583系特急形交直両用寝台電車

諸 元

最大長  21000mm
最大幅   2950mm
最大高   4240mm
主電動機  MT54形式(120kw)
制御方式  抵抗制御方式(直並列組み合わせ制御、弱め界磁制御)
制動方式  発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ
動力台車  DT32系
附随台車  TR69系

車内設備など

座  席  ボックスシート
乗降扉(片側)  1扉
便所の有無  あり
その他  

概要

 昭和30年代後半より主要路線を中心に電化が進められ、同時に特急列車の増発が図られました。電化の延伸と481系、483系特急形交直両用電車の登場が追い風となり、電車による特急列車は増加していきました。列車が増えると必然的に車輛基地の容量不足が問題になってきました。一方で寝台列車には客車が使用されていますが、昼行列車として使用するには設備等に無理があり、運用を終えた朝方から次の運用である夕刻まで長時間留置が必要となり、容量不足に拍車をかける事になりました。この他、客車列車の場合、機関車の機回しや有効長等の問題がありました。
 車輛基地の容量不足、客車列車のデメリットを解決すべく、昼間は座席、夜間は寝台と設備を兼ね備えた車輛の設計が行われ、昭和42年に世界初の本格的寝台電車となる581系が誕生しました。
 車体は寝台スペースを確保する為、車輛限界一杯に沿ったデザインとしており、運転台と屋根の高さが同じになる等、485系と比較するとその大きさがよくわかります。制御車は伝統のボンネットスタイルからモデルチェンジが行われ、分割・併合運転を考えた「貫通型」を採用。この構造は後に登場する485系200番代等に採用され、新しい特急形車輛デザインの基礎となっています。塗装色は新幹線に接続するイメージとし、特急形電車のクリーム1号にブルートレインの青15号という独特の塗装になっています。

座席の状態 寝台をセットした状態 グリーン車

 車内は中央に通路があり、両側に4人掛け固定座席として使用します。寝台を使用する時は座席の座面をスライドさせると下段になります。中段、上段は網棚の上に格納されており、引き出す事で現れます。物置に収納されたはしご、カーテン等をセットして寝台が完成します。寝台はB寝台(2等寝台)のみで、A寝台は当初は設定されていませんでした。夜行列車に使用する為、トイレは各車2ヶ所、洗面所は3ヶ所設置されています。グリーン車の設定もあり、屋根が高く設計されている為、広々とした空間となっています。この他に食堂車であるサシ581形式があります。
 581系は60Hz専用の交直両用電車で、新大阪と博多駅を結ぶ寝台特急「月光」号に使用され、「月光形」とも呼ばれるようになりました。昼行特急では新大阪と大分駅を結ぶ「みどり」号が最初の使用になります。期待通りの成果が得られた事により、翌年の昭和43年、東北本線全線電化開業で増備が決定。東日本地区は交流50Hzなので、50Hz専用。ではなく、485系で完成した三電源対応仕様を採用し、直流、交流50Hz/60Hz両用の583系が登場しました。
 世界初の独創的な電車ですが、車体設計が複雑である事、車体重量が重く、運転線区が限定される結果を招いてしまいました。そこに新幹線の建設が具体化した事により、必要両数を持って製造は終了。以降、後継系列も登場していていません。(直流電源のみですが、285系が該当?)
 寝台特急電車として活躍しますが、座席が寝台の一部である事から定員が少なく、混雑する列車には不向き。寝台も開放式である事からプライバシーの問題。電車であるが故の揺れや騒音等の利用客からの評判は今一つ。夜行列車では電車から客車に戻す事もありました。その為、余剰車が早々に出ており、大半の車輛が近郊形電車への格下げ改造を受けています。
 国鉄からJRへの移行時はJR北海道、東日本、西日本の3社へ継承。サシ581形式は移行直前で廃形式となっています。JR北海道の車輛は営業目的ではなく、改造種車としての確保が目的だったそうです。他の2社は特急、急行列車に活躍。平成29年にJR東日本車の最後の車輛が引退し、廃車となり系列消滅となっています。

クハネ581-36(1位側) クハネ581-35(2位側)

クハネ581-1~41
581系及び583系共通の制御車です。1~9番は581系用として、10番以降は583系用として製作されています。特徴は運転台下部に電動空気圧縮機、電動発電機を格納した機械室がある点です。

クハネ583-13(1位側) クハネ583-7(2位側)

クハネ583-1~30
東北地区での583系寝台特急の人気は高く、編成を15両編成化する事が考えられましたが、クハネ581形式に搭載した電動発電機は150kvAで容量不足となる事から、改良として通勤形電車の冷房用電源として開発された容量210kvAの電動発電機を搭載する設計変更が行われ、本形式が昭和45年に登場しました。運転台下部にあった機器室を廃止し、電動発電機は床下、電動空気圧縮機は運転台直下に配置しています。機械室部分には2区画分の座席、寝台を配置し、定員を増やしています。後年はこの部分を喫煙室や更衣室に改造しており、一部の車輛は窓が埋められる等の変化があります。この他として、クハネ581形式に施されていた耐寒・耐雪構造も継承しています。

モハネ583-87(1位側) モハネ583-100(4位側)

モハネ583-1~106
581系モハネ581形式と同一構造で、交流周波数が50Hz/60Hz両用となった点が異なります。主制御器、主抵抗器等直流機器を主に搭載しています。

モハネ582-58(1位側) モハネ582-106(4位側)

モハネ582-1~106
581系モハネ580形式と同一構造で、交流周波数が50Hz/60Hz両用となった点が異なります。主変圧器、主整流器等交流機器を搭載するパンタグラフ付き中間電動車です。

サハネ581-52(3位側) サロネ581-5(3位側)

サハネ581-1~57
581系、583系共通の中間附随車(B寝台車)です。モハネ581(583)形式を附随車にしたスタイルで、車内の構造は同じです。1~12番は581系用、13番以降は583系用として製作されました。
サロネ581-1~6
北陸地方の代表的な夜行急行列車「きたぐに」号の電車化にあたり、A寝台車の需要が高い為、サハネ581形式をA寝台車に改造した車輛です。3段寝台の上段、中段を撤去し、高さを引き下げた上段を設置して2段寝台としています。(中段で使用する明かり窓を埋めています。)この他、後位側に1ボックスを喫煙席に変更しています。

サロ581-6(3位側) サロ581-101(4位側)

サロ581-1~35
581系登場時には無かった形式で、東北地区昼行特急列車運転時には必要と判断し、583系登場と共に加わった形式となります。車内設備はサロ481形式に準じたリクライニングシートを配していますが、トイレは両端に配したサロ481形式とは異なり、583系他車と同じく前位側2ヶ所とし、和式、洋式をそれぞれ配置しています。
サロ581-101~103
JR西日本が「シュプール号」用として平成元年にサロ581形式を改造した番代です。改造内容は車端部の前後3列の座席を撤去し、そこにソファーとテーブルを配置したサロン区画に変更。トイレ、洗面所を撤去し、車内販売準備室及びリネン室に改造しています。この改造により、定員は半分になっています。




参考書の表紙に戻る     形式写真の表紙に戻る     電車その2の表紙に戻る