皆さん、その1は如何だったでしょうか?言われて「はは~ん。なるほど」と思って頂けたでしょうか。さあ、その2が始まりますよ。

側戸(側扉)

 主に旅客が乗降するために客室若しくはデッキと外部を仕切る扉です。車輛の用途や構造などにより、種類があります。
戸袋方式(片引き戸)

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 戸袋(扉が収まる場所)が1ヶ所あり、片方に開閉する構造の扉です。かつては通勤形車輛でも一般的でしたが、乗降時に偏りが出てスムーズにならないなどの理由から、現在は少なくなっています。急行形車輛や特急形車輛に見られます。
戸袋方式(両開き戸)

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 戸袋が左右に1ヶ所ずつあり、扉が左右に開閉する構造の扉です。主に通勤形車輛に見られるもので、大勢の乗客の乗降をスムーズに出来るように開発されたものです。この乗降時間を少しでも短くする事で、停車時間の短縮がスピードアップや列車本数増加につながる事から、「ワイドドア」という大きい開口部をもつ車輛もあります。(写真右)しかし、幅が広い分、閉まるのに時間がかかるため、荷挟まりや駆け込み乗車が絶えないため、かえって時間がかかることもあるようで、普及には至っていません。
外吊り方式

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 車体の強度の関係から派生した方式で、戸袋をもっていないのが特徴です。開閉するために必要な部品を車体の外に設置しています。扉が動く位置にある客室窓は、手が出てしまわないような高さしか開かないようになっています。
折り戸方式

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 1枚又は1つの扉を2枚以上に分割して構成し、内側に開く扉です。旧型客車では1枚の折り戸でヒンジ(蝶番)による手動開閉です。特急形車輛など停車駅が少なく、乗降数も少ない車輛、近年ではレールバスと呼ばれるバス部品を多用した車輛に見られます。
 手前に開くため、その部分に立たないようにしなければなりません。また、乗務員が乗降する扉は多くが折り戸方式ですが、運転台側にない車輛もあります。この場合は反対側の乗務員用扉から乗降するか、乗客用の乗降扉から乗降します。

プラグドア(外吊り方式)

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 引き戸とは異なり、扉が閉まると車体外壁と同一面になる美的センスのある扉をプラグドアと言います。プラグとは「栓」を意味しています。外吊り方式は戸袋が無く、車体外側をスライドして、最後に内側に沈み込むタイプです。似たもので、街中で見られる観光バスなどのドアに見られるスイングドアに近い動きをします。鉄道車輛では通勤形車輛のように、乗客がドアに寄り掛かったり、混雑時に常時強い圧力が加わるなど、ある一定上の力が加わると開いてしまう恐れがあるため、試作車などで採用したものの、量産車では通常の引き戸にするなど、採用例は少なめとなっています。
プラグドア(内プラグ方式)

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 イメージ図のように、戸袋を持ち、車体内部でスライドし、最後に外側に押し出される方式です。トンネル進入時の耳ツン低減などを図るため気密性を高める必要があるため、閉じる際は写真左のように扉を押さえる構造になっています。主に新幹線車輛で見られます。

デッキ・半自動機能

 鉄道が誕生してしばらくの間、乗降扉の開閉は手動でした。その後、自動ドアが開発されて標準的な存在となっています。一方、主に気候(夏季や冬季)などの理由で長時間停車する事の多いローカル線や始発駅での折返しなどでは、乗降扉を開けたままにしておくと冷暖房効果が著しく低下してしまいます。
デッキ

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※写真右はマワ車所蔵

 旅客用ではもともと蒸気機関車の煤煙を避けるために生まれた構造です。出入り台とも言われ、客室に入るためにはもう一枚扉を通らなければなりません。寒冷地の車輛に多く見られる構造です。貨車では車掌車などに見られ、貨車の入換をする誘導係が乗って指示を出します。また、写真右のように構造上の理由から機関車の一部でも採用されており、乗務員の乗降するためのスペースとなっています。
半自動機能

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 寒冷地でもデッキの無い車輛が使用されている場合は、自動扉の設定のほかに『半自動』という機能が付けられました。構造は扉を閉じておくために必要な圧縮空気を抜き取るもので、扱うとプシューと空気が抜ける音がします。扉には取っ手が設けられており(写真左)、乗客が開け閉めを行います。ところが、子供や女性、お年寄りなど力が弱い乗客では開ける事が難しい事もあり、近年ではボタン操作により扉が開く構造に変化しています。「ドア」と書かれたランプやボタンの周囲にランプが配され、点灯時に使用する事が出来ます。

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 車内から見てみましょう。手動の半自動機能の場合は扉がわずかに開く構造になっています。扉の外には小さな案内板が付けられています。ボタン式ではドアを閉めるスイッチが付いています。閉める際に周囲に気を付ける旨の案内があります。

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※写真左はマワ車所蔵

 イベントなどで使用される旧型客車は手動ドアで、かつては乗客が好きな時にドアの開閉をしていました(写真左の客車を見てみよう)が、時は平成。「走行中にドアを開けて落ちたら大変な事になる」という事が解らない乗客など、安全上の理由からロック機能(写真右の上の部分)が設置されています。これも、一種の半自動と言えましょう。

ステップ

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 JRでは、客車用のレール面から760㎜の高さになっているプラットホームに対応した設備で、電車や気動車に見られます。私鉄ではホームが路面電車の電停の理由などにより設置されている『階段』です。客室床面より1段若しくは2段の階段があり、これを利用して乗降します。お年寄りなど足が上がらず転倒の恐れがあるため、必ず手すりが設置されています。最近ではホーム面のかさ上げや車輛の低床化で、見られる機会は少なくなってきています。

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 変わり種では、ミニ新幹線と呼ばれる車輛に設けられたステップです。(写真左)車体が在来線規格であるため、新幹線サイズのホームでは隙間が大きく開いてしまい、落下してしまいます。新幹線サイズのホームに列車が到着すると、到着の少し前にステップが出てきます。(乗務員用もあります。)この他にも、落下事故防止のためステップを備え付けている車輛もあります。

ドアコック

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 列車が何らかの理由(災害、事故などによる長時間停車や列車内での火災など)で、乗客に列車からの退去や避難をしなければならない際に、乗務員の指示により、乗客が扱う事の出来る緊急用の設備です。車内や車外に設置されており、稀に、荷物が戸袋に入り込んでしまったなどの理由で駅員が扱う事もあるようです。レバー操作式が主流ですが、引き紐式も見られます。
 この設備は非常用のものであって、乗務員の指示なく扱った場合は鉄道営業法により逮捕、つまり『犯罪』になる場合がありますので、軽い気持ちで扱ってはいけません。コックの蓋やその周囲に注意書きが添えられています。地下鉄線内では、第三軌条を採用する路線では『絶対に扱ってはならない』旨の注意書きがあります。これは、線路そばに高圧電気が流れているためで、感電する危険があります。地下鉄の場合は先頭車の前面より、避難、脱出するのが基本です。
 なぜ、こんな設備が手に届く所にあるの?危ないじゃない!!というご意見もありましょう。この答えはドアコックの誕生にあります。
 乗降扉が自動化された時にドアコックも登場しました。しかし、この存在はあまり知られていませんでした。この事が悲劇をもたらします。昭和26年に発生した『桜木町列車火災事故』です。列車に火災が発生し、救出に来た駅員がドアコックの位置を知らなかったのです。このため、扉を外部から開ける事が出来ず、大惨事となってしまいました。
 この事故を教訓に、乗客が非常時にドアを開けられるようにした『非常用ドアコック』が導入され、広まりました。
 事故の教訓を活かして整備された非常用ドアコックですが、これが悲惨な大事故を引き起こしました。昭和37年に発生した『常磐線三河島駅構内列車多重衝突事故』です。
 赤信号を見落とした貨物列車と電車列車が衝突し脱線。この時にドアコックを使い乗客を列車外に避難させました。しかし、そこへ上り列車が猛スピードで進入し多数の乗客を轢いてしまい、多数の死者を出してしまいました。(上り列車への停止手配が間に合わなかった事が原因の一つ。)
 この2つの大きな事故がドアコックの背景にあり、現在に至っています。時折、会社に間に合わないとか痴漢行為などで車外へ出てしまう乗客がおり、電車が長時間停車しみんなが大迷惑といった内容のニュースが流れていますが、更なる悲惨な事故にならない事を祈るばかりです。

座席(シート:seat)

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 あらあら、電車に乗るとこんな格好で寝ている人を時折見ますよね。鉄道は公共物です。マナーを守って快適に乗りましょう。マナーポスターとか見かけますが、注意しなければならないとは、情けない世の中です。
 鉄道の座席はとても快適ですよね。寝たくなる気持ちもわからなくはないのですが。という事で、座席についてお話をしましょう。
◎座席の名称

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 座席は利用者が座る「座面」と背中を預ける「背もたれ」で基本は構成されています。鉄道の場合は『モケット』(化学繊維などで作られる生地)が貼られているのが一般的です。中には革張りのものもあります。また、座面や背もたれに木やFPR(繊維強化プラスチック FRPFiber Reinforced Plastics)を使用しているものもあります。
 座席にはひじ掛けが設置されている(ロングシートは端部のみ(妻面は除く))ほか、立席客用の手すりが付けられている場合もあります。

◎座席のいろいろ(配置)
①ロングシート(縦座席)

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 イメージ図のように車体の縦方向(レール方向)に座席を配し、左右の側面窓を背にして座るベンチのような座席を言います。主に都市部やその近郊などラッシュ時の混雑が激しい場所(路線)や走行距離が短区間に限られる車輛、路面電車やナローゲージなど車幅の狭い車輛に見られる座席です。収容能力が高い利点のほか、製造やコストを低く抑えられることから、地方の閑散線区でも見られます。欠点としては、中長距離では窓配置の関係により、背もたれが高く出来ない事から、長時間の乗車には不向きです。座席は人間工学に基づいて設計されており、深めに座った時に猫背にならないように背もたれの下を厚くするなどの工夫がされています。一般的にこのような座席配置を『通勤形』と言います。

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 ロングシートは座席前のスペースが広く取れるため、車体幅の小さい明治、大正初期頃までは一等車や二等車(現在のグリーン車やそれ以上のハイグレートクラス)に採用されていました。その後、車体幅が拡大した大正中期以降はボックスシートやクロスシートに変わっていきます。写真左は三等車のもので、背もたれがありません。(車体壁面を利用したもの)中央は一般的な通勤形電車のロングシートの様子です。
 写真右はロングシートを見たものですが、モケットが単色のタイプです。着席幅がはっきりしないため、荷物を置いたり、脚を広げて座ったりする事があり、着席定員が守られないため、苦情が相次ぎました。鉄道会社各社では様々な工夫を始めます。
イ.色分けをしたもの

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※写真左はtuboフォトオフィス様撮影

 座席の一部分の色を変えて、心理的な誘導効果を狙うものです。色分けを始めたのは国鉄201系で、7人掛け座席の中央部1人分のモケットの色を変えました。(写真左)その後、人数分毎に色を変えたものや1人ずつの着席位置を示す模様を織り込んだモケットが登場しています。
ロ.座席を細かくしたもの(分割式)

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 縦方向に一つ又は二分割程度が一般的でしたが、さらに細かくして座席の定員をはっきりさせた方式です。
ハ.バケットシート

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 バケットシートとは「バケツ型の座席」という意味で、一般的な座席と比べ、左右のへりの部分を高めて(窪みを設ける)、お尻や肩を深く座り、身を委ねる事で優しく安定した快適感のある着座感を期待させ、着席を誘導する方法。シート形状は鉄道会社各社で異なるので、自分にフィットする座席を探す旅も面白いかもしれません。
二.仕切りを設置する方法

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 色分けやバケットシートでは、色や窪みを無視される傾向がありました。そこで座席の中間1~2ヶ所程度に仕切りを設けて、強制的に着席位置を誘導する方法です。
 昭和61年に東急9000系電車などが始まりとされており、以降採用が広まりました。当初は仕切りは板状のものでしたが、立ち客の握り棒(スタンションポール)を兼ねたものが登場します。交通バリアフリー法が施行された以降は、後者の握り棒スタイルが新造車ではほとんどに採用されているほか、更新工事の際に設置するケースも見られます。
ホ.究極の通勤形車輛?(おまけ)

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 写真はかつて山陽本線和田岬支線で使用されていたオハ64形式という、通勤形客車の車内の様子です。見ての通り、座席はおまけ程度でほとんどが立席です。運転距離が短いため、このようなスタイルになっており平日の混雑時には沿線の会社へ向かう人々をぎっちり詰め込んで活躍していました。

②クロスシート(横座席)

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 イメージ図のように車輛の長手方向と交差、つまりクロスする形で座席が配されている形態を『クロスシート』と言います。多くは2人掛け分の座席を中央に通路を挟む形となっています。主に、優等列車である急行列車や特急列車用の車輛に用いられているほか、近郊形(中距離)電車の座席としても用いられています。
 進行方向に対して前後に向いて座る形となり、快適性に優れています。しかし、収容力や乗降時のし易さを考えると、混雑が激しい路線に対しては不向きとなります。
イ.固定式クロスシート(ボックスシート)

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 方向転換が出来ないクロスシートを言い、ボックスシートとも言われる形態です。構造は方向転換をしないため簡易です。脚だけのものや暖房装置を設置したものなどが見られます。旧型客車や急行形車輛、近郊形電車や一般形電車で見る事が出来ます。なお、座席と座席の間隔を『シートピッチ』と言います。

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 写真は明治時代の客車の車内(三等車)の様子です。扉を開けて直接座るスタイルです。座面は畳敷きの和風ですが、とても長距離には…。ちなみに照明や暖房はありません。(夜間は灯油ランプを吊り下げていたそうです。寒い時?・・・忍の一文字でしょうか。)
ロ.回転式クロスシート(リクライニングシート)
 主に有料特急形車輛やグリーン車に見られる座席です。最近では観光路線用の車輛、普通列車の普通席でも採用例がみられます。普通席での採用第1号は新宿と村上駅を結んでいた快速「ムーンライト」号です。高速バスに対抗するため、発生品の特急形車輛のグリーン車用座席を利用した事に始まります。ゆったりとしたシートピッチも合せて快適に過ごす事が出来ました。

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座席の基本は『リクライニングシート』(自在腰掛)というもので、背もたれを任意の角度で倒す事が出来る構造です。多くは手動(座席の手すりに備え付け)で動かしますが、グリーン室の座席は電動のものがあります。また、中には座面もスライドで前後に動かす事の出来るタイプがあります。座席は1列又は2列で1組になっています。
このリクライニングシートは転回も出来る構造となっており、座席を向い合せにする事が出来ます。座席の下に写真のようなレバーがあり、踏む事で固定が解除され、180度回転をする事が出来ます。この際、リクライニングは元に戻さないと回転が出来なかったり、他の座席にあたってしまう事があるので注意が必要です。観光用車輛では45度や90度回転できるものがあります。

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●普通席用のリクライニングシート

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写真左は253系の普通席、中央はHB-E300系の普通席の様子。右は車椅子スペースのある普通席(写真はE257系)の様子。車椅子を固定させる設備が付いています。

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私鉄でも有料特急に使用されています。JRの普通席とほぼ同じなものから、ちょっぴりふかふかな感じなもの(個人差があります。)と色々です。
●グリーン席用のリクライニングシート

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写真左はE231系のグリーン室の座席。中央は151系二等車(現在のグリーン車)のパーラーカー(展望室)に使用されたいた座席。右はJR九州の特急列車に見られる本革が用いられた座席です。

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写真は左が東北新幹線E5系、右がN700系のグリーン席の様子。普通席と比べると椅子に厚みがあり、ゆったりとした座り心地です。シートピッチも広く、背もたれはずいぶんと倒せるのが特徴です。

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グリーン席を中心に見られる座席の設備として、ヘッドレスト(左)とフットレスト(右)があります。ヘッドレストは写真のように枕を自分の高さに合わせて使用します。フットレストはその名の通り足置きですが、履物のまま使用出来るほか、履物を脱いで使用も出来ます。中にはボタン操作により、座席に付いたものが可動してふくらはぎあたりも上がるタイプがあります。
ハ.簡易リクライニングシート

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 昭和47年に登場した一般大衆向け特急形電車183系(写真)で初めて採用された座席です。この時期に登場した14系座席客車、381系、485系などでも採用されています。座面下部を前後にスライドさせる形で、背もたれのリクライニングが動くという仕組みでした。この座席、座面に座っている事が必須で、体重を与えていないと戻ってしまいます。この戻りの時に「バッターン!!」と大きな音が出るのが特徴。体重の軽い人ほど戻り易く、ちょっと体勢をずらしただけで戻ってしまうなど評判がよくありませんでした。(特に夜行列車の時は。)このため、程なくしてストッパーが設けられました。
二.転換式クロスシート

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 写真のように背もたれが前後に移動する事で、着席方向を変えられる座席です。0系新幹線や185系特急形電車の普通車の座席が原型となっており、中京地区以西でよく見られるスタイルです。戦前から昭和30年代までは特急形車輛にも見られましたが、リクライニング機能が設けられないなどの理由で、現在は普通列車や料金の要らない急行列車や特急列車用の車輛に使われています。

★座席の配置
ア.集団見合い型・集団離反型

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 リクライニングシートや転換式クロスシートを用いて座席を配置する際、一方方向に向けて配置しますが、客室の中央を境に座席の向きが変わる配置があります。中央に向かって配置されるものを『集団見合い型』(写真左)、逆に車端部方向へ向かって配置されるものを『集団離反型』(写真右)と言います。集団離反型は酔いやすいなどの理由で採用例があまりないようです。
イ.数字による表し方
 クロスシートの座席配置を数字で表す事もあります。
・2+2列

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中央に通路を配置し、その左右に2人掛けの座席を配置しているもの。殆どのクロスシートをもつ車輛がこの配置になっています。
2+1列

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2列掛けの座席と1人用の座席を一組として配置しているもの。主に特急列車用のグリーン車に見られる配置です。振り子車輛では重量のバランスを取るために、千鳥配置になっています。(写真中央)一方、普通列車用の車輛では、通路の拡大や立席定員を増やす事が目的となっています。関西空港用の223系では利用客の手荷物を確保する目的でこの配置を採用しています。(写真右)
・1+1列

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中央に通路を配置し、その左右に1人掛け座席を配置しているもの。古くは一等車などの車輛に見られました。この配置は座席定員が少ないため、ナローゲージや路面電車の車輛のように車体幅が狭い場合に採用している例があります。

③セミクロスシート

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 中~長距離輸送と混雑時対策の両立を図る目的で、乗降扉付近にロングシート、乗降扉間にクロスシートを配置したものです。国鉄(JR)の3ドア車と呼ばれる近郊形電車や一般形気動車のキハ40系など地方で活躍する車輛に多く見られます。また、455系やキハ58系といった急行形車輛も普通列車へ転用された際に、デッキ付近の座席をロングシートに置き換えた改造も見られました。
 私鉄では「近郊形」という言葉は存在せず、中距離輸送用といった区分をしているようですが、座席はJRと同じ形態のものが見られます。(写真下段、右は東武鉄道6050系のもの。)

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 車端部にトイレのある車輛がありますが(ロングシート車も含む)、この部分にはクロスシートを用いています。これは、トイレから出てきた利用者と目を合わさないための粋な計らいと言えましょう。

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 上の写真は国鉄形の代表である115系ですが、JRへ継承後にアコモ改良を受けました。車内はそれぞれの会社や支社のオリジナルの内装に変化していました。モケットの色の違いなどが特徴です。

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※写真左はマワ車所蔵

 最近ではセミクロスシートなのですが、写真のように通路を境にロングシートとクロスシートを配した車輛もあります。通路のスペースを確保し、開放的な利点がある一方で、クロスシートに座るとロングシートの人から見続けられるという欠点もあります。

④デュアルシート

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※マワ車所蔵

 ロングシート、クロスシートを時間帯や用途によって使い分ける事の出来る座席を言います。構造は複雑になりますが、需要に応じた設定が出来るのが特徴です。
 登場は国鉄で昭和47年に試験的に行われ、その後近畿日本鉄道で実用化され、『L/Cカー』の愛称で現在も使用されています。JR東日本では仙石線用の205系の座席の一部を改造し『2WAYシート』の愛称となっています。また、E331系でも装備されていましたが(写真)、現在は廃車となっており見ることは出来ません。採用している会社はもう一社あり、東武鉄道50090系です。こちらは『マルチシート』の愛称です。
⑤収容式座席

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 車内に設置されている折り畳み椅子を言います。混雑時の立席定員を確保したり、乗降扉付近の通行を確保するため、時間帯により使用できない事もありますが、それ以外は座席として使用できます。一部の車輛ではロック機能が無く、利用者が自由に使える場合もあります。
 京阪電気鉄道5000系電車が最初で、座席を天井部に収納するのが特徴です。(写真上段左)その後、JR東日本205系サハ204形式6扉車で採用され、知られるようになりました。(写真上段の中央)車内の座席全てが収納式となっています。登場時は賛否両論あり、話題ともなりました。
 現在では補助いすという意味合いの座席が多く見られ、1両そのものの座席が収納式は減少傾向にあります。(人口減少や混雑緩和などが進んだため)
⑥片持ち式座席(カンチレバーシート)

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 椅子の下に脚台や機器が設置されていない、パッと見て宙に浮いているような座席を片持ち式座席やカンチレバーシート(片持ち梁座席)と言います。
 椅子下の空間に脚がないため、清掃が容易になる利点があり、ロングシートやボックスシートを使用した通勤形電車や近郊形電車に多く見られるようになっています。なお、座席下には暖房装置が吊り下げられており、手荷物を下に深く入れてしまうと場合によっては焦げてしまうようなことも(臭いが出る程度ですが。)あるので、注意が必要です。

⑦寝台車(寝台)
 鉄道車輛において、寝台(ベッド)の設備があるものを『寝台車』と言います。名前の通り、横になって眠ることの出来る設備が整えられています。主に長距離列車(夜行列車)の運用が主になっています。
 寝台車は1830年代のアメリカで登場しました。当時、長距離路線はアメリカにしかなく、寝台車の運行を担う会社が設立され寝台車の事業を始めました。一方、鉄道発祥の地イギリスでの最初の寝台車はプルマン社が寝台車運行事業を始めた事に始まります。
 一方、日本での鉄道技術はヨーロッパやアメリカの技術をお手本に発展をしていきます。寝台車もその例外ではなく、明治33年に山陽鉄道(後の山陽本線)に登場しました。この時はプルマン寝台をお手本にしています。以降、様々な寝台車が登場しますが、その登場した寝台車の様式は雑多で、開放型のプルマン式やヨーロッパ様式が混在する形でつくられ、国有化後も統一されることなく多様な種類が存在しました。
 寝台車は登場からしばらくは一等又は二等寝台(現在のA寝台車に相当)で、開放式または個室寝台となっていました。B寝台車の原型になる三等寝台車は昭和6年に登場しました。第二次世界大戦において、寝台車は終戦期に全て運行が停止し、戦後、優等寝台車を中心に進駐軍に接収され使用されました。
 戦後の寝台車は復活に時間を要し、昭和23年一等寝台車のマイネ40形式が新製され、営業運転を再開しました。その後、昭和31年にナハネ10形式が誕生し、全国の幹線で寝台列車が運行されました。寝台車は寝ている間に目的地又は目的地の近くまで移動できるメリットがありますが、新幹線や航空機といった高速での移動が主流となり、徐々に衰退。昭和60年頃より復権をかけて、寝台の個室化など寝台列車の形態が変化しました。しかし、移動時間のかかる夜行列車の人気はごく一部の列車を除いて需要は減る一方。このため、歴史のある夜行列車は一つ、また一つと鉄路から姿を消していきました。平成27年、上野と札幌を結ぶ寝台特急「北斗星」号が定期運行を終了し、臨時列車の運行も終了し廃止に。客車による定期運行の歴史に幕を閉じました。現在は電車による寝台特急「サンライズ出雲」、「サンライズ瀬戸」号が残るのみとなっています。
移動手段としての力を失った寝台列車ですが、鉄道旅行を楽しむ事に役割を見出しており、この様なコンセプトをもつ列車を『クルーズトレイン』と言い、JR九州(ななつ星in九州)が運行を始めました。JR東日本では「TRAIN SUITE 四季島(トラン スイート しきしま)」、JR西日本では「TWILGHT EXPRESS 瑞風(トワイライト エクスプレス みずかぜ)」が運行を計画しており、富裕層を中心に人気の列車となっています。

●寝台の配置
寝台車は寝台の形態によって種類を分ける事が出来ます。
開放式寝台
 車内にドアなどの仕切りがなく、カーテンを用いて簡易的な個室となるもの。収容力を高めるため寝台は2段又は3段に重ねて配置されています。また、寝台配置の方法によって次のように分類されます。
イ.中央通路式

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座席車と同じく、通路を中央に配置した方式です。寝台はレールと平行に配置されます。昼間、寝台を使用しない時に寝台を畳み、ボックスシートとなるものを『プルマン式寝台』と言い、日本ではA寝台車に多く採用されました。また、寝台をそのままとしソファーのようにロングシートとして使用する方式を『ツーリスト式寝台』と言います。
ロ.片側通路式

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側廊下式とも言われる方式で、車体の片側窓際に通路を配置したものです。寝台は枕木方向に配置されます。数を多く配置できる事からB寝台車に採用されています。
個室寝台
 寝台を備えた定員1~4名程度の個室単位で仕切り(ドア)を設置したもので、当初は区分室寝台と言われていました。「個室」という言葉が用いられたのは20系特急形寝台客車であるナロネ20形式などに設けられた1人用で初めて「個室」という言葉が用いられ、2人用個室など複数人数に対して使用されるのはもう少し後になってからとなります。個室寝台の配置は、中央通路式、片側通路式のどちらかになっています。

寝台の等級
 JR各社において、料金の区分によって『B寝台』と『A寝台』に大きく別けられています。B寝台車は座席車では普通席に相当するもので、A寝台はグリーン席などの優等席に相当します。形式記号に与えられる「寝床」(寝台)を示す「ネ」とB寝台では等級のイロハの「ハ」を組み合わせた『ハネ』、A寝台では同じくイロハの「ロ」を組み合わせた『ロネ』という記号が使われています。このB寝台、A寝台の説明の前にこの等級制度の歴史を少し学んでみましょう。
鉄道車輛の等級制度の歴史
昭和35年以前
 明治4年、我が国に鉄道が開業した際より設けられた制度で、客車は3等級に区分されました。当初は上等、中等、下等としましたが、下等の名称が余りによろしくない。と明治30年に一等二等三等に変更されました。客車には帯色が施され、一等は白色、二等は青色、三等は赤色としました。これは、誤乗を防ぐ目的で現在のJR関西本線などの前身となる関西鉄道が採り入れたアイデアです。表記する記号はイロハになぞらえて、一等は「」、二等は「」、三等は「」としました。
後に寝台車が登場し、寝台を示す「ネ」を付けた「イネ」、「ロネ」、「ハネ」となり、運賃は座席車に準じたものとしました。一等寝台は利用率が低いため昭和30年に廃止され、二等寝台に格下げされました。また、窓下に入れられていた等級を表す帯色ですが、三等車は昭和15年に塗装簡略化のため廃止となっています。

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※写真左二等(青色)と三等(赤色)の客車の例。等級は窓下に表示されていました。現在でもこの制度が残っていたら、写真右のようになっていたかもしれません。
昭和35年から昭和39年
 東海道本線の特急「つばめ」、「はと」号が電車化され、定期列車から一等展望車が廃止される事になり、一等、二等のみの二等級制になりました。旧一等展望車や外国人向けの旧一等車は全て、新しい二等級制の一等車へ、旧三等車は二等車となり、記号は一等車が「ロ」、二等車が「ハ」となります。等級を表す帯色ですが、二等車は普通車となったため廃止となり、一等車のみになります。
昭和39年以降
 この年以降はモノクラス制度に移行し、一等車は「グリーン車」、二等車は「普通車」という呼び名に大きく変わりました。それまで等級に応じて、運賃や特急、急行料金が異なっていましたが、一本化されてグリーン車を利用する場合、普通車と同額の運賃にグリーン料金を追加した金額を支払う形になりました。寝台車も同じく、1等寝台を「A寝台」、2等寝台を「B寝台」に名称が変更され、利用する寝台に相当する寝台券を運賃、特急又は急行料金に加えて支払うようになりました。現在の制度はこのモノクラス制度になります。
このモノクラス制度が出来てから、鉄道関係の雑誌などでは「グリーン車を連結しない特急列車」や「A寝台車を連結しない夜行列車」を「モノクラス」と呼ぶことがあります。

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等級を表す帯色ですが、モノクラス制度に移行後はグリーン車のみとなり、A寝台車からも帯が消えます。グリーン車の窓下に写真のように入れられ残っていましたが、塗装工程簡略化などの理由により昭和57年に廃止されました。

B寝台車
 明治33年に我が国に寝台車が登場しました。以降しばらくは一等寝台車や二等寝台車という、高額な料金がかかる富裕層向けの車輛が主流となります。大衆向けの三等車が登場するに至るきっかけは1920年代から1930年代中期にかけての不況(昭和恐慌)により、鉄道省が乗客を誘致するため色々な施策を行い、その一つに三等寝台車をつくるというものがあり、昭和6年に第1号となるスハネ30000形式が登場しました。この寝台車は片側通路式の3段寝台車で寝台の大きさは長さ1900㎜、幅が520㎜と今では窮屈なものですが、二等座席車よりも安く、三等の乗客でも横になって移動が出来る事から人気となりました。
その後、20系特急形寝台客車や10系軽量客車の寝台車が登場しますが、従来の520㎜幅の寝台で、3段寝台である事から寝台面から天井まで約600㎜程度で、横になるのが精いっぱいで身動きを取るのもままならない窮屈さは変わりませんでした。この窮屈さゆえに「カイコ(蚕)棚」と言われるようにもなりました。

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※一般的なB寝台車のイメージ図(左)と通路から見た寝台の様子。イラストでは青い部分が寝台です。横から見た図で右側が3段寝台のイメージとなります。下段にはテーブルがありますが、上段(中段)にはありません。しかし、上段には荷物置き場のスペース(通路上)があり、下段(中段)にはありません。ご婦人やお年寄りには中段、上段の利用は頼りないはしごを上らなければならず大変でした。
このカイコ棚とも揶揄される寝台の改善を試みたのが世界で初めて登場した寝台電車の581系です。寝台幅を中段、上段では700㎜に拡大し、座席も兼ねる下段では1060㎜と大きくなりました。

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※写真は同一設計の583系です。写真左は昼間の様子。広々としています。中央は寝台をセットした夜の様子。寝返りが楽に出来るようにはなったものの、寝台内では起き上がる事は出来ませんでした。写真右は中段、上段用のはしご。中段へ入り込むのは難儀するもので、特にスカートを着用した女性やお年寄りでは使用が難しい問題がありました。(寝台を代わるなどで対応する事もしばしば。)
モノクラス制に移行し、昭和46年に登場した14系でも寝台幅を700㎜とするも、3段寝台となり、昭和49年に登場した24系25形で初めて2段寝台が登場し、居住空間が大幅に改善されました。寝台面より高さが900㎜以上となったため、着替えが出来るようになりました。

 B寝台車は普通車で言えば普通席の存在で、輸送力確保のため収容力の高い開放式寝台車のみが製作されてきました。個室式のB寝台車が登場したのは昭和59年に寝台特急「さくら」、「みずほ」用に改造された4人用寝台「カルテット」です。
 その後、既存の客車を改造して1人用B個室寝台「ソロ」、2人用B個室寝台「デュエット」などが登場し、主要な寝台特急列車に連結されるようになりました。社会がプライバシー、防犯などの意識の高まりに合せて寝台車の個室化が進みました。解放式寝台で見ず知らずの乗客同士が語り合う風景は過去のものとなりました。現在活躍する285系寝台電車でも個室B寝台を中心とした構成になっています。
個室寝台の種類
一人用個室
ソロ
 1人用の寝台。寝台料金は開放型B寝台と同じ。室内の広さは開放型とほぼ同じで、線路向き又は枕木方向に配置されています。どちらも互い違いの組み合わせに配置されています。作者個人の感想では、1階は結構圧迫感があり、2階は屋根の丸みがあるためやや広く感じます。

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写真左より、285系(寝台特急サンライズソロ)、スハネ14形式700番代(寝台特急北陸用ソロ)の通路と個室内の様子。

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オハネ24形式550番代(寝台特急あけぼの用ソロ)の通路、1階個室内、2階個室内の様子。

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オハネ25形式1000番代(後にオハネ15形式1000番代に改造)のソロの室内の様子。多少の違いはありますが、目覚ましや室内灯、空調用の操作パネルがあります。
シングル
285系寝台電車(寝台特急「サンライズ出雲」、「サンライズ瀬戸」)のみにあるもので、ソロよりもやや広めの個室。寝台料金はソロよりも高い。
シングルツイン
一人用の寝台ですが、二人でも利用が出来る寝台。二段ベットが配され、上段は二人で利用する場合に使用します。1人で利用する場合、寝台料金はシングルよりもさらに高くなっています。一人用個室の中で、この寝台のみソファにする事が出来ます。
二人用個室
デュエット
開放型B寝台料金2人分と同じ料金の個室。

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写真左は寝台特急「北斗星」号、右は寝台特急「なは」号のデュエットの様子。

ツイン
2人用のB寝台では最も高額な料金の個室。固定された二段ベットが配置され、下段はソファに変化する事が出来ます。寝台特急「トワイライトエクスプレス」で設定されていました。
サンライズツイン
285系寝台電車(寝台特急「サンライズ出雲」、「サンライズ瀬戸」)のみにあるもので、二階建て車輛の一階部分に配置されています。通路を挟んで2つのベッドが配置されています。料金はシングル2名分に相当する料金となっています。
四人用個室
カルテット
日本で初めて設定された個室B寝台の第1号。
Bコンパート
簡易式の個室寝台です。既存のB寝台車に仕切りを追加設置したものです。販売される時は個室として区別していませんでした。

A寝台車
 B寝台車の上位になる寝台設備を持つ車輛です。三等級制時代では一等、二等寝台車、二等級制時代では一等寝台車が該当します。設備は開放式と個室に大きく別けられますが、現在は個室のみとなっています。
 明治33年、山陽鉄道が神戸~三田尻駅(現在の防府駅)間の急行列車に一等寝台車を連結したのが初めてです。以降、個室(当時は区分室)寝台という形で種類が増えていきます。この背景には政府や軍の高官が利用する際、プライベートな姿を見せない配慮のためでした。昭和9年に合理化のため、東海道本線及び山陽本線を除いて一等寝台車の連結が廃止されています。当時の優等寝台車は多くの形式があり、それらは両数が少なく、それぞれに様々な寝台設備を持っていた特徴があります。その中で変わり種を一つ紹介しましょう。明治43年に旧新橋と神戸駅を結ぶ急行列車に「ロネ9140形式」という二等寝台車が連結されました。この車輛には二等寝台二人床と呼ばれる寝台を有していました。夫婦での利用を考え、ダブルベッドを配し大人2人での利用が可能でした。ところが大正7年に「二等大型寝台」と名称が変更され、大人2人での利用が禁止されました。その理由は、成金が芸者を招いて不純な目的に利用したためで、本来の目的と異なる利用実態が、世間から猛烈な批判を招いてしまいました。以降、ダブルベッドを使用した寝台車が登場するのは、70年以上経ったJR発足後以降となります。
三等級制で推移してきましたが、昭和30年に二等級制に変更となり一等寝台車は廃止され、当時人気の高かった二等寝台車へ格下げ統合される事になります。この際、二等寝台車において旧一等寝台区分室をもつ車輛を二等A寝台、旧一等寝台開放室冷房付の車輛を二等B寝台、既存の二等寝台開放室で非冷房の車輛を二等C寝台としました。この他、旧一等寝台で非冷房の車輛もあり、それらは様々な基準に照らし合わせて等級が付けられ、複雑な経緯となっています。
昭和33年に20系特急形寝台客車が登場しました。それ以前の区分室は2人用又は4人用でしたが、二等寝台車では初となる1人用個室寝台「ルーメット」が登場しました。このルーメットは二等A寝台に区分されています。昭和42年に581系、583系寝台電車が登場しますが、二等寝台のみの製作となりました。一等寝台は昼夜兼用の点から製作が困難であったためで、後に寝台専用となった昭和60年にA寝台車が改造によって誕生しました。

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※583系のA寝台車であるサロネ581形式の様子。三段寝台を二段寝台化した改造車です。

 等級制度が廃止になり、一等寝台を改めA寝台、二等寝台をB寝台と呼ぶようになります。制度廃止後登場した14系特急形寝台客車では、自由度と輸送力を重視した設計となり、A寝台は開放型のプルマン式を採用し、その後24系24形もこれに倣う形でA寝台車が設計されました。

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※24系24形のA寝台車オロネ24形式の車内の様子。左は昼間、右は夜の様子。B寝台車よりゆったりした設計が特徴。
1970年代後半より、寝台料金の値上げに伴う利用率の減少、車輛の老朽化が進み、B寝台車と余り遜色のない開放型A寝台車は急行列車を中心に連結を取りやめる事例が出てきたほか、二段寝台で製作された24系25形への車種変更の際に特急列車でも連結をしなくなりました。
寝台特急列車のサービス改善のため、昭和51年に久しぶりに個室A寝台車のオロネ25形式が登場します。後に「シングルデラックス」の愛称が付けられました。

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※オロネ25形式の通路と個室の様子。寝台の他、机を兼ねた洗面台などがあります。部屋の鎖錠は晩年は電子錠となりました。

国鉄末期、寝台特急「あさかぜ」号、「出雲」号に使用されるA寝台を改修した「シングルデラックス」、北海道直通用寝台特急列車向けに製作した「ツインデラックス」を発端に、JRへ移行した後、寝台列車の利用促進を図るため、寝台の個室化が盛んに行われるようになりました。
■個室寝台の種類
一人用個室
①シングルデラックス(記号はA1)
一人用の個室寝台は全てこの名称です。

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※オロネ14形式700番代(寝台特急「北陸」用)の個室内の様子。
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※スロネ24形式550番代(寝台特急「あけぼの」号用)の車内の様子。
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※285系寝台電車のシングルデラックスの個室内の様子。略図を参照して下さい。

二人用個室
様々な呼び名があり、時刻表などでは記号で通常タイプの「A」、特別なタイプを「SA」や「SSA」と表示しています。
デラックススイート(団体専用のため記号設定なし。)
 JR九州所有の団体専用客車「ななつ星in九州」の最高級の個室寝台。2室のうち1室は展望室となっています。
スイート(団体専用のため記号設定なし。)
 「ななつ星in九州」の標準的な個室で残っています。かつては寝台特急「トワイライトエクスプレス」で設定があり、一部は展望室となっていました。この時の記号は「SA2」
カシオペアデラックス(SA2)
 寝台特急「カシオペア」号の設定された個室寝台です。
カシオペアスイート(SA2)
 寝台特急「カシオペア」号の設定された個室寝台です。一部は展望室です。
スーペリアツイン(試作車のため設定なし)
 JR東日本の試作客車「夢空間」に2室製作した個室です。
エクセレントスイート(試作車のため設定なし)
 「夢空間」に1室だけつくられた最高額(67,320円)の個室です。

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※マワ車所蔵

ツインデラックス(A2)
 A寝台車の2人用個室として最初に登場したもので、寝台特急「北斗星」に設定されていました。
カシオペアツイン(A2)
 寝台特急「カシオペア」号の設定された個室寝台です。

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カシオペアコンパート(A2)
 寝台特急「カシオペア」号の設定された個室寝台です。車椅子を利用する旅客用の個室です。

その他
寝台列車や夜行列車の利用客増加を図るために、フェリーに見られる桟敷席に似たカーペットが敷かれた横になって過ごす事が出来る設備もあります。料金では寝台扱いではなく、普通車座席指定席となっています。この設備は寝台急行「はまなす」号では「のびのびカーペットカー」、寝台特急「サンライズ出雲」、「サンライズ瀬戸」では「ノビノビ座席」と呼ばれています。
また、寝台から浴衣や毛布などの設備を省略し、寝台料金を不要とした「ゴロンとシート」というものが寝台特急「あけぼの」号に連結されていました。

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寝台車は夜行列車に寝台として使用されるのが基本ですが、昼行列車や夜行列車の前夜又は翌朝の一部区間において座席車として使用される事もありました。この使用を「ヒルネ」と言い、利用には座席の指定はされませんが、乗車が出来る急行券(制度の都合で立席券という。)が必要でした。