諸元
全 長  20000mm
全 幅  2800mm
全 高  4140mm
主電動機 MT54形式(120kw)
制御方式 抵抗制御(永久直列制御、弱め界磁制御)
制動方式 発電ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキ(応荷重装置付き)、抑速ブレーキ
動力台車 DT32形式又はDT32B形式 不随台車 TR69B形式

車内設備など
座 席 ロングシート(普通席)、クロスシート(トイレの向かいのみ)
乗降扉 片側3扉
トイレ あり

 北関東地区にある日光線、両毛線など支線区の普通列車には1980年代後半頃より、急行列車の廃止により余剰となった165系直流急行形電車が転用されていました。しかし、老朽化や陳腐化が進んでいるほか、沿線人口の増加により、朝夕の混雑時間帯には乗降時間がかかり、列車の遅延の原因となってきました。また、最小編成が3両編成であることから、日中閑散時間帯は輸送力過剰ともなっていました。
 発足間もないJR東日本では、これらの問題を解決するため、時間帯に応じて柔軟な運用を行える車輛を開発するとともに、社員の技術力維持、育成を目的に昭和63年に107系が登場しました。
 107系は2両編成を基本とし、2・4・6両編成と輸送量に応じた編成が組めるようになっています。また、115系との併結運転も可能としています。車内は冷房装置の違いでクモハは平天井、クハは丸天井と異なる印象があります。
 製造にあたっては製造コストを低く抑えるため、165系の主要機器を流用しています。車体はJR東日本において初めての新造であり、材料から製造する事が難しいため、車両メーカーから加工済みの構体や台枠を購入し、自社工場で組み立てを行うノックダウン生産を行いました。平成2年に登場した100番代の116~119番までは構体部分から自社工場で製作した新製車体となっています。
 平成28年より211系による置換えが始まり、一部の車輛は上信電鉄へ譲渡されました。平成29年にすべての運用が終わり、形式消滅しています。

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クモハ107-1~(クモハ107-1)

日光線向けに登場したパンタグラフ付き制御電動車です。勾配線区での運転に備えて、正面に砂箱、台車に砂撒き装置を装備するほか、冬季の架線凍結に対応するため霜取りパンタグラフを前位側に備えています。車体色は公募によるもので、クリーム10号をベースに緑14号で日光線の頭文字「N」を表現。前位側に「神橋」をイメージした赤1号のワンポイントが入っています。晩年は車体上部をアイボリー、下部をクラシックルビーブラウンとし、境界に金色帯が配されたものとなっています。

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クモハ107-101~105(クモハ107-105)

高崎支社管内用のグループで、昭和63年に登場しました。基本構造は同じですが、砂撒き装置、霜取り用パンタグラフは非搭載としている一方で、降雪区間もある事から耐雪ブレーキを装備しています。また、横軽対策が施されており、形式表記前に●印があります。
塗装はクリーム10号をベースに緑14号とピンク色の帯を配したもので、サンドウィッチ色とも言われていたようです。

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クモハ107-106~(クモハ107-118)

100番代の2次車にあたるグループです。車体の設計変更が行われています。戸袋窓が廃止され、乗降扉間の窓が2つから3つになっています。

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クハ106-1~(クハ106-1)

0番代の制御車です。床下には電動空気圧縮機が搭載さています。車内にはトイレの設備があります。冷房装置は165系からの転用品であるAU13型分散式冷房装置が6基搭載されています。

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クハ106-101~105(クハ106-102)

100番代の制御車です。0番代と同一設計ですが、耐雪ブレーキ、横軽対策の装備がされているため番代区分されています。

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クハ106-106~(クハ106-114)

車体設計が変更され、窓割が変更となっています。