719系近郊形交流電車

諸 元

最大長  20000mm
最大幅  2966mm
最大高  4190mm(狭軌)、4250mm(標準軌)
主電動機  MT61形式(130kw)
制御方式  サイリスタ位相制御
制動方式  回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキ制御方式、抑速ブレーキ、耐雪ブレーキ
動力台車  DT32形式(狭軌)、DT60形式(標準軌)
附随台車  TR69形式(狭軌)、TR245形式(標準軌)

車内設備など

座  席  セミクロスシート
乗降扉(片側)  3扉
便所の有無  あり
その他  

概要

 国鉄からJR東日本へと移行した昭和62年。当時の仙台地区においての通勤・通学輸送は455系急行形電車を中心とした、2扉クロスシート車でした。混雑時間帯では乗降に時間を要し、列車遅延の原因となっていたほか、日中帯の閑散時間帯は最小編成が3両編成で、これ以上短編成化出来ない問題がありました。加えて、老朽化、陳腐化も進み、利用者の苦情が多く寄せられていました。
 そこで、利用者の声に応えられる車輛として平成元年に登場したのが719系です。クモハ719形式+クハ718形式の2両編成を基本とし、最大4ユニット8両編成まで対応が可能となっています。車体は211系を基本とし、半自動機能が付いた片側3扉のステンレス製車体となっています。但し、窓配置は変更されている他、パンタグラフ部分は仙山線の狭小トンネルに対応する為、低屋根構造になっています。また、増解結を容易にする為、電気連結器、自動解結装置を備えています。後に登場するE721系との併結運転も可能となっています。
 車内はセミクロスシートで、クロスシート部は集団見合い型の配置となっています。転換式ではなく、固定式です。ホームが旧規格(汽車ホーム)が多くある為、乗降口にはステップ設置されています。この他の特徴として、台車、パンタグラフを485系の廃車発生品を用いています。
 制御方式は国鉄が製作した713系で実績のあるサイリスタ位相制御を採用。直流電車に多く見られる抵抗制御方式とは異なり、滑らかな加速が可能で、電力の損失も少ない利点があります。乗心地の良さで多くの人々に好評でしたが、この制御方式の採用が引退を早めるきっかけの一つとなっています。
 ステンレス製車体であり、比較的長寿となる所ですが、台車やパンタグラフの劣化が進んだ事、制御方式のサイリスタ位相制御は他に採用例が少なく、必要な部品などの調達が難しくなってきた事。設備面では乗降口のステップがバリアフリーに対応出来ない事から、後継車種となるE721系1000番代に置き換えられ、0番代は令和2年に引退しました。現在、5000番代が活躍しています。
 

0番代(在来線仕様)
 上述の通り、平成元年に登場したグループです。仙台支社管内の東北本線、常磐線、磐越西線などで活躍しました。一部の車輛は秋田支社へ転出して活躍していた時期がありました。。

クモハ719-13(1位側) クモハ719-30(2位側)

クモハ719-1~
青森・山形・喜多方方のパンタグラフ付き制御電動車です。主要機器の殆どを搭載しています。台車は485系からの廃車発生品であるDT32形式を履いています。211系ベースの車体ですが、戸袋窓が運転台直後にある他、乗降扉間の3枚窓、前面は助手側が眺望性確保の為拡大されている等、異なるデザインとなっています。写真左は磐越西線用であかべぇのイラストが見られます。また、シングルアーム式パンタグラフに変更しています。

クハ718-21(1位側) クハ718-1(2位側)

クハ718-1~
黒磯・仙台・郡山方の制御車です。後位側にトイレが設置されています。床下には電動空気圧縮機を搭載しています。台車は485系廃車発生品のTR69形式を履いています。

5000番代(山形新幹線用)
 平成3年の山形新幹線開業に伴い、奥羽本線福島~山形駅間が改軌され、その区間の普通列車用として登場したグループです。JRグループでは初めての在来線標準軌用車輛となります。
 基本的には0番代と同じですが、400系新幹線電車と部品を共通化する事になり、台車は標準軌用のボルスタレス台車、パンタグラフも下枠交差式のものへと変更されています。

クモハ719-5010(2位側) クハ718-5007(1位側)

クモハ719-5001~
山形方のパンタグラフ付き制御電動車です。写真は平成14年以前の姿で、同年以降シングルアーム式パンタグラフに変更し、排障器もスノープラウ一体型の強化タイプに換装されています。
クハ718-5001~
福島方の制御車です。0番代をベースにしていますが、乗降扉のステップが廃止されており、裾廻りが異なります。

700番代(フルーティアふくしま)
 平成27年に催された福島ディスティネーションキャンペーンに合わせて登場した観光列車です。
 「走るカフェ」がコンセプトで、福島県産フルーツなどを使用したオリジナルスイーツやフルーツジュース、コーヒーなどが振る舞われました。愛称の「フルーティア(FruiTea)」は果物を意味する「Fruit」と基本コンセプトにある「カフェ」から連想されるお茶を意味する「Tea」を組み合わせた造語です。
 車体は赤瓦や黒漆喰壁、明治、大正時代の西洋モダンが織り成す独特の町並みと雄大な自然との調和を表現した塗装とし、乗降扉は運転台直後の1ヶ所を残し、他を埋める改造が行われました。車内も明治・大正時代の近代建築、会津漆器の質感をイメージしたデザインとしています。
 磐越西線を中心に活躍しましたが、老朽化により令和5年に引退、廃車となっています。

クモハ719-701(1位側) クシ718-701(2位側)

クモハ719-701
クモハ719-27を改造した2号車となる車輛。座席は4人掛けボックスシート6組、2人掛けボックスシート4組、1人掛けシート4席の定員36名に変更。乗務員室直後に荷物置き場、後位側にフリースペースとベンチを設置しています。
クシ718-701
クハ718-27を改造した1号車となる
制御食堂車。この「クシ」は国鉄を通じて初めてとなる形式記号です。カフェカウンター車と呼ばれ、天板に人工大理石を用いたカフェカウンターが設置され、後位側にカウンター席6席を配置。(定員は0名)トイレは温水洗浄便座付きの洋式トイレに変更し、パウダールームも設置されています。また、連結面の貫通扉は自動扉に変更されています。




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