415系近郊形交直両用電車

諸 元

最大長  20000mm
最大幅  2900mm(鋼製車)、2950mm(ステンレス車)
最大高  3654mm(鋼製車)、3670mm(ステンレス車)
主電動機  MT54形式(120kw)
制御方式  直並列抵抗制御方式、弱め界磁制御方式
制動方式  発電ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキ
動力台車  DT21B形式(鋼製車)、DT50C形式(1500番代)
附随台車  TR62形式(鋼製車)、TR235C形式(1500番代)

車内設備など

座  席  セミクロスシート、ロングシート
乗降扉(片側)  3扉
便所の有無  あり
その他  

概要

 私たちが日常生活で使う電気は交流で、周波数が静岡県にある富士川で東西に異なり、東日本は50Hz、西日本は60Hzとなっています。鉄道における交流電化区間も同じで、交直両用電車の設計では使用する地域により、50Hzか60Hzを選び、同一構造や設計の車輛を2系列登場させていました。その第1号が常磐線(東日本)用401系、鹿児島本線(西日本)用421系です。この系列を基に急行形、特急形の交直両用電車が設計されますが、どちらも2系列が登場しました。
 交流電源の周波数が異なる事から、広域転配(東日本から西日本へ。又はその逆。)をする事が出来ない為、周波数を問わない(選択できる)車輛の設計が求められ、昭和43年に特急形では485系、583系が登場。昭和44年に急行形として475系が登場し、近郊形の登場が待たれました。
 そして昭和46年、403系、423系の統一車輛として415系が登場しました。近郊形交直両用電車の決定版で、様々なニーズに応える形でバリエーションが幾つか生まれています。

0番代(初期車)
 昭和46年に登場したグループ。車体は403系の最終増備車に準じたもので、非冷房車で登場したため、見た目はほぼ同じです。既存の近郊形交直両用電車と同じ、4両編成を基本編成としている他、制御車は偶数車と奇数車のペアで偶数車は上り方、奇数車は下り方の連結となる法則も継承しています。因みに制御車のクハ411形式が300番代から始まっている理由ですが、401系及び403系を411系に、421系及び423系を413系にそれぞれ変更し、制御車形式をクハ411形式に統一する計画があった為で、クハ401形式はクハ411形式0番代、クハ421形式をクハ411形式100番代とする計画でした。

クハ411-305(1位側) モハ414-1(1位側)

クハ411-301~306
クハ401形式と同じ構造の制御車です。非冷房時代は、運転台上の通風器が角型のタイプが載っていましたが、冷房化改造を行った際に押込み型に変更しています。
モハ414-1~3
主変圧器、主整流器など交流機器を搭載するパンタグラフ付き中間電動車です。内外装共にモハ402形式の最終増備車とほぼ同じとなっています。

モハ415-1(1位側)

モハ415-1~3
モハ414形式とユニットを組む中間電動車です。主制御器、主抵抗器などの直流機器を搭載しています。内外装共にモハ403形式と同じですが、電動発電機は単相交流100Vから三相交流440Vに変更しています。

0番代(後期車)
 別名「0’(ゼロダッシュ)」と呼ばれるグループで、初期車のマイナーチェンジ車です。同じ近郊形電車の113系や115系に見られる改良が施されています。冷房装置の標準装備化、隙間風対策としてユニットサッシ窓化、扇風機の廃止、乗務員環境改善では、乗務員室の拡大、ユニット化、踏切事故対策として前面構造強化が行われました。
 性能面などでは、モハ415形式に搭載されていた電動発電機(20kvA)を廃止し、冷房装置の電源も賄える160kvAの大型電動発電機をクハ411形式偶数番号車に搭載しました。冷房装置の引通し線の関係で片渡り構造となり、制御車は奇数向きと偶数向きに分けられています。
 公害対策等も実施されており、主変圧器に使用される絶縁油(冷却油)をPCB(ポリ塩化ビフェニル)からシリコン油に変更。防火対策では床材の難燃化や配管のダクト化が行われています。

クハ411-310(1位側) クハ411-323(2位側)

クハ411-307~339
乗務員室が拡大され、客室のユニットサッシ窓が特徴のグループです。1両だけ余分に製作されていますが、踏切事故で廃車となった421系の制御車の補充で新製されたもので、唯一の非冷房車でした。冷房装置が標準装備となっており、偶数番号車は床下に電動発電機を備え、その上の戸袋を風道とし、冷却風取入れ口があります。

モハ414-8(3位側) モハ415-8(3位側)

モハ414-4~19
モハ414-1~のマイナーチェンジ車。ユニットサッシ窓が特徴です。
モハ415-4~19
モハ415-1~のマイナーチェンジ車。ユニットサッシ窓になった他は外観に大きな変化は見られません。

100番代
 昭和53年に登場した番代で、近郊形電車の座席の大きさやシートピッチは昭和35年当時の標準的な体格を基準としたもので、時代にそぐわないものとなってきました。特にクロスシートの評判が悪く、改良が行われる事になり、113系や115系で実施され、415系も当番代で行われました。座席幅やシートピッチを急行形並みに拡大しています。
 この他の変化として、荷棚などのステンレス化や電磁弁、ブレーキ装置のユニット化などメンテナンス面での改良が行われました。

クハ411-116(2位側) クハ411-226(1位側)

クハ411-101~
奇数向きの制御車です。トイレを集約化する為、トイレは未設置となっています。床下には電動空気圧縮機を搭載しています。
クハ411-201~
偶数向きの制御車です。3位側にトイレを設置しています。トイレ窓は四角から小判型に変更されています。床下には電動発電機を搭載しています。写真はJR九州所属の車輛で、更新工事を行っており、ベンチレーター撤去、客室窓の固定窓化などが行われています。

モハ414-103(2位側) モハ414-127(1位側)

モハ414-101~
パンタグラフ付き中間電動車です。シートピッチが改善されたのに伴い、窓割りが変更されているのが特徴です。最終増備車の127番、128番はベンチレーターがFRP製の箱型のものとなっています。搭載されている機器類は0番代と同じです。

モハ415-101(2位側) モハ415-127(1位側)

モハ415-101~
モハ414-101~とユニットを組む中間電動車です。シートピッチ拡大により、窓割りが変更されています。最終増備車の127番、128番はベンチレーターがFRP製の箱型のものとなっています。

サハ411-2(2位側)

サハ411-1~
415系では初めての中間附随車です。常磐線の混雑緩和を目的に7両編成化が実施される事となり、昭和59年に当形式が登場しました。シートピッチが改善されたセミクロスシート車で、トイレの設備はなし。電動発電機、電動空気圧縮機を搭載しています。

500番代
 常磐線沿線人口増加に伴い、中距離電車の混雑緩和を図る為に昭和57年に登場した番代です。近郊形電車では初となるオールロングシート(トイレの対面のみクロスシート)の車輛で、100番代と比較すると定員は20%増加しています。車内は201系に準じたもので、クリーム地の化粧板にロームブラウンの暖色系を使った座席が配されています。
 この他の変更点として、屋根材を絶縁布からポリウレタン系樹脂を用いた塗り屋根に変更、外板の裾部にステンレスの使用。通風器をFRP製の箱型のものと経年劣化に対する対策を中心に行われています。機器類は100番代と同一ですが、定員(荷重)増に対応する為、台車の改良やバランスを取る為、一部機器の移設などが行われています。
 塗装色は近郊形交直両用電車の標準色である赤13号(ローズピンク、あずき色)と先頭車前面にクリーム1号の警戒色ですが、513番以降からは常磐線色とも言われるクリーム10号(クリーム色)をベースに青20号の帯を巻いた明るい塗装色に変更されています。

クハ411-503(1位側) クハ411-617(2位側)

クハ411-501~
奇数向きの制御車です。車内の座席はロングシートのみです。床下には電動空気圧縮機を搭載しています。
クハ411-601~
偶数向きの制御車です。3位側にトイレを設置しており、対面部のみクロスシートが配置されています。写真はJR九州へ転配された車輛です。青帯が濃いものとなっています。

モハ414-522(1位側) モハ415-517(1位側)

モハ414-501~
パンタグラフ付き中間電動車です。車内の座席はロングシートのみです。
モハ415-501~
モハ414-501~とユニットを組む中間電動車です。重量バランスを取る為、モハ414形式に搭載される蓄電池が本形式に搭載されています。

700番代
 常磐線混雑緩和、昭和60年に開催されるつくば科学万博(エキスポ’85)の観客輸送に対応する為、基本4両編成を7両編成に変更し、15両編成として輸送力増強を図る為、昭和59年に登場した番代です。
 500番代の車体構造、機器類関係をベースに設計し、車内は平天井に変更し、セミクロスシートとしました。車体色は500番代の途中から採用された常磐線色を採用しています。

クハ411-701(1位側) モハ414-707(1位側)

クハ411-701
中間車の形式しか存在しなかった本番代に平成元年に加わった奇数向き制御車です。サハ411-707を先頭車化改造したもので、電動空気圧縮機を搭載しています。
モハ414-701~
パンタグラフ付き中間電動車です。車端部はロングシートとなっています。床下機器は500番代に準じたものが搭載されています。

モハ415-719(4位側) サハ411-703(3位側)

モハ415-701~
モハ414-701~とユニットを組む中間電動車です。500番代で搭載されていた蓄電池はモハ414形式に戻しています。外観は500番代と同じです。
サハ411-701~
7両編成に組み込まれる中間附随車で、電動発電機、電動空気圧縮機を搭載しています。

1500番代
 在来の老朽化した車輛を置き換える為に昭和61年に登場した番代です。軽量で省エネルギー化が図れる軽量ステンレス製の車体が最大の特徴です。台車も軽量化されたボルスタレス台車を履いています。1500番代になった理由は、車内をオールロングシート(トイレ対面部、1700番代、クハ415-1901は除く。)を採用した事。500番代のモデルチェンジ車に相当する事から1000番を加え、1500番代にしたそうです。
 機器類は500番代に準じたものですが、電動発電機はブラシレス化し、出力を190kvAに向上。電動空気圧縮機の電動機を三相誘導発電機に変更し、三相交流による駆動方式に変更。圧縮空気の容量も1000リットルから2000リットルに変更しています。

クハ411-1534(1位側) クハ411-1513(2位側)

クハ411-1501~
奇数向きの制御車です。FRP製の前面など他系列とも思えるモデルチェンジ車ですが、415系の機器を使用しているので、同じ415系の仲間になります。車体は211系2000番代をモデルとしており、車内はロングシートです。

クハ411-1613(1位側) クハ411-1634(2位側)

クハ411-1601~
奇数向きの制御車です。3位側にトイレを設置しています。電動発電機、電動空気圧縮機などを床下に搭載しています。

クハ415-1901(1位側)

クハ415-1901
混雑緩和と着席サービス向上を目的に平成3年に登場した二階建て試作車です。奇数向きの制御車で、2階部分は2+3列。1階部分は2+2列の固定式クロスシート、平屋部分はクロスシートになっています。乗降時間がかかってしまうのが難点で、混雑時間帯を避けた運用が組まれるようになりました。意欲作ではあったのですが、増備される事も無く平成18年に廃車されています。しかし、この時に得られたデータは215系の設計に、車体構造はE233系の二階建てグリーン車の設計のヒントとして活かされています。

モハ414-1534(1位側) モハ414-1513(2位側)

モハ414-1501~
パンタグラフ付き中間電動車です。車体は211系2000番代に準じた設計となっており、機器類は500番代に準じたものとなっています。JR九州所属車は更新工事を受けており、ベンチレーター撤去等の変化が見られます。

モハ415-1534(3位側) モハ415-1513(2位側)

モハ415-1501~
モハ414-1501~とユニットを組む中間電動車です。直流機器を搭載しています。

サハ411-1601(1位側) サハ411-1701(2位側)

サハ411-1601
クハ415-1901の投入により、変則的になる8両編成とする為に製作された中間附随車で、平成3年に登場しました。車内はロングシートの構成。電動発電機、電動空気圧縮機を搭載しています。平成19年、クハ415-1901の引退に伴い、運命を共にしています。
サハ411-1701
昭和61年に編成の見直しが行われ、7両編成から4両編成2本に組み換えが実施されましたが、不足する先頭車の代替えとして製作されたのがこの車輛です。室内をセミクロスシートとする為、211系0番代をベースに設計された700番代のモデルチェンジ車に相当する唯一の車輛でした。

800番代
 石川県能登半島にある七尾線。大阪、名古屋方面からの特急列車の直通運転によるスピードアップ、普通列車の電車化を行うべく、電化開業を実施する事になりました。北陸本線が交流電化区間である事から交流電化としたかったのですが、地方交通線の七尾線。地上設備などを調べると交流電化を行うには大規模な改良工事が必要になる事が判明(※)しました。工事費用を抑え、既存の設備でも支障のない直流電化が選ばれる事に。しかし、北陸本線は交流電化である事から普通列車用の交直両用電車が必要になりました。
 交直両用電車はその構造などから車輛の中でも高価な存在。新製すると・・・。当時、福知山線などで活躍する特急「北近畿」号などには485系が使用されていました。全区間が直流電化であり、交流機器は不要。この交流機器を用いて・・・。種車は余剰となっていた113系があり、これを組み合わせれば交直両用電車が出来る。直流電車を交直両用電車に改造する事例は多数ありますが、どれも不随車化改造であり、電動車を交直両用電車に改造する前例のない、前代未聞の大改造が実施される事となり、この415系800番代が平成3年に登場しました。415系を名乗りますが、既存車とは全く異なる存在となります。
 改造は大がかりなもので、種車は113系0番代、800番代。各社共通では通風器の変更などの耐寒・耐雪構造の追加、モハ414形式になる車輛は重量のある機器を搭載する為に、台枠の強化、屋根上パンタグラフ部分の低屋根化改造などが行われました。車内は優等列車(急行「能登路」(現在は廃止))にも使用する事から、シートピッチ拡大、一部ロングシートの撤去、クロスシートをバケットタイプに変更が行われています。平成12年からは半自動機能を手動操作から電気式(ボタン操作)に変更しています。

※電気の性質で、流れる電気にある程度近づくと触れなくとも電気が流れます。この現象を難しい言葉で「空気絶縁の破壊」と言い、直流1500Vでは1.2m、交流20000Vでは2.0m以内に何かあると、空気絶縁の破壊が起こり、電気が流れてしまいます。この範囲を守る為には、嵩上げや線路を低くするなどの大規模な改良が必要になってしまうのです。

クモハ415-801(1位側) クモハ415-805(2位側)

クモハ415-801~
七尾方に位置する制御電動車です。クモハ113形式800番代を種車に改造したもので、415系では初めてのクモハ形式が登場しました。種車がモハ113形式を先頭車化改造したもので、窓割りが独特なものとなっています。801・802番の2両は種車が非冷房車であった為、冷房化改造も実施しています。WAU103形式分散型冷房装置を搭載しています。
車体色は写真の801番は登場から平成22年頃まで見られたもので、車体下部は能登地方の豊かな大地をイメージしたアスコットグレー、上部を能登の海をイメージしたバイオレットブルーとし、上下の境に波打ち際とさざ波をイメージしたオイスターホワイトの帯を配しています。平成22年以降は地域色に変更され、ワインレッド一色塗りとなりました。この色は輪島塗をイメージしたものです。

クハ415-807(1位側) クハ415-802(2位側)

クハ415-801~
金沢方に位置する制御車です。クハ111形式0番代、300番代を交直両用電車に改造したもので、クモハ415形式と比べると運転台が狭いタイプとなっています。改造は耐寒・耐雪構造の追加が主で、413系や475系などの異なる車種との併結運転が出来るように機能を追加しています。801・807番は113系時代に冷房試作車として製作された車輛で、冷房装置の位置が後位側に寄っているのが特徴です。

モハ414-802(1位側) モハ414-810(2位側)

モハ414-801~
パンタグラフ付き中間電動車です。モハ112形式0番代、800番代を改造したもので、もっとも大掛かりな改造を行いました。種車に交流機器を集中して搭載する為、種車の補助機器を撤去し、重量増に耐えられるよう台枠の強化、パンタグラフ部分の低屋根化改造を行い、主変圧器、主整流器など交流機器を搭載しています。
802番(800番代で最も古い車輛。モハ112-12(昭和39年製)を改造。)の塗装は平成22年頃まで見られたもので、中間車は車体上部を能登向田(こうだ)の火祭りをイメージしたロイヤルピンクとしています。この他、804番と810番は冷房試作車となった車輛が種車(804番はモハ112-55、810番はモハ112-18)となっています。




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