165系急行形直流電車

諸 元

最大長  20000mm
最大幅  2903mm
最大高  4090mm
主電動機  MT54形式(120kw)
制御方式  抵抗制御方式(直並列組み合わせ制御、弱め界磁制御)
制動方式  発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ、勾配抑速ブレーキ
動力台車  DT32系
附随台車  TR69系

車内設備など

座  席  クロスシート
乗降扉(片側)  2扉
便所の有無  あり
その他  冷房化改造車有り。

概要

 昭和32年、国鉄初の新性能電車第1号として登場した101系。車体構造や制御システム等をベースに急行列車用として153系が昭和33年に登場しました。153系は東海道本線といった平坦線区向けで活躍。電化区間が山岳線区に及ぶと進出する事になりますが、主電動機出力が100kwと低い為、出力向上を図り、MT比を1:1を維持出来、かつ山岳線区に必要な装備を施した車輛が必要になりました。その車輛が165系であり、昭和38年に登場しました。当初は平坦線区は出力向上を図った163系、山岳線区は165系となっていましたが、165系を汎用的に使用する事となった為、大量増備されています。
 勾配線区である為、勾配区間でも一定の速度で走行できる抑速ブレーキが装備され、主電動機は120kwに出力向上されています。閑散線区から幹線まで対応できるように、ユニットはMc+M’又はM+M’の2種類を用意し、必要に応じた附随車(クハ、サハ、サロ、サハシ車)を組み合わせ、最小編成を3両からとし、細やかな対応を可能としています。
 勾配線区を中心に進出する一方で、平坦線区のローカル急行列車、普通列車にも活躍。しかし、昭和50年半ば頃より、新幹線開業による特急列車格上げが盛んに行われ、急行列車の廃止が進み、普通列車への転用が進みました。
 国鉄末期からJR移行後はごく僅かの車輛が急行列車に活躍。余剰車の一部はジョイフルトレインに改造される等の変化が見られました。新潟~長野駅を結んでいた急行「赤倉」号が最後の定期列車で、平成9年に廃止され165系本来の役目に終止符を打ちました。普通列車に使われていた車輛も片側2扉、クロスシートの車内設備は混雑時間帯には列車遅延の要因とされ、早々に置換えが進められ、晩年は団体列車や臨時列車に活躍しました。

原型車

クモハ165-103(1位側) クモハ165-1(2位側)

クモハ165-1~
主制御器や主抵抗器等の機器を搭載する制御電動車。勾配線区で使用する際は基本的に麓側に位置しています。

クハ165-1(1位側) クハ165-195(2位側)

クハ165-1~
153系のクハ153形式に抑速ブレーキを付加した形式で、基本的には内外装は同じです。偶数、奇数向きどちらでも使用が可能で、運転台下部にジャンパ栓を備えた車輛は奇数向き、無い車輛は偶数向きとなっていました。製造年次により、雨どいの長さが異なります。

モハ164-64(1位側) モハ164-1(4位側)

モハ164-1~
パンタグラフ付き中間電動車で、電動空気圧縮機、電動発電機等補助機器を中心に搭載し、クモハ165形式又はモハ165形式とユニットを組みます。後位側にトイレ、洗面所の設備があります。

モハ164-806(1位側) モハ164-849(3位側)

モハ164-801~
中央本線等に存在する狭小トンネルに対応する為、パンタグラフ部分の屋根を低く設計したグループ。パンタグラフ横にあるルーバーが特徴になっています。多くの車輛が非冷房車で登場し、後に冷房化改造を行っています。846~849番の4両は冷房準備車として登場しており、通風器の配列が2列となっていました。

サハ165-9(2位側) サロ165-106(4位側)

サハ165-1~
モハ165形式と同じ車体を持つ中間附随車です。床下に電動発電機を搭載しています。晩年は飯田線、中央本線、篠ノ井線の快速「みすず」号用として使用されていました。
サロ165-1~
本系列のグリーン車で、153系のサロ152形式とほぼ同じとなっています。当時としては珍しい一段下降式窓を採用。車内はリクライニングシートの座席配置となっています。また、後位側には簡易運転台の設備を有していました。

ジョイフルトレイン

なのはな
1980年代に入り、レジャー需要の多様化に対応する為、国鉄の各鉄道管理局では余剰となった12系、14系客車を中心に和風車輛や欧風車輛に改造する工事が盛んに行われていました。その中、千葉鉄道管理局(現在のJR東日本千葉支社に相当)でも団体列車の需要が高まり、他の鉄道管理局から借り入れて対応していましたが、需要に満足に応えられない場合もありました。
そこで、千葉局でも和式車輛の導入を決定しました。しかし、客車を導入すると保守や運用に難がある為(客貨車区が無く、国電区間が存在している為、ダイヤ上の制約を生む。)難しい。千葉局ではほぼ電化されている事から、電車を改造した和式電車を製作する事となりました。こうして、国鉄初の和式電車である「なのはな」が昭和61年に登場しました。
愛称の「なのはな」は千葉県の県花に由来し、各車輛の愛称も千葉県内に自生する花の名前が付けられています。6両編成ですが、需要に応じて3両編成での運用も可能としています。塗装色は「房総半島と黒潮」を図案化し、千葉県の風土を表現しています。なのはなをイメージした黄色6号をベースに、窓廻りと裾部には濃いエメラルド色の帯を巻き、車端部には房総半島を図案化しています。窓下に青緑1号の帯をアクセントに入れています。
JR東日本へ移行後も活躍を続けましたが、直流区間しか走行できない事と老朽化、陳腐化が進んだ事により、平成10年に485系を改造した「ニューなのはな」に置き換えられ、引退しました。

クモロ165-2(2位側) クロ165-1(1位側)

クモロ165-1・2
クモハ165形式を改造した車輛。3号車及び6号車に位置し、愛称は3号車となる1番は「きんせんか」、6号車となる2番は「ゆり」となっています。前位側の乗降扉を廃し、物置、茶器棚を設置。車内は片側通路に改造し、畳敷きに変更。浮床二重構造で、防振ゴムが入っており、振動や騒音の低減を図っています。濃茶色を基調とした民芸風の車内となっています。
クロ165-1・2
クハ165形式を改造した車輛。1号車及び4号車に位置し、愛称は1号車となる1番は「すみれ」、4号車となる2番は「すいせん」となっています。クモロ165形式と同じ改造ですが、定員は本形式の方が4名多い。車内は数寄屋風となっています。

モロ164-802(2位側)

モロ164-801・802
モハ164形式800番代を改造した車輛。2号車と5号車に位置し、愛称は801番の2号車が「あやめ」、802番の5号車が「あじさい」となっています。後位側の乗降扉を廃し、茶器棚、クーラーボックス等を設置。洗面所は物置に改造しました。種車がパンタグラフ部分を低屋根構造とした800番代である為、この下の天井高さが確保できないので、サロン室とし、カーペット敷きの6名分のソファーを設置しています。サロン室は添乗員室としての利用も想定し、照明などを単独で使用出来る構造としています。この他、他車と同じくトイレ寄りにロッカー、ビデオ装置、カラオケ装置が設置されています。

パノラマエクスプレスアルプス
国鉄東京西鉄道管理局(現在のJR東日本八王子支社に相当)の中心となる中央本線、その先にある大糸線は雄大な山岳風景を楽しむ事が出来、この風景を楽しむ車輛として昭和62年に登場しました。
従来のジョイフルトレインは団体列車の使用が前提でしたが、個人でも利用できる臨時列車の運用も考えた設計となっているのが特徴で、和式や欧風といったジャンルではなく、「展望電車」という位置付けとし、老若男女問わず楽しめるようにしました。
改造するにあたり、パノラマ車輛の種車をクハ165形式とする為、半分の3両は方向転換を行っています。機器類は種車の165系のままですが、183系との連結も出来るように改造が加えられた他、耐雪ブレーキ、信越本線横川~軽井沢駅間の碓氷峠通過対策(横軽対策)も施されました。
車体色は雪をイメージしたクリーム10号をベースとし、アルプスの山々が朝日に照らされ、オレンジ色に映える「モルゲンロート」をイメージしたサンシャインイエロー、サミットオレンジの帯を巻いています。展望室直後で帯を逆転させ、躍動感を表しています。
客席は3タイプあり、共通する内容としては通路にダウンライトの設置、照明は間接照明としています。各車輛には大型テレビモニター、カラオケ機器を搭載しています。
一般席:座席部分の床を170mm高くしたハイデッカータイプとし、リクライニングシートを配しています。座席は窓側に僅かに向ける事が可能で、通路側の座席からも車窓を楽しめるようになっています。
展望室:最大の特徴となるもので、前面展望を楽しめる席です。国鉄で初めての乗務員室よりも前方に客席を設けました。展望窓は曲面ガラスとし、ピラーは支障の無いよう細くされています。ワイパー、デフロスタが備えられています。座席は前方に固定されており、後方の座席からも見易いよう、背もたれは低くなっています。この他、衝突時の安全性を確保する為、油圧式ダンパーが2基設置されました。
ラウンジ:展望室後方に設けられており、側面窓から風景を楽しむ為に設置されました。当時の最大級となる幅1.7m、高さ1,05mの大型窓を設け、窓に向かってソファーが配置されています。
平成13年に老朽化の為運用を終了し、同年に富士急行へ譲渡され2000系として活躍しました。(現在は引退し、廃車となっています。)

クロ165-3(1位側) クモロ165-4(1位側)

クロ165-3・4
クハ165形式を改造した展望室を持つ制御車。編成の両端に位置しています。改造工程が多い為、車体は新製されています。運転台は高い位置に設置された設計となっており、二階建てとはなっていません。
クモロ165-3・4
クモハ165形式を改造したもので、3号車、4号車に向かい合う形で連結されています。

モロ164-804(2位側)

モロ164-803・804
モハ164形式800番代を種車としたもので、パンタグラフ下は6名用の個室となっており、添乗員室としても使える多目的室という位置付けとなっています。

ゆうゆう東海

平成元年より平成11年まで活躍したJR東海所属のジョイフルトレイン。クハ165-701+モハ164-701+クモハ165-701の3両編成で、狭小トンネルのある身延線にも対応出来るよう、モハ164形式は低屋根構造となっています。
ハイデッキ構造で、シートピッチを1mとし、回転式リクライニングシートを各車輛に48席設け、冷蔵庫、大型モニター装置を設け、運転台からの前面展望、ステージイベントの中継映像を見る事が出来ます。
1、3号車は前面を大型窓に変更し、非貫通構造に改造。運転台後方には前面展望が可能なラウンジスペースが設置されています。2号車の中央にはイベントステージがあり、カメラやカラオケ設備があります。また、鉄道車輌初の床そのものが低音スピーカーとなるボディソニックシステムを採用しました。
塗装色はライトグリーンとゴールドの二色とし、中央部に静岡県の名産であるみかんとお茶をイメージしたオレンジ色と緑色の楕円を配しています。
愛称は一般公募によるもので、「遊」、「友」等に通じ、語呂が良く、親しみ易い事が採用の理由となっています。
老朽化、需要減少などの理由により、平成11年に引退となっています。

シャトル・マイハマ(Shuttle Maihama)

平成2年に登場したジョイフルトレインです。昭和63年に京葉線南船橋~新木場駅間が開業。沿線に東京ディズニーランドがあり、最寄り駅として舞浜駅が誕生しました。JR東日本は利用者の輸送を目的に167系を改造した専用車輛(通称、メルヘン車)を使用し、快速「メルヘン」号の運転を開始しました。
平成2年に京葉線が東京駅まで延伸開業したの機に、「メルヘン」とは別に利用者輸送を目的とした快速「シャトル・マイハマ」号の運転計画が行われ、誕生に至りました。
種車となる165系に対しては機器類や台車等には手を加えず、内装の変更を主な改造とし、イメージアップの塗装変更を行っています。普通車扱いである為、改造後の番号変更は実施されず、種車の番号のままとなっています。東京方よりクハ165-194+モハ164-852+クモハ165-129の3両編成です。
先頭車は貫通扉にヘッドサインを設置し、前部標識灯及び後部標識灯は角型の一体化したものに変更。客室窓はユニットサッシを1枚ガラスの固定窓に変更しています。塗装色はクリーム色をベースに裾部に青色の帯、側面には帯の上に水色の帯を2本配しています。灯具類周りから側面前部に京葉線のラインカラーである赤帯、運転台窓、側面窓周りを黒色としています。中間となる2号車の中央部には太陽のイラストが描かれ、インパクトを与えています。
車内は座席をビニルレザー張りとし、乗降をスムーズにさせる事から跳ね上げ式のものに変更。配置、配色は各車輛で異なります。
1号車はファンタジックをテーマにピンク色の配色。劇場をイメージし、海側に線路と平行に座席が配置。床を二段とし、上下段に48席設けられています。トイレ、洗面所は撤去され、跡地には座席を設置しています。
2号車は冒険をテーマにした黄色の配色。両端部は通路を挟み、両側に2列ずつ配したボックスシートとし、中央部は窓側に向けて背中合わせに配置しています。トイレは残置され、洋式に改造しています。
3号車は未来をイメージした青色の配色。座席は全てボックスシートで、トイレ、洗面所を撤去し、座席を配置しています。
各車の照明は窓上に間接照明と天井部にダウンライトを配するものに改造。荷物棚は間接照明に支障する為、撤去されています。
平成7年まで運転が行われ、廃止後は新潟支社の上沼垂運転区(現在の新潟車両センター)へ転属し、「α(アルファ)」に改称。塗装は平成8年に変更され、青色基調の塗装となりました。新潟支社管内の臨時列車に使用され、平成13年に引退しています。




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