上毛電気鉄道

会社の概要

読み方  じょうもうでんきてつどう
略称等  上毛電鉄(じょうもうでんてつ)、上電(じょうでん)
設 立  1926年(大正15年)5月27日
保有路線数  1路線
保有路線名  上毛線(じょうもうせん):中央前橋駅~西桐生駅(25.4km)
車輛形態  電車
その他  

概要
 群馬県の県庁所在地である前橋市、東部に位置する桐生市は明治時代より生糸、織物の産地として発展。生産物を運ぶ為、明治時代中期に両毛鉄道により両毛線(現:JR東日本両毛線)が開業しました。両毛線は織物産業の盛んな伊勢崎を経由しており、前橋から桐生は南へ迂回する形で敷設されました。これにより、赤城山南麓の地域は絹糸産業を支える養蚕地帯であるにもかかわらず、交通の不便が残されました。この解消を目的に設立したのが上毛電気鉄道です。昭和3年に開業しました。当初は何処の路線とも接続は無く、孤立した路線でしたが、赤城駅に昭和7年、東武鉄道桐生線が開業し、現在も唯一の接続路線となっています。近接した路線に徒歩で連絡する事が可能な駅は中央前橋駅(JR両毛線前橋駅:徒歩約20分、連絡バスがあり、約10分)、赤城駅(わたらせ渓谷鉄道大間々駅:徒歩約20分)、桐生球場前駅(わたらせ渓谷鉄道運動公園駅:徒歩約5分)、西桐生駅(JR両毛線、わたらせ渓谷鉄道桐生駅:徒歩約5分)があります。
 路線は赤城山麓を東西に横断する線形となっており、小さな町、農村地帯をのんびりと走ります。赤城山をはじめとする山々を望む事が出来ます。駅に特徴があり、丸山下駅を除いた1面1線の駅は冬季に北から吹く赤城おろしを避ける為、北側を背にしてホーム、待合所が設置されています。
 車輛については、自社発注車→他社からの譲渡車、国鉄の払下げ車→西武鉄道譲渡車→東武鉄道譲渡車→京王電鉄譲渡車という形で推移しています。1950年代までは雑多な車輛でしたが、1960年代より西武鉄道の車輛で主力車輛の形式統一を実現し、その後も会社が変わりながらも、導入する車輛は統一する形で現在に至っています。形式名については、多くが「系」や「形」としていますが、同社は「型」を使用(800形を除く)しているのも特徴の一つにあります。

700型
 平成2年に東武鉄道より3000系、3050系を譲り受け、300型、350型として運用していましたが、これらの車輛は吊り掛け駆動方式でかつ非冷房車であった事から、社会情勢の変化に合わなくなりつつあった他、メンテナンス面でも駆動方式や老朽化により費用が増えつつありました。そこで、平成10年より京王電鉄3000系電車を譲り受け、この700型が8編成登場しました。700型の登場により、性能面の大幅な向上、冷房車であり、大幅な近代化が図られました。編成はデハ710型+クハ720型の2両編成で、後部標識灯と通過表示灯の配置変更、ワンマン運転に対応した機器の配置、座席の撤去が行われました。この他に改造した種車が先頭車や中間車等の違いがあります。
 現在は東京メトロ日比谷線で活躍した03系電車を改造した800形電車が3編成投入され、老朽化した編成が置き換えられています。残った5編成は廃車となった3編成の部品を活用し、延命を図りつつ、当面使用される予定となっています。
 登場当初は前面上半分をフィヨルドグリーン(薄青緑色)としていましたが、平成17年より1編成を除いて、配色変更を実施。全編成それぞれが色違いとなり、種車時代と同じ「レインボーカラー」と呼ばれ、利用者の目を楽しませてくれます。

●711~714編成、718編成

711編成 712編成 713編成
714編成 718編成

これらの編成はクハ3700形及びクハ3750形を種車にしたもので、クハ3750形の電装化、分散式冷房装置を搭載しています。デハ710型は後位側の冷房装置を1基撤去し、パンタグラフを設置しています。制御装置は京王電鉄6000系の廃車発生品が流用されています。上半分の色は711編成はフィヨルドグリーン(薄青緑色)、712編成はロイヤルブルー(青色)、713編成はフェニックスレッド(赤色)、714編成はサンライトイエロー(黄色)、718編成はゴールデンオレンジ(橙色)となっています。

デハ712

712編成の制御電動車となるデハ712は種車がクハ3758。この車輛は事故復旧車体であり、700型では唯一の軽量構造車体となっており、コルゲートの本数が他車より少ない等の特徴があります。

●715~717編成

715編成 716編成 717編成

この3編成は中間車であるデハ3000形、デハ3050形、デハ3100形を種車にしたもので、クハ720型に改造される車輛は電装解除を行っています。先頭部はオリジナルに近い形状の運転台を設置しています。色の付いている正面上部はFRP製ですが、下部は普通鋼製である事と、前面窓下にある通風口が無い点が異なっています。冷房装置は集中式冷房装置を搭載しています。

800形
 老朽化の進む700型電車の置換用として令和6年に登場した通勤形電車です。東京メトロ(東京地下鉄)03系の改造車で、デハ810形+クハ820形の2両編成となります。制御車を種車にしており、西桐生方の車輛はVVVFインバータ制御装置、パンタグラフの設置等行い、制御電動車化。前橋中央方はSIV装置、電動空気圧縮機、蓄電池等を搭載しています。車内はワンマン運転に必要な機器の搭載等の改造が行われました。
 前頭部の帯色等が編成毎に異なっており、811編成はパステルブルー、812編成はフィヨルドグリーン、813編成は種車の活躍した日比谷線時代の色を再現したものになっています。

811編成

デハ100型
 昭和3年の上毛線開業に合わせて登場した電車で、1970年代まで同線の主力車輛として活躍をしました。デハ101~104の4両が製作され、派生形式として荷物室を持つデハニ50型も2両製作されています。
 大手私鉄から譲渡車が大量投入され、第一線を退いてからも101番、104番が貨物列車や保線列車用の機関車の代わりにする為に残されました。貨物輸送廃止によりデハ104が除籍されましたが、101番は引き続き籍を残し、誕生から90年以上経った現在も籍を置いています。現在はイベントや保線列車に使用され、時折本線でその雄姿を見る事が出来ます。
 デハ104は平成18年に大胡駅構内にある大胡車両区のイベントに合わせ、かつての塗装色であった「からし色」に戻され、イベント開催時に見る事が出来ます。そして、101番を含めてデハ100型は群馬県近代化遺産に登録されています。

デハ101 デハ104

車体は半鋼製の16m級で、片側に3扉の乗降扉を設けた両運転台構造として登場しました。登場から主力車輛として活躍するも、時と共に陳腐化、老朽化が進み、昭和31年に更新改造が実施され、3扉であったものを2扉に改造した他、増結に備え、前橋中央方の運転台に貫通路を設置。機器の移設等大掛かりな工事を実施しています。
登場時とは異なる外観ですが、そのレトロな車体が特徴となっています。が、デハ100型の特徴は車体ではなく、
台車にあります。
製作は川崎車輌で、台車は川崎車輌が設計した「KO台車」を履いています。この台車は見掛けが当時広く使用されていたボールドウィンA形と同じ、平鋼リベット組立式イコライザー台車に見えます。この台車が異なるのは枕ばねを通常、重ね板ばねではなく、コイルばねとし、軸受にローラーベアリングを採用した、意欲的かつ先進的な設計をした台車なのです。ベアリングの採用は非力なエンジンを使用する気動車の起動抵抗を軽減する目的で採用されたのが始まりで、電車の採用例はほぼ皆無とされており、KO台車の特徴を際立たせています。

KO台車

ホキ1型
 昭和62年に東武鉄道が所有していたホキ1形2両(ホキ3、ホキ2)を譲り受けたもので、ホキ1、ホキ2としました。台車はTR41C形に履き替えています。

ホキ1

デキ3020形
 東急電鉄の前身である東京横浜電鉄が昭和4年に製作した凸型電気機関車で、全長は8000mm程の小型電気機関車です。登場時はデキ1形で、大東急成立で改番され、デキ3020形(3021)となりました。貨物輸送廃止により、工場での入換用車輛として使われ、昭和55年に除籍されましたが、機械扱いとして引き続き活躍していました。平成21年に動態保存を目的に上毛電気鉄道へ譲渡されました。
 車籍がない為、本線走行は出来ませんが、イベント開催時に大胡駅構内で乗車体験等で動く姿を見る事が出来ます。

デキ3021

テ200形
 東武鉄道に在籍していた鉄製有蓋車です。デキ3021と同じく動態保存を目的に譲渡されました。

テ241




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