185系特急形直流電車

諸 元

最大長  20000mm
最大幅  2946mm
最大高  4140mm
主電動機  MT54D形式(120kw)
制御方式  抵抗制御方式(直並列組み合わせ制御、弱め界磁制御)
制動方式  発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ
動力台車  DT32系
附随台車  TR69系

車内設備など

座  席  転換クロスシート
乗降扉(片側)  2扉
便所の有無  あり
その他  

概要

 東京から近くて人気の高い観光地である「伊豆地方」への列車には183系を使用した特急「あまぎ」号がありましたが、主力であったのは153系を使用した急行「伊豆」号でした。153系は急行列車の他に東海道本線東京口の普通列車にも多数運転されていました。1980年代に入ると登場から20年近く経った車輛が多くなると同時に、海沿いを走る事による塩害もあり、置換えの時期を迎えつつありました。
 153系の置換えを目的に185系の新製が決定しました。新製にあたり、153系と同じく急行列車の使用の他に普通列車としても使える仕様とする「汎用型」とする新しい試みの下で設計されました。当初は急行列車での使用でしたが、急行「伊豆」を特急に格上げする事になり、特急列車として使用しつつ、普通列車でも使用出来る。と少しニュアンスが変化しています。
 モデルとなったのは昭和54年に登場した117系で、アレンジを加えています。先頭車の形状は従来の特急形電車に見られるボンネット形や月光形(運転台下部に機器室、通路(貫通扉付き)を備えた形)ではなく、117系と同じく丸みのあるデザインとしました。
 車内も117系をベースとし、デッキ付きの仕様としたもので、車体両端に乗降扉を設置しています。(グリーン車は1扉)この乗降扉は片開きドアで、普通列車使用時を考え1000mm幅となっています。座席は普通列車の使い勝手を考え、転換クロスシートとなりました。
 主要な機器となる電装品や台車は117系とほぼ同じで、運転最高速度は110km/hとやや低め。普通列車運転時の加減速性能に余裕のある近郊形電車と同じ性能としています。
 185系の開発は当時の東京南鉄道管理局(現在のJR東日本東京支社、横浜支社)が熱意を持って、積極的に行いました。その1つが車体色にあります。特急形電車と言えば、クリーム4号をベースに赤2号の帯色を入れるのが基本でしたが、185系では南国「伊豆」をイメージとし、「太陽の輝き」をイメージしたクリーム10号(ホワイトアイボリー)をベースに「伊豆の木々の緑」をイメージした緑14号の帯を中央部に右下がりで配した斬新な塗装色としました。当時の国鉄形車輛では極めて斬新なもので「国鉄らしくない」という驚きの声もあったそうです。こうして185系は昭和56年に特急「踊り子」号として登場し、153系を置換えていきました。
 一方、東北・上越新幹線開業に伴う、急行列車の特急列車格上げを控えていた高崎鉄道管理局(現在のJR東日本高崎支社)に所属する165系の置換えに185系が選ばれ、運用する線区に適応する為、耐寒・耐雪構造を持った200番代が製作され、昭和57年に登場しました。先述の通り、当初は特急列車に使用する計画でしたが、新幹線の上野乗入れが諸問題で延期となり、上野~大宮駅間にアクセスする列車が必要になり、「新幹線リレー号」として同時にデビューしています。
 200番代の塗装色は東海道本線に活躍する0番代とは異なり、200系新幹線をイメージしたデザインとされ、緑帯は窓下に横方向へ巻く従来と同じ手法のものとなっています。
 国鉄からJR東日本へ移行し、東海道本線や高崎線、上越線を中心とした特急列車に活躍しました。その後、後継車種の置換えが行われ、定期特急から臨時列車に中心の運用に変更され、令和3年に特急「踊り子」号の撤退により定期特急列車の運用が終了。臨時列車に活躍していましたが、令和7年に引退し、系列消滅しています。

0番代
昭和56年に登場したグループ。153系の置換えを目的としたもので、特急列車から普通列車まで使用出来る汎用型は初の試みでした。この為、特急形電車でありながら客室窓が開閉できる等の特徴があります。

クハ185-4(1位側) クハ185-10(2位側)

クハ185-1~
伊豆急下田、修善寺方の偶数向き制御車です。117系を基本とした設計ですが、そのスタイルのルーツを辿るとモハ80系が原型となります。後位側にトイレ、洗面所の設備があります。写真左はリニューアル後の二代目となる塗装で、湘南のみかん畑をイメージしたブロックデザインとなりました。

クハ185-104(1位側) クハ185-108(2位側)

クハ185-101~
東京方の奇数向き制御車です。0番代と同一構造で、連結する向きの違いで番代区分されています。ジャンパ栓が装備されています。

モハ184-3(2位側) モハ185-16(2位側)

モハ184-1~
電動空気圧縮機、電動発電機等の補助機器を搭載する中間電動車です。電動発電機は国鉄では初採用となる容量190kvAのブラシレスMG(電動発電機)を搭載しています。
モハ185-1~
パンタグラフ付き中間電動車です。主制御器や主抵抗器等の機器を搭載しています。客室のみでトイレ、洗面所の設備はありません。

サハ185-5(3位側) サロ185-9(2位側)

サハ185-1~
0番のみに存在する中間附随車で、付属編成(5両編成)に連結されています。モハ185形式の電装品一式が無いスタイルとなっています。電動空気圧縮機を搭載しています。
サロ185-1~
グリーン車で、座席1つに1つの単窓となっています。業務用室(車掌室)、車内販売準備室を備えています。

200番代
昭和57年に165系の置換えを目的に設計されたグループです。東北・上越新幹線大宮駅と上野駅をアクセスする「新幹線リレー号」、上越線系統の特急列車として登場しました。0番代に耐寒・耐雪構造を加えた他、碓氷峠の通過があり、協調運転を行わないまでも(最大7両編成なので、機関車の牽引、推進で対応が出来る。)、横軽対策が施されています。

クハ185-211(1位側) クハ185-207(2位側)

クハ185-201~
下り方に位置する偶数向き制御車です。0番代に耐寒・耐雪構造、横軽対策を施した車輛となります。前面連結器上部の汽笛にカバーが設置されているのが0番代と見分けるポイントです。一部の車輛は横浜線運転時にATC運転となる為、ATC装置を搭載しています。この為、運転台後方デッキを挟んで、客室の一部を機器室に改造しています。(写真右)

クハ185-306(1位側) クハ185-315(2位側)

クハ185-301~
上り方に位置する奇数向き制御車です。200番代とは向きが異なるだけで、ジャンパ栓を備えているのが外観上の違いです。写真右の塗装色はリニューアル工事を行った際に塗装変更したもので、上毛三山をイメージしたブロックデザインとロゴマークが入ったものとなりました。

クハ185-307(2位側)

クハ185-301~
ATC線区での運転が対応出来るようにATC装置を搭載した車輛があります。改造による番代変更等は行われていません。

モハ184-211(3位側) モハ184-229(2位側)

モハ184-201~
モハ184形式0番代に耐寒・耐雪構造、横軽対策を施したグループです。電磁投入式高速度遮断器を装備し、電動空気圧縮機の起動モーターも誘導電動機に変更しています。

モハ185-212(3位側) モハ185-215(2位側)

モハ185-201~
モハ185形式0番代に耐寒・耐雪構造、横軽対策を施したグループです。一部の車輛は晩年、パンタグラフをシングルアーム式に変更していました。

サロ185-212(3位側) サロ185-207(2位側)

サロ185-201~
サロ185形式0番代に耐寒・耐雪構造、横軽対策を施したグループです。トイレに臭気抜きの小窓が追加されています。




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