諸元
全 長  20000mm
全 幅  2903mm
全 高  4090mm
主電動機 MT54形式(120kw)
制御方式 直並列抵抗制御方式、直並列組合せ弱め界磁制御方式
制動方式 発電ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキ方式、抑速ブレーキ(163系を除く)
動力台車 DT32系 不随台車 TR69系

車内設備など
座 席 クロスシート
乗降扉 片側2扉
トイレ あり
洗面所 あり

 国鉄初の急行形直流電車として昭和33年に153系(モハ91系)が登場。東海道本線を主に活躍を始めました。一方、電化区間も徐々に拡大しており、電車を用いた急行列車の運転も計画されました。こうして、153系の活躍の場は拡がるか期待されていましたが、主電動機の出力が100kwと非力なため、急勾配線区での出力不足。(例として、山陽本線瀬野~八本松駅間では6M6T編成では出力不足のため補助機関車を連結して運転していました。)また、降雪地域など寒冷地仕様が不十分であったため153系の投入には問題がありました。
 1960年代になると主電動機の高出力化する取り組みが行われ、MT54形式120kw主電動機が開発されました。この主電動機を採用し、主制御器は451系や471系で採用されたものをベースに、157系で実用化した抑速ブレーキを組み合わせたCS15A形を開発。これらを組み合わせて昭和38年に153系の勾配線区向けとして位置付けられる165系が誕生しました。その後、165系を平坦、暖地向け高出力タイプとして163系の計画がされましたが、中間不随車(グリーン車)のみの製造で終了しています。
 165系の基本構造は153系とほぼ同じ。編成では153系は制御車を両端に電動車ユニットを挟んだ4両編成が最小でしたが、165系では4両編成の他、地方線区でも使用出来るよう、制御電動車を加え3両編成(Mc+M’+Tc)を最小編成とする2つの基本編成をもち、そこにグリーン車やビュッフェ車など不随車を加える構成としています。
 制御車はクハ153形式500番代という踏切事故対策を施したデザインを採用しています。この他、中間車は普通車、グリーン車、ビュッフェ車が用意されました。塗装は153系と同じ、黄かん色と緑2号の湘南色としていますが、識別のため制御車については運転台側前面にも緑2号が回り込んでいます。
 勾配線区の多い中央本線や上越線などをはじめ、直流電化区間の多くで急行列車に活躍し、新幹線開業の影響で徐々に急行列車の運用が無くなり、普通列車へと転用されていきます。JR発足後は東日本、東海、西日本へ継承され、一部は急行列車として活躍していました。晩年は普通列車や団体や臨時列車用として活躍。JR東日本は平成15年、JR東海は平成11年に営業運転は終了し、1両だけグリーン車が籍を残していましたが、平成20年に廃車。JR西日本は平成14年にそれぞれ消滅しています。

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クモハ165-1~55(クモハ165-1)

主回路機器を搭載する制御電動車です。非冷房で登場し、後に冷房化された車輛もあります。モハ164形式とユニットを組みます。重い車輛であるため、編成では麓側に連結される事が多くありました。

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クモハ165-56~(クモハ165-78)

後期となる車輛ではマイナーチェンジを行っており、雨樋の延長などが行われています。前部標識灯(一般的にはヘッドライト)は大型のタイプでしたが、シールドビーム化した車輛もあります。122番までは初期車、123~125は冷房準備車、126~141までは冷房新製車として登場しています。

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クハ165-1~45(クハ165-1)

本系列の制御車です。非冷房車時代は奇数、偶数どちらでも使用が可能でした。また、中間不随車の代用で編成に組み込まれる例もありました。

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クハ165-46~(クハ165-195)

46番以降は雨樋が延長されるなどのマイナーチェンジ車になります。155番まで初期車(非冷房車)、156~190まで冷房準備車、191~206までが冷房新製車となっています。写真はJR東日本に在籍していたムーンライト用の車輛です。(最終塗装)

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モハ164-1~(モハ164-1)

クモハ165形式又はモハ165形式とユニットを組むパンタグラフ付き中間電動車です。MG(電動発電機)やCP(電動空気圧縮機)など補助機器を搭載した中間電動車です。69番以降はCP出力を向上させています。

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モハ164-801~(モハ164-806)

中央本線(東線)などに存在する狭小トンネルに対応したグループで、パンタグラフ部分を低屋根化しています。パンタグラフ横にルーバーが設置されており、外観の特徴にもなっていました。

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モハ164-846~(モハ164-849)

846~848の3両は冷房準備車として登場。849~864は冷房新製車となっています。冷房装置搭載により、ベンチレーターの配置が変更されたほか、低屋根部にある通風口は廃止されており、外観の特徴の一つとなっています。

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サハ165-1~11(サハ165-9)

昭和44年に山陽本線急行列車増発に伴い登場した形式。モハ165形式と同じ車内設備となっています。冷房新製車で登場しており、床下には冷房装置用の電動発電機(110kvA)を搭載しています。サロ110形式やクハ455形式に改造された車輛もあります。晩年は長野地区で活躍しました。

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サロ165-1~(サロ165-125)

本系列の一等不随車(グリーン車)です。134両が製作され、1~28は非冷房車、29のみ冷房準備車で落成し、30以降は冷房新製車となっています。サロ152形式と同じく、開放的な二連大型下降窓が外観の特徴(後年にユニットサッシ窓化された車輛もあります。)となっています。前位側にトイレ、洗面所、後位側に簡易運転台を備えています。

ジョイフルトレイン
 国鉄末期、団体専用列車や臨時列車の運転を目的に主に急行列車の運転縮小により余剰となった車輛を改造した車輛が製作されました。JR各社へ移行後も実施されました。165系からも幾つか製作されました。

なのはな
 昭和61年に国鉄千葉鉄道管理局(千葉局)に登場したジョイフルトレインです。1980年代に入り、旅客需要の多様化に応えるため各鉄道管理局(現在のJRで言う支社に相当。)で和式や欧風車輛が登場。千葉局でも他局からの借り入れで対応していましたが、重なると借り入れ出来ない状況もあり、十分に応えられない状況となっていました。
 そこで、千葉局にも和式車輛の導入を決めましたが、局内の電化率が90%である事から客車ではなく、初めての和式電車を誕生させる事にしました。それが「なのはな」です。愛称は千葉県の県花である事に由来します。
 編成は6両編成で、各車には千葉県内に自生する花の名前が付けられています。1号車より…
クロ165-1(すみれ)+モロ164-801(あやめ)+クモロ165-1(きんせんか)+クロ165-2(すいせん)+モロ164-802(あじさい)+クモロ165-2(ゆり)
となっており、3両編成での運用も可能となっています。塗装デザインは「房総半島と黒潮」を図案化したもので、千葉県の風土を表現するものとしています。菜の花の黄色をベースに、窓廻り、裾部に濃いエメラルドグリーンの帯を巻き、車端部に房総半島を図案化しています。客室窓下に青緑1号の帯をアクセントで入れています。
 電車の特性を活かし、客車列車が運行できない区間にも乗り入れるなど活躍をしましたが、老朽化及び直流区間しか走れないため、平成10年に485系を種車とした「ニューなのはな」に継承する形で引退し、廃車となりました。

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写真は平成4年に発生した成田線の踏切事故により、前面強化及びシールドビーム化した姿です。

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クモロ165-1、2(クモロ165-2)

3号車及び6号車に位置する制御電動車(グリーン車)です。車内は民芸風のインテリアとした内装となっていました。

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クロ165-1、2(クロ165-1)

1号車及び4号車に位置する制御車(グリーン車)です。運転台直後の乗降扉を塞ぎ、物置や茶器棚を設置しています。車内は障子や木材部分を白木調にした数寄屋風のインテリアとしています。

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モロ164-801、802

パンタグラフ付き中間電動車(グリーン車)で、モハ164形式800番代を種車としています。後位側の乗降扉を塞ぎ、茶器棚、アイスボックスなどを設置。洗面所は物置に改造しています。パンタグラフ部分は6人分のソファーを設置したサロン室となっており、添乗員室の利用も想定して設計されていました。車内は白、赤、黒の対比を強調した新和風調としていました。

パノラマエクスプレスアルプス(Panorama Express Alps)
 昭和61年に東京西鉄道管理局(西局)に登場した欧風電車です。西局のメインとなる中央本線とその先にある大糸線は、雄大な山岳風景を楽しめる路線として知られており、車窓から自然を楽しめるように「展望」をテーマとして製作されました。
 ジョイフルトレインは主に団体専用列車の使用が前提でしたが、個人利用者向けの臨時列車として運行する事を視野に入れているため、和風や欧風といった名前は使用せず、車窓を楽しむ「展望電車」というテーマが強調されているのが特徴の一つにありました。
 車体は雪をイメージさせる白色(クリーム10号)をベースに、国鉄の制定した色ではない、サンシャインイエローとサミットオレンジを用いて、アルプスの山々が朝日に照らされ、オレンジ色に輝く光景(モルゲンロート)をイメージ。展望室直後で順序を逆転させ、帯を斜め上に上げて躍動感を表現。この部分は東京西鉄道管理局の「西」をイメージしています。
 車内は通路にダウンライトが設置され、照明を間接照明としています。各車には40インチの大型モニター、レーザーカラオケ機器が設置されています。車輛の走行機器は165系のままですが、183系と併結が出来るように改造が加えられています。
 団体専用列車や主に中央本線の臨時列車として活躍し、平成13年に老朽化のため引退。その後、富士急行へ譲渡され2000形として平成18年に引退しています。

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北アルプスバックに大糸線を走るパノラマエクスプレスアルプス。

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クロ165-3、4(クロ165-3)

本車輛の目玉と言える展望室付き制御車で、乗務員室後方から展望を考えた設計の車輛はありましたが、乗務員室前方に客室を設置した車輛は国鉄初となります。一見二階建てのように見えますが、展望室後部に半室の乗務員室を設置し、高所に位置するものとしており二階建て構造とはなっていません。車体は改造内容が多いため、新製した車体を載せ替えています。展望室最前部には衝突事故を考え、油圧式ダンパーが設置されています。平成10年までは天井部にサンルーフも設置されていました。運転台直後には側面を当時としては最大級の幅1.7m、高さ1.05mの大窓を設置し、側面から風景を楽しめるラウンジが設置されています。

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クモロ165-3、4(クモロ165-4)

3号車、4号車に位置する制御電動車です。編成の両端を制御車としているため、向い合せで連結されています。前面は角型形状の前部標識灯及び後部標識灯が一体となったものに変更。側面窓は固定窓に改造し、高さを100mm拡大しています。車内は座席部分を170mm高くし、フットレスト付きリクライニングシートに変更。窓側に15度向ける事が可能となっており、通路側からも車窓を楽しむ事が出来ます。

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モロ164-803、804(モロ164-803)

モハ164形式800番代を種車としたパンタグラフ付き中間電動車です。パンタグラフの下の部分は6人用の個室が設置されており、添乗員室など多目的室という位置付けとなっています。

シャトル・マイハマ/α(アルファ)
 昭和63年に南船橋~新木場駅間を結ぶ京葉線が開業し、その中に東京ディズニーランドのアクセスを目的とした舞浜駅があります。JR東日本では東京ディズニーランドへの旅客輸送を目的に167系を改造した専用車輛(通称、メルヘン車)を投入し、快速「メルヘン」として運行を始めました。
 平成2年に東京駅までの延伸開業が決定し、「メルヘン」号とは別に利用者を輸送する「シャトル・マイハマ」号の運行が計画され、同年に165系を3両改造して登場しました。
 運用する距離が短い事などから、車輛自体に大きな改造は施さず、内装や外部塗装を中心とした改造が特徴となっています。先頭車は貫通扉窓下にヘッドサインが設置され、前部標識灯、後部標識灯は角型の一体化した形状のものに変更。乗降扉は種車時代と変わらず、片側2扉としています。
 車内は座席を難燃性ビニルレザー張りとして、配置、配色を異なる様式としています。各車変則的な座席配置とし、座席は乗降時間をスムーズにするため跳ね上げ式としました。
1号車(クハ165-194)
東京方に位置し、車内はファンタジーをイメージ。ピンク色系統の配色。座席は劇場をイメージとしたもので、床を2段とし、上下段に線路と並行した跳ね上げ座席を配置。トイレ、洗面所を撤去して座席を設置しています。
2号車(モハ164-852)
車内は冒険をイメージ。黄色系の配色とし、両端部をボックスシート、中央部は窓側に向けて座席を配置しています。トイレは洋式トイレに改装しています。
3号車(クモハ165-129)
車内は未来をイメージ。青色系統の配色とし、全てボックスシートで構成されており、トイレ、洗面所が撤去され、座席に変更しています。
3両編成と短編成であった事から、輸送力不足となり、定期列車の本数が増えた事から平成7年に配し、同年に新潟支社へ転属し、「アルファ」と改称して同支社管内の臨時列車に活躍。平成13年に廃車となりました。

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シャトル・マイハマで活躍していた時の様子。

新前橋電車区波動輸送用(モントレー色)
 昭和57年に開業した東北・上越新幹線開業により、急行列車の運用終了、特急列車格上げにより日光、両毛、吾妻線などを中心に普通列車へ転用されて活躍していた165系のアコモ改良車で、平成元年よりアイボリーをベースに青色とピンク色のストライプを入れた、通称「モントレー色」に塗装変更しました。普通列車の運用の他、団体専用列車や臨時列車の運用で活躍。最後まで残っていた編成は湘南色へ再び戻され、イベント列車(リバイバル急行)で運用を行い、平成15年に廃車となっています。

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モントレーとは高崎駅にある商業施設「高崎モントレー」を言います。イメージカラーでしょうか。

ゆうゆう東海
 平成元年から平成11年まで在籍していたジョイフルトレインで、クハ165-701(クハ165-204)+モハ164-701(モハ164-862)+クモハ165-701(クモハ165-139)(( )は種車)の3両編成でした。
 愛称は一般公募で、「遊」や「友」などに通じ、語呂がよく親しみやすいなどの理由で命名されました。静岡地区を中心に、団体専用列車や臨時列車で活躍しました。
 車内はハイデッキ構造とし、シートピッチは1000mmのバケット型回転式リクライニングシートを配置、冷蔵庫やビデオプロジェクターや大型モニターを設置し、前面展望やイベントステージの中継映像を映すことが出来ます。先頭車の運転台直後には前面展望を楽しむ事の出来るラウンジスペースが設けられ、これに合わせて前面を非貫通に改造し、前面ガラスを拡大しています。2号車の中央部にはイベントステージが配され、レーザーディスクカラオケが完備されたほか、鉄道車輛では初となる、床そのものが低音スピーカーとなる「ボディーソニックシステム」を採用しています。
 塗装はゴールドとライトグリーンの2色に、静岡県の名産であるみかんとお茶をイメージしたオレンジ色と緑色の楕円形を配しています。
 平成11年に老朽化や団体需要の低迷を受け廃車となっています。

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東海道本線を行く、ゆうゆう東海。