0番代・900番代
本系列の基本グループです。201系のフルモデルチェンジといえる存在で、JRへ移行後も増備が行われました。製造年や投入線区などにより、ドア窓の大きさ、前面形状の違いなどがあります。山手線では、混雑緩和を目的にした6扉車があり、この試作車が制作され本系列では初めてとなる900番代が登場しました。
クハ205-61~(クハ205-79)
JR東日本へ移行し、205系の増備が続けられました。最初に投入されたのが横浜線。この際、従来車にはなかった種別表示器が追加されました。(前面、右側)快速列車などの種別や路線名を表示していましたが、2000年代に入ると行先と一緒に表示したり、LED化され使用されなくなり、黒幕のままとなっています。
サハ204-901・902(サハ204-901)
山手線混雑緩和を目的に平成2年に登場した片側6扉の中間不随車です。本系列では初めての900番代となります。混雑時間帯は座席を収納し、立席定員を増やし混雑を緩和しようというものです。車体は製造元の近畿車輛が開発した「パネル式構体」というものが採用されています。車内はスタンションポールが配され、折り畳み式の座席が配されています。暖房装置は車内にヒーターを設置すると1台あたりの容量を大きくする必要があり、触れるとやけどの恐れがある事から、鉄道車輛では珍しい床暖房方式となっています。
試験を経て、量産車が登場し、量産車化改造を受けました。山手線で活躍後、埼京線で使用され、平成25年に廃車。廃番代となっています。
サハ204-1~(サハ204-28)
900番代の試用結果より平成3年に登場した量産車です。900番代では乗降扉を2箇所締め切られる選択開扉機能と案内表示器がありましたが、これを省略。11両編成では補助電源装置の容量が不足することから、自車用の冷房電源装置(DC-DCコンバーター(30kw))を搭載しています。(900番代も量産車化改造時に装備。)
車内は利用者の声を反映したものとし、液晶ディスプレイの採用、荷棚の高さ変更が行われました。写真は埼京線へ転属し、活躍していた時の様子で、客室窓にLED式の行先表示器が追加で設置されています。
500番代
平成3年に電化開業した相模線向け車輛として登場しました。JR東日本では投入線区に応じて、細部の仕様の変更を行いましたが、番代区分は行ってきませんでした。この相模線に投入する205系は半自動ドア機能、モニターとICカードを用いた乗務員支援装置の採用など変更点が多いため、500番代と区分されました。
車体は同線の新しいイメージとして前面のデザインは大きく変更され、前部標識灯と後部標識灯の形状を角型にし、一体化したケースに収められています。助手側の前面窓も拡大さています。また、踏切事故対策として同系列では初めてスカートが装備されたことも特筆されます。ラインカラーはブルーグリーンとライトブルーの2色で、側窓上部の帯は省略されています。
車内は暖色系から「相模川」をイメージした清涼感のある青色系を採用。化粧板、床敷物などは柄が変更されています。乗降扉は半自動ドアとなり、半自動扱い時は乗客がボタン操作により開閉を行います。ドア構造はメンテナンスを考え、従来車とは異なっています。
1000番代
205系は山手線に登場し、その後首都圏各線区へ投入されました。そして、関西圏への投入も行われ0番代が東海道、山陽本線の各駅停車に登場しました。JR西日本へ移行し、昭和63年阪和線への投入が決まり1000番代が登場しました。
0番代と比べると変更点は多く、外観では前面窓のレイアウト変更。運転士側窓を小さく、助手側窓が大きいものになり、乗務員室と客室の仕切り窓を拡大し、眺望性の良いものとしています。また、車外スピーカーの設置、冷房装置の変更、ベンチレーターの削減が行われています。
機器類では、運転最高速度110km/hを考え、主電動機をWMT61A形に。基礎ブレーキ装置も高速対応した設計のものに変更しています。このため、0番代と併結運転は不可能です。補助電源装置は電動発電機に代わり、SIV(静止型インバーター)装置に変更しています。
JR東日本の改造車
2000年代に入り、首都圏では中央・総武緩行線や山手線にE231系が投入されていきました。一方、郊外の路線では103系を中心に活躍しており、これらを置き換えるために山手線で活躍してきた205系を中心に大規模な車輛転属及び配属が実施される事になりました。
転属にあたり、短編成化が行われます。これにより先頭車が不足するため、中間車を先頭車化改造する事になりました。前面デザインは既存車とは異なるもので、横方向に緩やかな曲線の1枚ガラスを用いたものとなり、上部左右に前部標識灯(HID灯)と後部標識灯を配し、中央にLED式行先表示器を設置したものとなりました。
改造は妻構体を撤去し、強化フレームを溶接の上、FRPにフェノール発泡体を合わせた複合材料の前頭部を付けています。乗務員室のデザインはE231系に準じたものとなり、マスコンハンドルはワンハンドル式に変更しています。また、運転士側背面に非常救出口が設置されました。これにより、既存車では仕切り窓は3枚窓でしたが、改造車は大窓1枚と仕切り扉の窓の2枚になっています。車体長さも変更され、既存車よりも200mm延長されています。
都会的なスタイリッシュなデザインに生まれ変わった改造車。皆さんは見た事があるかな。
1000番代
南武線南武支線(尻手~浜川崎駅)向けに平成14年に登場したグループです。モハ204+モハ205のユニットを先頭車化改造したもので、205系では最小編成となる2両編成での運転を行います。
ワンマン運転を行うため、車外スピーカーを使用した発車ベルや自動放送が備えられています。また、長時間停車をする際の車内温度維持のため、乗降扉を一か所のみ開扉する「3/4閉スイッチ」が装備されています。
機器類は種車のものを流用していますが、クモハ204形式の補助電源装置は電動発電機を搭載していない車輛からの改造であったため、SIV(静止型インバーター)を新しく搭載しています。平成21年より、シングルアーム式のPS33E形に交換されています。
1000番代はJR西日本にありますが、形式がクモハのみであり、重複は避けられています。
1100番代
鶴見線向けに平成16年に登場したグループです。先頭車は中間車からの改造車で、2M1Tの3両編成で運転されます。クモハ+モハのユニットはモハは種車の車番のまま。クモハは1100番代に改番され番号が合わなくなっていますが、元はユニットで同一の番号です。1000番代と同じく3/4閉スイッチを装備しています。
1200番代
南武線の103系を置き換えるために平成16年に登場したグループです。先頭車のみ1200番代となり、中間車は0番代のままとなっています。平成18年にE233系投入により、置き換えられ廃番代となっています。
3000番代
八高線・川越線で活躍する103系を置き換えるために平成15年に登場したグループです。山手線で活躍していた車輛を種車とした2M2Tの4両編成です。準寒冷地である事から半自動ドアに変更されているほか、車椅子スペースには壁面にヒーターが設置されています。
平成29年よりE231系3000番代及び209系3500番代が後継として投入され、一部の編成は富士急行へ譲渡されました。平成30年に廃番代となっています。
3100番代
平成14年に仙石線の103系を置き換えるために登場したグループです。2M2Tの4両編成で、ユニットは山手線で活躍していたもの。制御車は山手線又は埼京線で活躍していたサハ205形式を先頭車化改造したものとなっています。また、耐寒・耐雪構造を施しており、半自動ドア機能、側引き戸レールヒーターや耐雪ブレーキを装備しています。
車内はロングシートの他に、快速列車用としてクロスシート/ロングシートに転換が出来る「2WAYシート」を装備した車輛があります。(現在は、仙石東北ライン開業により、快速列車廃止のため、ロングシートに固定)
モハ204-3101~(モハ204-3103)
種車のモハ204形式0番代は全車輛がMGを撤去した車輛で、補助電源装置は103系からの廃車発生品であるSIVを搭載しています。2WAY車は帯色が紫色系で、塩竃港に水揚げされる魚をイメージしたものとなっています。
5000番代
平成14年に武蔵野線の103系を置き換えるために平成14年に登場したグループです。特徴の一つはこのグループのみ中間電動車で構成されており、制御車及び不随車は既存の車輛を使用しています。
武蔵野線が乗入れる京葉線。地下トンネル区間と地上区間には急勾配があり、8両編成中、6両が電動車という不経済な編成でした。山手線を中心とする205系を多数の路線へ転属させる事を考えると、1編成あたり6両も電動車が必要になると、電動車不足が見込まれるため、電動車4両で運転出来るように主回路の変更、主電動機の換装で、電動車6両分の性能を確保するために、5000番代が改造される事になりました。
この高性能化のため、添加励磁制御方式からVVVFインバーター制御方式に変更しています。そして、主電動機はMT74形式誘導電動機(120kw)に換装しています。
長らく活躍してきましたが、209系500番代及びE231系への置換えが行われ、この5000番代及び武蔵野線
用の0番代は横浜線、南武線の205系と共に、インドネシアの鉄道へ譲渡され、海を越えた異国の地で活躍をする事になりました。
600番代
日光線で活躍する107系0番代、東北本線(宇都宮線)小金井~黒磯駅間で活躍する211系の置換えをするために平成25年に登場したグループです。京葉線や埼京線でE233系投入により、余剰となった205系が種車となっており、車体などに大きな変化はなく、主に寒冷地仕様の改造、ラインカラーの帯色変更となっています。
寒冷地での使用であるため、乗降扉のレールヒーター設置、客室暖房器の容量増大、半自動ドア化、電動空気圧縮機の除湿装置にヒーターを設置。霜取り用パンタグラフの増設などが行われています。車内ではクハ205形式に車いす対応のトイレが設置されました。
ラインカラーは日光線は107系のレトロ調デザインを継承したクラシックルビーブラウン、ゴールド、クリームの3色を配した帯色とし、沿線名所をモチーフとしたステッカーが貼られています。宇都宮線向けは伝統の湘南色となっています。
いろは
平成30年に催された「本物の出会い 栃木」デスティネーションキャンペーンに合わせ、観光客の多い日光線に快適な移動時間を提供する列車として誕生しました。愛称の「いろは」は日光の名所の一つ、「いろは坂」と物事の「いろは」を掛け合わせたもので、日光の様々な魅力を感じて頂きたい。という思いが由来となっています。
ロゴマークもいろは坂の「い」をモチーフにカーブと同じ数の48色で彩られています。その背景に日光線のラインカラーであるクラシックルビーブラウンを配し、いろはの頭文字「I」とレールの断面をイメージした形となっています。
種車は205系600番代を再改造したもので、乗降扉は片側2か所に改造し、塗装は日光線沿線の魅力をデザインするとともに、日光線のイメージである「レトロ」を組み入れたデザインとしています。また、日光の自然や観光名所(華厳滝、中禅寺湖など)、日光の社寺の彫刻で扱われる動物(龍、鳳凰、唐獅子)をモチーフとしたイラストが和の色使いで配されています。
車内は木目調のデザインとなり、大型のクロスシートメインの配置に変更されているほか、大型荷物置き場やフリースペースも設置されています。
※いろはの車内の様子。クロスシートがメインとなっており、日光の旅路をより楽しいものとしています。