気動車

気動車とは?

 乗客や貨物を積載する空間を持ち、動力に内燃機関を搭載して自走する鉄道車輛の一つです。
 発想は機関車に牽引される客車や貨車に動力を持たせ、自走させよう。というものです。個々に動力を持っており(無い車輛もあります。)、基本的には自由な組成が可能となっており、電車と同じ、動力分散方式となります。
 気動車の分類は機関によるものと、動力を伝える方式による区分があります。
内燃機関による分類
蒸気機関

ホジ6014 機関室側 ホジ6014 附随運転室側

 気動車の歴史が始まったのは明治32年で、当時は蒸気動車と呼ばれました。蒸気動車は海外からの輸入でした。客車の一端に小型蒸気機関(ボイラー)を搭載したものです。フランス製が最初に輸入され、ハンガリー製が続きましたが、どちらも当時の技術水準では整備が難しく、普及には至りませんでした。普及したのは「工藤式」と呼ばれるもので、扱い易さや信頼性が高いのが特徴。写真のホジ6014は鉄道院(現在のJR)で導入されたもので、工藤式を採用した1両です。現存する唯一の車輛。愛知県にあるリニア・鉄道館で保存されています。因みに乗降扉が3ヶ所あるように見えますが、前後は乗務員扉で、乗降扉は中央1ヶ所となります。
 蒸気機関車と同じく石炭を燃料とし、石炭をボイラーに入れる作業などを行う機関助士が必要。両運転台構造で、附随運転室側を先頭にした運転では、ワイヤーで加減弁を操作し、伝声管で機関室の助士に指示を与えて走行します。その後、ガソリンカーの出現により、手間のかかる蒸気動車は大正末期以降に廃れ、殆どが姿を消しました。

②内燃動車

キホハニ56 キハ41307

 内燃機関を搭載したもので、最初は大正時代にガソリンカーが生まれました。取扱いが簡易である事から、鉄道省、私鉄で広く普及しました。写真左は佐久鉄道(現:JR小海線)に昭和5年に登場したキホハニ51形式です。ガソリンカーに使用される燃料のガソリンは安全性に難があり、昭和15年に発生した西成線(現:桜島線)での脱線火災事故を受けて鉄道省ではガソリンカーの製造を終了しています。地方の閑散な私鉄路線で細々と活躍をしていましたが、昭和44年に全廃となっています。
 ガソリンカーが普及していた頃に続いて登場したのが
ディーゼルカーです。ディーゼルカーに用いられるディーゼルエンジンは燃料がガソリンよりも危険性が低い、軽油で扱い易く、燃料費も安価。大きいトルクを出せ、加速性能も良い。といったメリットがあり、現在の気動車の主力となっています。写真右はガソリンカーとしてキハ41300形式として登場し、ディーゼルエンジンに換装し、キハ04形式として活躍した車輛です。
 この他に、戦時中においてはガソリンや軽油が不足した為、代替として天然ガス等を用いた時期もありました。また、ディーゼルエンジンに代わるものとして、ヘリコプター等に用いられるガスタービンエンジンを搭載した気動車も登場。しかし、燃費の悪さと故障が頻発し、実用化には至りませんでした。

動力の伝達方法による分類
機械式
 自動車と同じく歯車を用いて、歯車比の組み合わせで変速させる方式です。エンジンから発生した動力源を駆動力に変換させる方法として、最もシンプルな方法。クラッチを介在させ、変速を行います。この他にフリクションプレート(摩擦円盤)で変速や逆転を行う方法もありました。単行運転ではさほど問題はありませんが、牽引重量が大きい場合、大出力エンジンには不向きである他、運転も技能に習熟が必要等の欠点があり、初期の気動車に採用されるに留まっています。
電気式
 ディーゼルエンジンを発電機とし、得られた電力で電動機(モーター)を動かす方式。操作が簡単であるメリットがありますが、車体重量が過大になり易く、軸重負担が大きい事から、線路等級の低い路線(ローカル線)には不向き、構造が複雑というデメリットがあり。技術が未熟であった事等の理由で、普及には至らず。しかし、時を経て半世紀程経った現在、技術の発達によりエンジン、電動機のコンパクト化が可能となり、気動車や機関車で復活しています。
①、②に共通するデメリットはメンテナンス面で手間がかかる事、1両に対し1人の運転士が必要で、ブザー等で合図を送りながら加減速を行わなければならず、長大編成が難しい事があります。
 このデメリットを克服すべく、最初に生まれたのは「
総括制御」で、運転士1人で複数の車輛を扱えるようにしました。また、機械式は小型車や簡易線区への投入は容易である一方で、電気式はその逆と相反する構造である事から、戦後、昭和28年に「液体式」が開発されました。
液体式
 エンジンから生まれたエネルギーを車輪に伝達する間に「流体継手」というクラッチの一種を介在させる方法。この流体継手とは、オイルで満たされた密閉容器の中に二つの羽根車を向かい合うように設置し、羽根車はエンジンと車輪側の軸に繋がっています。エンジン側の羽根車を回転させると、オイルの流動が生まれ、車輪側の羽根車が回転する仕組みです。オイルの流れを回生させ、トルク(力)を増幅させる機構としたものが、「トルクコンバーター」です。
 オイルの圧力や流量を制御する事により、伝えるトルクや回転数を自由に調節が出来る事が可能であり、コンパクトである事から、車体やエンジン出力の大きさを問わず利用できる事から、気動車の主力となりました。

 気動車は電車と比べると地上設備が少なくて済む為、輸送単位が小さい路線に経済的。1両単位での編成が組め、かつ互換性がある(基本足廻りは同じ)為、車種を問わない(特急形を除く。)といったメリットがある一方、エンジンの出力が小さく、性能面では電車に劣るデメリットがあります。これはJRへ移行後に技術の進展により、小さくなりつつあります。近年では、ディーゼルエンジンのみに依存せず、ディーゼルエンジンを発電機とし、得られた電力で主電動機を動かす「ハイブリッド気動車」が登場した他、分類としては電車になりますが、蓄電池や燃料電池を用いた「蓄電池動車」、「燃料電池動車」という、熱機関を用いないハイブリット車輛の進化した車輛も登場しています。

国鉄時代の気動車
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