諸元
全 長  20000mm
全 幅  2832mm
全 高  3935mm
主電動機 MT55A形式(120kw)
制御方式 直並列抵抗制御方式(永久直列)、弱め界磁制御方式
制動方式 発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ方式(応荷重ブレーキ付き)
動力台車 DT33A形式 不随台車 DT21T形式

車内設備など
座 席 セミクロスシート
乗降扉 片側3扉
トイレ なし

 本州と四国を結ぶ本四備讃線(瀬戸大橋線)開業に伴い、四国島内高松~観音寺駅、多度津~琴平駅間が直流電化される事になり、この区間で使用する普通列車用車輛として本系列が分割民営化直前の昭和62年に登場しました。
 走行システムや車体などは105系に近い設計としていますが、当時の国鉄財政状況は危機的状況であり、新製費用を抑えるために異なる点が多くあります。まず、車体は当時、流行しつつあったステンレス製、前面部にはFRPが使用されています。裾絞りのない2800mm幅で、前面デザインは207系900番代をモデルとしましたが、中央部の貫通扉とその幌枠がある事で印象が異なっています。帯色はピンク色に近い赤14号が採用されましたが、民営化後JR四国のコーポレートカラーである水色(青26号)に変更されています。
 片側3扉構造で、車内は一般的なセミクロスシート仕様。当時の近郊形電車では喫煙が出来ましたが、近距離輸送であるため、当初より省略されていました。また、トイレもありません。客室窓は一段上昇式窓という珍しいものが採用。側面幕板部に行先表示器が設置できないため、方向板(サボ)が使用されています。前面に行先表示器がありますが、これは手動扱いです。
 主要機器、台車などは廃車発生品を可能な限り使用しています。電動車の台車は103系の発生品で、ブレーキシリンダーなどを改良したDT33A形式、制御車は101系の廃車発生品であるDT21T形を履いています。
 特徴の一つとして、ブレーキシステムは電気指令式空気ブレーキを採用しましたが、電気ブレーキは抵抗制御車と同じく、発電ブレーキを併用しています。
 四国の玄関口でもある高松地区で活躍してきた121系ですが、製造から30年経過し大幅なリニューアルが施される事となり、系列を7200系へと変更。平成31年に最後の編成が改造され系列消滅しています。

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クモハ121-1~(クモハ121-7)

高松方に位置するパンタグラフ付き制御電動車です。1M方式であるため、走行に必要とされる機器を全て搭載しており、1両でも動くことが出来ます。パンタグラフは当初、廃車発生品のPS16形が使用されていましたが、平成4年に予讃線観音寺~新居浜駅間電化開業により、狭小トンネルに対応したS-PS58形パンタグラフに換装しています。補助電源に使用されるMGもサシ481形式からなどのリサイクル品でしたが、平成10年以降は90k
vAのSIV装置に換装されています。

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クハ120-1~(クハ120-2)

琴平、新居浜方に位置する制御車です。クモハ121形式とは対照的に床下機器はほとんどありません。

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クハ120-18・19(クハ120-18)

補助電源装置である電動発電機(MG)は当初、サシ481形式食堂車などの廃車発生品で賄われていましたが、平成10年より静止型インバータ(SIV)に換装される事となりました。この18番及び19番は111系で使用されていたSIV装置(S-SIV90形)を搭載していました。

7200系
 121系は登場から30年ほどが経過し、車内外共に大幅なリニューアル工事を施工する事になりました。この工事により、7200系という新しい系列にする事になりました。
 車体の主だった変更は高松方のクモハ121形式は7200形式、琴平・松山方のクハ120形式は7300形式に変更。合わせて、車体カラーの変更やロゴマークの追加。車外スピーカーの設置、ベンチレーター撤去などが行われました。
 最も大きい変更は制御方式などで、抵抗制御方式からIGBT素子を用いたVVVFインバーター制御方式に変更しました。この変更に伴い、主電動機も直流直巻電動機からかご型三相誘導電動機(S-MT64形(140kw))に変更されています。この他、電動空気圧縮機、補助電源装置も更新されています。ブレーキ方式は従来通り、電気指令式空気ブレーキ方式となっています。この様な大幅な変更を行ったため、運転最高速度は110km/hと向上しています。しかし、運転最高速度の向上にもう一つ大事なものがあります。
 それが台車です。121系では廃車発生品の中古台車でしたが、空気ばね式の軽量ボルスタレス台車に変更しました。この台車は川崎重工業が開発したCFRP(炭素繊維強化プラスチック:carbon fiber reinforced plastic)台車「efWING」というもので、電動車はS-DT67ef形、不随車はS-TR67ef形という形式名がつけられています。この台車を採用した事により、走行安定性の向上、大幅な軽量化が図られています。
 客室はクロスシートの一部をロングシート化し、千鳥配置に変更。ロングシートはバケットタイプとしています。客室窓も内折れ式へ変更しています。このほか、ワンマン運転対応の機器が搭載され、ワンマン運転にも対応できるようになりました。
 平成28年より実施され、平成31年に121系は全て7200系に変更し、系列消滅しています。
 

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7201~(7208)

クモハ121形式を更新したもので、VVVFインバーター制御装置、補助電源装置を搭載しています。

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7301~(7308)

クハ120形式を更新したもので、電動空気圧縮機を床下に搭載しています。