諸元
全 長  20000mm
全 幅  2900mm
全 高  4140mm
主電動機 MT54形式(120kw)
制御方式 直並列抵抗制御方式、弱め界磁制御方式
制動方式 発電ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキ方式、抑速ブレーキ
動力台車 DT21B形式 不随台車TR62形式

車内設備など
座 席 ロングシート、クロスシート
乗降扉 片側3扉
トイレ あり

 昭和32年にモハ90形式新性能電車(後の101系)が登場し、その後151系特急形電車、153系急行形電車へと用途別に新性能電車が増備されていきました。近郊形は同時期に進んでいた交流電化の車輛としてセミクロスシート仕様の401系、421系交直両用電車が昭和35年に登場。この頃、東海道本線東京口では80系、153系の他、客車列車の片側2扉構造の車輛が活躍していましたが、慢性的遅延になっており、401系・421系と同等の車体構造を持つ111系が登場しました。
 一方、我が国に多い山岳路線でも電化が進んでおり、中長距離列車の運転が始まりました。当然、電車の投入を望む所ですが、111系のもつMT46系主電動機は出力が100kwで力不足であり、解決する方法として電動車の比率を高くするか、補助機関車の連結があります。しかし、電動車は高価であり、製造からメンテナンス面を考えると高コストであり、不経済でした。
 このMT46系をパワーアップした主電動機の開発が行われ、120kwにパワーアップしたMT54系主電動機が登場し、この主電動機を搭載した113系が登場。この113系を元に、勾配線区向けに登場したのがこの115系で、昭和38年に登場しました。その後、昭和58年まで改良を重ねながら増備され、1921両がつくられました。平坦線区向けの113系と基本的な部品を共通のものとしつつ、勾配線区や山間部、寒冷地での運用を考え、耐寒・耐雪構造、勾配線区の対策が施されています。
 車体は113系と同じ片側3扉構造で、乗降扉は半自動機能を持ち、開口部は1300mmとなっています。ただ、開扉時に取っ手部分を残さなければならないので、1100mmしか開きません。半自動機能は車掌スイッチで切り替えられ、半自動を選択するとドアエンジンの圧縮空気が抜け、手動で開閉を行う仕組みとなります。
 主制御器は同時期に開発された165系と同じものが採用されています。ノッチ戻し機能付き、抑速ブレーキ装備のものとしています。この他、113系で登場したグリーン車の計画もありましたが、こちらは見送られています。
 最初に東北本線、高崎線に登場しました。この後、山岳路線へと本格的に進出し、113系と肩を並べる近郊形電車の顔として活躍します。このため、線区ごとの用途に合わせた数多くのバリエーションが誕生しています。

0番代
 本系列の基本となるグループです。111系、113系を基本とした片側3扉、セミクロスシート仕様ですが、乗降扉は半自動機能付き、通風器は降雪地域の走行を考え押し込み式となっています。主電動機冷却風取入れ口も車内に設けており、寒冷地での使用を考えた設計となっています。
 当初はクハ115+モハ114+モハ115+クハ115の4両編成を基本としていましたが、後にクモハ115形式が登場し、最小編成が3両編成に。昭和58年より始まった列車編成を短縮化し、列車本数を増やすフリークエントサービスにより、中間車の先頭車化改造で最小編成は2両になっています。

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クハ115-1~46(クハ115-35)

0番代の制御車です。方向転換が可能な両渡り構造が採用されており、偶数向き、奇数向きどちらでも使用が出来ます。車内にはトイレの設備があります。なお、113系のように電動空気圧縮機を搭載した形式はありません。
初期の車輛は雨樋が乗務員室扉手前で切れているのが特徴です。

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クハ115-47~98(クハ115-51)

47番以降は雨樋が乗務員室扉上まで延長されています。なお、運転台は中間車代用時になると壁が折り畳める構造となっています。

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クハ115-99~214(クハ115-107)

このグループより、乗務員の作業環境改善のため、運転台上部の通風器が箱型のものとなっています。冷房化により撤去した車輛もあります。クハ115-193~214は横軽対策施行車となっています。

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クハ115-215~228(クハ115-223)

0番代のクハ115形式最終増備車となるグループで、耐雪構造を向上させる改良が加えられています。外観ではタイフォンカバーがシャッター式に変更されています。クハ115-215、216は横軽対策施行車となっています。

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クハ115-551~(クハ115-551)

昭和58年に登場した番代で、越後線、弥彦線電化開業用及び広島地区の列車増発用としてモハ114形式0番代及びモハ115形式0番代を電装解除し、先頭車化改造したものです。552番のみモハ114形式からの改造車です。奇数向き制御車で、トイレの設備はありません。

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クハ115-601~606(クハ115-603)

昭和58年に登場した番代で、岡山地区短編成化に伴う制御車の不足からクハ111形式300番代を改造したものです。主幹制御器の交換や半自動ドアの改造を行いました。グローブ型ベンチレーターのままとなっていたのが特徴でした。因みに床下の電動空気圧縮機は使用停止としていました。

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クハ115-607~619(クハ115-617)

昭和58年に登場した番代で、広島地区の編成短縮により列車増発を行うため、サハ115形式0番代を先頭車化改造したもので、偶数向きの制御車です。

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クハ115-620~622(クハ115-622)

非冷房車であったクハ115-601~606を置き換えるために、クハ111形式300番代(冷房車)を改造したもので、平成6年に登場したグループです。種車が高速化改造を受けており、関係する装備は解除しています。写真の622番のみリニューアル改造を受けていました。

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クハ115-651~654(クハ115-652)

昭和58年に登場した番代で、広島地区の列車本数増発に対応するためにモハ114-1~を電装解除し、先頭車化改造したものです。種車となったモハ114形式の相方となるモハ115形式はクハ115形式550番代となっています。

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クモハ115-1~(クモハ115-8)

中央本線大月駅より富士急行線へ乗り入れる際に編成両数が3両編成である事から生まれた奇数向きの制御電動車で、昭和41年に登場しました。運転台後方の戸袋上部に主電動機冷却風取入れ口が設置されています。

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クモハ115-501~(クモハ115-503)

昭和58年に登場した番代で、越後線、弥彦線の電化開業に伴い登場しました。モハ115-1~を種車に先頭車化改造しました。当時の国鉄財政は火の車であり、低コストが強く求められました。そこで、種車の指定された部分を切断し、1000番代に相当する運転台ブロックを製作し、接合する方法を行いました。
右のクモハ114-501~とユニットを形成する車輛と単独で種車時代のモハ114-1~とユニットを組む、2つのグループがあり20両が改造されています。

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クモハ114-501~(クモハ114-502)

昭和58年に登場した番代で、モハ114-1~を種車に先頭車化改造したものです。クモハ115-501~とユニとを組んで活躍しました。

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クモハ115-551~554(クモハ115-554)

平成元年に登場した番代で、モハ115-1~を種車に先頭車化改造したものです。改造内容はクモハ115-501~とほぼ同じ。当初は非冷房でしたがバス用冷房装置を改造したWAU202形冷房装置が搭載されています。

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クモハ114-551~554(クモハ114-554)

平成元年に登場した番代で、モハ114-1~を先頭車化改造したものです。クモハ115-551~とユニットを組みます。平成22年に廃車され、550番代は番代消滅しています。

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モハ115-1~135(モハ115-30)

本番代の中間電動車です。主制御器、主抵抗器を搭載しています。この主制御器も製造年度により、より良いものへと変化しています。83番以降は主制御器内部の配線を改良したCS15B形、94番以降は継電器を無接点化したCS15C形、107番以降は応荷重装置準備工事、耐雪構造を強化したCS15E形、127番以降は限流、減圧継電器などを無接点化したCS15F形が採用されています。モハ115-94~107は横軽対策施行車となっています。

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モハ114-1~121(モハ114-95)

本番代のパンタグラフ付き中間電動車です。電動発電機(MG)、電動空気圧縮機といった補助機器を搭載しています。モハ114-83~はMH80A-C1000形電動空気圧縮機2基搭載から、MH113A-C2000M形1基搭載に変更しています。

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モハ114-801~831(モハ114-827)

昭和41年にクモハ115-1~と共に登場したグループです。中央本線高尾以西のトンネル区間は狭小トンネルであるため、モハ114-1~ではパンタグラフの折畳み高さが高く入線が出来ません。そこで、パンタグラフ部分の屋根を下げた低屋根車で対応する事となり、この800番代がつくられました。因みに800番代=低屋根車ですが、何故「8」にしたのか。諸説あり、8=ヤマ(山)という意味を表したのではないか。と言われています。
この低屋根部分の天井には扇風機の代わりに換気扇(ファンデリア)が設置され、外観では肩部に外気を取り込む風道が設置されています。写真は豊田車両センターで訓練車として活躍した最後の1両で、平成26年に廃車となり、番代消滅しています。モハ114-818~831までは横軽対策施行車となっています。

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サハ115-1~37(サハ115-35)

中央本線の基本編成を4両編成(クモハ+モハ+サハ+クハ)とするために昭和41年に登場した中間不随車です。車端部にトイレが設置されています。サハ115-25~30は横軽対策施行車となっています。

300番代
 昭和48年に登場した番代で、0番代のモデルチェンジ車になります。最も大きな特徴は近郊形・通勤形電車にも冷房装置が標準装備される事となり、本番代で新製時よりAU75C形集中式冷房装置が搭載されました。この冷房装置の給電を賄うため、モハ114形式に搭載されるMGは160KvAの大容量となり、自車を含めて最大4両に給電が出来ます。冷房電源用三相引通し線が新たに発生したため、片渡り構造となっており、奇数番号は奇数向き、偶数番号は偶数向きと向きが固定されています。
 客室窓はユニットサッシ窓化、電動式行先表示器が準備工事されるなど、製造工数削減やメンテナンス面での省力化などが図られています。また、中央本線高尾以西の狭小トンネル対策として、新規に折畳み高さの低いPS23形パンタグラフが開発されました。これによりモハ114形式に対し、低屋根構造が不要となっており、800番代は存在していません。この他、車体構造では全車輛が横軽対策施行車となっています。
 安全面でも大幅に改善されています。登場する前年の昭和47年に発生した北陸トンネル火災事故の教訓を活かすため、長大トンネル走行時の火災対策が強化され、A-A基準に対応する構造(座席、床面材などを難燃化、配線のダクト化、断路器の屋根上設置など)としています。
 乗務員の作業環境では、運転台機器配置を人間工学に基づいて設計し、乗務員室を拡大しています。また、客室との仕切りも0番代ではフリースペースとするため折畳み式であったものを固定化しています。踏切事故対策も考えられ、前面強化構造としました。前部標識灯は白熱灯から、シールドビームに統一されています。

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クハ115-301~(クハ115-443)

本番代の制御車です。0番代のマイナーチェンジで、冷房装置の搭載、乗務員室の拡大など大きな変化が見られますが、客室の座席配置や窓割り、トイレ窓などは0番代とほぼ同じです。冷房用三相引通し線の関係から、奇数番号は奇数向き、偶数番号は偶数向きに固定されています。444~496番までは偶数番号の車輛のみで、奇数番号は欠番となっています。

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クモハ115-301~(クモハ115-320)

本番代の奇数向き制御電動車です。主制御器、主抵抗器を搭載しています。乗務員室が拡大されて、0番代とは印象が異なりますが、直後の戸袋上部にある冷却風取入れ口が設置されているなど、意匠は同じである事がわかります。

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モハ115-301~(モハ115-336)

本番代の中間電動車です。主制御器、主抵抗器を搭載しています。モハ115-1~を冷房装置の装備、ユニットサッシ窓化したスタイルです。329番以降は通風器の配列を変更しています。

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モハ114-301~(モハ114-349)

本番代のパンタグラフ付き中間電動車です。電動発電機(MG)は冷房用電源を出力するために160KvA(三相交流440V)と高出力のものを搭載しています。写真のようにシングルアームパンタグラフやMGをSIV装置に換装した車輛もあります。

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サハ115-301~(サハ115-317)

本番代の中間不随車です。中央本線向けに登場したもので、後に東北本線や高崎線で活躍しました。

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クハ115-759(クハ115-759)

115系、初期型のクハ115形式老朽化のため、置換え用として115系300番代の平坦線区向けである113系700番代のクハ111形式750番代を改造した車輛で、平成25年に登場しました。種車はクハ111-759で、主幹制御器の交換、ジャンパ連結器の交換などが行われました。227系が投入され、平成27年に廃車。僅か2年ほどの活躍でした。

1000番代
 昭和52年に登場した番代で、上越線や信越本線などの寒冷地、積雪地域での運用を行うために300番代よりも更に耐寒・耐雪構造を強化したグループです。この番代では合わせて、居住性改善(シートピッチ改善)を図っています。
 耐寒・耐雪構造の強化では、主電動機への浸雪防止のため車体側面にあった主電動機冷却風取入れ口を廃止し、新たに1、4位側車端部に雪切室を設置しています。この部分には大きなルーバーがあり外観の特徴にもなっています。台車軸ばねの積雪防止、ブレーキ装置のユニット化、夜間滞泊時の水管破損を防ぐため、自動排水装置を装備。など多数の耐寒・耐雪構造強化が行われています。
 車内では、4人掛けクロスシートの狭さが評判悪く、本番代では改善すべく従来の急行形電車並みのシートピッチ拡大を図っています。これにより、従来車とは窓割りが大きく異なっています。また、乗降扉の半自動時における開閉の負担を軽減するするため、戸閉装置も改良が行われました。
 当時、普通列車の冷房化が推進されていましたが、使用される長野、新潟地区は夏季でも酷暑とはなりにくい気候である事(当時)、財政難でお財布の紐を固くしなければならない点から、冷房装置を搭載せず、将来冷房装置を搭載する際は工事の簡略化、工期の短縮化を図れる構造とした冷房準備車で登場しています。暖房装置も容量が大きくなっており、冷房準備車でしたが160KvAMGを搭載しています。

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クモハ115-1001~(クモハ115-1018)

本番代の制御電動車です。シートピッチ改善、雪切室設置により窓割りは大きく変化しています。写真は冷房準備車時代の様子で、運転台上部には箱型の通風器が搭載されていました。冷房化の際に押し込み式の通風器に交換されています。(クハ115-1001~も同じ。)

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クモハ115-1501~(クモハ115-1515)

昭和58年に登場した番代で、長編成から短編成化し運転本数を増やすフリークエントサービス実施に伴い、不足となる先頭車を中間車から改造して捻出する方法が盛んに行われ、本番代でもモハ115-1001~を種車に先頭車化改造が行われました。クモハ115-1001~とほぼ同じ仕上がりで、通風器の配列が異なっている程度となっています。

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クモハ114-1501~(クモハ114-1510)

昭和61年に登場した番代で、モハ114-1001~を種車に先頭車化改造したグループです。後位側に運転台を設置し、トイレの設備を設けています。

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クハ115-1001~1099・1201~1243(クハ115-1051)

本番代の偶数向き制御車です。雪切室が無いため、クモハ115-1001~と比較すると窓が多くなっています。写真は冷房化の際、AU712形分散式冷房装置を搭載した珍しい車輛です。

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クハ115-1101~1141(クハ115-1123)

本番代の奇数向きの制御車です。1列車あたりのトイレを偶数車に集約するため、奇数向き制御車はトイレを設置しない仕様で登場させています。

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クハ115-1142~1159(クハ115-1152)

本番代の奇数向き制御車です。トイレなしの仕様でしたが、トイレを復活し設置したグループです。

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クハ115-1244~1249(クハ115-1244)

昭和59年に登場したグループで、偶数向き制御車が不足した事から、トイレ付きの奇数向き制御車(クハ115-1142~)を方向転換し、改番したものです。

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クハ115-1401~1405(クハ115-1401)

昭和61年に登場したグループで、岡山地区の短編成化の際に偶数向き制御車が不足した事から、トイレ付きの奇数向き制御車(クハ115-1142~)を方向転換し、改番したものです。

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クハ115-1501~1513(クハ115-1501)

昭和58年に登場した番代で、サハ115-1001~に運転台を設置した先頭車化改造のグループです。奇数向き制御車のため、トイレは設置されていません。

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クハ115-1601(クハ115-1601)

昭和58年に登場した番代で、クハ115-1501~と同じく、サハ115-1001~に運転台を設置した先頭車化改造の車輛です。トイレが設置され、方向転換を行い偶数向き制御車としています。

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モハ115-1001~(モハ115-1077)

主制御器、主抵抗器を搭載する中間電動車です。1、4位に雪切室、2、3位に配電盤が設置。シートピッチ改善を図っており、車端部はロングシートとしています。

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モハ114-1001~(モハ114-1198)

電動発電機(MG)、電動空気圧縮機を搭載するパンタグラフ付き中間電動車です。霜取り用パンタグラフを増設した車輛やシングルアーム式パンタグラフに換装、MGからSIV装置に換装した車輛もあります。

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サハ115-1001~(サハ115-1019)

本番代の中間不随車です。シートピッチ改善により、トイレは設置されていません。中間電動車では車端部がロングシートでしたが、クロスシートとなっています。

2000番代
 1000番代と同じ昭和52年に、広島・下関地区で活躍するモハ80系など旧性能電車を新性能電車化する目的で登場した番代です。投入される線区が温暖な地域である事から、耐寒・耐雪構造を300番代と同程度としています。このため、電動車に設置される雪切室は省略され、主電動機冷却風取入れ口は車外妻部から取り込む方法になっています。念のため、切替装置を動作させる事で車内から吸気も可能としています。
 車内は1000番代と同じく、300番代のシートピッチ拡大を図ったものとしており、雪切室がない事から車端部はクロスシートとなっています。運転台では更なる踏切事故対策が施されています。
 昭和56年に身延線の旧性能電車を置き換えるために増備されました。3両編成での運用もあるため、クモハ115形式が登場します。また、身延線内の狭小トンネルに対応したモハ114形式もつくられました。1000番代と同じく、冷房準備車として登場しています。
 この身延線仕様の2000番代の大きな特徴は塗装色で、従来の湘南色や横須賀色ではなく、甲州ぶどうをイメージしたワインレッド(赤2号)をベースに富士山の雪をイメージした白色(クリーム10号)の帯を巻きました。地方色の先駆けとも言える大胆な変更ですが、さらに帯色は塩化ビニールテープを貼り付けたもの。国鉄では初めての試みで、後に塗装簡略化の手法として様々な車輛に採用される事となりました。

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※ワインレッドと白色の地域色であった頃の様子。後に湘南色になって消滅。復刻塗装の際、ワインレッドを「ぶどう色」とした所、真っ茶色に白帯の姿に。国鉄塗装色のぶどう色とはこげ茶色の事で、受けた側も「こんな色あったかなぁ。きっと旧型車の色なんだろう。」と思いつつ塗ったのでしょう。その後、直ぐに写真のように正しい姿になったそうです。
 
 

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クハ115-2001~2021(クハ115-2001)

本番代の偶数向き制御車です。クハ115-1001~と同じ設計で、車端部にトイレが設置されています。写真は広島地域色の体質改善40N工事を受けた車輛です。

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クハ115-2022~2034(クハ115-2030)

このグループは身延線向けに登場したもので、冷房準備車として登場しました。

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クハ115-2035~2041(クハ115-2037)

昭和58年に登場したグループで、越後線、弥彦線電化開業に伴い、身延線向けに登場したトイレ付きの奇数向き制御車(クハ115-2122~2129)を方向転換し、偶数向き制御車としたものです。

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クハ115-2101~2121(クハ115-2108)

本番代の奇数向き制御車で、トイレは設置されていません。身延線向けに登場した2122番以降はトイレが復活しています。

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クハ115形式2500番代(クハ115-2515)

平成24年に広島地区に登場した番代で、113系のクハ111形式2000番代を主幹制御器の交換等を行い、115系に編入したものです。車輛番号は原番号に500番を加えたものですが、クハ111形式時代に高速化改造を受け、さらに電気連結器を装備した車輛は原番号までさかのぼり、500番を加えています。写真の2515番を例にすると。クハ115-2515の一つ前、113系時代最後の車番はクハ111-7606になります。そして一つ前、電気連結器を装備以前の車番はクハ111-7015、高速化改造で5000を加えていますから、差し引くと2015となります。ここまで戻り、115系化で500番を加えると2515番となります。

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クハ115形式2600番代(クハ115-2642)

クハ115形式と同じく、平成24年に登場した番代で、トイレのないクハ111形式2100番代を種車に115系へ編入したもので、クハ115形式2500番代と同じ改造を行っています。番号の付け方も同じ、原番号に500番を加えたものとなっています。

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クモハ115-2001~(クモハ115-2001)

身延線向けに登場した制御電動車で、昭和56年に登場しました。クモハ115-1001~と同一構造ですが、雪切室が無いため、窓配置が異なります。新製時は冷房準備車として登場しています。

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モハ115-2001~(モハ115-2003)

モハ115-1001~と同じシートピッチ改善車です。雪切室が無いため、車端部はクロスシートとなっている点が異なります。

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モハ114-2001~(モハ114-2014)

モハ114-1001~と同じく、シートピッチを改善したグループ。暖地向けであり雪切室は設置されていません。

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モハ114-2601~(モハ114-2609)

身延線向けの中間電動車で、昭和56年に登場しました。投入される身延線は昭和16年まで富士身延鉄道という鉄道会社で、トンネル内ではレール面からのパンタグラフ折畳み高さが中央本線の高さよりも低く、本系列のモハ114形式300番代及び1000番代に使用されるPS23A形パンタグラフでも絶縁距離が確保できない事から、この車輛が設計されました。高さを確保するため、パンタグラフ部分の屋根形状を20mm低く設計しています。この他の構造は2000番代と同じとなっています。

3000番代・3500番代
 昭和57年、下関地区で使用される153系の置換えを行うと同時に、列車編成を短縮化し運転本数を増発してサービス向上を図る「ひろしまCity電車」の導入を行うため、本番代が製作されました。導入にあたり、競合するたの交通機関との対抗もあり、更なるサービス向上が要求されたことから、3扉セミクロスシート仕様という従来の仕様から2扉クロスシート仕様という、117系に近い車体となり、同系列の中でも異色の存在となっています。
 車体構造は117系、主要機器類は2000番代をベースとしており、乗降扉は片側2扉、客室窓は2連タイプ、車内は転換式クロスシートが配置されていますが、乗降扉付近、車端部はロングシートとしています。
 編成は4両編成を基本とし、3000番代のみで組成されたものと111系や115系のユニットを組み込み組成た2種類の編成があり、後者は非冷房で登場しました。塗装はクリーム色に青色の帯をまいた「瀬戸内色」とし、広島地区の地域色になりました。
 平成3年に東海道本線(JR京都線)、山陽本線(JR神戸線)で活躍する117系の新快速運用が減る事になり、一部編成は4両編成に短編成化の上、他の路線に転属しました。この際に余剰となったユニットを非冷房車の残る山陽本線系統に置換えるため、115系化する工事実施され3500番代が平成4年に登場しました。

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※ひろしまCity電車のヘッドマークを掲げて活躍していた頃の115系3000番代

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クハ115-3001~(クハ115-3007)

本番代の偶数向き制御車です。車内にはトイレの設備があり、その向かいは固定式クロスシートが配置されています。床下には電動空気圧縮機を搭載していますが、これは111系のモハ110形式に搭載される電動空気圧縮機だけでは容量不足である事から、搭載されています。

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クハ115-3101~(クハ115-3104)

本番代の奇数向き制御車です。非冷房車で登場した車輛も、現在は全て冷房化されています。写真は原形の頃の姿で、ベンチレーターは四角形のものが使用されていました。

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モハ114-3001~(モハ114-3007)

本番代のパンタグラフ付き中間電動車です。屋根上にはPS16形を2基搭載。1ユニット運転が多いために異常時に対応するために1基は予備パンタグラフとなっています。MGはメンテナンスフリーを図ったDM106形ブラシレスMG(190kvA)を搭載しています。

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モハ115-3001~(モハ115-3001)

主制御器、主抵抗器を搭載する中間電動車です。この他に、駅間で起動不能が生じた際に最寄り駅まで移動できるように非常時運転用の500VAのSIV装置が搭載されています。

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モハ114-3501~(モハ114-3506)

モハ116-1~を改造し、編入したグループです。種車の関係からパンタグラフは搭載されていません。車内は扉の間のみ転換式クロスシートとし、他をロングシートに改造しています。

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モハ115-3501~(モハ115-3512)

モハ117-1~を改造し、編入したグループです。モハ115形式では初めてのパンタグラフ付き中間電動車になりました。平成18年より3500番代に対して体質改善30N工事が実施され、この際に117系時代の新鮮外気導入装置が撤去されています。車内は天井の形状、照明塔カバーなどが手付かずで、種車時代の面影を残しています。

シールドビーム改造車
 0番代の前部標識灯は運転台下部に左右一つずつ、白熱灯が設置されていました。しかし、照度が低い問題がありました。300番代では夜間での視認性向上を目的にシールドビーム灯が採用され、以降登場する先頭車はシールドビームを基本としました。
 照度が劣ってしまう白熱灯から、シールドビーム灯への交換が始まりました。灯具の口径が異なるため、前面強化工事の際に、ライトケースごと撤去し、300番代以降の車輛と同様に整形するのが一般的な手法です。しかし、改造費がかかるためコストかっと出来ないものかと試作的な要素を含めて改造が行われた車輛もあります。

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クハ115-207他(クハ115-207)

JR東日本で見られたもので、白熱灯ケースはそのままに、リング状の枠をシールドビームに設置する方法です。通常は枠を車体色に塗装しますが、豊田車両センターに所属するクハ115-108、207は灰色となって異端車として知られていました。なお、この2両は訓練車編成の制御車として活躍しました。

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下関車両センター改造車(クハ115-199)

105系のクハ105形式100番代廃車に伴い、発生したシールドビームを再利用したもので、白熱灯ケースを鉄板で塞ぎ、そこにシールドビームの穴を開けて設置する方法が採られました。写真は0番代では最後の白熱灯車であった199番です。本当の最後はクハ111形式改造の605番となっています。

JR西日本の改造車
 国鉄より大量に引き継いだ115系。地方直流電化区間では主力の存在ですが、輸送実態に合わせて色々な改造車が生まれています。

高速化対応改造車
 東海道本線(JR京都線)、山陽本線(JR神戸線)などの輸送力増強に伴い、不足する113系を補うために115系を転属させ、その際に高速化対応の改造が行われました。113系と同じく、原番号に5000番を加える事を基本としています。
 その後、113系が撤退し余剰となるため、再び地方へ転出。多くの路線が運転最高速度が100km/h以下であるため、原番号に復帰した車輛も多くあります。

300番代を種車とするグループ

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クハ115形式5300番代(クハ115-5350)

クハ115形式300番代に高速化対応工事を実施したものです。応荷重装置を搭載したほか、運転最高速度110km/hに対応するために、ブレーキ装置などを改造しています。原番号に5000番を加えています。

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クモハ115形式5300番代(クモハ115-5802)

クモハ115形式300番代に高速化対応工事を実施したものです。この工事により、原番号に5000番を加えましたが、ブレーキてこ比を変更したため、さらに500番が加えられています。

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モハ114形式5800番代(モハ114-5830)

モハ114形式300番代を高速化改造したもので、てこ比も変更しており、原番号に5500番を加えています。

1000番代と種車とするグループ

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クハ115形式6000番代(クハ115-6082)

クハ115-1001~又は-1101~を高速化対応改造したもので、原番号に5000番を加えています。再び地方に転属し、原番号に復帰した車輛もあります。

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モハ114形式6000番代(モハ114-6198)

モハ114-1001~を高速化対応改造したもので、原番号に5000番を加えています。

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モハ114形式6500番代(モハ114-6605)

モハ114-1001~に高速化対応改造を施したもので、原番号に5000番を足し、さらにブレーキてこ比を変更したため500番が加えられたグループです。

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モハ115形式6500番代(モハ115-6615)

モハ115-1001~に高速化対応改造を施したもので、原番号に5000番を足し、さらにブレーキてこ比を変更したため500番を加えたグループです。ブレーキてこ比を変更しない車輛は6000番代です。

舞鶴線用6000番代・6500番代
 平成11年舞鶴線綾部~東舞鶴駅間電化開業に伴い用意されたグループです。クモハ115形式+モハ114形式のユニットが種車で、モハ114形式は先頭車化改造が行われました。
 このモハ114形式の先頭車化改造では、新しい運転台は窓配置や灯具類の配置を既存車と同じとしつつ、車体の構体を活かした改造が行われ、切妻形のスタイルとなりました。また、廃車発生品をリサイクルする事で工事費の低減も図られています。一方、クモハ115形式にはトイレの設備が追加されています。
 共通する改造としては、ワンマン運転に必要な機器の搭載、体質改善40N工事(座席はセミクロスシートのまま。)、電気指令式半自動装置の装備、自動解結装置の装備などがあります。
 平成20年に後継の223系が投入され、下関地区に改番を行い転属し、活躍しています。

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クモハ115形式6500番代(クモハ115-6538)

種車はクモハ115-1501~及び高速化対応改造を受けた6500番代で、前者は5000番を加えています。車端部に車椅子スペース及びトイレの設備が追加されています。

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クモハ114形式6000番代・6500番代(クモハ114-6627)

モハ114-1001~を先頭車化改造したものは6000番代、モハ114-1001~に高速化対応改造を施し、6000番代とし、さらにブレーキてこ比を変更し500番を加えた車輛を先頭車化改造したものが6500番代になります。基本的な改造内容はほぼ同じですが、6000番代では霜取り用パンタグラフを増設しており、外観の違いともなっています。

下関地区用1000番代・1500番代
 上述の舞鶴線用6000番代、6500番代ですが、後継の223系5500番代が投入され余剰車となりました。そこで、下関地区へ転属させる事となり、この際に高速化対応改造の装備を解除する事になり、原番号から5000番を差し引かれた事によって派生した番代で、平成20年に登場しました。
 高速化対応改造装備の解除の他、自動解結装置の撤去、ワンマン運転に必要な機器の使用停止が行われています。

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クモハ115形式1500番代(クモハ115-1536)

クモハ115形式6500番代を改造したもので、車内設備等に大きな変化は見られません。原番号に復帰はしたものの、トイレ付など異端的存在となっています。

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クモハ114形式1000番代(クモハ114-1106)

クモハ114形式6000番代を改造したものです。写真の1106番のみが改造されました。霜取り用パンタグラフが残されたままなど、変わらない姿となっています。

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クモハ114形式1500番代(クモハ114-1625)

クモハ114形式6500番代を改造したもので、原番号から5000番が差し引かれています。なお、ブレーキてこ比を変更した500番はそのまま残されています。

伯備線・山陰本線用1000番代・1500番代
 平成13年に伯備線及び山陰本線直通の新見~西出雲駅を結ぶ列車をワンマン運転にするために登場したグループです。クモハ115形式+モハ114形式のユニットを改造し、2両編成としています。
 種車のモハ114形式1000番代は先頭車化改造が行われています。通常は貫通扉を付けますが、併結運転時に貫通路を使用しない事から非貫通の103系高運転台車のような運転台ユニットが接合されています。運転台機器は廃車発生品をリサイクルし、低コスト化を実現しています。主電動機冷却風取入れ口の雪切室が廃止され、運転台下から吸気する方法に変更しています。クモハ115形式には車椅子スペース、トイレが追加設置されています。
 両形式共通の改造内容では、ワンマン運転に必要な機器の搭載、電気指令式半自動機能化、体質改善40N工事が実施されています。
 

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クモハ115形式1500番代(クモハ115-1518)

モハ115形式1000番代を先頭車化改造したクモハ115形式1500番代を種車としたもので、車輛番号は変わっていません。車端部に車椅子スペース、トイレが設置され、半自動機能時の押しボタン設置など変化している部分は多いです。

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クモハ114形式1000番代(クモハ114-1117)

モハ114形式1000番代を先頭車化改造したグループで、車輛番号は種車の番号をそのまま引き継いでいます。先頭車化改造された運転台は非貫通、切妻形の独特なスタイルとなっています。霜取り用パンタグラフが1両を除いて増設されています。

岡山地区用1600番代
 平成16年に登場したグループです。当時、岡山地区の輸送力見直しのため4両編成を3両編成とする事になり、4両編成のモハ115形式に運転台を設置する事になりました。種車の原番号に600番を加えています。なお、一部の車輛は高速化対応改造を受けており、これを解除し原番号に戻した上で、原番号に600番を加えています。
 同地区にはクモハ114形式1000番代という非貫通形の車輛がありますが、当番代では再び貫通扉が設置されています。運転台は種車の構体に合わせたユニット状のものですが、運転台の位置がやや低めになっている特徴があります。雪切室は廃止され、代わりに運転台下部に空気取り込み口が設置されています。また、体質改善30N工事が実施されました。

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クモハ115形式1600番代(クモハ115-1711)

モハ115-1001~を先頭車化改造した車輛です。運転台位置がやや低く、おでこが広い、愛嬌のある顔が特徴です。原番号に600番を加えています。

体質改善車
 115系も113系と同じく、経年による老朽化、陳腐化が目立ち始めた事から国鉄時代では「特別保全工事」が実施されており、主に外板の補修や空気配管、主回路配線の取り替えが行われていました。
 しかし、後継の新型車輛が登場すると見劣りは否めず、新型車輛に合わせた接客設備の改善、部品共通化によるコストダウン、効率化を目的に平成10年より行われました。体質改善40N工事体質改善30N工事と113系と同内容の改善工事が実施されています。詳しくは113系をご覧下さい。
 115系ではこの体質改善車で、113系には見られなかった閑散地区用車体体質改善工事というものが実施されています。この工事は30N工事に近いのですが、内装ではなく外装の更新を施工するという内容で、内装は化粧板の交換、標記類の変更、車椅子スペースの設置のみが行われました。そして、この工事では異端車が登場していました。

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クハ115-165・218(クハ115-218)

閑散地区用車体体質改善工事の試作車的要素をもつ車輛です。内容はロングシートの撤去を行い、大型のクロスシートを設置。これに伴い、シートピッチを拡大させました。また、化粧板をこげ茶色のものに張り替えています。

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クハ115-219・622(クハ115-219)

屋根部分を張上げ(雨樋の埋没化)、化粧板の交換、標記類の変更をしただけのものです。