0番代・300番代(1次車・オールクロスシート車)
平成11年に登場した、東海道本線で運用される「新快速」などに使用されるオールクロスシートのグループです。4両編成は0番代、2両編成は300番代となっています。転換式クロスシートを使用していますが、車端部及び乗降扉付近は固定式となっています。
1000番代・1500番代(1次車・クロス&ロングシート車)
中央本線名古屋口向けのグループです。4両編成を1000番代、3両編成を1500番代としています。0番代、300番代と同じく転換式クロスシートを使用(乗降扉付近は固定)していますが、車端部をロングシートとしています。なお、トイレのある制御車(Tc’1)にはロングシートが無いため、0番代のクハ312-1~が使用されています。
3000番代(1次車・セミクロスシート車)
中央本線(西線)、身延線、御殿場線など向けのセミクロスシート仕様のグループです。列車密度が少ない線区では回生ブレーキが失効する(一つのセクション内で力行する列車がない)事が考えられる事から、回生ブレーキと発電ブレーキを併用するシステムを採用しています。回生ブレーキが失効した際に空気ブレーキと発電ブレーキでブレーキ力を補うブレンディング制御方式が採用されており、回生効率向上と、失効時の衝動を抑制しています。
閑散線区での運用である事から、多くの車輛がワンマン運転対応の機器が搭載されています。
8000番代(1次車・2次車 セントラルライナー)
平成11年に登場した番代で、名古屋~中津川駅間で運転を開始した優良定員制快速列車「セントラルライナー」用の車輛です。基本編成は3両編成となっており、車内はオール転換式クロスシート、車端部はセミコンパートメント風のテーブル付きボックスシートが配され、シートピッチの拡大など各部がグレードアップされています。塗装もシルバーメタリックにコーポレートカラーのオレンジ色をグラデーションストライプでまとうという独特のものとなっています。
平成25年に運行が終了し、現在はホームライナー号などに活躍をしています。
1100・1600番代(3~5次車・クロス&ロングシート車)
平成18年に増備されたグループ。3次車でマイナーチェンジが行われました。この後紹介する各番代に共通して、多数の変更が行われています。
3次車では、行先表示器が前面、側面ともに幕式からフルカラーLEDに変更。前部標識灯も白熱灯から、運転台窓下のものはHID灯(高輝度放電灯)、貫通扉上部にあるものは超高輝度白色LEDに変更しました。車内では車輛間の貫通扉を傾斜式戸閉装置に変更し、ドアが自ら閉まるようにしました。冷房装置はオゾン層破壊係数0の新冷媒を使用したC-AU715形式に変更。トイレでは車椅子での利用し易さを考え、拡大及び自動扉に変更。これに伴い、対面の座席を廃止しています。
機器類では、3両編成以上の初期車ではクハ312形式に2000リットル/minの電動空気圧縮機を搭載していましたが、冗長性確保を目的にクハ312形式、サハ313形式及び3両編成に連結されるモハ313形式に1000リットル/minの電動空気圧縮機を分散搭載する事になりました。ブレーキでは純電気ブレーキを採用し、ほぼ回生ブレーキのみで停止させるようにしました。(発電ブレーキを併用する場合は従来通り。)
4次車では基本的には3次車とほぼ同じですが、貫通扉の機構を再び水平式に戻したほか、避難用はしごを収納、設置、自動放送において、非常ブレーキが扱われた際に「急停車します。ご注意ください。」の追加などが行われました。
5次車は最終増備車のグループです。大きな変更点は客室照明を蛍光灯からLED蛍光灯に変更し、消費電力を抑える、省エネの変更を行いました。
この1100番代、1600番代は1000番代、1500番代の後継にあたり、1100番代は4両編成、1600番代は3両編成となっています。
1700番代(3次車・飯田線仕様車)
飯田線から長野駅までを結ぶ快速「みすず」号の置換え用として平成19年に登場したグループです。1600番代(1000番代系)とは仕様が異なるため、新番代としています。寒冷地での運用である事から、半自動機能、霜取り用パンタグラフの装備などが行われたほか、列車密度が低い線区である事から発電ブレーキの装備、急勾配の空転、滑走対応として、セラミック噴射装置が装備されています。その他は1600番代とほぼ同じとなっています。制御車はクハ312-401~を使用していますが、仕様が異なっています。
2000番代(3次車・静岡地区向け車輛)
平成18年に登場したグループで、東海道本線、身延線、御殿場線など静岡地区で運用する車輛です。ロングシート仕様の211系5000番代、6000番代と同じく、この番代もロングシート仕様となっています。基本編成は2両編成の2300番代、3両編成の2500番代、2600番代の3種類があります。
寒冷地も走行する事から半自動機能(押しボタン式)を装備している他、他のロングシート車では見られない、スタンションポールが設けられています。
3100番代(3次車・セミクロスシート車)
3000番代のマイナーチェンジ車に当たるグループです。機器構成、室内構成は同じで、当初より霜取り用パンタグラフが搭載(2基搭載)である点が異なっています。
5000番代(3・4次車・オール転換クロスシート車)
東海道本線の快速列車を主体に運用する6両編成のグループです。0番代のマイナーチェンジ車に当たり、車内はオール転換クロスシートで、車端部や乗降扉付近の座席も転換できるようになりました。デッキ部には仕切りが設置されています。この番代の最大の特徴は高速域での乗心地向上を図るため、在来線車輛では初の試みとなる車体間ダンパーとセミアクティブ制振制御装置を装備しました。これは、同社の700系新幹線電車で実用化されたものです。
その後、4次車で5000番代が増備されたほか、増結用として2両編成の5300番代が登場しました。この5300番代では車体間ダンパーやセミアクティブ制振制御装置は付いていません。
1300番代(4・5次車 クロス&ロングシート車)
1000番代では初めての2両編成仕様で平成22年に登場しました。ワンマン運転対応準備工事車と対応した2つの種類があるほか、半自動機能時の押しボタンをキハ25系と共通のものとしたなど細やかな違いがあります。