諸元
全 長  20000mm
全 幅  2800mm
全 高  4086mm
主電動機 MT60形式(150kw)
制御方式 サイリスタチョッパ制御方式、弱め界磁制御方式
制動方式 回生ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキ、直通予備ブレーキ、手ブレーキ
動力台車 DT46A形式 不随台車 TR234形式(0番代)
動力台車 DT50A形式 不随台車 TR235A形式(100番代)

車内設備など
座 席 ロングシート(普通席)
乗降扉 片側4扉
トイレ なし

 常磐線と営団地下鉄(現:東京地下鉄)千代田線との相互乗り入れ用として103系1000番代が活躍していましたが、抵抗制御方式による排熱によってトンネル内の温度上昇があり、利用者から不評であった。また、熱による機器類の誤動作、劣化が目立ってくるようになりました。冷房化をしたい所ですが、重量が増す事により走行性能の低下を招くため不可能でした。営団側からチョッパ制御装置を搭載した車輛の投入を強く求められていました。
 昭和57年に安孫子~取手駅間複々線化を行うため、車輛の増備が必要となり、これを機に201系と同様のサイリスタチョッパ制御方式を採用するとともに、営団側より求められていた起動加速度性能向上を図るためにアルミ製車体を採用した車輛を投入する事にしました。その車輛が203系です。
 基本構造や制御方式、車内設備などは201系をベースに設計されています。本系列の特徴の一つは車体です。通勤形電車では昭和41年に登場した301系以来となるアルミ合金を採用し、軽量化を図る事でMT比の変更(103系では8M2T編成、本系列は6M4T編成)を行い、冷房化により車内の静粛性を向上させています。
 車体の組み立ては従来の骨組み工法ではなく、大型押出し材を用いた全溶接組立工法を用い、アルミ合金を用いた事で、鋼製の201系より1両あたり6t以上の軽量化を実現しています。構体がアルミ合金であることから、201系よりも若干厚くなっており、雨どいは構体に埋め込まれています。
 先頭車の先頭部は地下鉄仕様車として標準の非常用貫通扉が設置され、スラントノーズ風の独特のデザインが採用されています。
 昭和60年に増備車が登場します。この増備車は設計変更が行われており、100番代と区分されています。最も大きい特徴は、当時の最新鋭通勤形電車である205系に採用された軽量ボルスタレス台車を採用した点にあります。この他、細部の変更が行われており、0番代よりも約3tほど軽量化が行われています。外観は0番代とほぼ同じです。
 平成19年よりE233系との置換えが始まり、引退した編成の一部はインドネシアやフィリピンへと海を渡って活躍をしています。平成23年に置き換えが完了し、全編成引退しています。(系列消滅)

0番代

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クハ202-1~(クハ202-4)

偶数向き制御車です。国電の標準的な片側4扉スタイルですが、製作コストや重量低減を図るため戸袋窓がありません。

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クハ203-1~(クハ203-1)

奇数向き制御車です。先行試作車でもある第1編成は車両番号板が使用されており、緑色で表記されています。

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モハ202-1~(モハ202-11)

モハ203形式とユニットを組む中間電動車です。電動空気圧縮機、電動発電機といった補助機器を搭載しています。

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モハ203-1~(モハ203-13)

奇数向きパンタグラフ付き中間電動車です。チョッパ制御装置など主回路機器を搭載しています。

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サハ203-1~(サハ203-8)

地下鉄用車輛では数が少ない中間不随車です。妻面窓の埋め込み、転落防止ホロは後年改造によるものです。

100番代

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クハ202-101~(クハ202-104)

205系の使用する軽量ボルスタレス台車を使用したグループです。基礎ブレーキは踏面ブレーキとディスクブレーキとなっています。

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クハ203-101~(クハ203-107)

見た目は0番代と変わりませんが、台車は軽量ボルスタレス台車となっているグループです。

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モハ202-101~(モハ202-111)

100番代の中間電動車です。軽量化を図るため、ユニットとなる電動車の連結器は半永久棒連結器に変更されています。

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モハ203-101~(モハ203-112)

100番代のパンタグラフ付き中間電動車です。中央のルーバーはチョッパ制御装置への冷却風取り込み口です。客室窓はトンネル内を走行するため、僅かに開く程度です。

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サハ203-101~(サハ203-108)

100番代の中間不随車です。