E231系一般形直流電車

諸 元

最大長  20000mm
最大幅  2950mm
最大高  3980mm
主電動機  MT73形式(95kw)
制御方式  IGBT素子VVVFインバータ制御方式
制動方式  回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ方式
動力台車  DT61系形式
附随台車  TR246系形式、ТR255A形式

車内設備など

座  席  ロングシート、クロスシート(近郊形)
乗降扉(片側)  4扉、2扉(グリーン車)
便所の有無  あり(近郊形)
その他  

概要

 JR東日本では首都圏輸送に使用する車輛として約8000両の通勤形、近郊形電車を国鉄より引継ぎました。これら車輛の老朽化、陳腐化が目立ち始め、早急な置換えを行う必要がありました。そこで従来の方法を根本から見直した次世代車輛の開発を始め、平成4年に901系試作車を登場させ、翌年に量産車に当たる209系を登場させました。
 209系で生まれた技術を基に、更なる省エネルギー化、メンテナンスコスト削減を図ると共に、同社が開発した運行制御システムを採用した209系950番代が製作され、その量産車にあたるのがE231系で、平成12年に登場しました。
 E231系の特徴の一つに、従来では基本設計やシステムがほぼ同じでありながらも、仕様が異なると別系列としていましたが、本系列では通勤形と近郊形を統一し、名称を
一般形電車と呼ぶようになりました。
 車体は混雑緩和を図る為に2950mmの拡幅車体を採用(地下鉄仕様車は除く。)、通勤形、近郊形共にステンレス製片側4扉(グリーン車は2扉)としています。車内はロングシートを基本とし、近郊形にはクロスシートも用意しました。209系と同じく、製造メーカーによる差異は多少はあるものの、同一仕様となっています。
 性能面では209系を進化させたものとなっており、運転最高速度120km/hを可能とする新設計のMT73形式主電動機、降雪時に着雪面積が少ないPS33系シングルアーム式パンタグラフを採用しています。
 性能面で大きく変わったのは制御システムです。非常ブレーキ、直通予備ブレーキ等保安上欠かせないものは従来通り、独立していますが、主回路やブレーキの制御、空調などサービス機器の制御などを行う情報管理システム「
TIMS(てぃむす:Train Information Management System)を開発、採用しました。
 このTIMSの前身である、209系に採用されたMON8形というシステム。こちらも制御伝送装置ですが、対象とする機器から情報を集約し、運転室にあるモニタ装置に表示する機能に留まっていました。これを進化させたのがTIMSであり、高速データ通信技術を用いた事により、編成の一括制御が可能となりました。車輛の加減速の適正管理、室内設備、保守や点検などを一つのシステムとして統合し、管理します。合わせて、各機器の自己診断機能や動作等の履歴を記録する事により、メンテナンスの自動化、迅速化、簡素化といった事が同時に実現しました。また、引通し線などの配線の大幅な削減が実現し、209系と比べると約80%と大幅な削減が行われ、コスト面、軽量化に大きく寄与しています。
 E231系で採用された技術は自社だけでなく、他社にも大きな影響をもたらし「標準車輛」として、相模鉄道や東京急行電鉄などでE231系の設計を採り入れた車輛が登場しています。

通勤形
 209系とほぼ同じ構成のグループ。正面強化構造やシールドビームの採用など共通する点が多くあります。車内はロングシートで、一部の車輛に車椅子スペースが設置されています。

900番代
 JR東日本の新系列電車第1号として、平成4年に901系が登場し、量産車の209系、近郊形のE217系、交直両用電車としてE501系が登場し、新系列電車の基礎が出来上がりました。その間に新しい技術開発も並行して行われ、その成果を第2世代車輛に採用する事を目的に、平成10年に209系950番代が登場しました。インバータ制御装置はE231系で通勤形、近郊形に採用された2種類が試用され、戸閉装置の試用なども行われました。
 性能試験から営業運転での試用を経て、平成12年に量産車となるE231系0番代が登場しました。この際、209系950番代はE231系に編入され、E231系900番代に改番しています。

クハE230-901(1位側) クハE231-901(2位側)

クハE230-901
三鷹方10号車に位置する偶数向き制御車です。元、クハ208-951。209系500番代に似ていますが、前面FRP部分は銀色、乗務員室扉をラインカラーにするなど印象が異なります。
クハE231-901
千葉方1号車に位置する奇数向き制御車です。元、クハ209-951。前位側台車には留置用に用いる駐車ブレーキが装備されています。

モハE230-902(2位側) モハE231-901(4位側)

モハE230-901・902
元、モハ208-951、952。4号車、9号車に位置する中間電動車です。電動空気圧縮機、SIV装置を搭載しています。
モハE231-901
元、モハ209-951。3号車に位置するパンタグラフ付き中間電動車です。VVVFインバータ制御装置は日立製作所製の2レベルインバータ制御装置で、量産車では近郊形に採用されています。

モハE231-902(4位側) サハE231-902(2位側)

モハE231-902
元、モハ209-952。8号車に位置するパンタグラフ付き中間電動車です。VVVFインバータ制御装置は三菱電機製の3レベルインバータ制御装置で、量産車では通勤形に採用されています。
サハE231-901~903
元、サハ209-951~953。2、6、7号車に連結されている中間附随車です。本番代の空調装置はAU725形式集中式冷房装置ですが、TIMSにより全自動制御されており、カレンダー機能を用いて四季の認識、室内外の温度及び湿度、乗車率などのデーターから冷房、暖房、除湿、送風の4つのモードより選択、車内を最適にするよう制御しています。

サハE230-901(2位側)

サハE230-901
元、サハ208-951。5号車に位置する片側6扉構造の中間附随車です。近郊形では設定されていない形式で、通勤形のみ量産車が登場しています。

0番代
 900番代の試用結果を受けて、平成12年に登場した量産車に相当するグループ。車内は209系とほぼ同じですが、荷棚やつり革の使い勝手を良くする為に、高さを下げるなどの僅かな変化があります。

クハE230-40(1位側) クハE231-64(1位側)

クハE230-1~
三鷹・上野方に位置する偶数向き制御車です。車端部に車椅子スペースが設置されているなど、試作車とほぼ同じつくりとなっています。
クハE231-1~
千葉・取手方に位置する奇数向き制御車です。常磐快速線の車輛は電気連結器の装備がある他、車外スピーカー設置の準備工事が行われています。(総武・中央緩行線でも3本ほど存在。)

モハE230-43(4位側) モハE231-140(2位側)

モハE230-1~
電動空気圧縮機、SIV装置を搭載する中間電動車です。
モハE231-1~
VVVFインバータ制御装置を搭載するパンタグラフ付き中間電動車です。モハE231-902のVVVFインバータ制御装置を採用しています。

サハE231-216(1位側) サハE230-11(2位側)

サハE231-1~
10両編成中、総武・中央緩行線は3両、常磐快速線では4両(付属編成5両は1両)連結されている中間附随車です。総武・中央緩行線では編成の見直しが行われ、廃車された車輛もあります。
サハE230-1~
総武・中央緩行線の編成に連結されていた6扉車の中間附随車です。編成内容変更、ホームドア設置の為、廃車され形式消滅しています。

500番代
 山手線に使用されている保安装置の老朽化に伴い、平成17年から新しい保安装置(デジタルATC(D-ATC))の導入が決定され、対応する車輛が必要となった事から平成14年に本番代が登場しました。既存車との変更点が多い事から番代区分されました。
 先頭車前面では前部標識灯が猫目(キャッツアイ)に変更され、印象が変わりました。また、行先表示は従来は「山手線」と路線名のみでしたが、区間毎に主要駅方面表示に変更(上野・東京方面といった具合)し、サービス向上を図っています。
 車内も大幅なサービス向上が図られており、常磐快速線で採用された情報提供装置(VIS)を搭載しました。これは乗降扉上部にLED表示器に代わり、液晶ディスプレイを2基設置し、行先案内や次駅案内など運行に関わる案内の他、ニュースや天気、コマーシャルといった各種情報を表示するものです。
 制御面などでは編成構成を運転性能向上を図る為、6M5Тとしています。電気ブレーキは停止するまで作用する純電気ブレーキを採用しました。
 平成26年にE235系への置換えが決定、令和2年に山手線からは引退し、現在は総武・中央緩行線で活躍をしています。

クハE230-544(1位側) クハE231-507(2位側)

クハE230-501~
本系列では初めてのATC車です。運転台は0番代を基本としていますが、TIMS表示器の準備工事、VIS装置の追加による変更が行われています。
クハE231-1~
クハE230-501~と同一構造の制御車。奇数向きとなる為、形式が分けられています。

モハE230-516(2位側) モハE231-527(3位側)

モハE230-501~
電動空気圧縮機、SIV装置を搭載する中間電動車です。10両編成及び11両編成中、3両連結されていますが、1両のみ容量に余力がある事から、搭載せず準備工事となっており、不随車のような外観となっています。
モハE231-501~
VVVFインバータ制御装置等、主回路機器を搭載するパンタグラフ付き中間電動車です。

サハE231-549(3位側) サハE230-557(4位側)

サハE231-501~
山手線時代は5号車に位置していた中間附随車です。当初はTIMS機器のみの搭載でしたが、ホームドア設置に伴い、車輛側には定位置停止装置(TASC(タスク))を装備する事に。このタスクとは、運転士のブレーキ操作を補助するもので、停止位置に確実、かつ正確に停止させるよう、設定されたブレーキパターンと速度を参照にブレーキをかけるシステムです。このタスク導入により、圧縮空気の使用量が増える事から電動空気圧縮機を追加で搭載しています。
サハE230-501~
山手線時代は7号車、10号車に位置していた片側6扉構造の中間附随車です。7号車に位置する車輛には三相誘導電源装置が搭載されています。山手線各駅にホームドア設置が決定し、6扉車は廃車が決定。廃車の際、台車、ブレーキ制御装置、空調装置など使用可能な機器類はサハE231-601~に再利用されています。平成23年に廃番代となりました。

サハE231-604(2位側) サハE231-4638(1位側)

サハE231-601~
山手線各駅のホームドア設置に伴い、廃車となるサハE230-501~(6扉車)の代替として平成22年に登場したグループです。車体構造は当時増備が行われていたE233系がベースになっており、乗降扉の位置などの寸法をE231系に変更しています。サハE230-501~から発生した台車、ブレーキ制御装置、空調装置などを再利用している特徴があります。
サハE231-4601~
サハE231-601~と一緒に登場したグループです。こちらは10号車に位置する車輛で、前位側の窓配置が特徴です。これは、品川~田端駅間でホームドアを設置した際、並行する京浜東北線のE233系1000番代にドア位置を共用する際、ドア位置を本形式で合わせた為です。この為、座席配置が変則的なものとなっており、特徴の1つとなっています。
 山手線からE231系が引退するのに合わせて、本形式は後継となるE235系に編入され、E235形式4600番代に変更されています。全車輛が変更され、廃番代となっています。

800番代
 総武・中央緩行線と営団地下鉄(現:東京メトロ)東西線相互乗り入れ用の103系(1000番代、1200番代)及び301系の置換えを目的に平成15年に登場したグループで、E231系の地下鉄仕様車になります。
 車体は千代田線乗り入れ用で活躍する209系1000番代に同様の地下鉄仕様車としており、先頭車前面には非常時用貫通扉が備えられるなど、運転台レイアウトは似たものとなっています。
 なお、800番代は国鉄時代は狭小トンネル対応車を意味していますが、本番代はそれとは関係がありません。

クハE230-805(1位側) クハE231-801(2位側)

クハE230-801~
三鷹方の偶数向き制御車です。地下鉄線内を走行する関係から拡幅車体ではないのが特徴です。主幹制御器はデッドマン機能付きとなっています。
クハE231-801~
西船橋方の奇数向き制御車です。クハE230-801~と同じ構造となっています。

モハE230-818(4位側) モハE231-818(4位側)

モハE230-801~
3、6、9号車に位置する中間電動車です。電動空気圧縮機、補助電源装置を搭載していますが、6号車の車輛は電動空気圧縮機は余裕がある事から搭載されていません。
モハE231-801~
2、5、8号車に位置するパンタグラフ付き中間電動車です。VVVFインバータ制御装置を搭載しています。

サハE231-813(4位側)

サハE231-801~
4、7号車に位置する中間附随車です。自車のTIMS機器のみ搭載されています。

3000番代
 八高線・川越線で活躍する205系3000番代、209系3000番代の置換えを目的に平成30年に登場したグループです。総武・中央緩行線に投入された500番代の玉突きにより、余剰となった0番代を種車としています。
 改造内容は半自動機能の追加など寒冷地対策、機器更新が主なものとなっています。ラインカラーはオレンジ色とウグイス色の組み合わせに変更されています。

クハE230-3006(2位側) クハE231-3002(2位側)

クハE230-3001~
八王子・高麗川方の偶数向き制御車です。クハE230-1~を改造したもので、車内の暖房強化、半自動機能の追加等が行われています。写真はワンマン運転に伴い、安全確認カメラや車外スピーカーが増設された現在の姿です。
クハE231-3001~
高麗川・川越方の奇数向き制御車です。クハE231-1~を改造したものです。写真はワンマン運転以前の様子です。

モハE230-3006(3位側) モハE231-3006(4位側)

モハE230-3001~
モハE230-1~を改造したものです。電動空気圧縮機、SIV装置を搭載しています。
モハE231-3001~
モハE231-1~を改造したものです。パンタグラフ、VVVFインバータ制御装置を搭載しています。

近郊形
 東北本線(宇都宮線)及び高崎線で活躍する115系を置き換える為に平成12年に登場したグループです。その後、東海道本線の113系の置換えも目的になりました。
 近郊形は通勤形と比べ、車体構造を大きく変更している特徴があります。まず、踏切事故対策としてE217系で採用された衝撃吸収構造を採用した他、運転台を通勤形よりも高くし、遠方からの視認性向上を図る為、前部標識灯(ヘッドライト)は屋根上に近い位置で左右に配し、シールドビームではなく、HID灯(high Intensity discharge lamp:高輝度放電灯)を採用しました。(現在はLED灯に変更)この変化により、通勤形とは他系列と思うほどの違いとなっています。
 運用範囲が北関東地域が含まれる為、寒冷地仕様となっており、半自動機能を装備しています。車内はロングシートを基本としつつ、クロスシートも備えています。性能面では機器の形式が異なるものの、ほぼ同じですが、勾配区間もある事から、抑速ブレーキが追加されています。
 車輛の番代区分も近郊形の特徴となっており、構造や設備の違いで加えられる番号が異なっており、下記の通りとなっています。
耐寒・耐雪構造を有する・・・+1000番
セミクロスシート仕様・・・+2000番
トイレ、衝撃吸収構造のいずれか一方又は両方を有する・・・+5000番
座席仕様の異なるユニットを構成する・・・+500番
全ての車輛が耐寒・耐雪構造ですから、最小番号は1000番(番代)となります。

クハE230-6034(2位側) クハE230-8022(1位側)

クハE230-6001~
付属編成の熱海方に位置する制御車です。車内はロングシートで、後位側に車いす対応の大型トイレ、車椅子スペースが設置されています。
クハE230-8001~
基本編成の熱海方に位置する制御車です。このグループのみ、自動解結装置及び電気連結器を装備していません。車内はセミクロスシート、後位側に車いす対応の大型トイレ、車椅子スペースが設置されています。

クハE231-6006(2位側) クハE231-8048(1位側)

クハE231-6001~
基本編成の黒磯・高崎方に位置する制御車です。車内はロングシートで、後位側に車椅子スペースが設置されています。
クハE231-8001~
付属編成の黒磯・高崎方に位置する制御車です。車内はセミクロスシートで、後位側に車椅子スペースが設置されています。平成16年より製造された車輛は運転台のグラスコックピット化が行われています。

クハE231-8519(1位側) モハE230-1057(2位側)

クハE231-8501~
国府津車両センターに所属する基本編成の東京方に位置する制御車です。8000番代と同じですが、車いす対応の大型トイレを設置した為、番代区分が行われています。車内はロングシートです。
モハE230-1001~
車内がロングシートの中間電動車です。電動空気圧縮機、SIV装置を搭載しています。通勤形と同じですが、耐寒・耐雪構造を有しているので1000番代となっています。

モハE230-1505(4位側) モハE230-3522(4位側)

モハE230-1501~
国府津車両センターに所属する基本編成の8号車に位置する中間電動車です。車内はロングシートで、モハE231-3501~とユニットを組みます。
モハE230-3501~
車内がセミクロスシートの中間電動車です。

モハE231-1057(2位側) モハE231-1533(3位側)

モハE231-1001~
車内がロングシートのパンタグラフ付き中間電動車です。VVVFインバータ制御装置、補助蓄電池を搭載しています。
モハE231-1501~
モハE231-1001~と同じロングシートの車内となるパンタグラフ付き中間電動車です。ユニットとなるモハE230形式の座席が異なる為、番代区分されています。

モハE231-3505(4位側) サハE231-1072(3位側)

モハE231-3501~
国府津車両センター所属の編成に連結されているパンタグラフ付き中間電動車です。車内はセミクロスシートの座席配置となっています。
サハE231-1001~
サハE231-1~に耐寒・耐雪構造を施した、車内がロングシートの中間附随車です。

サハE231-3020(4位側) サハE231-6036(1位側)

サハE231-3001~
車内がセミクロスシートの中間附随車です。自車のTIMS機器、ブレーキ制御装置が搭載されています。
サハE231-6001~
車内がロングシートで、後位側にトイレの設備を持つ中間附随車です。トイレの向かいは2人掛けのクロスシートが配置されています。

サロE230-1002(1位側) サロE231-1052(4位側)

サロE230-1001~
平成16年に開業した湘南新宿ラインの際に登場した二階建てグリーン車です。前位側に車掌室、業務用室を備えています。当初はグリーン車の台車のみヨーダンパを備えていましたが、乗心地に影響を与えない事から現在は外されています。
サロE231-1001~
サロE230-1001~とペアとなる二階建てグリーン車です。後位側に洋式トイレ、洗面所を備えています。




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