キハ87系団体専用気動車 ~TWILGHT EXPRESS 瑞風~

諸 元

最大長  21300mm
最大幅  2900mm
最大高  4070mm
主電動機  WMT108形式(130kw)
制御方式  VVVFインバータ制御方式、電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
動力伝達方式  液体式
動力台車  WDT69形式
附随台車  WTR250形式、WTR250A形式(駐車ブレーキ付き)

車内設備など

座  席  
乗降扉(片側)  1扉
便所の有無  あり
その他  発電機用機関としてSA6D140HE-3形式(コマツ製)(450PS)を搭載

概要
 平成元年より平成27年まで運行された臨時寝台特急「トワイライトエクスプレス」の名称を受け継ぎ、平成29年よりJR西日本の山陰、山陽エリアで運行を開始した車輛です。トワイライトエクスプレスとは異なり、団体専用列車となる周遊型寝台列車(クルーズトレイン)で、車内で楽しむほか、運行途中に沿線に立ち寄り、観光を行います。
 愛称名は「TWILGHT EXPRESS 瑞風(トワイライト エクスプレス みずかぜ)」で、愛称の「瑞風」とは「みずみずしい風」を意味し、「吉兆をあらわすめでたい風」という意味もあります。また、瑞穂が豊かに実る我が国の美称として「瑞穂の国」があり、そこに「トワイライトエクスプレス」という風が幸せを運んでくる。という情景をイメージしたものが由来となっています。
 車輛はシリーズ式ハイブリッド方式による動力分散方式の10両固定編成で、国内初の
寝台気動車です。車輛のデザインコンセプトは「美しい日本をホテルが走る」となっています。また、JR西日本の車輛コンセプトである「安全で、明るく、広く、静かで、快適」を追求した「上品の中の懐かしさ」、「ノスタルジック・モダン」というコンセプトもあります。このコンセプトを表現(可視化)しているのが先頭車で、高運転台構造を採用し、視認性向上を図ると共にその下部に展望デッキを設置。デッキの手摺りに形、色、素材、光、運動を美しく装飾した5本の流線で表現しています。
 車内のインテリアデザインは20世紀前半に流行した、「アール・デコ」様式(直線的、機械的でコンパスで描いたような同心円等のデザイン)を採用しており、床や壁等の内装全般、車内の案内表記サイン、家具、備品類等に使用され、落ち着きある空間を創り上げています。
 編成は10両編成で、寝台車6両、ダイニングカー1両、ラウンジカー1両、展望スペース付き先頭車2両で構成されています。JR西日本の新製される気動車には3桁の形式が使われていますが、テーマの一つ「ノスタルジックモダン」に基づき、国鉄形気動車に見られる2桁を採用しています。塗装色は「トワイライトエクスプレス」と同じ緑色が基本ですが、より艶やかな「瑞風グリーン」としています。帯色は「トワイライトエクスプレス」では黄色、銀色でしたが、金色としています。
 車体構造は寝台設備がある車輛は重量物等を考慮して、トラス状の補強部材を入れた大型押出成形材を用いたアルミダブルスキン構造、展望室のある先頭車、ラウンジカー、食堂車、ダブルデッカー構造の寝台車は更に重量のあるエンジン、発電機、主回路等の機器類等を搭載する為、鋼製とし、軽量化を図る為耐候性鋼材、ステンレス材を使用し、車体強度を十分に確保しつつ、軽量化が図られた構造となっています。また、衝突対策(前面、側面、オフセット衝突)構造も備わっています。
 動力方式は動力分散方式が採用され4M6Т編成としています。ディーゼル発電機によって発電した電力と蓄電池の電力を組み合わせ、主電動機(三相誘導電動機)をVVVFインバータ制御により駆動させるシリースハイブリッドシステムを採用しています。ディーゼル発電機は発電機が直結されており、主電動機の電力、サービス機器等の電力を一括して賄います。これら動力装置は先頭車、食堂車、ラウンジ車に配置し、寝室がある附随車に配置しない事で、車内の静粛性を向上させています。
 ブレーキ方式は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ方式が採用され、応荷重制御、遅れ込め制御、滑走を検知し、再粘着させる滑走制御、抑速ブレーキを備えている他、直通予備ブレーキ、耐雪ブレーキも備えています。また、電空ブレンディング制御により、電気ブレーキによる制動も可能となっています。
 この他にJR西日本の新型車輛に採用されている車両異常挙動検知システムを備えています。
 台車は227系電車の台車をベースに設計されており、乗心地向上の為、ヨーダンパの他に車体に設けられた加速度センサーにより、車体の左右の揺れを抑える動揺防止制御装置(フルアクティブサスペンション)、JR東日本所有の「TRAIN SUITE 四季島」でも使用されている、車体の上下動を抑える油圧式可変減衰上下動セミアクティブサスペンションを備えています。

キイテ87-1(1位側)

キイテ87-1・2
編成の両端に位置する展望デッキを備える先頭車(動力車)です。車体は「ノスタルジック・モダン」のコンセプトに基づき、流線型、丸い灯具類、乗務員室の位置等はボンネットスタイルを彷彿とさせるデザインで、懐かしさを演出しています。先頭部にオープンデッキを備えた車輛は客車で見られましたが、気動車では本形式が初となります。デッキ後方には屋根部分までに達する大型窓を備えたハイデッカー構造の側面展望スペースがあります。デッキは安全面から編成の最後尾のみが使用出来ます。この他にサービスクルー用の寝台があります。搭載機器はディーゼルエンジン、発電機を2基、空気圧縮機1基、主電動機4基を搭載しており、総重量は58.3tにも達しています。

キサイネ86-1(3位側) キサイネ86-101(1位側)

キサイネ86-1
9号車に位置する附随車(一等寝台車:A寝台車)です。二人用の寝台設備(ツインルーム)を3室備えています。寝台の内装、引戸には中国地方各県の木材を用いています。部屋には寝室、シャワールーム、トイレ、洗面所の設備があります。寝室には照明、腰掛け、スツール、冷蔵庫、ルームサービス注文用の電子端末が備えられています。ベッドは収納式で、折り畳む事でリビングスペースとする事ができます。一部の窓が開閉が出来、個室入口と可動壁を開放し、通路側の窓から景色を望む事が出来ます。この他に共用トイレ、床下には空気圧縮機、走行用リチウムイオン電池を備えています。
キサイネ86-101
2号車に位置する附随車(一等寝台車:A寝台車)です。0番代と同一構造ですが、向きが異なる為、番代区分されています。

キサイネ86-201(3位側) キサイネ86-301(3位側)

キサイネ86-201
8号車に位置する附随車(一等寝台車:A寝台車)です。二人用の寝台設備(ツインルーム)を3室備えている他、共用シャワー室、サービスクルー用の部屋を備えている車輛です。
キサイネ86-301
3号車に位置する附随車(一等寝台車:A寝台車)です。200番代と同一構造ですが、向きが異なる為、番代区分されています。

キサイネ86-401(1位側) キサイネ86-501(3位側)

キサイネ86-401
4号車に位置する附随車(一等寝台車:A寝台車)です。ロイヤルシングル、ロイヤルツインと呼ばれる寝台車で、ロイヤルシングルは2室あり、A寝台車ロイヤルをグレートアップしたもので、寝台の他に机、シャワー室、トイレ、洗面所で構成されています。エキストラベッドを使用すると2名で使用する事も出来ます。ロイヤルツインは1室のみで、車いす利用でも使用出来るようユニバーサル仕様となっており、乗降口から部屋の入口まで車いすが通れるよう、通路幅が広くなっています。どちらの部屋も他の寝台車と同じく、通路側にある大きな窓から車窓を楽しむ事が出来ます。この他に、車掌室、業務用室、食堂車用食材庫を備えています。床下には走行用リチウムイオン電池を搭載しています。
キサイネ86-501
7号車に位置する附随車(一等寝台車:A寝台車)です。「ザ・スイート」と命名された寝台車で、1両に1室という世界的にも例の少ない寝台車となります。車内はエントランス、プライベートバルコニー、リビング、ダイニング、寝室、トイレ(エントランス横とユニットバス内の2ヶ所)、バスタブ付きバスルームを備えた豪華なつくりとなっています。寝台クラスでは最上級価格であり、お値段は120万円以上とか。バスルームは24系寝台客車「夢空間」のオロネ25 901「デラックススリーパー」以来の登場となります。寝室、リビングの通路側は天井に達する大きな窓、バスルームは横長な窓と天窓が設置されているのが特徴となっています。
この車輛のみダブルデッカー構造となっており、リビング及び寝室は1階に設け、広い個室空間を実現しています。プライベートバルコニーの窓は開閉可能な窓となっています。また、バスルームには非常用ドアがあり、通路側に出る事が出来ます。通常は定員は2名ですが、エキストラベッドを利用する事で最大4名までの利用が可能です。この他に食材庫の設備があります。

キシ86-1(1位側) キラ86-1(1位側)

キシ86-1
6号車に位置する動力車です。「ダイナープレヤデス」と命名された食堂車で、フォーマルな雰囲気としつつも、心地よい空間の演出がなされています。車輛の約半分が調理の様子等のライブ感を伝える為、オープンキッチンとなっており、この部分の通路側の窓は縦に長い窓を5枚並べています。食堂は2人用テーブル6卓、4人用テーブル2卓が配置され、大型窓が配されています。床下にはディーゼルエンジン、発電機を2基、動力車である為、主電動機も搭載している事から、総重量は58.3tもあります。
キラ86-1
5号車に位置する動力車です。編成の中央部に連結されているラウンジカーで、ラウンジを意味する「ラ」の形式記号は国鉄時代から続く中でも、初の形式となっています。愛称が付けられており、フランス語で「西のサロン」を意味する「サロン・ドゥ・ルゥエスト」と命名されています。トワイライトエクスプレスのサロンカーの愛称である「サロンデュノール」の愛称を変えたものです。
車内は木を多用した落ち着いた空間で、乗客同士の会話やおもてなしを楽しむ事が出来るようになっています。前位側には2人用座席個室、トイレがあり、バーカウンター、立札の茶の卓、ブティックスペースの設備があります。
この車輛も床下にキシ86形式と同じ搭載品があり、総重量は58.3tとなっています。




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