諸元
全 長  20000mm
全 幅  2950mm
全 高  3640mm(普通車)、4070mm(グリーン車) 
主電動機 MT75形式(140kw)
制御方式 IGBT素子VVVFインバーター制御方式
制動方式 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ方式、抑速ブレーキ、直通予備ブレーキ、耐雪ブレーキ
動力台車 DT71形式 不随台車 TR255B形式

車内設備など
座 席 ロングシート、クロスシート
乗降扉 片側4扉(グリーン車は片側2扉)
トイレ あり

 平成17年に開業したつくばエクスプレスは高規格路線により全線で130km/hが可能で、一部区間には160km/hでの運転もあり、常磐線が並行する区間では利用者が移ってしまう事が考えられました。当時の常磐線には老朽化や陳腐化が進む403系や415系鋼製車が主力で、最新鋭のE501系も高速運転には対応していない設計であったため、競合できる車輛の開発が行われる事となり、E501系やE231系での使用実績を基礎に「人にやさしい車両システム」をコンセプトにE531系が設計されました。
 車体はE231系などと同じステンレス製とし、拡幅車体を採用し、床面高さは1130mmとホームと乗降口の段差を小さくするとともに、低重心化を図っています。運転台はE231系近郊形と同じく、踏切事故対策、視認性の点から高運転台構造が採用されるとともに、サバイバルゾーンとクラッシャブルゾーンをもつ衝撃吸収構造が採用されています。前部標識灯は高輝度放電灯(HID灯)、後部標識灯はLED灯で、行先表示器と一体化しており、運転台上部に配置されています。
 運転台はE231系の機器配置をベースにしており、アナログ計器を廃止し、液晶モニターに表示するグラスコックピット化しています。
 車内は、特徴としてユニバーサルデザインが充実された事です。内装色は白色、床面は茶系とし、視覚障害者への対応として、乗降扉の先端部には黄色のテープ、床面には滑り止めも兼ねた点字ブロックが配置されています。乗降扉は戸挟み安全装置が付いたリニアモーター式で、押しボタン操作による半自動機能も付いています。
 座席はロングシートとセミクロスシートの2つの仕様があり、座席の乗心地の改良が図られています。吊り革も新規に開発されており、黒色(優先席では黄色)の三角形のものが採用されています。
 サービス機器などでは、乗降扉上部にLED2段式の旅客案内表示器が設置、開閉時にはドアチャイム、赤く点滅する開閉予告灯が設置されました。この他、自動放送装置、車外スピーカーを用いた案内放送、発車メロディーなどがあります。
 車輛を制御するTIMSは情報処理機能を向上させ、機能の統合集約、編成の一括管理制御などを実現しています。
 平成19年にはグリーン車の連結が行われました。これにより編成内容が変更されています。常磐線を中心に水戸線でも活躍していましたが、平成27年に3000番代が登場し、東北本線でも活躍しています。

0番代

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クハE530-1~(クハE530-12)

基本編成の上野方1号車に位置する制御車です。車内はセミクロスシートとなっています。車いす対応の大型トイレが設置されており、その横に位置する乗降扉は運転台に寄っており、向かいの乗降扉と位置があっていない特徴があります。床下には電動空気圧縮機を搭載しています。制御車では唯一、自動解結装置及び電気連結器を装備していません。

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クハE530-2001~(クハE530-2007)

付属編成の上野方11号車に位置する制御車です。車内はセミクロスシートとなっており、車いす対応の大型トイレが設置されています。床下には電動空気圧縮機を搭載しています。付属編成は5両編成で、2本又は3本組み合わせて運転する事もできます。

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クハE531-1~(クハE531-18)

基本編成の仙台方10号車に位置する制御車です。車内はセミクロスシートとなっており、車いす対応の大型トイレが設置されています。自動解結装置及び電気連結器を装備しています。

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クハE531-1001~(クハE531-1016)

付属編成の仙台方15号車に位置する制御車です。車内はセミクロスシートとなっています。トイレの設備が唯一ない先頭車になります。

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モハE530-1~(モハE530-6)

基本編成の2号車に位置する中間電動車で、モハE531-1001~とユニットを組みます。車内はセミクロスシートとなっています。主変換装置、補助電源装置(280kvA)を搭載しています。

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モハE530-1001~(モハE530-1002)

付属編成の12号車に位置する中間電動車で、モハE531-1~とユニットを組みます。車内はロングシートとなっています。主変換装置、補助電源装置を搭載しています。

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モハE530-2001~(モハE530-2022)

基本編成の7号車に位置する中間電動車で、モハE530-1001~と同一構造です。ユニットとなる相手がモハE531-2001~と異なる事から番代区分されています。

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モハE531-1~(モハE531-7)

付属編成の13号車に位置するパンタグラフ付き中間電動車で、モハE530-1001~とユニットを組みます。車内はセミクロスシートとなっています。床下には主変換装置、主変圧器が搭載されています。

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モハE531-1001~(モハE531-1021)

基本編成の3号車に位置するパンタグラフ付き中間電動車で、モハE530-1~とユニットを組みます。車内はロングシートとなっています。

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モハE531-2001~(モハE531-2018)

基本編成の8号車に位置するパンタグラフ付き中間電動車で、モハE530-2001~とユニットを組みます。車内はロングシートとなっています。他のモハE531形式と同じく、屋根上にはパンタグラフの他、真空遮断器、交直切替器が搭載され、床下には主変換装置、主変圧器、パンタグラフ上昇用のベビコンなどが搭載されています。

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サハE530-2001~(サハE530-2010)

基本編成の6号車に位置する中間不随車です。車内はロングシートとなっています。床下には電動空気圧縮機を搭載しています。

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サハE530-2022(サハE530-2022)

平成19年のグリーン車組み込みにより編成内容が変更される事になりました。その際にサハE531-2012が余剰となる一方で、1編成だけ電動空気圧縮機を搭載したサハE530形式が不足したため、この余剰となった車輛に電動空気圧縮機を搭載させ、編入する改造を行いました。当系列唯一の改造車になります。

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サハE531-1~(サハE531-2)

基本編成の9号車、付属編成の14号車に位置する中間不随車です。車内はセミクロスシートとなっています。なお、基本編成の9号車は編成によってはロングシート車であるサハE531-2001~の場合もあります。

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サハE531-2001~(サハE531-2004)

一部基本編成の9号車に位置する中間不随車です。車内はロングシートとなっています。1両はサハE530形式へ改造されています。

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サロE530-1~(サロE530-20)

平成19年より加わった2階建てグリーン車で、基本編成の4号車に位置しています。車掌室、業務用室があります。サロE531形式とペアで使用されるため、半永久連結器で連結されています。

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サロE531-1~(サロE531-12)

サロE530形式とペアを組む2階建てグリーン車で、基本編成の5号車に位置しています。洋式トイレ、洗面所の設備があります。

3000番代
 415系1500番代の置換えを目的に平成27年に登場した6次車に相当するグループです。0番代との違いは準耐寒・耐雪構造とした点で、3000番代となりました。3000番代は付属編成のみで5両編成となります。
 主な変更点として、主電動機を冷却する風道を車体に設置、合わせて主電動機もMT75A形式に変更。トイレ、乗降扉、床下機器類を耐寒・耐雪構造に変更しています。
 常磐線で活躍していましたが、東北本線黒磯駅構内の交直地上切替設備が平成30年に廃止され、車上切替方式に変更(黒磯駅北側にデッドセクションを設置)したため、交流電車の入線が不可能となってしまいました。このため、先行して本番代が投入され、黒磯駅~新白河駅の普通列車にも活躍しています。なお、令和2年よりワンマン運転が実施され、車体側面に安全確認カメラ、ホーム検知装置などを装備しワンマン運転対応車になっています。

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クハE530-5001~(クハE530-5003)

上野・新白河方の11号車に位置する制御車です。車内はロングシートで、車椅子スペース、車いす対応の大型トイレが設置されています。床下には電動空気圧縮機を搭載しています。乗降扉には凍結による開閉不良を防ぐため、レールヒーターを搭載しています。

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クハE531-4001~(クハE531-4005)

仙台・黒磯方の15号車に位置する制御車です。車内はセミクロスシートとなっています。常磐線と東北本線では編成が逆向きになります。勝田駅を出て水戸線経由で黒磯駅に向かうと…。

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モハE530-4001~(モハE530-4003)

付属編成の12号車に位置する中間電動車です。車内はロングシートとなっています。車体には主電動機冷却風取込口のルーバーがあり、外観の特徴になっています。主変換装置、補助電源装置を搭載しています。

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モハE531-3001~(モハE531-3005)

付属編成の13号車に位置するパンタグラフ付き中間電動車です。車内はセミクロスシートとなっています。主変換装置、主変圧器を搭載しています。

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サハE531-3001~(サハE531-3005)

付属編成14号車に位置する中間不随車です。車内はセミクロスシートとなっています。