諸元
全 長 16500mm(1,7,8,14号車)、13400mm(その他の車輛)
全 幅 2989mm
全 高 3620mm
主電動機 MT77形式(160kw)
制御方式 IGBT素子インバーター制御方式
制動方式 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、直通予備ブレーキ
動力台車 DT73形式 不随台車TR257形式(連結部)、TR258形式(連接部)
車内設備など
座 席 ロングシート、クロスシート(転換時)
乗降扉 片側3扉
トイレ なし
E993系試作車の試験結果をもとに通勤、近郊形電車に求められる要素を盛り込んで製作された一般形電車です。京葉線で活躍していた201系を置き換える目的で、平成18年に量産先行車1編成が製造されました。国鉄~JRの所属車輛では初めて営業運転を行った連接車となります。
編成は14両固定編成ですが、7両編成の連接編成を背中合わせに2組つなげたものとなっています。1両は各車体の前位側に配置される台車の組み合わせとし、編成の最後部の車輛は後位側にある台車も含めて1両としています。
台車中心間隔で連接中間車は13400mm、片側がボギー台車となる車輛を16500mmとし、7両編成で100m、20m級車輛では5両分に相当します。車体が短いため、各車片側3扉構造としています。また、床面高さはホームとの段差を小さくするため1130mmとなっています。
車体は軽量ステンレス製で、車体高さは3620mm、パンタグラフ折り畳み高さは同社の直流電化区間ならどこでも走行が可能な3980mmとしています。車体が短いため、オーバーハングが無いので車体幅は従来車よりも更に広い2989mmとしています。連接車は各部の軽量化、荷重の均等化が必要であり、電動台車と不随台車を交互に配するとともに、主要機器を分散させて搭載し、均等化を図っています。
制御方式はIGBT素子を用いた2レベルPWMインバーター制御方式で、1C1M方式としています。主電動機はMT77形式永久磁石式同期電動機を使用。惰行中は発電機として作用するため、故障が発生した時に主電動機をVVVFインバーター制御装置から切り離すための機能があります。
また制御装置は、E993系で開発された「AIMS:Advanced train Information Management System」が採用されています。このAIMSはE231系で開発されたTIMSの発展した車輛制御装置です。
車内はロングシートが基本で、先頭車のみクロスシートにも変えられる可変座席となっています。サービス機器としてE231系500番代で採用されたVIS装置の機能向上を図った情報サービス提供装置「ATISS:Advanced Train Infomation Service」が搭載されており、乗降扉上部にある15インチ液晶ディスプレイ2台に表示されます。
平成19年より試験を兼ねて営業運転が始まりましたが、営業運転日数は少なく、故障なのか改良なのか製造メーカーに送られる事もあり、いつも車庫で休んでいる姿が見られました。増備される事もなく、本系列が目的としていた201系や205系の置換えに、E233系が平成22年に投入されてしまいます。本系列は置換えの対象とはなっていませんでしたが、翌平成23年以降は営業運転には使われなくなりました。平成26年に全車輛が廃車。系列消滅しました。JRになって登場した車輛(試作車や試験車を除く。)では異例ともいえる、登場から8年、実運用は約4年ほどの短命に終わりました。