381系特急形直流電車

諸 元

最大長  21300mm
最大幅  2900mm
最大高  3960mm
主電動機  MT58形式・MT58A形式(共に120kw)
制御方式  抵抗制御方式(直並列組み合わせ制御、弱め界磁制御)
制動方式  発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ
動力台車  DT42形式
附随台車  TR224形式

車内設備など

座  席  リクライニングシート
乗降扉(片側)  2扉
便所の有無  あり
その他  

概要

 国鉄の電化延伸が全国津々浦々に進められ、昭和48年に中央西線、篠ノ井線の直流電化が決定し、名古屋~長野駅を結ぶ特急「しなの」号の電車化が決まりました。
 電化する区間は山岳路線であり、急曲線が多数存在し、181系を転用して運転を行っても、現在運転されているキハ181系特急形気動車の運転と比較して、たった10分程度の所要時間短縮しか出来ず、曲線区間の通過速度を向上させる必要がありました。この背景には並行する中央自動車道の延伸があり、これに対抗する為に、電化の他に速度向上は必須要件でした。
 急曲線の通過速度向上は鉄道において難しい問題であり、線路に傾斜を付ける(これをカントと言います。)方法がありますが、カントをきつくすると傾斜による脱線や転覆の恐れがある為、容易に出来ません。
 国鉄では主要幹線における高速特急列車の運転を計画し、昭和45年に591系試作車を登場させ、試験を行いました。591系は曲線区間において発生する遠心力を車体の傾斜により緩和させる「自然振り子式」を開発し、実用化出来るに至りました。量産車が待ち望まれていましたが、東北新幹線の建設が始まった為、量産車は見送られました。
 そこに中央西線・篠ノ井線電化開業が決定し、大幅なスピードアップを果たす為、591系をベースにした量産車が投入される運びとなり、亜幹線向けにスペックを調整した381系が昭和48年に登場しました。
 車体は軽量化及び低重心化を図りつつ、乗心地向上も損なわない構造としており、アルミニウム合金製構体が採用された他、床下機器に機器を集中搭載し、低重心化を図る為、国鉄の電車では初めて21m級の全長としました。振り子が作用する際に車輛限界の抵触防止の為、車体下部の裾絞りが大きく取られています。運転台(乗務員室)は視認性等を考え、高運転台となっています。
 車内は183系と同じで、普通席は簡易リクライニングシート、グリーン席はリクライニングシートとなっています。目新しいものでは、客室とデッキの仕切り扉に在来線車輛初の自動ドアが採用されました。
 最大の特徴となる振り子装置は、従来は曲線通過速度が本則(半径に対し、決められた速度)+5km/hでしたが、381系は最大、本則+20km/hを実現し、キハ181系では名古屋~長野駅間を約4時間かかっていたものを3時間20分近くまでとしました。この大幅な速度向上は曲線区間の多い線区に381系を投入するきっかけとなっており、昭和53年に紀勢本線和歌山~新宮駅間電化開業、昭和57年伯備線、山陰本線倉敷~伯耆大山~知井宮駅(現:西出雲駅)電化開業で381系が投入されました。
 381系はこの3線区の投入に留まりました。振り子装置が動作するとパンタグラフの集電部分(舟板)が傾斜し、架線との接し方が変わってしまう為、架線の張り方を変える事が必要になる欠点があった為、既存の電化区間では設備の大幅な改修工事が必要とされた為、運用の拡大には至りませんでした。投入された線区以外でも走行は可能ですが、その際には振り子装置は使用しません。
 国鉄からJR東海、西日本へ継承され活躍を続けましたが、JR東海所属車は平成20年、JR西日本所属車は特急「やくも」号が最後まで残り、国鉄形特急電車として令和7年まで活躍し、廃系列となっています。

0番代
 特急「しなの」号用として、クハ381形式、モハ380形式、モハ381形式、サロ381形式の4形式が用意されました。食堂車やビュッフェ車は183系と同じく、運用する距離が短い事から計画されていません。

クハ381-14(1位側) クハ381-130(2位側)

クハ381-1~
偶数、奇数どちらでも使用出来る制御車です。485系200番代のデザインを採用しました。貫通扉付きにした理由は将来、上野、新潟地区で使用し、分割・併合運転の計画が行われていた為です。
クハ381-101~
昭和51年の特急「くろしお」号に増備されたグループで、分割・併合運転の目的が無くなり、非貫通構造としたものです。その他は0番代と同じとなっています。

クハ381-503(1位側) モハ381-19(4位側)

クハ381-501~
特急「スーパーくろしお」号の増解結用として、クハ381形式100番代に自動解結装置を装備したグループです。
モハ381-1~
本系列の中間電動車です。屋根上には何もなく、すっきりとした外観が特徴です。主制御器や主抵抗器等の機器を搭載しています。定員確保の為、トイレ、洗面所の設備はありません。

モハ380-91(3位側) モハ380-501(4位側)

モハ380-1~
パンタグラフ付き中間電動車です。床下には空調装置の他、電動空気圧縮機が搭載されています。381系は3両1ユニットの構成となっており、モハ380形式+モハ381形式のユニットに制御車又は附随車(グリーン車)1両を加えており、附随車に電動発電機を搭載しています。
モハ380-501~
特急「スーパーくろしお」号の増解結用にモハ380形式に自動解結装置を後位側の連結器に装備させたグループです。後位側の貫通路も塞ぐ工事が行われています。後に特急「やくも」用に使用されるモハ380形式にも同様の改造が行われています。こちらは連結する相手が貫通扉付きである事から、通路の閉鎖は行われていません。また、番号は原番号に500番を加えたものとなっています。

サロ381-28(3位側)

サロ381-1~
本系列の中間附随車で、グリーン車です。窓幅が普通車よりも大きく採られているのが特徴です。トイレ、洗面所の他、車内販売準備室を備えています。

改造車
 国鉄時代末期、特急列車の運用や編成を見直し、弾力的な運用を目指す改善が全国的に行われ、短編成化により不足する制御車を中間車から改造する工事を行いました。アルミニウム合金を用いた381系の改造は当時、最も難しい工事として記録されています。

クモハ381-5(1位側) クモハ381-507(2位側)

クモハ381-1~
モハ381形式を先頭車化改造したもので、前位側に運転台を接合しています。貫通扉は開き戸となっており、窪んだ形となっています。
クモハ381形式500番代
クモハ381-1~に増解結の作業改善を目的に自動解結装置を装備させたもの。原番号に500番を加えています。

クロ381-4(2位側) クロ381-55(2位側)

クロ381-1~
サロ381形式を先頭車化改造したもので、室内は種車のままとなっています。国鉄の最終日に落成した車輛として知られています。
クロ381-51~
クハ381形式をグリーン室に改造したグループです。内装の改造が中心となっており、絨毯敷きとし、座席を交換しています。外観に大きな変化はありません。

クロ381-11(2位側)

クロ381-11~13
サロ381形式を先頭車化改造した車輛ですが、0番代とは異なり、先頭部の後方を展望グリーン室としたパノラマグリーン車となっています。運転台は低運転台とし、後方の床面をかさ上げしています。中央の乗降扉より後方は種車のままとなっています。先頭部分は踏切事故等を考え鋼製とし、特殊なボルトを用いてアルミニウム合金製車体と接合しています。

クロ380-5(1位側) クロ380-6(2位側)

クロ380-1~
サロ381形式を先頭車化改造したもので、パノラマグリーン車としています。1~5番は「スーパーくろしお」用、6、7番は「スーパーやくも」用となっています。クロ381形式0番代、10番代とは異なり、後位側にアルミ製の運転台を設置しています。

くろしお・やくも用改造車
 他の交通機関に対する競争力の維持等を目的に特急「くろしお」及び特急「やくも」号に使用する381系にアコモ改造が行われました。「くろしお」号は平成10年、「やくも」号は平成9年及び平成19年に実施され、塗装変更をはじめ、座席の交換やトイレのリニューアル工事が実施されています。その際に新しい形式や番代が登場しています。

クロ381-126(1位側) サハ381-15(1位側)

クロ381形式100番代
特急「くろしお」号に使われるクハ381形式100番代をグリーン車としたもの。リニューアル工事の他、座席を3列としています。番号は原番号を継承しています。
サハ381形式0番代
サロ381形式を普通車に格下げ改造したもので、381系では新しい形式となります。リニューアル工事を行い、座席を普通席に変更しています。番号は原番号を継承しています。

クロ381-136(1位側) モハ380-283(3位側)

クロ381形式100番代
特急「やくも」号に使われるクハ381形式100番代をグリーン車としたもの。二度目のリニューアル工事実施で登場しました。改造内容は「くろしお」号と同じく、座席をグリーン席に変更しています。番号は原番号を継承しています。二度目のリニューアル工事で「ゆったりやくも」と命名されています。
モハ380形式200番代
「やくも」号二度目のリニューアルで登場した番代で、全席を禁煙とする為、前位側の座席を一列撤去し、喫煙室に改造した他、トイレのリニューアルを行っています。種車の原番号に200番を加えています。

サハ381-223(4位側)

サハ381形式200番代
「やくも」号二度目のリニューアルで登場した番代で、サロ381形式を格下げ改造したものです。原番号に200番を加えています。「くろしお」号と同じく座席の交換が行われた他、座席の一部を撤去し、車椅子スペースを設置しています。

1000番代
 北近畿地区の183系を置き換える為に381系が平成23年に転用されました。地上設備が振り子機能に対応していない為、振り子装置を使用せずに使っていましたが、287系が投入されると乗心地が悪い旨の苦情が多数寄せられ、調べた所、振動が大きい事が認められ、改善として振り子機能を使う事で横方向の振動が抑えられる事が判明しました。
 そこで、振り子装置が動作する際に地上設備に支障しないように傾斜角度を改造したグループとして、平成26年に1000番代が登場しました。287系に置き換えられるまでの繋ぎであった為、活躍期間は短く、平成29年に番代消滅しています。

クハ381-1103(1位側) クロ381-1104(2位側)

クハ381形式1000番代
クハ381形式100番代の振り子装置を改造したもので、外観、内装共に変化はありません。原番号に1000番を加えています。
クロ381形式1000番代
特急「くろしお」号に使われるクロ381形式100番代の振り子装置を改造したもの。原番号に1000番を加えています。

モハ381-1046(3位側) モハ380-1037(1位側)

モハ381形式1000番代
モハ381形式の振り子装置を改造したもので、外観、内装共に変化はありません。原番号に1000番を加えています。
モハ380形式1000番代
モハ380形式の振り子装置を改造したもの。原番号に1000番を加えています。




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