので注意が必要です。
 制御車は、どちらの向きでも使用できる形式の場合は原則として「奇数」、向きを固定する場合は偶数の号車に連結する車輛を「偶数」の形式とします。この他に「番代区分」で対応する場合もあります。
⑥車体番号
 ハイフンが付いた事により、1番目は1から付けていきます。この場合も用途や構造などを表す場合の番代区分がされているため、注意が必要です。

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 写真の場合、901は901番目につくられた車輛。ではありません。900番代という『試作車』を意味する番代が組み合わさっており、900番代の1番目の車輛と言う具合に読みます。この他にもたくさんありますので、番号を見て「おや?」と思ったら、この絵本にある様々な系列をご覧ください。(無い時はゴメンナサイ。)

さあ、例題のクハ115-192という記号の意味が解ったかな?115は115系を意味し、115系のクハ、制御車(普通車)で形式はクハ115形式。電気方式は直流、構造は国鉄区分を見て近郊形の電車。クハ115形式の192番目につくられた車輛という事になります。

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JR東日本ではE351系以降に登場した系列では車輛の種類と電気方式の間に『』を付けています。

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JR四国で誕生した系列は「クハ」や「モハ」といった記号が無くなり、私鉄で多く見られる形式番号と車輛番号を一体化した番号のみの表記となっています。
千の位(写真では左の8)で5~8を電車としています。
私鉄の場合は大小様々あるため、1桁~5桁の数字で形式、車輛番号を表している場合が一般的です。数字の意味では号車や編成両数などの意味が込められている場合もあります。

②気動車の形式記号
 カタカナと数字の組み合わせにより、構造や用途を表しています。

A.在来形気動車(国鉄時代に登場した気動車)

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在来型気動車は5つに区切って読みます。

①キの記号
 この『キ』は気動車(どうしゃ)を表しています。
②車輛の設備

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③動力方式
エンジンの方式や搭載数などを表したものです。次のように区分されます。
 0   機械式又は電気式(一部例外はあります。)
 1   車体幅2600㎜で、液体式機関を1台搭載したもの。
2~4  車体幅2800㎜で、液体式機関を1台搭載したもの。
 5   液体式機関を2台搭載したもの。
6,7  大出力機関を搭載したもの。
 8   特急形車輛
 9   試作車
④運転台の区分
 在来形気動車は様々な車種と連結をする事ができるのが特徴です。このため、運転台の位置が重要となります。連結して運転台が無かった・・・では困ります。

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0~4 両運転台の車輛。
5~9 片運転台の車輛。
特急形気動車の場合は運転台の有無にかかわらず、その系列に準じた番号が与えられます。
⑤車体番号
1から付けられていきます。ただし、使用や用途により番代区分が行われている事もあるので注意が必要です。

B.新性能気動車~JR生まれの気動車

 新性能気動車とは、国鉄時代に生まれた特急形気動車の事です。3桁の数字を用いて構造や性能等を表しています。JRになり、3桁を使用せず2桁を使用する系列もあります。

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①キの記号
在来形と同じく、気動車の「キ」を表します。ただし、JR東日本の所有するハイブリット気動車はこの「キ」の記号及び後述の③車輛の設備の記号は使用せず、ハイブリットを意味する『HB』の記号を使用します。
②気動車の車種
表記なし・・・動力車を表します。運転台の有無に関係なく、走行用の動力機関を搭載している車輛を意味してます。
  ク  ・・・制御車を表します。運転台は有るが、動力機関を持たない車輛を意味します。
  サ  ・・・付随車を表します。運転台も動力機関も無い車輛を意味します。
③車輛の設備
 在来形同じですが、「ユ」(郵便車)、「ニ」(荷物車)、「エ」(救援車)の3種類は新製も改造車も存在していません。合造車の場合は電車と同じく、設備の優位な記号から組み合わせます。(例:ロハ)
④機関方式を表します。
表記なし、1・2・・・ディーゼル機関
    3   ・・・ガスタービン機関、ディーゼルエンジン+蓄電池等(JR東日本に限る。)
⑤車輛の用途(国鉄形)
0~7 ・・・指定なし
 8  ・・・特急形
 9  ・・・試作車、試験車
⑤-1車輛の用途(JRで登場した形式(JR四国所有車は除く。))

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⑥系列による付番
 電車と同じく、各系列の形式番号です。機関形式と補助形式などの理由により系列の数字から1を差し引いたものを付けるのが一般的で、不足した場合などは逆に1を足す場合も見られます。写真の例はキハ143系という一般形気動車ですが、1つ差し引いた番号(142)を使ったため、1つ足した144を使用しています。
⑦車体番号
-(ハイフン)以降の番号は車体番号で、1から付けます。ただし、構造や仕様の有無を意味する番代区分がされている場合があり、注意が必要です。

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JR四国所有の気動車は形式番号と車体番号を一体とした方式を採用しており、4桁の数字で表します。千の位(写真の左、1)が1又は2の場合、気動車を意味しています。

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JR東日本所有の気動車の一部では、③車輛の設備と④機関方式の間にJR東日本を意味する『』の記号が付きます。

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○国鉄在来形気動車を改造し、3桁の数字(形式)(例では147)とした車輛があります。この場合の読み方は、百の位(例では1)を④に当てはめて読み、その他(例ではキハ、47 91)を在来形の読み方に当てはめて読みます。ちょっぴりややこしいですね。(例外もあります。)

エンジン(機関)形式の読み方

皆さんはこんな会話を聞いたことがあるかな?
A:「やっぱ、MT75形は萌えるねぇ。静かだけど、雨の日は爆音が素敵♪もっと濡れてくれ~っ!!!」
B:「(滝汗)俺はMT60形だよ。あのチョッパと奏でるハーモニーは激萌えだよ。」
C:「ダメだダメだ!!やっぱ、DML30HSC形だ!シートに包まれ、小刻みなバイブレーション、そして奴の吐息(エンジン音)は、誰をも昇天させる!たまらんねぇ~」
一同:激しく同意
・・・いったい何のことやら・・・と言った感じですが、AとBに出てきたMT○○とは電車のモーター(主電動機)を言っています。さて、Cの会話にはDML30HSCという言葉がありますが、ディーゼルエンジンの事です。気動車の走行機関や客車などの発電機にはディーゼルエンジンが搭載されており、それぞれに形式名が付いています。どんな意味なのでしょう。例を見ながら読み解いてみましょう。

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①機関の種類
DMとはDiesel Motarの事で、ディーゼルエンジンを表します。ガソリンエンジンの場合は「GMGasoline Motarを使います。
②シリンダー数
シリンダーの数を表すもので、Fの場合はアルファベットの並びで6番目になり、シリンダーの数は6個を意味します。Hになると8個です。
③シリンダーの容量
13はシリンダーの総容量を表す数字で、単位は「リットル」を使います。
④配置
エンジンの配置を表しており、縦置きと横置きの2種類があります。縦置きは記号がなく、横置きは『』の記号を付けます。
⑤附属するもの、用途
過給機(ターボチャージャー)をもつエンジンに付けられる記号で、『』は過給機のみ、『』はインタークーラー(過給機付内燃機関に付けられる補機。過給機の圧縮により温度上昇した空気を冷却する熱交換器。)を備えたエンジンを表します。
客車などに用いられる発電用のエンジンは『』の記号となります。
⑥設計順序
エンジンの仕様や設計順序を表したもので、1番目には記号が付きません。2番目はA、3番目はB・・・と付けられていきます。

③客車の形式記号
 カタカナと数字の組み合わせになりますが、カタカナの意味は少し難しくなっており、この意味は換算記号で説明します。客車の形式記号は幾度か改定が行われており、ここでは昭和35年以降の記号の意味を説明します。

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客車は5つに区切って読みますが、20系特急形寝台客車以前に登場した旧型客車と呼ばれる車輛と、それ以降に登場した車輛では一部読み方が異なるので注意が必要です。
①重量記号
 客車の重量を表す記号で、その文字を見る事で大まかな重量が判ります。

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②車輛の設備
 客車の設備を表す記号です。

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イ.A寝台車(1等寝台車)とB寝台車(2等又は3等寝台車)の合造車の記号は『ロハネ』となります。
ロ.緩急車(車掌室があり、手ブレーキ、車掌弁を装備する車輛)の場合はカタカナ記号の末尾(一番後ろ)に『』の記号を付けます。

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③車種を表す記号(旧型客車)
 旧型客車では構造や設備が異なる車輛があるため、番号により判るように区分されています。
 1 ・・・軽量客車
 2 ・・・なし
3~5・・・一般形
 6 ・・・鋼体化客車
 7 ・・・戦災復旧車
 8 ・・・和式客車(お座敷客車)
 9 ・・・試作車
※鋼体化客車とは、車体構造が木造であった客車を新造した鋼体製の車体に乗せかえた車輛の事です。
※戦災復旧車とは、第二次世界大戦で焼損した電車や客車の使用できる台枠や台車等の部品を使用して輸送力確保のため、取り急ぎ設計された客車です。
④車種を表す記号(20系以降に登場した客車)
 20系以降に登場した客車では、電源方式や構造を表す数字となっています。
 1 ・・・分散電源方式
 2 ・・・集中電源方式
3,4・・・なし
 5 ・・・一般形客車
6~9・・・なし
⑤台車の構造を表す記号
0~7・・・2軸ボギー台車を履く客車。
8,9・・・3軸ボギー台車を履く客車。
⑥車体番号
 1から付けられていくのが基本となっています。仕様や用途により番代区分されている事があるので注意が必要です。
○20系以前に登場した旧型客車及び50系一般形客車のうち、番号が2000番代となっている車輛は『電気暖房装置装備車』という意味です。

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○JR東日本に所属するE26系特急形寝台客車は、カタカナ記号と数字記号の間に同社を意味する『』の記号が入ります。

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④貨車の形式記号
 貨車はカタカナと数字の組み合わせ及び車輛によっては特殊表記記号という記号を用いて表します。電車や気動車、客車とは異なり、貨車の大きさや荷役などの大事な情報が表されています。

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読み方は3つに区分して読むのですが、写真左の国鉄時代に登場した貨車と写真右のJRになって登場した貨車では少し読み方が異なるので注意が必要です。
①貨車の構造、用途を表す記号
 写真では両方とも「タ」の記号が書かれていますが、これはタンク車の「タ」と言う意味です。詳しくは貨車のお部屋のそれぞれのページをご覧下さい。
②荷重トン数を表す記号
貨車に積載できる積荷の重さを表した記号です。その昔、馬車用の馬を運ぶ有蓋車があり、馬(ムマ)を表す「」を付けて、『ワム』とした事が始まりです。貨車の荷重トン数を表す記号を制定する際に、ワムとしていたこの有蓋車の荷重が14~16tであったことから、他を語呂の良い「」としたそうです。
表記記号なし  ・・・13t以下  例:ト
   ム    ・・・14~16t 例:クム
   ラ    ・・・17~19t 例:ホラ
   サ    ・・・20~24t 例:コサ
   キ    ・・・25t以上  例:ポキ
※事業用貨車を除く貨車のうち、車掌室を有し、車掌弁を持つ貨車は『緩急車』という名前が付けられ、これを表す記号『』が付きます。例:ツラ
③形式番号および車体番号
 貨車は様々な積荷をもっており、その需要から1形式で1両から数千両とつくられる数がまちまちで、非常に複雑なものとなっています。そのため形式の付け方は新製の際に空き番号を見つけて、そこに埋めていくという方法となっています。このため、形式は1桁から5桁まであります。(高速貨車用の10000番代など特別な場合もあります。)
 車体番号は「0」つまり、その貨車の形式番号が1番目の車輛となります。写真左の例ではタキ40000形式というタンク車で、40003は1つ足した4番目の車輛という事になります。空いている番号に形式をどんどん入れていくわけですから、当然その番号と重なってしまう事があります。こんな時は別の空いている番号に飛んでいくのです。
 解り易い例で説明すると、タキ7750形式という貨車があります。7750、7751・・・と番号を付けていき、何処かで他の形式に当たってしまいました。その番号を避けるために17750、17751・・・とします。この場合、形式が判るように番号を付けるものですが、タキ1900形式のように数千両の製作ともなると、タキ112470などといった形式すらよく判らない番号になってしまう事もあります。
 このような難解な状態は良くないので、JRになって登場した貨車は形式と車体番号を別々に分けています

特殊表記記号

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 皆さんは、写真の例のようにワムやタキの左に「ハ」や「コ」といった小文字のカタカナがある事をご存じでしょうか。全ての貨車についているものではありません。この小文字のカタカナを『特殊表記記号』と言い、その貨車の構造や性能などを表す記号なのです。

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現在、ほとんどの表記が過去帳になっており、見る機会も少なくなっています。

この他の表記

○連結注意

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 純アルミ製タンク体を持つタンク車や重量のある大物車など、連結する時の速度が高いと車体や積荷が破損する恐れがある貨車に表記されています。
○突放禁止

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 貨車の入換作業の一つに「突放(とっぽう)」という入換方法があります。走行中に貨車を切り離して、そのころがる勢いで連結する箇所まで進み、その勢いのまま連結する荒っぽい入換方法です。その昔、貨物扱いは操車場などで行先別に仕分けする作業がありました。貨物扱いが多い場合、機関車をいちいち貨車まで進んで連結すると何度も往復を必要とするため、これでは時間がかかる事から考えられたようです。
 手ブレーキが構造上、走行中に扱えない位置にある(車体側面についているなど)貨車、積荷が危険物、構造上突放が出来ない貨車に表記されています。

タンク車に見られる謎の表記?

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 タンク車を見ていると、専用種別(積荷)の近くやタンク体に写真のような謎の表記があるのをご存じですか?現在、よく見られるのはガソリン専用車に書かれている「燃32」というものです。
 皆さんの身の回りにある色々な物の多くは、石油化学製品などの化成品が原料となっているものが多くあります。その一つにプラスチックなどがありますね。鉄道やトラックなどでは大量に化学薬品が運ばれています。その中には危険性のあるものなどがたくさんあります。
 タンク体(容器)は輸送中の脱線や転覆といった事故を想定して、厳しい基準で強固に設計されています。しかし、想定以上の事が起こるとタンク体(容器)や付帯する機器類の破壊により、積荷が漏れ出てしまいます。身近な例では、タンクローリーの横転事故で灯油が漏れた。といった事故があります。積荷が漏れ出すと人体や環境などに大きな被害を及ぼす可能性があります。また、積荷の性質を知らずに対処した事により被害を拡大させてしまう事も考えられます。えっ?名前が書いてあればわかるじゃないか?確かに「ガソリン」と書かれていれば対処は出来ましょう。しかし、化学工業の発展により様々な化成品が開発され、中には商品名である積荷が出てきたため、名前を見て判断するには専門的な知識が必要になってきたのです。「ジメチルホルムアミド」と書かれていても・・・対処できないですよね。
 このような事から、万が一の事故が発生した場合に積荷の性質を簡潔に表した表記が考えられ、昭和54年より使用される事になりました。この記号を『化成品分類番号』と言います。
①漢字の意味
 化成品を分類した略号です。漢字1文字だけではなく、複数を組み合わせて使用(燃侵など)する場合もあります。分類略号がなく、化成品分類番号のみ(数字のみ)で表す場合もあります。次のものがあります。
 燃  ・・・引火し易い性質を持つもの。(焼性物質)中には気化し易く、爆発性を伴うものもあります。
 毒  ・・・有毒なもの。(性物質)蒸気の吸引や液体などの接触により人体に害を及ぼすもの。
 侵  ・・・腐食性の激しいもの。(食性物質)触れると火傷を起こしたり、他の物質を腐食するものがあります。
 化  ・・・反応性が高いもの。(酸性物質)激しい化学反応を起したり、可燃物の燃焼を助ける役割をする場合があります。
(禁水)・・・分にふれると激しい反応を起こすもの。
(G) ・・・高圧ガスを表します。
 無印 ・・・数字のみの表記となり、危険性度合いが低いもの。
②数字の意味
2桁で表します。十の位は物質、一の位は化成品の性質を表しています。数字の組み合わせは下の表を見て下さい。

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⑤機関車の形式記号
 機関車の形式記号は動力により読み方が異なります。それぞれを見てみましょう。

蒸気機関車の形式記号

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 鉄道が誕生した明治時代、大正時代に登場した蒸気機関車は、当初(鉄道作業局時代)は形式がなく、数が増えてきたため同じ形の機関車をまとめるためAから付けていき、Zに達するとAB、ACとアルファベットを2文字で組み合わせました。明治42年に車輛形式称号が制定されました。この時は形式と車輛番号を一緒としたもので、1桁~4桁の数字を使います

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表の通りになっており、1番目の車輛=形式となり、2番目は1、3番目は2・・・となります。旅客用の8600形式や貨物用の9600形式は100両以上あります。このような場合は、100番目の車輛は9699となり、101番目は19600とし、1万の位を100の桁として読みます
更に機関車が増えてくると、数字だけでは対応が難しくなりアルファベットと数字を組み合わせた車輛形式称号規定が昭和3年に行われました。

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①動軸数
 動軸の数を表したもので、アルファベットで表し、その順番となる数字が動軸の数となります。

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②機関車の種類
 タンク式機関車かテンダー式機関車かを表す数字で2桁で表しています。

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③車体番号
 1番から付けられていきます。番代区分はありませんが、欠番があり実際の数と異なる場合もあります。

この記号は?

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 形式の下に赤まるで囲んだ数字は何でしょう。写真では「10-17-S」と書かれています。これは主にテンダー機関車に見られるもので、燃料となる石炭や薪、動力の元となる水を積んだ炭水車の容量を表した記号です。
最初に石炭(写真では10=10t)、次に(写真では17=17立方メートル)の積載量を表記しています。戦後に登場したC61形式からは自動給炭機(メカニカルストーカー)を装備したため、これを表す「(ストーカー)」の記号が付きます。

ディーゼル機関車の形式記号

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 ディーゼル機関車の形式記号はアルファベットと数字の組み合わせとなっています。
①機関車の種類
 ディーゼル(Diesel)の頭文字を使い、ディーゼル機関車を表します。JRになり登場したハイブリット機関車の場合は、ハイブリット(Hybrid)を表す「」の記号がつかわれます。ちなみにガソリンエンジンを用いた機関車はありません。
②動軸数
 アルファベットの順番が動軸の数字となります。ただし、従輪及び動力を持たない中間台車は数に入りません

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③運転最高速度及び仕様
 機関車の運転最高速度及び仕様を表したものです。

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④車体番号
 車輛の製造番号です。他の車種と同じく、仕様や性能の区分がされている事があるので注意が必要です。
⑤動力方式
 JR貨物に登場した機関車は3桁の数字で動力方式を表す方法に変わっています。
ディーゼル機関車

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ハイブリット機関車

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電気機関車の形式記号
 ディーゼル機関車と同じく、動軸の数、運転最高速度などをアルファベットと数字で組み合わせて表しています

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①機関車の種類
 電気(Electric)機関車を表す記号で、「」を使います。
②動軸数
 アルファベット表し、その順番=数字(動軸数)となります。

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③運転最高速度及び電気方式
 昭和3年の車輛称号規定改正以前は、最初に導入したアプト式機関車に10000を付けましたが、その後は貨物用は1000形から、旅客用は6000形から付け、車体番号を合わせたものとしていました。(1号機は0です。)ちなみに1形式のみ存在した蓄電池式機関車は10形としています。
 規定改正以後にアルファベットと数字を組み合わせたものに変更しました。この時は直流電気機関車のみで、貨物用と旅客用の運転最高速度(歯車比)の違いで区別する方法となっています。

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 その後交流電気機関車が登場すると再度改正が行われました。数字の区分を少し細かくし、電気方式が加わりました。

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④車体番号
 1から付けていきます。仕様や性能などの理由により番代区分が行われている場合がありますので注意が必要です。
⑤電気方式及び使用電動機
 JR貨物になり登場した機関車は3桁の数字で表し、記号の意味も大きく変わり、電気方式と使用している電動機(モーター)を表すものとなっています。

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換算両数

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 皆さんは写真にある、積5.0空1.8などといった数字を見た事があるでしょうか。この数字を「換算両数」と言います。
 換算両数とは、鉄道の運転業務で使われる重量を表す単位の一つです。実際に連結されている車輛の数を「現車両数」と言い、別にその列車のおおよその重量を算出するために換算両数が使われます。
 機関車が客車や貨車を牽引する時、やみくもに連結をすると機関車の性能を超えた時、牽引できなくなったり、加速力が著しく低下してしまう事があります。たとえ動かせても、ブレーキ性能が低下し、最悪止める事が出来ない恐れがあります。機関士は運転する列車の全体重量を事前に把握する事でどのような運転をすればよいか判断が出来ます。鉄道車輛は形式や各車ごとの差があり、1両あたりの重量に大きな差があるため現車輛数だけではわかりません。車輛重量を表す「自重」がありますが、車輛そのものの重量であり、乗客や荷貨物、燃料などの荷重は加えられていないため、重量の把握には不適当です。かといって、一つ一つをそろばんで弾くのも大変です。そこで、重量の数値を簡略化し、荷重を加えた数値として換算両数が生まれました。
○換算両数の計算方法
 重量10tを換算1両とし、小数点第一位まで表示(旅客車は0.5刻み、貨車は換算3両未満は0,2刻み、以上は0.5刻み)し、乗客や荷貨物、燃料などがない状態の空車換算両数と載せた状態の積車換算両数の2種類があります。各車輌には必ず表記されています。
 積車換算両数では、乗客20人を1tとし、定員まで乗車した状態。荷貨物は荷重の最大トン数を載せた状態、客車の場合発電機及び蓄電池の重量を1tとして加えます。実際には数値の変動がありますが、簡略しているのでその変動は考えていません。
 この他に客車や貨車では形式記号に重量を意味する記号を使用しています。記号を見て換算両数に置き換えて計算が出来ますね。

エンドマーク
 鉄道車輛で電気機関車がありますよね。さて、この電気機関車に前後があるのでしょうか?どっちも同じだからないと思う方もいらっしゃいますよね。正解は「前後」はある。のです。
 鉄道では前後をそれぞれ、「前位(ぜんい)」、「後位(こうい)」と呼び、さらに車輛の四隅を1位~4位と位置が決められています。これは規定に基づくもので、全ての鉄道車輛がこの規定に基づいて、前位、後位を決めています。

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 車体の隅に四角や丸で囲まれた1又は2という数字を見た事があるでしょうか。これが「エンドマーク」と呼ばれる車輛の前後を示す記号になります。通常は1位を示す「1」と2位を示す「2」のみが表記されており、このエンドマークがある側が前位となります。
●車輛の前位、後位の決め方
 車種により決められていますので、イメージをしながら見て下さい。
イ.蒸気機関車・・・煙突のある側が前位。
ロ.電気機関車・・・主となる操作機器のある運転室側が前位。
ハ.ディーゼル機関車・・・運転室が中央にある場合は、車内において車端に向かい機関士席が左側になるときが前位。運転室が両端にある場合は、主たる運転用操作機器がある運転室側が前位。
ニ.貨車・・・一端に手ブレーキ装置がある場合は、手ブレーキ装置の無い側が前位。側ブレーキ装置がある場合は、側ブレーキてこの取手の向きと反対側が前位。
ホ.旅客車・・・下記の順位表を見て下さい。

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順位が1から9まで決められていますね。これはどういう事なのでしょう。2つほど例をあげてみましょう。
例1:気動車の合造車

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普通室とグリーン室で構成されているので、表を見ると7番に該当します。これだけを見ると、優等室側を前位となります。しかしこの車輛は気動車です。他に該当する項目は…3番が該当します。動力台車がある側が前位。となっています。あらら、全く逆になってしまいました。このようなに複数の順位がある場合は、項目の順位が高い方を選び、それに従って前位を決めます。この例では、3番と7番の2つ。順位の高い3番を選ばなければなりません。
例2:客車

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客車の該当する項目を見ると、8番がまず該当します。便所の無い側が前位。でも、もう一つありますね。6番の出入台の無い側が前位。これも複数で、順位の高い6番を選びます。
ちょっぴりややこしいのですが、写真を撮る時に前から撮りたい。なんて時に役に立つでしょう。
●1位から4位の決め方
 後位側から前位側を見て、前位側の右隅を1位、その左隅を2位とし、後位側は右手側の隅を3位、左手側の隅を4位とします。

所属表記

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shizushisu.jpg   kaikaki.jpg   kinturu.jpg


 電車や気動車、客車などの隅の方に小さく写真のような文字が書かれているのをご存じでしょうか。中にはおいしそうなものなどが書かれていますねぇ。
 これらは車輛の所属する基地を略号にしたもので、JRに所属する車輛には全て付けられています。これは、私たちで言う住所みたいなもので、漢字とカタカナで組み合わされています。漢字は所属する車輛基地の支社名(国鉄時代は鉄道管理局)や会社名を表し、カタカナ2文字は車輛基地の電報略号となっています。例えば、右上の「水カツ」はJR東日本水戸支社にある勝田車両センターを表しています。

sen.jpg   taka.jpg   oka.jpg


 一方、機関車には運転台窓下に漢字一文字で所属する車輛基地を表しています。機関車の場合は『区名札』といいます。

皆さんも探してみると面白い表記が見つかるかもしれませんよ。