211系0番代・2000番代
平坦線区及び暖地向けの111系及び113系の後継車種のグループで、昭和60年に登場しました。セミクロスシート仕様は0番代、ロングシート仕様は2000番代となっています。車体幅は50mm拡大され居住性を改善しています。冷房装置のある近郊形電車では初めて横流ファンが装備されています。客室内は暖色系でまとめられ、クロスシートはFRPを用いたバケットシートタイプ、暖房器が座席下に吊り下げられています。ロングシートもバケットシートととなり、一人分の着席区分が明確になっています。
東海道本線東京口と中京地区に登場しました。東海道本線東京口には0番代及び2000番代が投入されたほか、グリーン車も合わせて登場。このグリーン車は在来車とは異なり、2両連結する車輛の1両にトイレ、洗面所、車掌室を設けていましたが、トイレと洗面所を持つ車輛と車掌室のみ持つ車輛にそれぞれ分けられました。JR東日本へ移行後も製造(2000番代のみ)され、グリーン車では初めての2階建てグリーン車が登場しました。
平成24年まで活躍し、グリーン車の一部は高崎、東北本線で活躍。平成25年から長野地区及び中央本線(東線)の普通列車用として、耐寒・耐雪構造の改造を施して活躍しています。
一方、中京地区向けは0番代のみとなっています。昭和61年に同地区で活躍する117系の編成短縮化による列車増発が行われた際に、不足となる車輛の補充分として4両編成2本が登場しました。この編成では0番代では唯一となるクモハ211形式が登場しています。帯色は当時の東海地区のイメージカラーである青色の帯に白のストライプを入れたオリジナルのもので、JR東海に引き継がれた後、湘南色帯になったため、僅かな期間しか見る事が出来ませんでした。
平成11年になると運転最高速度120km/h対応工事が実施され、ヨーダンパの設置などの改造が施されています。313系の増備が続き、同社では唯一の国鉄時代に生まれた車輛(5000番代は移行後の登場)として最後の活躍を続けています。
※中京地区向けに登場した211系0番代の中京色。国鉄時代に見られた色です。
サロ211-1~(サロ211-6)
トイレ、洗面所を備える平屋のグリーン車です。床下には水タンクが搭載されて、外観の特徴ともなっています。この車輛も当初はサロ210-1~とペアを組んでいましたが、二階建てグリーン車の登場によりサロ212形式と組む相手を変えています。後年、耐寒・耐雪構造の改造を受け1000番代に改番され、消滅しています。
サロ213-1~(サロ213-6)
平成元年にサロ212形式0番代と共に登場した二階建てグリーン車です。トイレ、洗面所の設備があるグリーン車で、主にサロ210形式と組んで活躍しました。寒冷地仕様に改造され、1000番代となった車輛もあります。
211系1000番代、3000番代
高崎線及び東北本線(宇都宮線の区間)で活躍する115系及び165系の置換え用として昭和61年に登場したグループです。0番代及び2000番代の寒冷地仕様車で、1000番代はセミクロスシート仕様、3000番代はロングシート仕様となっており、1000番代は0番代と同じく、混雑時間帯に難があるため国鉄時代のみの製造に留まり、3000番代はJR東日本へ移行後も製作されました。
基本的な構造や機器構成は0番代、2000番代と同じですが、編成では2M3Tの基本編成は変わりませんが、上野方からクハ+サハ+サハ+モハ+クモハと勾配線区にも対応した構成に変更されています。寒冷地対策として、スノープラウの装備、耐雪ブレーキの装備、半自動機能の追加、レールヒーター(乗降扉)の装備などがあります。
平成26年まで高崎線及び東北本線で活躍。その後は房総地区でも活躍し、現在は高崎地区のローカル輸送及び長野地区を中心にローカル輸送に活躍しています。
211系5000番代・6000番代
昭和63年に登場したグループです。2000番代を基本にJR東海のアレンジを加えたもので、合わせて国鉄から継承した老朽車輛の置換えを目的に登場しました。
2000番代との主な違いは・・・
〇名古屋地区や静岡地区といった都市圏で使用される事から、座席はロングシートのみでトイレも当初は省略されていました。
〇室内からの展望を良くするため、前面貫通扉及び助手側窓を下方に拡大。
〇化粧板、腰掛けモケットの色調の変更。座席の改良を行い、乗心地の向上。
〇補助電源装置を電動発電機(MG)から、DC-DCコンバーター(SCV)に変更。冷房装置もインバーター制御による集約分散式のC-AU711D-G1形2基搭載に変更しています。
〇車外スピーカーの設置
〇台車構造の変更(牽引装置を積層ゴム式からZリンク式に変更)、C-DT56形式、C-TR241形式に変更。
平成2年まで製造され、長期にわたっているため1次車~4次車までのグループがあります。
1次車
2次車
3次車
クモハ211-5601~5617(クモハ211-5601)
クモハ211-5001~をベースに中央本線中津川駅以北、身延線に存在する狭小トンネルに対応するためにパンタグラフ部分の屋根を僅かに低くし、狭小トンネルに対応したC-PS24A形パンタグラフを装備したグループです。3次車のこの他の改良点は帯幅であった行先表示器を他の211系と同じ大きさに変更した事、運転最高速度120km/hに対応するための準備工事が行われています。
4次車
213系0番代
本州と四国を結ぶ瀬戸大橋を通る本四備讃線(瀬戸大橋)の開業に向けて昭和62年に登場した系列で、国鉄最後の新しい系列となります。本四備讃線開業前に宇野線で使用されました。
投入される線区では長大な基本編成ではなく、3両編成を基本編成としました。また、全体的になだらかな線形であり、軽量ステンレス車体を採用する事で編成重量を軽く出来る事から、ユニット方式ではなく、1M方式が選ばれる事になりました。また、コストダウンを図るために211系の機器と共通なものとしており、併結運転も可能となっています。
車体は軽量ステンレス車体の片側2扉構造で、車内は全て転換式クロスシートとなっています。機器類では211系の界磁添加励磁制御方式を1M方式に変更したものとし、回生ブレーキも使用出来ます。大きな違いとしては211系と同じ軽量ボルスタレス台車を履いていますが、構造を簡素化しつつ、保守面などの向上を図ったDT50B形、TR235B形台車を履いています。また、補助電源装置は国鉄では最初で最後となる静止型インバーター(SIV)を採用しています。
クロ212-1~5(クロ212-3)
昭和63年に開業した本四備讃線(瀬戸大橋線)に合わせて登場したグリーン車です。瀬戸大橋を走行する際に客室からの眺望を考えた設計で、前面の流線形部の大窓、側面も屋根肩部にかかる大型固定窓と展望車に近い設計となっています。構造上、車体は鋼製であるため台車は強化されています。車内は床面全体をハイデッキ構造、回転式リクライニングシートが配され、座席を外側にも内側にも固定する事が出来ました。冷房装置は床置き形となっています。白色をベースに5両それぞれ異なる帯色となっていました。平成15年まで活躍しました。
213系5000番代
0番代をベースにJR東海仕様としたものが本番代で、平成元年に登場しました。このグループは関西本線で活躍をする165系の老朽化、陳腐化による置換えを目的としました。
基本的には0番代を基本としていますが、211系5000番代と同じコンセプトで設計されており、走行機器などに変更が行われています。なお、基本編成を2両編成としており、サハ213形式やクロ212形式は存在していません。
電動空気圧縮機や添加励磁装置など補助機器類の電源を直流600Vとしており、補助電源装置はC-SC27形DC-DCコンバーター(SCV)に変更しています。電動空気圧縮機は短編成のため、容量を変更しました。
車体はほぼ同じですが、JR東海管内の電化区間をどこでも走行できるよう、パンタグラフ部分を少し低くし、クモハ211-5601~で採用された狭小トンネルに対応したC-PS24A形を搭載しています。
車内は乗降扉間のみを転換式クロスシートとし、扉から車端部に向かってはロングシートのセミクロスシートになっています。この他、行先表示器は1次車では帯幅だったものが、2次車以降では天地寸法を拡大しています。
登場後、関西本線を中心に活躍しましたが、平成23年に引退。以降は飯田線の119系の後継車種として活躍をしています。
211系スーパーサルーンゆめじ
昭和62年にJR西日本に登場したジョイフルトレインです。団体旅行、イベント列車などに対応できるよう、オールハイデッカー構造のパノラマ車輛として製作されました。
車体構造の関係で鋼製としたため、重量が増加し213系の性能では運転面で問題がある事から、211系と同じユニット方式が採用されています。機器類は213系に準じたものが搭載されています。走行できる範囲をJR西日本の直流区間としているため、耐寒・耐雪構造とし、運転最高速度120km/hとしています。
多客期には快速「マリンライナー」号の増結用車輛としても活躍していましたが、平成22年に廃車となりました。
213系 La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)
平成28年にJR西日本岡山支社で催された「晴れの国おかやまデスティネーションキャンペーン」(岡山DC)、「瀬戸内国際芸術祭2016」などのイベントに合わせ、宇野、尾道、琴平など観光名所などのある地区へのアクセス車輛として、213系1編成2両を改造したジョイフルトレイン(観光列車)です。愛称の「La Malle de Bois:ラ・マル・ド・ボア」とはフランス語で旅行かばんを意味する言葉です。
種車になったのはクモハ213-4及びクハ212-4の2両で、外装は白色をベースに窓をかばんに見立てたイラスト、ロゴマーク、旅情を誘うイラストや言葉が配されています。
車内は床に木材を使用して落ち着いた雰囲気としています。座席は2人掛けリクライニングシート、窓側に向いたカウンター席で構成されています。また、サイクリングを楽しむ乗客に自転車(袋に収納が出来る自転車に限る)をそのまま持ち込めるサイクルスペース、地域の特産品などを販売する車内販売カウンター、アート作品の展示コーナーがあります。