通勤形
車内配置はロングシート、車椅子スペースは設置されていますが、トイレの設備やグリーン車の設定はありません。209系をモデルにしたデザインで、正面強化構造や前部標識灯にシールドビームを採用するなど共通した点がいくつかあります。運転台も209系で採用されたユニット構造としており、ワンハンドル方式のマスコン、速度計などアナログ計器が並んでいます。
900番代
JR東日本の新系列車輛第1号として、平成4年に901系が登場。量産車の209系、近郊形E217系、交直流電車としてE501系が登場し、基礎が出来上がりました。その間に同社では新しい技術開発を行い、この成果を第2世代の車輌に採用し、平成10年に209系950番代として登場しました。
本番代のインバータ装置は通勤形で採用されたものと近郊形で採用されたものの2種類が使用されています。この他、戸閉装置の試用などが行われています。
性能試験を経て、営業運転に入り、平成12年に量産車である0番代が登場。その際にE231系に編入され、E231系900番代に改番しました。ほぼ同じ仕様で量産車が登場するという、技術的な先進性は高い評価を得ています。
0番代
900番代の試用結果を受けて、平成12年に登場したグループです。車内は荷棚やつり革を使いやすくするため、低くなっているなど僅かな違いが見られますが、209系とほぼ同じです。
編成内容は900番代も同じですが、209系と同じ4M6Tですが、総武・中央緩行線では500番代投入により6M4T化が行われて、6扉車がなくなるなど編成内容が変化しています。
500番代
山手線時代で使用されている保安装置の老朽化に伴い、平成17年より新しい保安装置(デジタルATC(D-ATC))の導入が決まり、これに伴い車輛側も対応した車輛が必要となった事から平成14年に本番代が登場しました。同時期には常磐快速線、成田線向けの0番代が投入されていましたが、変更点が多い事から番代区分されました。
車体前面のデザインは猫目(キャッツアイ)に変更され、印象が変わりました。また、行先表示は205系では「山手線」と表示されていたものを、区間ごとに主要駅方面表示に変更(上野・東京方面といった具合)し、サービス向上を図っています。
車内でもサービス向上が図られており、常磐快速線向けでも採用された情報提供装置(VIS)を搭載しました。これは、乗降扉上部にLED表示器に代わり、液晶ディスプレイを2基設置し、行先案内、次駅案内など運行に係わる案内のほか、コマーシャルやニュースや天気といった各種情報を表示するものです。
制御装置の変更では、電気ブレーキが0km/hまで動作する純電気ブレーキに採用されたほか、運転性能向上を図るため、MT比を6M4Tと変更しました。
平成26年より後継車種となるE235系への置換えが決定し、令和2年に山手線より引退し、現在は総武・中央緩行線で活躍しています。
総武・中央緩行線に転属し、活躍する500番代.
サハE231-501~(サハE231-549)
山手線時代は5号車に位置していた中間不随車です。TIMS機器箱だけでしたが、ホームドア設置に伴って定位置停止装置(TASC(タスク))が導入されました。この装置導入により、編成の圧縮空気使用量が増える事から電動空気圧縮機を搭載しています。
サハE231-601~(サハE231-602)
山手線各駅のホームドア化に伴い、廃車となるサハE230-501~の代替えとして平成22年に登場したグループです。7号車に位置する車輛となります。系列はE231系ですが、車体構造は当時増備が行われていたE233系がベースとなっており、寸法をE231系に合わせています。サハE230-501~から発生した台車、ブレーキ制御装置、空調装置などを再利用しています。
サハE231-4601~(サハE231-4638)
サハE231-601~と同じく、ホームドア化による6扉車廃止により登場した番代で、10号車に位置する車輛になります。外観を見ての通り、奇妙な窓配置が特徴にあります。これは、ホームドアを設置した際、並行する京浜東北線(品川~田端駅間)と共用する際にドア位置がずれないようにしたためで、E233系1000番代と同じドア配置となっています。このドア位置の変更により、座席配置が変則的なものとなっています。本番代もE233系をベースに設計されています。E231系が引退する事が決定し、本番代は後継車種のE235系の中間不随車(サハE235形式4600番代)へと形式変更が行われ、廃番代となっています。
800番代
総武・中央緩行線と営団地下鉄(現:東京メトロ)東西線の相互乗入れ用で活躍する103系1000番代、1200番代、301系を置き換えるために平成15年に登場したグループです。E231系の地下鉄仕様車です。
車体は千代田線乗入れ用で活躍する209系1000番代をベースに同様の地下鉄仕様車としています。先頭車前面には非常時用貫通扉が設置されているほか、乗務員室内にある補助いすは梯子になる構造とし、車外への脱出を迅速に行えるようになっています。運転台レイアウトは従来の通勤形電車を基本としています。
3000番代
205系3000番代、209系3000番代を置き換えるために平成30年に登場したグループです。種車は中央・総武緩行線で活躍していた0番代で、500番代投入に伴う余剰車の転用になります。
改造内容は半自動機能の追加及び機器更新が主なもので、ラインカラーはオレンジバーミリオンとウグイス色の組み合わせになります。4両編成6本が投入されました。
近郊形
東北本線(宇都宮線)、高崎線で活躍する115系を置き換えるために平成12年に登場したグループです。その後、東海道本線の113系置換えも目的となりました。
通勤形と比べ、車体は大きく変更されています。踏切事故対策としてE217系で採用された衝撃吸収構造を採り入れています。これは、先頭車の構造を乗務員、乗客を守る「サバイバルゾーン」と衝撃を吸収する「クラッシャブルゾーン」という2つの区域にわける構造としています。乗務員室はサバイバルゾーンとクラッシャブルゾーンで構成されるため奥行きが広くなり、通勤形よりも高運転台になりました。また、遠方からの視認性を高めるため、前部標識灯は屋根上に近い位置で左右に配し、シールドビームではなく、HID灯(high Intensity discharge lamp:高輝度放電灯)を採用しました。通勤形と同じ位置にあった部分には後部標識灯だけが残されています。この運転台部分が大きく変更されたことで、通勤形とは異なる印象を受けます。
運用範囲は北関東地域から湘南新宿ライン、東京上野ラインを経て南関東地域までと広範囲にわたるため、全車輛は寒冷地仕様となっており、半自動機能が標準装備となっています。座席はロングシートが基本ですが、セミクロスシートも用意されています。トイレは基本編成では2カ所(グリーン車は1か所)、付属編成は1か所設置されています。乗降扉は戸挟み安全装置の付いたリニア駆動式を採用しています。
性能面では機器の形式が異なるものの、概ね同じ。ブレーキ制御では勾配区間もある事から、抑速ブレーキが追加されています。
車体番号も特徴の一つで、各車輌の構造や設備の違いで加えられる番号が異なっており、その番号で仕様がわかるようになっています。
セミクロスシート・・・2000番を加える。トイレ、衝撃吸収構造のいずれか一方又は両方を有する・・・5000番を加える。耐寒・耐雪構造を有する・・・1000番を加える。座席仕様の異なるユニットの場合・・・500番を加える。となっています。