諸元
全 長  20000mm
全 幅  2800mm、2950mm(拡幅車体)
全 高  4086mm
主電動機 MT68形式又はMT73形式かご形三相誘導電動機(ともに95kw)
制御方式 GTOサイリスタVVVFインバーター制御方式
制動方式 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
動力台車 DT61系 不随台車TR246系

車内設備など
座 席 ロングシート(普通席)
乗降扉 片側4扉
トイレ あり(改造車)

 首都圏の通勤、通学輸送を担うJR東日本。首都圏には103系を中心とした通勤形電車など約8000両にもなる国鉄時代からの車輛が活躍していましたが、老朽化や陳腐化が目立ち始め、置換えの時期が迫っていました。これに対処するために、国鉄時代に設計された205系などを製造し、増備や置換えを進めていました。
 しかし、民営化直後という事もあり開発費や製造コスト削減が必要である事。また、時代の変化や今後を踏まえておく必要があるため、新しい設計思想に基づく次世代車輛の開発が行われる事となり、平成4年に試作車となる901系が誕生しました。この901系は10両編成3本が製作されました。この開発にあたっては「重量半分、価格半分、寿命半分」というコンセプトが掲げられました。
重量半分とは
編成単位の総重量を削減し、MT比を引き下げる事で、省エネ化やメンテナンス費用の削減を目指す。
価格半分とは
一部の範囲内に製造会社の自由度を認め、大量生産による資材関連調達費用の削減を目指す。
寿命半分とは
新製から20~30年経過すると、陳腐化や技術進歩に見合わなくなる事を避けるため、鉄道車輛の減価償却期間である13年間まで大規模な分解補修を行わず使用し、その段階で廃車にしても経営上、影響を受けないものとする。
このコンセプトをもとに、従来では見られなかった製造手法や工程など多岐にわたって導入されています。主なものでは、
〇製造、開発費用を節約するため、車輛部品に国外企業製品を使用。電動空気圧縮機や窓ガラスなど。
〇内装の一体成型(モジュール)化。
〇VVVFインバーター制御方式及び交流誘導電動機を採用し、メンテナンスフリー化。
 こうして、901系3編成に、VVVFインバーター装置をはじめとする内外装を編成ごとに異なるものを採用し、量産化へ向けて試験が行われ、その結果をまとめたものとして、209系が平成5年に量産車が登場しました。
 901系、209系ともに車体は軽量ステンレス製で、制御車の前頭部はFRP製となっています。この車体の製造費用を削減するために車輛製造会社ごとの工法の違いを認めている点が特徴にあります。かつては、複数の企業が共通の図面を用いて、仕様に違いが出ないようになっていましたが、この901系や209系を製作した東急車輛製造、川崎重工業の2つの会社では、前者の東急車輛製造では従来工法の改良による製造に対し、後者の川崎重工業では新しく開発した2シート工法というもので製造しています。妻面にビートが無いのが東急製、あるのが川崎製と見てわかる相違があります。車内も同様に東急製は化粧板仕上げ、川崎製はFRP製内装パネル仕上げなど違いが見られます。この他、川崎製の雨樋は角形、東急製など他社は丸形など色々あります。

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※妻面を見た時、写真左のようにビートがあるのは川崎製です。(写真はE231系近郊形。)写真右は雨樋の違い。左は川崎製、右は東急製です。

 走行機器(主電動機)も従来とは発想が全く異なるのも特徴。国鉄時代に生まれた207系900番代に採用されたGTOサイリスタ素子を用いたVVVFインバーター制御方式を採用しましたが、使われる主電動機は定格出力が95kwと小型のもの。(207系900番代では150kw)なぜ、小型の主電動機なのでしょう。
 電動機は動き出す時に最も大きな力を必要とし、速度が高まると必要な力は小さなもので済みます。このため、従来はこの動き出す時に合わせて出力が大きいものを使用していました。電動機は〇〇kwとありますが、実は万が一に備えて、ある一定の値まで力を加えても壊れないように設計されています。この定格出力よりも大きい力を過負荷と言いますが、この過負荷に目を付けたのです。起動時に一時的に過負荷を与えても、ある程度になれば小さな出力の主電動機でも問題はないのではないか。という事で、901系や209系でこの小型の主電動機が採用されました。
 もう一つだけ、この系列の特徴をお話ししましょう。国鉄時代より、電子機器(パソコン)を使用した技術開発が行われていました。初期の頃は車輛機器の監視をするモニタ装置(MON1形)が導入され、205系などでドアの開閉状態や故障を表示する簡易なモニタ装置などが生まれ、JR東日本に移行すると専用のディスプレイに様々な機器の状態を見ることが出来るMON3形モニタ装置が登場し、651系や251系などに搭載されました。ここまでは補助機器やドアなどの監視であり、車輛の力行、ブレーキといった制御指令は従来通り、電気指令によるものでした。この901系、209系では初めて、この力行やブレーキ制御指令を行えるようにしたMON8形が採用され、パソコンによる車輛の制御を行うようになりました。この装置により電装ケーブルの大幅な削減などが実現し、以降の車輛に革命的な変化をもたらす事になります。言うまでもなく、この制御伝送装置も進化をしています。
 209系は国鉄時代に培われた鉄道車輛の開発などの技術を一から見直し、製造、メンテナンスの方法を全面的に改めた新しい設計思想(難しい言葉で、バリューエンジニアリング(製品などの価値を最大にしようという体系的手法)という。)で登場したもので、設計段階より廃車後のリサイクル計画が策定されるなど、環境問題にも着目した設計は他の鉄道事業者に与えた影響は非常に大きいものと言えましょう。この209系以降に登場する車輛を新系列車輛として区分しています。

900番代
 平成4年に登場した901系のA編成を量産化改造した番代です。川崎重工業製で、車体は同社の独自開発の2シート工法で製作されています。制御装置はパワートランジスタ素子を用いたもので、素子の耐圧が低い事から各VVVF装置を直列に接続しているのが特徴です。制御が不安定という欠点があり、平成13年に量産車と同じ装置に換装しています。
 車内では、7人掛け座席の中央部の荷棚が無い(量産車化改造時に増設)といった特徴がありました。量産車に採用されたのはスクリュー式電動空気圧縮機です。運転台は操縦性に違和感が無いように2ハンドル式でした。これも量産車化改造時にワンハンドルに改造されています。
 平成19年に廃車されました。その際、中間不随車1両は脱線試験用として、クハ209-901は東京総合車両センターに保存されるため、抜き取られ8両は解体処分となっています。

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クハ208-901(クハ208-901)

901系A編成のクハ900-1を量産車化改造した車輛で、大船方の偶数向き制御車です。量産車と比較するとスカート形状が異なります。

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クハ209-901(クハ209-901)

901系A編成のクハ901-1を量産車化改造した車輛で、大宮方の奇数向き制御車です。主幹制御器を2ハンドル式からワンハンドル式に改造したほか、TE装置を増設しています。

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モハ208-901・902(モハ208-901)

901系A編成に連結されていたモハ900-1、2を量産車化改造した車輛です。VVVFインバーター制御装置、SIV装置を搭載しています。

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モハ209-901・902(モハ209-901)

901系A編成に連結されていたモハ901-1、2を量産車化改造した車輛です。VVVFインバーター制御装置、電動空気圧縮機を搭載しています。

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サハ209-901~904(サハ209-901)

901系A編成に連結されていたサハ901-1~4を量産車化改造した車輛です。床下にはブレーキユニット装置があるのみです。

910番代
 901系B編成を量産車化改造したグループです。東急車輛製で、車体は従来の工法に工夫を加え、軽量化したものとしています。主回路はGTO素子を用いた1M1C制御方式で、この制御方式は255系特急形直流電車で採用されました。電動空気圧縮機は既存車で一般的に見られるレシプロ式です。
 客室窓は2分割のもの。車内はつり革を無くし、握り棒のみとした大胆なものとし、照明も枕木方向に配置する他に例のないものとなっていました。
 本番代では電気式戸閉装置の試用が行われました。従来は空気式で開閉の度に圧縮空気が使用され、一定値まで減ると電動空気圧縮機が動作し、必要な量を供給します。都市部では開閉回数が多いため、電動空気圧縮機の動作回数も増え、メンテナンスもかかります。これを改善するために電気の力を使用する方法が考えられたのです。電気式では同時に自動開閉機能が試用されています。閉扉時に何かが挟まった際に生じる電圧を検知し、それにより自動で再度開扉し、少し経って閉扉する仕組みです。量産車が登場した後も、試験、開発が行われました。この電気式戸閉装置は0番代の3次車より正式に採用され、以降登場する車輛で一般的なものとなっていきました。

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クハ208-911(クハ208-911)

901系B編成のクハ900-2を量産車化改造した車輛です。側面の行先表示器が設置されていないのが特徴の一つとなっています。

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クハ209-911(クハ209-911)

901系B編成のクハ901-2を量産車化改造した車輛です。量産車化改造を受けましたが、客室窓は2分割のまま残されています。前面のFRP部分の厚さが他車よりも薄く、縦の黒い飾り帯の終端が丸い形で終わっているのが特徴でした。

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モハ208-911・912(モハ208-911)

901系B編成のモハ900-3、4を量産車化改造した車輛です。B編成は行先表示器を偶数号車のみに設置している特徴があり、奇数号車となる車輛には行先表示器が設置されていません。

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モハ209-911・912(モハ209-911)

901系B編成のモハ901-3、4を量産車化改造した車輛です。VVVFインバーター制御装置、電動空気圧縮機を搭載しています。912番は側面行先表示器がありません。

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サハ209-911~914(サハ209-911)

901系B編成に連結されているサハ900-5~8を量産車化改造した中間不随車です。

920番代
 901系のC編成及びC’編成を量産車化改造時したグループです。C編成8両を川崎重工業、中間車2両のC’編成を自社の大船工場で製作しました。車体は川崎重工業は2シート工法、大船工場製は従来工法を改良したものとなっています。制御装置は量産車に採用されたGTO素子を用いた3レベル制御の1C4M方式です。
 ドアエンジンは空気式、運転台も2ハンドル式と従来車に見られるものですが、1両だけ吊り広告を廃し、液晶式情報モニタ装置を設置しました。現在で言うデジタルサイネージのようなもので、ビデオテープに録画された動画広告を配信するというものがありました。
 平成19年に廃車となっています。

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クハ208-921(クハ208-921)

901系C編成のクハ900-3を量産車化改造した車輛です。クハ208形式では車椅子スペースがありますが、この車輛のみ設けられておらず、特徴の一つとなっていました。

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クハ209-921(クハ209-921)

901系C編成のクハ901-3を量産車化改造した車輛です。スカートの形状が独特なものとなっています。量産車化改造時につり革の増設などが実施されています。

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モハ208-921・922(モハ208-921)

901系C編成のモハ900-5、6を量産車化改造した車輛です。VVVFインバーター制御装置、SIV装置、電動空気圧縮機を搭載しており、他の試作編成とは異なっています。

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モハ209-921・922(モハ209-921)

901系C編成のモハ901-5、6を量産車化改造した車輛です。この車輛も他の試作編成と異なり、VVVFインバーター制御装置のみを搭載しています。

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サハ209-921・922(サハ209-921)

901系C編成に組み込まれていたC’編成のサハ900-9及び10番を量産車化改造したものです。大船工場製で、妻面にリブがなく、客室窓が910番代と同じく2分割の窓割となっていました。

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サハ209-923・924(サハ209-923)

901系C編成の中間不随車であるサハ900-11、12を量産車化改造した車輛です。

0番代
 901系の試用結果に基づいて製作された量産車のグループで、平成5年に登場しました。制御方式はVVVFインバーター制御方式で、C編成で試用されたGTO素子を用いた3レベル制御1C4M方式を採用。電動空気圧縮機はA編成で試用されたスクリュー式で、ドイツ製のものを採用しました。
 車体は踏切事故対策として骨組みが追加され、強度を向上させたほか、運転台の空間拡大し、運転席背面に救出口が設置されました。運転士の操作するマスコンハンドルは賛否両論がありつつも、B編成で試用された左手で操作するワンハンドル式(B編成のものは量産車化改造時に改良をしている。)を採用しました。この他、205系500番代で採用された14インチモニタを使用した運転支援システムを継承し、液晶パネルが設置されています。
 接客設備関係では、初期の車輛では乗降扉が空気式でしたが、3次車(第16編成以降)より戸挟み安全装置の付いた電気式に変更されています。この乗降扉の上部には3色LEDディスプレイを使用した旅客案内表示器が設置され、次の停車駅などの案内が表示されます。
 京浜東北線、南武線に投入されましたが、平成28年に両線区での営業運転を終了。一部の車輛は2000番代、2200番代などに改造されました。

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クハ208-1~(クハ208-64)

大船・立川方の偶数向き制御車です。車端部には通勤形電車では初めてとなる車椅子スペースが設置されています。写真の車輛は列車番号表示器がマグネットタイプからLED式に、前面下部にはホーム検知装置(車掌がホームの無い側の扉を開扉しようとすると警報を発する装置。)がつけられています。

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クハ209-1~(クハ209-78)

大宮・川崎方の奇数向き制御車です。1~16番(13番は除く。)は空気式ドアのため、電動空気圧縮機を搭載しています。

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モハ208-1~(モハ208-86)

VVVFインバーター制御装置、SIV装置、スクリュー式の電動空気圧縮機を搭載している中間電動車です。客室窓は大窓部は当初は固定窓で、車端部にある小窓が下降式窓(先頭車は2箇所、中間車は4箇所)で、非常時にはこの窓と妻面部にある非常用換気口で対応していました。しかし、十分な換気が行えない事から、大窓部を分割式に変更し、開閉可能としています。

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モハ209-1~(モハ209-70)

小型軽量のPS28形式パンタグラフ、VVVFインバーター制御装置を搭載する中間電動車です。製造年によって、避雷器のカバーが無いなどの細かな違いがあります。

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サハ209-1~(サハ209-126)

10両編成では4両連結される中間不随車で、本系列では最も多く製作されました。屋根の端部にあるのはAM・FMラジオ車内輻射装置(VVVFインバーターから発せられるノイズを消し、ラジオの聞き具合を良くするもの。)です。

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サハ208-1~(サハ208-3)

京浜東北線の混雑緩和を目的に平成7年に登場した形式。205系のサハ204形式をベースに設計されており、片側6扉構造。台車はTR246F形式を履いています。

500番代
 0番代のシステムを進化させた次世代車輛を開発するために平成10年に950番代(後のE231系900番代)が登場し、量産化に向けて試験が始まりました。その同じ年、中央・総武緩行線で活躍する103系に大きな輸送障害を伴う車輛故障が相次いで発生し、保有するJR東日本でも問題となりました。
 103系を取り急ぎ置き換えるため、950番代の量産車が登場するまでのつなぎ役として登場したのがこのグループです。制御装置など機器類は0番代、車体は950番代で採用された拡幅車体(2950mm)を組み合わせたもので、過度的なスタイルが特徴にあります。つなぎ役であって10両編成17本が製作されたのみとなっています。
 この番代での変更は客室座席のクッション材をポリエステル樹脂成型品に変更。汚損時などにおいての交換を容易にしたほか、廃棄時のリサイクル性を高めています。また、側面の大窓部は開閉可能な構造に変更し、妻面部にある非常用換気口を廃止しています。
 中央・総武緩行線に投入され、その後京浜東北線で活躍。現在は武蔵野線(8両編成)を中心に活躍し、京葉線でも活躍しています。また、一部編成は4両編成になり、八高・川越線向けの3500番代に改造されています。

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クハ208-501~(クハ208-515)

三鷹・大船方の偶数向き制御車です。950番代の拡幅車体を採用し、外観のイメージが変わりました。車内には車椅子スペースの設備があります。

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クハ209-501~(クハ209-501)

千葉・大宮方の奇数向き制御車です。クハ208-501~と同一設計となっています。

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モハ208-501~(モハ208-503)

0番代の機器類と950番代の拡幅車体を組み合わせたスタイルが特徴の500番の中間電動車です。

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モハ209-501~518(モハ209-503)

VVVFインバーター制御装置などを搭載する中間電動車です。パンタグラフは電磁鉤外し機能が追加されたPS28B形式を搭載しています。

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モハ209-519~532(モハ209-525)

本番代の後期型グループ。外観ではパンタグラフがシングルアーム式のPS33A形に変更。主電動機もMT68A形からE231系と同じMT73形に変更されています。

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サハ209-501~(サハ209-563)

中間不随車で、10両編成では4両組み込まれています。

1000番代
 常磐緩行線と営団地下鉄(現:東京地下鉄)千代田線の列車増発に伴い、平成11年に登場したグループです。当時、950番代や500番代に拡幅車体を採用していましたが、地下鉄線を走行する関係から裾絞りのない2800mm幅となっている他、先頭車の長さを中間車と同じとしています。
 他の209系とは異なり、先頭車前面にはオフセット配置の非常用貫通扉が設けられています。また、地下鉄線内での性能条件を満たすため、初めて電動車の比率を高くした6M4T編成となっています。
 基本的な機器構成は同時期に登場していた500番代に似たものとなっており、主電動機はE231系と同じMT73形式に変更されています。
 平成30年まで活躍し、常磐緩行線から引退しました。一方、中央快速線ではE233系にグリーン車を組み込み、12連化の工事が実施される事になり、不足する車輛を補うため本番代に白羽の矢が立ちました。軽微な改造工事を行い、帯色もエメラルドグリーンからオレンジバーミリオンに変更され活躍をしています。

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中央快速線に転属し、のびのびと軽快に走る209系1000番代。パンタグラフがシングルアーム式に変更されるなどの変化が見られます。

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クハ208-1001・1002(クハ208-1001)

代々木上原・高尾方の偶数向き制御車です。行先表示器はLED化されており、行先と路線名が交互に表示されます。

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クハ209-1001・1002(クハ209-1001)

取手・東京方の奇数向き制御車です。クハ208-1001~とほぼ同じ構造となっています。写真の排障器は旧式で、現在は尖ったタイプになっています。

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モハ208-1001~(モハ208-1003)

SIV装置、電動空気圧縮機を搭載する中間電動車です。ただし、編成の5号車に位置する車輛(1002と1005番)は準備工事となっており、不随車のような外観となっています。

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モハ209-1001~(モハ209-1003)

VVVFインバーター制御装置を搭載する中間電動車です。パンタグラフは剛体架線に対応したPS21形式を装備しています。現在はシングルアーム式に変更されています。

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サハ209-1001~(サハ209-1002)

4号車及び7号車に連結されている中間不随車です。このうち、7号車に位置する車輛は誘導無線のアンテナや受信機を装備しています。

2000番代・2100番代
 千葉支社管内で活躍する113系及び211系の置換え用として平成21年に登場したグループです。京浜東北線で活躍していた0番代を改造したもので、10両編成であったものを4両編成又は6両編成に変更したもので、帯色を211系で採用された黄色と青色の房総色にしました。
 種車の0番代は、ドアエンジン方式が空気式と電気式の2種類があり、前者の方式となっている車輛を2000番代、後者の方式となっている車輛を2100番代としています。6両編成は10両編成から中間不随車4両を抜き取った形となっていますが、4両編成は複数の編成から再組成した編成もあり、空気式と電気式が混在しています。なお、転用にあたって、川崎重工業製の中間車(妻面にリブがある車輛)は構造の都合により、対象とされず廃車となっています。
 転用にあたっては、主要機器の更新工事が実施されており、VVVFインバーター制御装置や補助電源装置は素子がGTOサイリスタからIGBT素子に更新。制御伝送装置も新しいものとなっています。行先表示器のLED化、セミクロスシートやトイレの設置、車内非常通報装置(SOSボタン)は警報式から通話式になりました。先頭車ではスカートを強化型に変更、増解結が多い事から、電気連結器及び自動解結装置の装備が行われています。

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クハ208形式2000番代(クハ208-2003)

クハ208形式0番代の1次車及び2次車を改造したグループです。空気式ドアエンジンを表すため、原番号に2000番を加えています。蓄電池、整流装置は廃車となったモハ208形式0番代より転用しています。車内はセミクロスシート仕様に改造されています。

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クハ208形式2100番代(クハ208-2122)

クハ208形式0番代の3次車以降の車輛を改造したグループです。電気式ドアエンジンを表すため、原番号に2100番を加えています。車内はセミクロスシート仕様です。座席の窓側には缶ジュース2本が置ける程度のミニテーブルが設置されています。

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クハ209形式2000番代(クハ209-2008)

クハ209形式0番代の1次車及び2次車を改造したグループです。空気式ドアエンジンを表すため、原番号に2000番を加えています。電動空気圧縮機はそのまま使用されています。

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クハ209形式2100番代(クハ209-2125)

クハ209形式0番代の3次車以降の車輛を改造したグループです。電気式ドアエンジンを表すため、原番号に2100番を加えています。

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モハ208形式2100番代(モハ208-2143)

モハ208形式0番代を改造したグループです。空気式ドアエンジンの車輛はないため、全て2100番代となります。機器更新などが主な改造で、車内はロングシートのままとなっています。

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モハ208形式2100番代(モハ208-2183)

6両編成の1両は車いす対応のトイレが追加設置されました。(写真右手の窓がふさがれた所がトイレ。)改造前は重量が29.9tでしたが、トイレや汚物処理装置が搭載されたため、31.5tに増加しています。

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モハ209形式2100番代(モハ209-2144)

モハ209形式0番代を改造したグループです。モハ208形式2100番代と同じく、種車は全て電気式ドアエンジンの車輛のみとなります。機器更新が主な改造であり、車輛内外とも大きな変化はありません。

2200番代
 南武線で活躍する209系は登場時に投入した空気式ドアエンジンを持つ1次車と電気式ドアエンジンの8次車の編成が1本ずつありました。異なる編成が存在するため、メンテナンスの統一を図る事になり、空気式ドアエンジンを持つ編成を廃車とし、電気式ドアエンジンを持つ編成を充当する事になりました。
 平成21年に0番代を種車に登場したのがこの2200番代になります。その後、205系編成の転出や増発用で追加改造が行われ、最終的には6両編成3本が登場しました。改造内容は2000番代、2100番代とほぼ同じ、機器更新を中心にしたものとなっています。
 平成29年まで活躍。2編成は廃車となり、1編成は「BOSO BICYCLE BASE」に転用され活躍しています。

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クハ208-2201~(クハ208-2203)

クハ208形式0番代を改造したグループです。改造内容は行先表示器のLED化など更新工事に近いものとなっています。スカートは種車時代のままで、強化型には変更されていません。

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クハ209-2201~(クハ209-2203)

クハ209形式0番代を改造したグループです。クハ208-2201~と同様の改造を行っています。

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モハ208-2201~(モハ208-2204)

モハ208形式0番代を改造したグループです。2000番代、2100番代と同じ機器更新を行っています。

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モハ209-2201~(モハ209-2206)

モハ209形式0番代を改造したグループです。モハ208-2201~と同じく機器更新が行われました。後にパンタグラフをシングルアーム式のPS33F形式に変更しています。

3000番代
 平成8年に八高線八王子~高麗川駅間電化開業時に登場したグループです。209系の6次車に当たり、仕様が0番代とは異なるため番代区分されました。
 基本的には0番代と同一仕様ですが、停車時間が長い時も多いため、半自動機能が装備されているのが特徴です。ラインカラーは川越線の車輛と同じウグイス色と電化開業によって結ばれる中央線や青梅線の車輛と同じオレンジ色を組み合わせたものとなっています。
 平成30年に209系3500番代、E231系3000番代への置換えにより、4本のうち1編成のユニットは訓練車に改造。先頭車は廃車。残る3本も疎開し、留置されており、運用は行われていません。

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クハ208-3001~(クハ208-3004)

八王子・高麗川方の1号車に位置する制御車です。0番代とほぼ同じですが、半自動機能の装備や鹿山峠などの勾配区間で停止した際に、空転による起動不能を避けるため勾配起動スイッチ(ブレーキを扱いながら、起動出来る機能。)を装備しています。

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クハ209-3001~(クハ209-3003)

高麗川・川越方の4号車に位置する制御車です。3000番代では前面FRPとステンレス車体の境界にある黒色の縦帯が無い点も特徴の一つです。また、快速列車などの設定もない事から、列車種別表示器もありません。

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モハ208-3001~(モハ208-3002)

2号車に位置する中間電動車です。SIV装置、電動空気圧縮機を搭載しています。

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モハ209-3001~(モハ209-3001)

3号車に位置するパンタグラフ付き中間電動車です。写真の3001番のみ川崎重工業製で、半自動ボタンが一部横型になっています。

3100番代
 平成17年に八高線、川越線向けに登場したグループです。同線で活躍する103系3000番代、同3500番代の置換えるにあたり、当初は全編成(4両編成7本)を205系3000番代で賄う予定でしたが、埼京線と東京臨海高速鉄道りんかい線の相互乗入れが拡大される事となり、205系が必要となった事から、3000番代は5本になってしまいました。
 この相互乗入れでは、東京臨海高速鉄道の所有する70-000形が全編成で10両編成化する事になり、組み換えで先頭車4両、中間車2両が余剰になってしまいました。この余剰車をJR東日本が購入し、改造したものがこの3100番代になります。この6両は、民鉄や第三セクター鉄道に在籍する車輛をJR車籍に編入する最初の事例となりました。また、不足する中間車2両は新製されています。この新製車輛は209系では最後の新製車であり、当時最新鋭のE231系が増備する中、GTO素子を用いたインバーター制御装置を製作した珍しい事例とも言えます。
 70-000形はもともと209系をベースに設計された車輛であり、改造にあたっては機器更新や保安装置の変更が主なものとなっています。209系3000番代と同一仕様とするために、半自動機能の追加、ラインカラーの変更などが加えられています。

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クハ208-3101・3102(クハ208-3102)

東京臨海高速鉄道70-000形の70-029、70-039を編入し、改造した制御車です。3000番代とは異なる前面が特徴です。

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クハ209-3101・3102(クハ209-3101)

東京臨海高速鉄道70-000形の70-020、70-030を編入し、改造した制御車です。保安装置の変更の他、牽引車と連結できるようにジャンパ栓の増設が行われています。

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モハ208-3101(モハ208-3101)

209系では最後の新製車輛の1両。ドア開閉装置が空気式である事から、0番代の初期車と同じく、SIV装置のほか電動空気圧縮機、蓄電池を搭載しています。車内は在来車に見られる白色のプラスチック成型の座席です。

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モハ208-3102(モハ208-3102)

70-000形の70-028を改造、編入した車輛です。車内はりんかい線時代のままで、木目調の化粧品です。旅客案内表示器が千鳥配置でしたが、増設しています。

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モハ209-3101(モハ209-3101)

209系では最後の新製車輛の1両です。VVVFインバーター制御装置を搭載しています。川崎重工業製ですが、3000番代のように半自動ボタンが1か所だけ横型にはなっておらず、全て縦型となっています。

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モハ209-3102(モハ209-3102)

70-000形の70-027を改造、編入した車輛です。モハ208-3102と同じ改造内容となっています。

3500番代
 八高線、川越線で活躍する205系3000番代、209系3000番代を置き換えるために平成30年に登場したグループです。209系500番代を改造したもので、帯色の変更、半自動機能の追加などが行われています。4両編成5本が投入されています。

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クハ208-3501~(クハ208-3502)

クハ208-501~を改造した制御車です。半自動機能の追加などの改造が行われています。写真の3502番は線路設備モニタリング装置を搭載しています。この装置は保守メンテナンスの軽減を図るもので、線路状態を簡易的に検査するもので、従来は徒歩巡回で行っていたものを鉄道車輛で行うというものです。

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クハ209-3501~(クハ209-3505)

クハ209-501~を改造した制御車です。クハ208-3501~と同じ改造内容となっています。前部標識灯がシールドビームからLED灯に交換が行われています。

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モハ208-3501~(モハ208-3501)

モハ208-501~を改造した中間電動車です。半自動機能の追加のほか、機器更新が行われています。

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モハ209-3501~(モハ209-3501)

モハ209-501~を改造した中間電動車です。半自動機能が追加され、押しボタンが外観の特徴になっています。