諸元
全 長  20000mm
全 幅  2966mm(普通車)、2900mm(グリーン車)
全 高  3970mm(平屋車輛)、4094mm(2階建て車輛)
主電動機 MT61形式(120kw)
制御方式 直並列抵抗制御方式、弱め界磁制御方式、界磁添加励磁制御方式
制動方式 電気指令式空気ブレーキ方式(回生ブレーキ、抑速ブレーキ付き)
動力台車 DT50形式 不随台車TR235形式

車内設備など
座 席 ロングシート・クロスシート
乗降扉 片側3扉、片側2扉(グリーン車)
トイレ あり

 直流近郊形電車は昭和37年より111系、113系、115系が製作され、20年近く増備が行われてきました。それら初期車も20年近く経つと、老朽化や陳腐化か目立ち始め、置換え時期に達しつつありました。新型車輛の投入はサービス向上、輸送改善など良い事がありますが、一方で経費節約という厳しい条件もありました。
 一方、技術の進捗により鉄道業界にも新しい素材、工法など多くの新しいものが生まれ、国鉄でも実用化への研究開発が行われており、軽量ステンレス車体、軽量ボルスタレス台車、界磁添加励磁制御方式、電気指令式空気ブレーキ方式などがあり、これらは従来よりも大幅なコスト削減、省力化が果たせます。これら技術を結集した集大成として、近郊形電車のフルモデルチェンジ車として昭和60年に211系が登場しました。
 211系に使用される主電動機はMT61形式(120kw)というもので、713系開発時に設計されたものです。定格出力は従来の主力であるMT54形式と同等ですが、ユニット当たりの引張力を上げる事で、2M3Tの5両編成を基本としつつ、勾配区間においては在来車の2M2T(4両編成)と同等の運転時分を確保できる能力を持っています。また、分割併合時の時分短縮のため自動解結装置が装備されています。
 こうして211系は首都圏及び中京地区で活躍を始めました。この頃、横須賀線・総武本線向けに211系を投入する計画がありました。この際、地下鉄線を走行する関係から電動車の比率を上げる必要が出てきました。しかし、これではコスト面でメリットが薄れてしまう事から、1M方式の車輛が考えられていました。
 国鉄もいよいよ終焉が迫る中、本州と四国が鉄道で結ばれる一大工事が終わり、本四備讃線(瀬戸大橋線)が開業する事になりました。この路線の車輛として国鉄最後の新しい系列として213系が昭和62年に登場しました。
 本四備讃線では基本編成を3両編成単位としたため、電動車はユニット方式ではなく、1M方式を採用しました。先程の横須賀線・総武本線向け車輛で考えられた通り、211系のシステムを1M方式に変えています。このため、211系との併結運転も可能となっています。車体はデザインが変更されており、片側2扉構造とし、その間を117系100番代と同じく、戸袋窓を除いて2枚1組の一段下降式ユニット窓を配置しています。また、前面は211系と同じFRP製のものですが、客室からの展望を良くするため助手側窓及び貫通扉の窓が拡大されています。
 宇野線の快速「備讃ライナー」号で活躍をはじめ、本四備讃線開業後は快速「マリンライナー」を中心に活躍しました。現在は岡山地区のローカル列車にて活躍をしています。

211系0番代・2000番代
 平坦線区及び暖地向けの111系及び113系の後継車種のグループで、昭和60年に登場しました。セミクロスシート仕様は0番代、ロングシート仕様は2000番代となっています。車体幅は50mm拡大され居住性を改善しています。冷房装置のある近郊形電車では初めて横流ファンが装備されています。客室内は暖色系でまとめられ、クロスシートはFRPを用いたバケットシートタイプ、暖房器が座席下に吊り下げられています。ロングシートもバケットシートととなり、一人分の着席区分が明確になっています。
 東海道本線東京口と中京地区に登場しました。東海道本線東京口には0番代及び2000番代が投入されたほか、グリーン車も合わせて登場。このグリーン車は在来車とは異なり、2両連結する車輛の1両にトイレ、洗面所、車掌室を設けていましたが、トイレと洗面所を持つ車輛と車掌室のみ持つ車輛にそれぞれ分けられました。JR東日本へ移行後も製造(2000番代のみ)され、グリーン車では初めての2階建てグリーン車が登場しました。
 平成24年まで活躍し、グリーン車の一部は高崎、東北本線で活躍。平成25年から長野地区及び中央本線(東線)の普通列車用として、耐寒・耐雪構造の改造を施して活躍しています。
 一方、中京地区向けは0番代のみとなっています。昭和61年に同地区で活躍する117系の編成短縮化による列車増発が行われた際に、不足となる車輛の補充分として4両編成2本が登場しました。この編成では0番代では唯一となるクモハ211形式が登場しています。帯色は当時の東海地区のイメージカラーである青色の帯に白のストライプを入れたオリジナルのもので、JR東海に引き継がれた後、湘南色帯になったため、僅かな期間しか見る事が出来ませんでした。
 平成11年になると運転最高速度120km/h対応工事が実施され、ヨーダンパの設置などの改造が施されています。313系の増備が続き、同社では唯一の国鉄時代に生まれた車輛(5000番代は移行後の登場)として最後の活躍を続けています。

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※中京地区向けに登場した211系0番代の中京色。国鉄時代に見られた色です。

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クモハ211-1・2(クモハ211-1)

パンタグラフ付きの奇数向き制御電動車です。中京地区向けに2両のみ製造されました。制御装置、励磁装置、主抵抗器などの主要機器を搭載しています。JR東海に所属しており、ヨーダンパや自動解結装置は後に装備しています。

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クハ210-1~(クハ210-7)

偶数向き制御車です。セミクロスシート仕様で、車端部にトイレが設置されています。写真はJR東海所属車で、運転最高速度120km/h対応工事で、台車にヨーダンパを装備しています。車内も車椅子スペースが設置されるなどJR東日本所属車とは趣が異なっています。

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クハ210-2001~(クハ210-2019)

偶数向き制御車で、車内がロングシート仕様のタイプです。車端部にトイレが設置されており、その向かいはクロスシートになっています。写真は長野地区に転属後の姿で、強化型スノープラウ付きスカート(排障器)や半自動機能装備追加により、乗降扉横に押しボタンが設置された寒冷地仕様の様子です。

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クハ211-1~(クハ211-2)

奇数向き制御車です。クハ210-1~と同一構造で、連結する向きのみが異なります。

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クハ211-2001~(クハ211-2003)

奇数向き制御車で、クハ210-2001~と同一構造の車輛です。東海道本線時代には基本編成、付属編成の東京方に位置していました。

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モハ210-1~(モハ210-13)

クモハ211-1~又はモハ211-1~とユニットを組む中間電動車です。車内はセミクロスシート、床下には電動発電機(MG)や電動空気圧縮機(CP)といった補助機器が搭載されています。

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モハ210-2001~(モハ210-2026)

モハ211-2001~とユニットを組む中間電動車です。車内はロングシートで、床下機器はモハ210-1~と同一の機器を搭載しています。

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モハ211-1~(モハ211-8)

モハ210-1~とユニットを組むパンタグラフ付き中間電動車です。車内はセミクロスシート、床下機器は制御装置、励磁装置、主抵抗器などの機器を搭載しています。抵抗器を見ると6つ並んでいますが、これは国鉄時代に生まれた車輛に見られるもの。

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モハ211-2001~(モハ211-2016)

モハ211-1~の車内をロングシート仕様としたパンタグラフ付き中間電動車です。モハ210-2001~とユニットを組みます。JRへ移行後に製造された車輛は床下の抵抗器が3つずつ2組になっています。モハ211-1~と見比べてみましょう。

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サハ211-1~(サハ211-3)

セミクロスシート仕様の中間不随車です。車内は両端がロングシートで、扉間がクロスシートとなっています。現在はJR東海所属車のみ残存しています。

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サハ211-2001~(サハ211-2003)

サハ211-1~のロングシート仕様の中間不随車です。床下はブレーキ関係の機器が搭載されているのみです。0番代及び2000番代では最も多くつくられた車輛ですが、現在は廃番代となっています。

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サロ210-1~(サロ210-4)

車掌室と業務用室を備える平屋のグリーン車です。当初はトイレ付きのサロ211形式と組んでいましたが、JRになり登場した二階建てグリーン車サロ213形式と組んで活躍しました。その後、耐寒、耐雪工事が行われ1000番代に改番され、番代消滅しています。

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サロ211-1~(サロ211-6)

トイレ、洗面所を備える平屋のグリーン車です。床下には水タンクが搭載されて、外観の特徴ともなっています。この車輛も当初はサロ210-1~とペアを組んでいましたが、二階建てグリーン車の登場によりサロ212形式と組む相手を変えています。後年、耐寒・耐雪構造の改造を受け1000番代に改番され、消滅しています。

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サロ212-1~(サロ212-6)

JR東日本になり登場した、日本では初めてとなる2階建て近郊型電車で、サロ213形式と共に平成元年に登場しました。車内は客席の他、車掌室及び業務用室を備えています。耐寒・耐雪構造の改造を受け、1000番代になった車輛もあります。

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サロ212-101~(サロ212-101)

平成16年に登場したグループで、113系向けに製造されたサロ124形式を種車に改造編入したグループです。種車の車輛番号に100番を加えています。ブレーキシステムを211系と同じ、電気指令式空気ブレーキ方式に変更しました。写真はTR69形式台車を履く車輛を改造したものです。

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サロ212-101~(サロ212-115)

写真はボルスタレス台車を履く車輛を改造したものです。

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サロ213-1~(サロ213-6)

平成元年にサロ212形式0番代と共に登場した二階建てグリーン車です。トイレ、洗面所の設備があるグリーン車で、主にサロ210形式と組んで活躍しました。寒冷地仕様に改造され、1000番代となった車輛もあります。

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サロ213-101~(サロ213-107)

平成16年に登場したグループで、113系向けに設計されたサロ125形式及びサロ124形式を211系と同じブレーキ構造に改造したものです。サロ125形式は改造後、方向転換のみ。車掌室と業務用室を備えるサロ124形式はこの設備を撤去し、そこにトイレ、洗面所を新設し、方向転換を行いました。サロ125形式からの改造車は101~103、105です。106~はサロ124形式からの改造で、トイレ、洗面所部分の窓がふさがれています。
工期短縮のため、写真のように台車がTR69形式のままの車輛もありました。

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サロ213-101~(サロ213-117)

写真はボルスタレス台車を履く車輛を改造したものです。因みにサロ212形式、サロ213形式は213系?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ちゃんと211系の車輛として登録されています。

211系1000番代、3000番代
 高崎線及び東北本線(宇都宮線の区間)で活躍する115系及び165系の置換え用として昭和61年に登場したグループです。0番代及び2000番代の寒冷地仕様車で、1000番代はセミクロスシート仕様、3000番代はロングシート仕様となっており、1000番代は0番代と同じく、混雑時間帯に難があるため国鉄時代のみの製造に留まり、3000番代はJR東日本へ移行後も製作されました。
 基本的な構造や機器構成は0番代、2000番代と同じですが、編成では2M3Tの基本編成は変わりませんが、上野方からクハ+サハ+サハ+モハ+クモハと勾配線区にも対応した構成に変更されています。寒冷地対策として、スノープラウの装備、耐雪ブレーキの装備、半自動機能の追加、レールヒーター(乗降扉)の装備などがあります。
 平成26年まで高崎線及び東北本線で活躍。その後は房総地区でも活躍し、現在は高崎地区のローカル輸送及び長野地区を中心にローカル輸送に活躍しています。

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クモハ211-1001~(クモハ211-1010)

セミクロスシート仕様の奇数向きパンタグラフ付き制御電動車です。主制御器、励磁装置、主抵抗器などの機器を搭載しています。写真は行先表示器や列車番号表示器がLED化された車輛です。

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クモハ211-3001~(クモハ211-3035)

ロングシート仕様の奇数向きパンタグラフ付き制御電動車です。内装が1000番代と異なるのみで、他の機器はほぼ同じとなっています。

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クハ210-1001~(クハ210-1004)

偶数向き制御車で、セミクロスシート仕様となっています。車端部にトイレが設置されています。

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クハ210-3001~(クハ210-3031)

ロングシート仕様の偶数向き制御車です。車端部にトイレが設置されおり、この向かいのみクロスシートが配置されています。

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モハ210-1001~(モハ210-1003)

クモハ211-1001~とユニットを組む中間電動車です。車内はセミクロスシート、床下には電動発電機(MG)、電動空気圧縮機(CP)など補助機器が搭載されています。

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モハ210-3001~(モハ210-3028)

クモハ211-3001~とユニットを組む中間電動車です。車内はロングシートで構成されています。

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サハ211-1001~(サハ211-1014)

1000番代の基本編成に2両連結されるセミクロスシート仕様の中間不随車です。現在は廃番代となっています。

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サハ211-3001~(サハ211-3056)

3000番代の基本編成に2両連結されるロングシート仕様の中間不随車です。211系全体で最も多くつくられた車輛ですが、現在は高崎地区の4両編成に僅かに残るのみとなっています。

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サロ210-1001~(サロ210-1003)

平成17年に高崎線及び東北本線の普通列車にグリーン車を連結する事となり、東海道本線で活躍したグリーン車の転用改造が行われました。この車輛はサロ210-1~に耐寒構造(半自動機能追加)などを行ったもので、原番号に1000番を加えています。

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サロ211-1001~(サロ211-1006)

サロ211-1~に耐寒構造の改造をしたもので、乗降扉付近に半自動時に使用する押しボタンがついています。原番号に1000番を加えています。

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サロ212-1001~(サロ212-1003)

サロ212-1~を種車に寒冷地改造を行ったものです。外観に半自動時に使用する押しボタンが追加された程度で大きな変化はありません。原番号に1000番を加えています。

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サロ212形式1100番代(サロ212-1113)

113系向けに製作されたサロ124形式を改造したもので、ブレーキ構造を211系と同じものにしたほか、寒冷地改造を行いました。原番号に1100番を加えています。写真の車輛は横須賀線・総武本線で使用されていたもので、帯位置が異なっていました。

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サロ213-1001~(サロ213-1003)

サロ213-1~を方向転換し、耐寒構造を加えたグループです。原番号に1000番を加えています。

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サロ213形式1100番代(サロ213-1122)

113系向けに製作されたサロ124形式及びサロ125形式を211系と同じブレーキ構造に改造し、高崎線、東北本線向けに寒冷地改造を施したグループです。1104番のみサロ125形式からの改造車で、他はサロ124形式からの改造車となります。この車輛には車掌室と業務用室をトイレ、洗面所に改造する工事も行われました。

211系5000番代・6000番代
 昭和63年に登場したグループです。2000番代を基本にJR東海のアレンジを加えたもので、合わせて国鉄から継承した老朽車輛の置換えを目的に登場しました。
2000番代との主な違いは・・・
〇名古屋地区や静岡地区といった都市圏で使用される事から、座席はロングシートのみでトイレも当初は省略されていました。
〇室内からの展望を良くするため、前面貫通扉及び助手側窓を下方に拡大。
〇化粧板、腰掛けモケットの色調の変更。座席の改良を行い、乗心地の向上。
〇補助電源装置を電動発電機(MG)から、DC-DCコンバーター(SCV)に変更。冷房装置もインバーター制御による集約分散式のC-AU711D-G1形2基搭載に変更しています。
〇車外スピーカーの設置
〇台車構造の変更(牽引装置を積層ゴム式からZリンク式に変更)、C-DT56形式、C-TR241形式に変更。
 平成2年まで製造され、長期にわたっているため1次車~4次車までのグループがあります。

1次車

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クモハ211-5001~5010(クモハ211-5005)

奇数向きのパンタグラフ付き制御電動車です。主制御器、励磁装置などを搭載しています。

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クハ210-5001~5010(クハ210-5004)

偶数向き制御車です。クハ210-2001~とほぼ同じですが、冷房装置や戸袋窓近くにある車外スピーカーなど異なる点もいくつかあります。車内はロングシートでトイレは設置されていません。

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モハ210-5001~5010(モハ210-5004)

クモハ211-5001~とユニットを組む中間電動車です。SCV(静止型コンバーター)、電動空気圧縮機など補助機器を搭載しています。1次車の外観上の特徴は行先表示器。省力化を図るため、当時としては珍しいLED式を採用しました。帯幅だけの細い1段表示で、日本語と英語が交互に表示されます。

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サハ211-5001~5004(サハ211-5001)

4両編成に連結される中間不随車です。1次車は4両のみと少数となっています。

2次車

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クモハ211-5011~5048(クモハ211-5026)

2次車で増備されたグループです。機器類などでは大きな変更はありませんでしたが、行先表示器のLEDは光の加減で見えにくい問題があり、寸法はそのままに字幕式に変更されています。なお、写真のように後年、シングルアームパンタグラフへの換装や乗務員室扉の取っ手の2段化(地上からでも開け易いように)など小規模な改造が行われています。

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クハ210-5011~5048(クハ210-5039)

2次車のグループです。行先表示器の変更以外、大きな変化はありません。

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モハ210-5011~5048(モハ210-5039)

2次車になるグループです。行先表示器の変更の他、電動空気圧縮機の容量を大きくしています。

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サハ211-5005~5020(サハ211-5016)

2次車になるグループです。クモハ211-5001~と共に本形式も2次車で増備が終了しました。

3次車

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クモハ211-5601~5617(クモハ211-5601)

クモハ211-5001~をベースに中央本線中津川駅以北、身延線に存在する狭小トンネルに対応するためにパンタグラフ部分の屋根を僅かに低くし、狭小トンネルに対応したC-PS24A形パンタグラフを装備したグループです。3次車のこの他の改良点は帯幅であった行先表示器を他の211系と同じ大きさに変更した事、運転最高速度120km/hに対応するための準備工事が行われています。

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クハ210-5301~5317(クハ210-5301)

1次車及び2次車では短距離での運用を主としていたため、トイレの設備はありませんでした。増備が進み中央本線での運用が多くなると、長距離を利用する乗客からの苦情が多くなったため(列車本数が少なく、用足しに降りてしまうと大変な事になるため。)、中央本線向けに製作されたトイレ付の制御車です。トイレ部分には採光窓が無いのが特徴です。

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モハ210-5049~5065(モハ210-5049)

3次車の中間電動車です。2次車とは行先表示器の寸法の変更以外、ほぼ同じです。

4次車

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クモハ211-5618~5620(クモハ211-5620)

本番代の最終増備車です。変更点が幾つかあり、前面助手側窓上にあった列車番号表示器を省略。車外スピーカーの位置を戸袋窓付近から、冷房装置キセ内に変更しました。このため、冷房装置のキセ形状が変更されており、冷房装置もC-AU711D-G4形となっています。

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クモハ211-6001~6009(クモハ211-6003)

平成2年に登場した新番代で、213系5000番代の1M方式を採用した形式です。走行に必要な機器類は213系5000番代と同じとなっています。車内も貫通扉が窓面積の大きいものになっています。静岡地区で活躍をしています。

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クハ210-5049~5057(クハ210-5057)

クモハ211-6001~とペアを組むために再び製作されたグループです。列車番号表示器や車外スピーカーの位置、3次車で行われた行先表示器の寸法拡大などが変更がいくつか見られます。

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クハ210-5317~5320(クハ210-5320)

列車番号表示器の省略など改良が施された最終増備車のグループです。

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モハ210-5066~5068(モハ210-5066)

モハ210-5001~の最終増備車グループです。車外スピーカーの位置が変更されています。

213系0番代
 本州と四国を結ぶ瀬戸大橋を通る本四備讃線(瀬戸大橋)の開業に向けて昭和62年に登場した系列で、国鉄最後の新しい系列となります。本四備讃線開業前に宇野線で使用されました。
 投入される線区では長大な基本編成ではなく、3両編成を基本編成としました。また、全体的になだらかな線形であり、軽量ステンレス車体を採用する事で編成重量を軽く出来る事から、ユニット方式ではなく、1M方式が選ばれる事になりました。また、コストダウンを図るために211系の機器と共通なものとしており、併結運転も可能となっています。
 車体は軽量ステンレス車体の片側2扉構造で、車内は全て転換式クロスシートとなっています。機器類では211系の界磁添加励磁制御方式を1M方式に変更したものとし、回生ブレーキも使用出来ます。大きな違いとしては211系と同じ軽量ボルスタレス台車を履いていますが、構造を簡素化しつつ、保守面などの向上を図ったDT50B形、TR235B形台車を履いています。また、補助電源装置は国鉄では最初で最後となる静止型インバーター(SIV)を採用しています。

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クモハ213-1~(クモハ213-1)

奇数向きパンタグラフ付き制御電動車です。1M方式のため、制御装置、励磁装置、SIV装置、電動空気圧縮機など走行に必要な機器を全て搭載しています。

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クハ212-1~(クハ212-5)

偶数向きの制御車です。車端部にトイレが設置されています。写真は体質改善工事を受けた車輛で、通風器の撤去、トイレ(和式)を車いす対応の大型トイレに変更、行先表示器のLED化などが行われた現在の姿です。

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クロ212-1~5(クロ212-3)

昭和63年に開業した本四備讃線(瀬戸大橋線)に合わせて登場したグリーン車です。瀬戸大橋を走行する際に客室からの眺望を考えた設計で、前面の流線形部の大窓、側面も屋根肩部にかかる大型固定窓と展望車に近い設計となっています。構造上、車体は鋼製であるため台車は強化されています。車内は床面全体をハイデッキ構造、回転式リクライニングシートが配され、座席を外側にも内側にも固定する事が出来ました。冷房装置は床置き形となっています。白色をベースに5両それぞれ異なる帯色となっていました。平成15年まで活躍しました。

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サハ213-1~(サハ213-10)

本番代の中間不随車です。現在は3両編成に組み込まれていますが、一部の車輛は先頭車化改造を行いました。

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クハ212-101~(クハ212-105)

平成15年の快速「マリンライナー」引退により、編成組み換えが行われた際に登場したグループです。サハ213-1~を先頭車化改造したもので、普通鋼で新造された運転台を設置しました。(白い部分)前面は213系に似ていますが、灯具が四角になっているほか、後退角のない切妻形であるなど特徴があります。車内はワンマン運転対応とするため、運転台から背後の乗降扉まで座席はなく、トイレも運転台方乗降扉横に車いす対応の大型のトイレが設置されています。車端部にも座席はなく、フリースペースとしています。このため、0番代とは着席定員が異なっています。

213系5000番代
 0番代をベースにJR東海仕様としたものが本番代で、平成元年に登場しました。このグループは関西本線で活躍をする165系の老朽化、陳腐化による置換えを目的としました。
 基本的には0番代を基本としていますが、211系5000番代と同じコンセプトで設計されており、走行機器などに変更が行われています。なお、基本編成を2両編成としており、サハ213形式やクロ212形式は存在していません。
 電動空気圧縮機や添加励磁装置など補助機器類の電源を直流600Vとしており、補助電源装置はC-SC27形DC-DCコンバーター(SCV)に変更しています。電動空気圧縮機は短編成のため、容量を変更しました。
 車体はほぼ同じですが、JR東海管内の電化区間をどこでも走行できるよう、パンタグラフ部分を少し低くし、クモハ211-5601~で採用された狭小トンネルに対応したC-PS24A形を搭載しています。
 車内は乗降扉間のみを転換式クロスシートとし、扉から車端部に向かってはロングシートのセミクロスシートになっています。この他、行先表示器は1次車では帯幅だったものが、2次車以降では天地寸法を拡大しています。
 登場後、関西本線を中心に活躍しましたが、平成23年に引退。以降は飯田線の119系の後継車種として活躍をしています。

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クモハ213-5001~(クモハ213-5001)

パンタグラフ付き制御電動車です。211系5000番代と共通点が多くあり、インバーター冷房装置、電動空気圧縮機、SCVなど主要機器を全て搭載しています。313系が登場してからはパンタグラフをシングルアームパンタグラフに換装しています。

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クハ212-5001~(クハ212-5008)

クモハ213-5001~とペアを組む制御車です。関西本線時代はトイレの設備はありませんでしたが、飯田線用に転向する際に、車いす対応の大型トイレの設置、半自動機能の追加、先頭台車に滑走防止用のセラジェット装置を装備しています。

211系スーパーサルーンゆめじ
 昭和62年にJR西日本に登場したジョイフルトレインです。団体旅行、イベント列車などに対応できるよう、オールハイデッカー構造のパノラマ車輛として製作されました。
 車体構造の関係で鋼製としたため、重量が増加し213系の性能では運転面で問題がある事から、211系と同じユニット方式が採用されています。機器類は213系に準じたものが搭載されています。走行できる範囲をJR西日本の直流区間としているため、耐寒・耐雪構造とし、運転最高速度120km/hとしています。
 多客期には快速「マリンライナー」号の増結用車輛としても活躍していましたが、平成22年に廃車となりました。

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クモロ211-1(クモロ211-1)

奇数向きパンタグラフ付き制御電動車です。制御装置、励磁装置などを搭載しています。車内はリクライニングシートで構成されており、座席を窓側、通路側に向けて固定する事も出来ます。後位側に業務用室があり、ビデオサービス用のビデオデッキが設置されています。

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クロ212-1001(クロ212-1001)

偶数向き制御車です。基本的な構造や車内はクロ212-1~と同じです。後位側にトイレ、洗面所があります。

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モロ210-1(モロ210-1)

クモロ211-1とユニットを組む中間電動車です。電動空気圧縮機、SIV装置を搭載しています。前位側にトイレ、洗面所の設備があります。

213系 La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)
 平成28年にJR西日本岡山支社で催された「晴れの国おかやまデスティネーションキャンペーン」(岡山DC)、「瀬戸内国際芸術祭2016」などのイベントに合わせ、宇野、尾道、琴平など観光名所などのある地区へのアクセス車輛として、213系1編成2両を改造したジョイフルトレイン(観光列車)です。愛称の「La Malle de Bois:ラ・マル・ド・ボア」とはフランス語で旅行かばんを意味する言葉です。
 種車になったのはクモハ213-4及びクハ212-4の2両で、外装は白色をベースに窓をかばんに見立てたイラスト、ロゴマーク、旅情を誘うイラストや言葉が配されています。
 車内は床に木材を使用して落ち着いた雰囲気としています。座席は2人掛けリクライニングシート、窓側に向いたカウンター席で構成されています。また、サイクリングを楽しむ乗客に自転車(袋に収納が出来る自転車に限る)をそのまま持ち込めるサイクルスペース、地域の特産品などを販売する車内販売カウンター、アート作品の展示コーナーがあります。

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クモロ213-7004(クモロ213ー7004)

岡山方2号車のパンタグラフ付き制御電動車です。乗務員室直後にサイクルスペース、車端部に車内販売カウンターの設備があります。体質改善工事を行っており、屋根上のベンチレーター撤去、行先表示器のLED化、列車番号表示器の廃止などが行われています。

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クロ212-7004(クロ212-7004)

宇野、尾道、琴平方の制御車です。2人掛けクロスシート及びカウンター席が配置されており、カウンター席の1つ分は車椅子スペースとなっています。乗務員室直後にサイクルスペース、車端部にトイレが設置されています。