諸元
全 長 20000mm
全 幅 2832mm
全 高 3935mm
主電動機 MT55形式(120kw)
制御方式 直並列抵抗制御方式、弱め界磁制御方式
制動方式 発電ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキ
動力台車 DT34形式 不随台車 TR204形式
車内設備など
座 席 ロングシート
乗降扉 片側4扉
トイレ なし
中央・総武緩行線と帝都高速度交通営団(現:東京地下鉄)東西線との相互乗り入れ用車輛として昭和41年に登場した系列です。国鉄で初めて設計、製造した地下鉄対応の通勤形電車であるとともに、初のアルミニウム合金を採用した車輛としても知られています。地下鉄線内を運転するにあたり、営団側の5000系との取扱いを共通とする必要などの理由により、新しく設計されました。
ベースは103系で、当時の国鉄通勤形電車の標準的なスタイルとしました。外板、骨組み、台枠など全てアルミ合金製となっており、103系と比べると5~6tの軽量化がなされています。当時、アルミ合金の技術は発展途上であり、加工は非常に難しいものでした。このため、客室窓はユニット窓としています。一方、車体側面には行先表示器は未設置で、後に設置をしたいものの、改造が困難である事から廃車まで設置は行われませんでした。なお、形式名になる301系の「3」ですが、103系の次は105系となるべきはずでしたが、当時アルミ合金など特殊素材を使用した車輛は試作車的要素があり、この様な車輛には百の位を「3」としていました。(後に廃止されています。)
先頭車前面は白熱灯1灯の設置から、視認性向上などを図るため、初めてシールドビームが採用。運転台窓下に左右1灯ずつ設置されました。中央部にはA-A基準に基づき非常用貫通扉が設置され、上部に行先表示器、左右に列車番号表示器(後にLED化)、コーポレートマーク窓(国鉄時代はJNR、民営化後はJR)を設置しています。
車内は103系をほぼ踏襲したデザインですが、座席や暖房装置の改良が行われています。不燃化、難燃化対策もA-A基準沿って設計されています。屋根上のベンチレーターはグローブ型ではなく、吸排気両方の機能をもつ箱型のベンチレーターとなっています。
台車は通勤形電車では初めてのダイレクトマウント式空気ばね台車で、コイルばねを用いたDT33形式などと比べると乗心地は大幅に改善されました。編成は電動車の比率が高い(6M1T)ため、通常は発電ブレーキのみが作用し、不随車の空気ブレーキは停止直前まで作用しないなど、メンテナンスの軽減が図られています。
塗装は登場時は無塗装にも見えるアクリルクリアラッカー仕上げとしていましたが、アルミ合金は耐食性は強いものの、制輪子から舞い上がる鉄粉など異なる金属が引き起こす酸化現象(電食)に弱く、頻繁かつ徹底した洗浄が必要など手間がかかるため、灰色に塗りつぶされてしまいます。その後、ラインカラーである黄色5号の帯を巻き、緩行線に205系が投入されると、誤乗防止のため青22号(スカイブルー)の帯に変更しました。
登場当時は最先端の技術を用いた車輛でしたが、試作的要素も強く、製造工ストが非常に高い問題もあり、7両編成8本56両の製造で終わり、以降の増備は103系1200番代で行われました。平成15年まで活躍し、全車輛が廃車となり、廃系列となっています。