諸元
全 長 20000mm(Mc、M’、T車) 20500mm(Ts車)
全 幅 2900mm
全 高 4070mm
主電動機 MT61形式(120kw)
制御方式 直並列抵抗制御方式、弱め界磁制御方式、界磁添加励磁制御方式
制動方式 電気指令式空気ブレーキ方式(回生ブレーキ、抑速ブレーキ付き)
動力台車 DT56C形式 不随台車 TR241A形式
車内設備など
座 席 クロスシート
乗降扉 片側2扉
トイレ あり
東海道本線東京口の混雑緩和に対処するため、ロングシート車の投入やATS-P型保安装置導入による列車増発などを行ってきましたが、東京駅から50~80km圏の遠距離利用者の着席サービス、速達化図るサービスを実施する事となり、平成4年に215系が登場しました。
着席数を増やすため先頭車を除き、全車2階建て構造としているのが最大の特徴です。(定員に立席は設定されていません。)運転最高速度を120km/hとし、ダイヤに余裕のある東海道貨物線を利用して目的を達成させるものとしました。
車体は軽量ステンレス車体、先頭部は普通鋼製で、211系で製作された2階建てグリーン車の構造を基本とし、415系で試作したクハ415-1901の使用実績をもとに設計されています。編成内容は4M6Tですが、両端に1ユニット(2M)を配し、中間を全て2階建ての不随車としたプッシュ・プル方式(動力集中方式)で、電車では珍しい採用例となっています。実現はしませんでしたが、付属編成5両編成も考えられており、15両編成での運転も計画されていました。
断面形状は限界一杯までの設計となっていますが、パンタグラフの折り畳み高さは低く抑えられており、中央本線の狭小トンネルでも走行が可能となっています。外観は幕板部をベージュ、2階窓廻りをダークグレー、乗降扉をあずき色としています。先頭部は白色で、非常用の観音開きの貫通扉はあずき色に塗装しています。
10両編成4本が製作されました。早朝、深夜は「湘南ライナー」、日中帯は快速「アクティー」に活躍、多くの利用者に人気を博しましたが、片側2扉構造など車体構造の問題、10両編成と東海道本線では短い編成である事などの理由で、乗降時間がかかり遅延が目立つようになってきました。平成13年に快速「アクティー」から引退し、湘南新宿ラインに活躍の場を移すも、車種統一で平成16年に運用が消滅。現在は平日は「湘南ライナー」などホームライナー系の運用のみ。休日は中央本線の「ホリデー快速ビューやまなし」などの臨時列車に活躍しています。なお、本系列は耐寒・耐雪構造が施されていないため、冬季期間中は「ホリデー快速ビューやまなし」は運休となっています。