窓のいろいろ

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※写真はイメージです。
冷たく氷のような世知辛い世の中、辛い仕事を忘れてお酒を片手に旅に出よう。子どもの頃に夢みた
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※写真はイメージです。
温かいあの希望を汽車に乗って探しに行こう。車窓から見る美しい風景、美味しい物食べればきっと見つかるはずさ。
マワ車、魂の叫び…
って、何やってんのよ!おっと、失礼しました。

 鉄道車輛には窓がありますね。この窓を『採光窓』とも言います。採光のほか、室温の補助、開閉が可能な場合は換気を目的としています。この他にも窓を見ると、いろいろなものがあります。

①側面窓のいろいろ
バス窓

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 「バス窓」とはファンによる俗称で、正しくは『スタンディ・ウィンドゥ(立席窓)』と言います。一見、二段窓に見えますが上段を固定窓としたもので、車体強度の確保と軽量化が目的の窓です。
 この窓が誕生したのは戦後の事。アメリカ製のバスを参考にバスを製作した事に始まりました。当時、鉄道車輛にも二段窓はありましたが、このバス窓を採用した車輛が多く製造されました。昭和40年代に入り、窓製作の工程の見直しにより、外羽目方式ユニット窓が登場すると、主流となっていきました。
上昇式
 1~3段で構成され、中段及び上段の窓が上昇する構造を言います。二段窓が多く採用されています。

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一段上昇窓(左)と二段上昇窓(中央・右)の外観の様子。四隅が丸いのが特徴です。

 初期の上昇式窓以前の窓は、車体に開けられた開口部にあわせて製作するもので、開口部と窓の部品が合わない時は大変でした。そこで、サッシ(枠)と窓を別で製作し、開口部にはめ込む方法が考え出され、この窓を『ユニットサッシ』と言います。

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二段窓のユニットサッシ(左)と一段上昇窓(右)の外観の様子。外側にでっぱりがあるか、枠が周囲にあります。

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車内から見た上昇窓(左)、下段窓は両端にあるストッパーピン(中央)を押して開閉する仕組みです。窓枠の中にはピンを受ける穴があり、開ける場合はストッパーピンを押し、上昇。その後指を離し、受け穴にピンが挿入されるまで上昇させます。閉める際や受け穴にピンが入らないと勢いよく落ちてしまうので注意が必要です。中段若しくは上段は少し上げて、窓枠の受けに引っ掛ける構造となっています。

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上昇窓は全開出来る構造です。このため、映画のように窓から身を乗り出し、転落する事故や電柱などに衝突し死亡する事故を受けて、また冷房機器の性能向上により窓の開閉をする必要性が少なくなったことから、下段窓を固定している場合もあります。
★上昇式(二重窓)

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主に北海道地区へ投入された国鉄形車輛に見られる窓で、車内温度を維持するために二重窓としたものです。本州地区の同系列の車輛と比べると窓が一回り小さいのが特徴です。

下降式
1枚の窓を下げる方式の窓です。車体が鋼製中心であった国鉄時代においては、採用したものの、雨水の浸入や窓の結露による水分などが原因で車体が腐食し、この解決策が見いだせないため、採用例は僅かとなっています。国鉄末期より車体に水分に強いステンレスなどを採用し、一気に採用が進みました。近年登場する車輛の多くがこの下降式を採用しています。構造は油圧バランサーを用いたフリーストップ構造(任意の高さで止められる。)で、安全面から完全には下がりきらない構造となっています。

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下降窓の外観の様子。開口部の大きい窓では小さい窓を固定窓としています。固定窓と開閉が可能な窓の組み合わせを『分割窓』とも言います。

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左は3分割のうち、右側上部のみが開閉可能なもの。右の写真は車内からの様子。

固定窓

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戸袋窓(ドアを収納する部分がある窓)などや特急形車輛や新幹線車輛など冷暖房を完備した車輛に設置される窓です。文字通り、固定されているので開ける事は出来ません。アコモ改良を施した車輛などでも車端部の窓に固定窓を採用する例が見られます。

★更新車の窓

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JR西日本の更新車では、上昇窓を下半分固定、上半分を2分割の上、内折れ式に窓に改造しています。
★パワーウィンドゥ

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一部の私鉄に見られるもので、スイッチ又はボタン操作により窓の開閉が可能なものがあります。
★寝台窓

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581系及び583系寝台特急形電車の中段及び上段に設置されている窓です。外を見たり、暗くしたい場合は引き戸を開閉する事で出来ます。

★運転台と客室を仕切る窓
 乗務員室と客室(荷物又は貨物室)を仕切る壁に設置されている窓を『仕切り窓』と言います。この窓の目的は、車掌が車内の異常の有無を確認する事が目的です。多くはサービスの一環と考えられており、運転台の重要な機器やその操作を乗客に見せる事が保安上如何なものか。という意見がありますが、平和な国ならではの設計となっています。

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 ちびっこが前方を見て楽しむ和やかな光景もあれば、窓を曇らせるほどハァハァしながら何かを見ているファン、さらには乗務員の執務態度を監視する乗客(クレーマー)やその鉄道会社の社員がいるそうです。窓は張り付いていただろう、その位置に手の形や頭の脂がこってり付いている時がよく見られます。

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写真は半個室と呼ばれる形態の運転台で、窓が無い場合もあります。運転士さんに聞くと『馬小屋』とも言うとのこと。車内を覘く時、上半身だけを出す事に由来するようです。

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写真は個室と呼ばれる形態の運転台で、機器の配置などの都合から1~3枚の仕切り窓で構成されています。ワンマン化工事を受ける際に半個室に改造された車輛も多くあります。

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写真は仕切り窓が無い例です。機器室があるなどの理由で窓がありません。外国ではこの形が主流だとか。

★日よけ
 窓辺に座って日向ぼっこ。気持ち良いのですが、夏の日差しや眩しい時に使うものが日よけです。

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写真左は、一般的に多く見られる『ロールカーテン』というもの。ぜんまいばねで巻かれており、引いて留め具に引っ掛けるもの。開ける時は留め具の高さより、少し低く引いて離すと勢いよく巻かれます。写真中央は『カーテン(スライド)』です。左右に引くだけのもので、特に説明は要らないでしょう。中には混在した車輛もあります。(写真右)

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珍しい物では、左は鎧戸タイプのもの。阪急電鉄などで見られます。右はベネシアンブラインドを用いたもので、窓枠上部にあるハンドルを回転させて上下させるもの。二重窓の間にあるため、ブランデーグラスの似合う偉大なるボスのような真似事は出来ません。

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仕切り窓にもカーテンがあり、こちらは『遮光幕』と言います。夜間やトンネル区間などの暗所において使われます。写真は外からの様子で、運転士後方の灰色の幕が遮光幕です。

②前面窓のいろいろ

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車輛の中で先頭車となる車輛の前面にある窓を『前面窓』と言います。ただし、貫通構造を有する場合(例:写真のキハ281系(右から2番目)、東武8000系(右))は、貫通扉にある窓を『貫通窓』と言います。

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客車の場合は、前面窓とは言わず『後方監視窓』と言います。車掌が発車後、過ぎ去りゆくホーム、線路に異常がないかを確認するために設置されています。こちらも貫通扉がある場合、その扉の窓は貫通窓になります。

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番外になりますが、国鉄形特急形電車(183系、381系、485系など)にも後方監視窓があります。運転台の後ろ側にぽつんとあります。更新工事などで埋められているケースもあります。

★パノラミックウインドゥ

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上の写真2枚はキハ58系の写真です。両方を見比べた時、車体に違いがあるのですが判りますか?そう、前面窓の形状ですね。

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車体の側面にわずかに前面窓が回り込んでいるのです。このような窓を『パノラミックウィンドゥ』と言います。なぜ、このような窓があるのでしょうか。車内から外の風景を見てみましょう。

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左の写真は、キハ58系の初期形と同じく運転席に柱がある同型のもの。右は電車ですがパノラミックウィンドゥを採用している車輛です。前方の風景に太い柱があると死角が出来てしまい、支障物に気付くのが遅れてしまいます。それを解消したのがこのパノラミックウィンドゥなのです。最近では、前面窓の大型化などにより視界を広げる工夫などが行われており、採用が少なくなってきています。

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パノラミックウィンドゥを採用せずとも視界を確保する工夫があり、前面窓に後退角を付ける方法もあり、国鉄生まれの特急形電車などに見られます。

★パノラミックウィンドゥ(展望窓)
前方風景や流れゆく後方風景を存分に楽しんでもらおう。というサービスの一つに展望室(席)があります。この部分に使われる窓を『展望窓』と言います。ガラス面直前まで席があり、気分は運転士や車掌といった感じです。

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※外観の様子。大きなパノラミックウィンドゥが特徴です。
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※室内(展望席)の様子。様々あり、中にはひな壇のようになっているものもあります。また、運転台後方に小さな展望室を設置したケースもあります。
展望車ではありませんが、構造上展望席のようなスタイルにした車輛もあります。新交通システムの車輛や特急列車用車輛に見る事が出来ます。

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※構造上、展望席のようになっている例。座席を前方に向けるのが一般的。また、異常時は運転席になる部分を開放している場合もあります。(写真右)

★前面窓にある色々なもの
①ワイパー:Wiper(窓拭き器)
 前面窓に付着する雨水や雪、汚れなどを拭き取り視界を確保する、安全上重要な装置です。このワイパーを発明したのはメアリー・アンダーソン(1866-1953)で女性なのです。構造はシンプルなもので、ワイパーブレードにゴムを装着し、ワイパーアームを左右に振るというもの。発明されてから100年以上経つものの、基本的な構造は変わっていません。ゴムは水を完全に拭き取るのではなく、一定の動作によって吹き払いつつ、ガラスの表面に薄い均一な水の膜を作って、水滴による屈折を抑えて視界を確保する仕組みとなっています。このため、水以外の虫などが当たり、ワイパーで拭き取ろうとすると、かえって大変な事になるのです。この時はウオッシャー液(洗浄液)や水を用いて拭き取りましょう。

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鉄道車輛では運転台には必ず1基装備されており、多いもので6基装備されているものがあります。前面窓の上下どちらかに装備されています。また、動作は空気又は電動機によるものとなります。

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同じ系列であっても、活躍する地域が異なるとワイパーの数も異なります。降雪地域などでは数が多いようです。ワイパーの数をファンの間では『○連ワイパー』と言う事も。写真では左の485系は2連ワイパー、右は4連ワイパーとなっています。また、正しい位置があるらしく、左のように立ち上がっている(内側に向いている)とNGだそうで、寝ているか、外側に向いている事が正しいそうです。これで写真の良し悪しに影響が出るそうですよ。(云年前ですが、ファンに運転士が説教されていた会話の内容より。)

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もちろん手動ワイパーもあります。主に助手席側に設置されています。運転台のワイパーが故障した際はもちろん手動操作となります。

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JR東日本の一部の電車では、主ワイパー(普段使うもの)が故障した際に、補助ワイパーを備えているものがあります。

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前面窓が汚れた場合、自動車と同じくウオッシャー液(洗浄液)を用いて洗い流します。少しずつ装備している車輛が増えているようです。写真は試験を行っていたのでしょうか、外付けの本体に手すりに付けたノズルが見えます。珍しい一コマです。

②旋回窓

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通常のワイパーで降雪時に使用すると、最初のうちは特に問題なく動いていますが、押し退けた雪が窓下へ落ちず、そのまま溜まってくると徐々に拭き払える範囲が狭まり、駆動部に負荷がかかり、最後は止まってしまいます。これを解決するのが、この旋回窓です。前面窓の一部に円形の穴を開け、そこに金属枠に収まった回転する円形の窓を設置し、高速回転をする構造となっています。水滴や雪を拭き払うのではなく、遠心力によって外側へ飛ばすのです。洗濯機の脱水構造と同じです。
主に降雪地域で使用する機関車や除雪車に設置されているほか、気動車にも少数ながら採用されています。(ひたちなか海浜鉄道で活躍したキハ222が有名です。)

③デフロスター(defroster)

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前面窓の結露や霜や氷が付かないようにするための装置です。古い物は写真のように四角の枠に電熱線を張ったものが使用され、電流の熱抵抗で窓を温めていました。現在はガラスに電熱線がプリントされたものが一般的で、『熱線入ガラス』などと言われています。
④氷柱(つらら)切り

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トンネル内などにおいて、冬季になると氷柱が発生する事があります。大きい物になると前面窓や前照灯などのガラスを破損させてしまいます。それを防ぐためにひさし状の飛び出た板を設置します。これを『氷柱切り』と言います。北陸地区の電車では氷柱による列車種別表示窓のガラスが多数破損したことから、使用を停止し蓋をしていました。

③妻窓

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先頭車では運転台機器の無い側、中間車の両端の妻面に設置される窓を『妻窓』と言います。貫通路には扉が設置されているため、戸袋側は固定窓となり、戸袋の無い側は上昇窓や下降窓が設置されています。近年ではコスト面などの理由により設置されない車輛が多くあるほか、妻窓を廃止し壁面とし、広告スペースに改造する例もあります。
④そのほか、窓に関するいろいろなもの
イ.通風口

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非冷房車に多く見られるもので、夏季の乗務員作業環境をよくするために外気を取り込めるように設けられています。写真左の103系では連結器上部と前面窓運転士側の蓋状(ワイパーの隣にあるもの)になったものが、通風口。右の113系では前面窓下部の貫通扉寄りにある蓋状のものが通風口です。
ロ.金属抑え枠

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ガラスを抑える方法として、古くは木枠でしたが、Hゴム(断面形状がアルファベットの「H」である事から。)へ移行。長らく主流となっていましたが、ゴムではなく金属枠の抑えを使用した車輛が出てきました。写真の通り銀色のステンレス枠で、見た目もインパクトがあります。最近では接着剤で窓を貼り付けるものがあるそうです。
ハ.ウィンドゥ・シル/ヘッダー

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1950年代以前の旧型車輛に見られるもので、車体窓の上下にある金属で出来た補強板の事を言います。旅客用の車輛には窓が設置されますが、木造製の車輛では窓周りの強度が不足する事から補強板が設置される事になりました。窓の上をヘッダー、窓の下をシルと言います。
1950年代以降になるとHゴムやアルミサッシなどの軽量な材質が用いられるようになり、補強が必要なくなりました。この世代交代になる過渡期には補強を無くした『ノーシル・ノーヘッダー』のタイプやヘッダーを省略した車輛が試験的に改造や製作されています。
現在の新しい電車にも、シル・ヘッダーのようなものが見られますが、これは『補強帯』などと呼ばれています。
ホ.のぞき窓

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※Tuboフォトオフィス様撮影

寝台車の個室に見られるもので、来客?に対して入室の可否を判断するために設置されている防犯設備です。
へ.ガラスの強度

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※マワ車所蔵

衝撃的な一枚をご覧頂きましょう。これは、某路線で倒木が運転台前面ガラスに衝撃し、貫通した時のものです。粉砕して粉々か。と思いきや鉄道車輛のガラスって意外に強いんですね。運転士は怪我もなく大丈夫でした。