諸元
全 長  20000mm
全 幅  2870mm
全 高  3654mm
主電動機 MT54形式(120kw)など
制御方式 直並列抵抗制御方式、弱め界磁制御方式
制動方式 SELD発電ブレーキ併用直並列抵抗制御方式、弱め界磁制御
動力台車 DT21C形式、DT21形式

車内設備など
座 席 ロングシート
乗降扉 片側2扉、片側3扉
トイレ なし

 かつて鉄道では郵便や小荷物を定期列車に併結又は専用列車によって輸送していました。しかし、道路網の整備が進むなどの理由により、昭和61年に鉄道による郵便、荷物輸送は全廃される事となりました。
 お役御免となってしまった多くの車輛は廃車となる事になりました。その中で電車の郵便車、荷物車には新製から年月の経っていない車輛もありました。一方、地方ローカル線では輸送量に適した車輛が求められていました。国鉄の新性能電車は電動車を2両1組としたユニット方式が採用され、最小編成は2両です。当時は台所事情も芳しくなく新製も難しい事から、余剰となった郵便車、荷物車を旅客車に改造する案が生まれ、昭和61年にクモハ123形式が登場しました。単車で運行はもちろん、増結用車輛として活躍することが出来ます。
 改造されたのは11両で、種車の違いから改造内容も異なっているのが特徴の一つですが、形式は全てクモハ123形式となっています。

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クモハ123-1(クモハ123-1)

中央本線の塩嶺(えんれい)トンネル開通に伴い、辰野~塩尻駅間は支線に格下げされ辰野支線となりました。この区間用の車輛として、クモニ143-1を改造した車輛です。「ミニエコー」の愛称が登場時よりつけられました。車体はワンマン運転も考え、1000mm幅の片引戸を片側に2扉設置、その間にユニット窓を配置しました。塗装は、当初はクリーム地(クリーム10号)に緑色の帯(緑14号)を巻いた塗装ですが、ローズピンクと白色の2色塗りになっています。車内はオールロングシートで、当初は自動販売機も設置されていました。
ワンマン運転は平成2年から、平成7年にはAU712形冷房装置を搭載し、冷房化されました。平成25年にE127系に任務を引き継いで引退しています。

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クモハ123-5041~5045(クモハ123-5043)

身延線富士~西富士宮駅間、鰍沢口~甲府駅間の区間輸送を目的にクモユニ147形式郵便荷物合造車を種車に改造されました。登場時はクモハ123形式40番代で、「富士ポニー」の愛称がつけられました。
外観はクモハ123-1と似ていますが、客室窓をやや大きくしたほか、戸袋窓を廃止しています。塗装はクリーム10号に赤帯(赤2号)を巻き、前面は赤2号で富士山と身延(Minobu)のMを図案化した塗装となっていましたが、移行後、JR東海色に変更されています。平成元年に冷房化が行われ、原番号に5000番が加えられました。翌年の平成2年にワンマン運転化改造が行われ、45番(5045番)のみ前面に貫通扉が設置され、再改番されています。平成19年に廃車となり、廃番代となっています。

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クモハ123-5145(クモハ123-5145)

平成2年にワンマン運転が実施される事となり、必要な機器の搭載が行われました。5045番のみ、さらに前面に貫通扉を設置する工事が実施され、100番を更に加えられました。

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クモハ123-601・602(クモハ123-601)

JR東海に移行した昭和63年に登場したグループです。牽引車のクモヤ145-601・602を改造したもので、片側3扉構造になっています。種車にあった貫通扉は連結時に通行を可能とするため、幌枠が設置されました。
冷房装置が搭載される際、専用の電動発電機からの給電とされたため改番は行われませんでした。平成19年に廃車となり、番代消滅しています。

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クモハ123-2~4(クモハ123-3)

クモニ143形式を旅客車に改造したもので、可部線向けに改造されました。1番からの続き番号ですが、外観は異なります。客室窓は窓の1/3ほどが室内側に倒れるスイング式が採用され、外観の特徴にもなっています。登場時より冷房化されており、冷房用電源の電動発電機(食堂車からの発生品)が搭載されてます。また、当初は非貫通構造でしたが平成5年に貫通扉が設置されました。現在は宇部線、小野田線で活躍しています。

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クモハ123-5・6(クモハ123-6)

阪和線羽衣支線向けに昭和62年にクモニ143形式を改造したグループ。種車の荷物扉の位置に乗降扉をそのまま設置したため、変則的な配置が特徴となっています。車体色は青22号(水色)で、運転台周辺は黒色でした。その後、平成5年に宇野線茶屋町~宇野駅間で活躍。カモメのイラストが描かれました。平成14年より宇部線、小野田線で活躍をしています。