諸元
全 長  20420mm(制御車) 20000mm(中間車)
全 幅  2800mm
全 高  3690mm
主電動機 MT70形式(120kw)
制御方式 GTOサイリスタ素子インバーター制御方式(現在はIGBT素子VVVFインバーター制御方式)
制動方式 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
動力台車 DT61C形式 不随台車 TR246D形式

車内設備など
座 席 ロングシート
乗降扉 片側4扉
トイレ あり(改造後)

 常磐線では、東京への通勤圏が取手駅以北に伸び、利用者も増え続けてきました。取手以北は石岡市にある気象庁地磁気観測所への影響を避けるため交流電化となっていました。このため、混雑時に収容力のある4扉ロングシート車である103系は直流電車であり使用できませんでした。混雑緩和のため、15両編成化やロングシート車の導入を進めましたが、3扉車では混雑の対応に限界がありました。
 地元自治体でも通勤形交直両用電車の投入を要望する声が多く、JR東日本では投入にあたっては京浜東北線などで活躍する209系をベースに交直両用電車としたE501系を平成7年に登場させました。
 車体は台枠の一部、先頭部を除いてステンレス構造となっています。交直両用電車である事から床下機器の艤装スペースが必要であるため、若干車体長が延長されています。また、先頭車後位の連結器にはE217系と同じ衝撃吸収タイプの構造が採り入れられています。
 制御方式はVVVFインバーター制御方式ですが、機器更新時(付属編成は平成12年、基本編成は平成24年まで)までGTOサイリスタ素子を用いた主変換装置を使用していました。ドイツのシーメンス社製のもので、JRの電車では唯一の採用例で、発車、停止時の励磁音が音階を奏でる特徴があり、停車中も音階を奏でていました。
 交直の境となるデッドセクションでの切り替えは、E993系「TRY-Z」で開発された方式を採用。ATS-P地上式を用いて自動で切り替えが行われます。同時に運転士に交直セクション地点の喚起、自動切り替え不良時には警音を発する機能が付いています。客室は切り替え時は自動的に蓄電池からの供給に変わり、消灯しないようになっています。
 車内は要望の多かったロングシート仕様となっていますが、座席数が減ってしまった事、トイレが設置されておらず、長距離運用に不向きである事から、平成19年以降は土浦以北及び水戸線の運用へ。現在は土浦~いわき駅の運用で活躍しています。
 

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クハE501-1~(クハE501-4)

基本編成の仙台方に位置する制御車です。電気連結器及び自動解結装置を装備しています。平成18年に運用区間が変更されることからトイレが設置されています。この他に車椅子スペースがあります。

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クハE501-1001~(クハE501-1004)

付属編成の仙台方に位置する制御車です。0番代と同一構造ですが、電気連結器及び自動解結装置の装備が無いため番代区分されています。トイレは設置されていません。

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クハE500-1~(クハE500-1)

付属編成の上野方の制御車です。構造はクハE501形式と同じですが、電動空気圧縮機を搭載しています。平成18年にトイレの追加設置が行われています。

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クハE500-1001~(クハE500-1003)

基本編成の上野方の制御車です。クハE500-1~と同一構造ですが、電気連結器及び自動解結装置が装備されていない点が異なります。

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モハE501-1~(モハE501-11)

主変圧器、主変換装置、高速度遮断器などを搭載するパンタグラフ付き中間電動車です。写真はPS29形式パンタグラフを搭載していた頃のもので、平成26年からはシングルアーム式のPS37A形式パンタグラフに換装されています。

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モハE500-1~(モハE500-9)

主変換装置、210kvAの大容量SIV装置を搭載する中間電動車です。

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サハE501-1~(サハE501-4)

基本編成には3両、付属編成には1両組み込まれる中間不随車です。ブレーキ関係の機器と共通配電箱のみが搭載されており、床下はすっきりしています。

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サハE500-1~(サハE500-3)

基本編成の6号車に組み込まれる中間不随車です。電動空気圧縮機、自動電源誘導装置を搭載しているため、別形式となっています。車輛中央部床下に電動空気圧縮機があります。